ノーベル賞受賞者でさえ医療費が払えない米国社会と国民皆保険が機能する日本社会

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     今日は「ノーベル賞受賞者でさえ医療費が払えない米国社会と国民皆保険が機能する日本社会」と題して論説します。

     

     日本では今年10/19に、ボストン大学名誉教授でノーベル化学賞を受賞した下村脩氏が90歳で亡くなりました。また米国でも今年10/6に、ノーベル物理学賞を受賞したレオン・レーダーマン氏が96歳で亡くなりました。

     

     下記は日本経済新聞のレオン・レーダーマン氏死去のニュースです。

    『日本経済新聞 2018/10/06 レオン・レーダーマン氏(ノーベル物理学賞受賞者)     

     レオン・レーダーマン氏(ノーベル物理学賞受賞者)米フェルミ国立加速器研究所によると10月3日、米アイダホ州の高齢者施設で死去、96歳。同研究所の元所長で、宇宙を構成する基本的な粒子「素粒子」の実験の大家。素粒子ニュートリノの研究で1988年にノーベル物理学賞を他の研究者らと共に受賞した。(ワシントン=共同)』

     

     日本のノーベル化学賞受賞者である下村脩氏は、オワンクラゲから緑色蛍光タンパク質の発見で2008年にノーベル化学賞を受賞しましたが、レオン・レーダーマン氏は日経新聞の記事の通り、素粒子ニュートリノやヒッグス粒子を発見して1998年にノーベル物理学賞を受賞しました。

     

     レオン・レーダーマン氏が、ニュートリノやヒッグス粒子を発見したことで、宇宙の構造を理解するという点で、レーダーマン氏は人類に重要な貢献をした人物です。

     

     レーダーマン氏は2010年代に入り、認知症に悩まされるようになりました。その治療費を工面するために、ノーベル賞のメダルを売却するところまで追い詰められてしまっていました。

     

    <ノーベル賞のメダル>

    (出典:「The Nobel Prize」のホームページから引用)

     

     ノーベル賞のメダルは、数千万から数億円でオークションなどで落札されるといったニュースがあります。それだけ高価なものなのですが、米国では医療サービスで自由診療の推進や民営化が進んで、政府の補助が少なくなり、家計に占める医療費コストが上昇しました。そのため、ノーベル賞受賞者のレーダーマン氏でさえ、自分が獲得したメダルを処分して、自分の医療費を工面できないという状況に陥ったのです。

     

     レーダーマン氏は、ニュートリノもそうですが、リニアコライダーのヒッグス粒子を発見した人でもあり、人類の科学技術に多大な貢献をした優秀な物理学者でもあります。そんなレーダーマン氏ですが、2010年代に入って認知症に悩まされ、2015年にオークション会社を通じてメダルを処分売却せざるを得ませんでした。

     

     通常、米国の高齢者は、メディケアという健康保険に加入していますが、長期老人ホームに滞在しているリーダーマンさんにはメディケアの健康保険が適用されないということがあったようです。

     

     とはいえ、これだけ人類に貢献して世界的に優秀な頭脳を持つ人が、その栄誉を称えるメダルを処分するところまで追い込まれるという米国社会の医療事情とは、いったい何なのでしょうか?そのような社会がいつまでも繁栄するのでしょうか?

     

     米国の医療費高騰の背景の一つに、1980年代から保険適用外の自由診療が増えたというのがあります。医療保険において市場原理を徹底したことで、巨大資本による独占が進み、病院が株式会社化して利潤追求が極端になるといった方向に進みました。

     

     その結果、米国では中間所得層の人は、一回の病気で貧困層に落ちるという状況なのです。

     

     それだけ医療費が高いということの証左でもあります。米国では個人破産の半分以上が医療費絡みで自己破産するようです。

     

     こうした米国の悪い先例があるにもかかわらず、日本国内では米国の圧力で、医療を含めたサービス分野で自由化を進めようとする動きがあります。日本もこのままグローバリズムを推し進め、規制緩和でカネカネカネと医療分野での政府の補助をやめた場合、将来的には米国のような医療事情になる可能性が十分にあります。

     

     事実、派遣社員などとその家族約50万人が加入する国内2位の規模の健康保険組合である人材派遣健康保険組合が2019/04/01付で解散する予定になっています。人材派遣健康保険組合ですが、これは「派遣健保」と呼ばれています。また生協の職員・家族で構成される生協健保も2019年3月末で解散する予定です。

     

     こうした人々の健康保険制度はどうなるかといえば、中小企業従業員を対象にしている「協会けんぽ」に加入することになります。

     

     この場合、保険料は間違いなく上昇し、しかも今後も上昇を続ける可能性が高いです。何しろ生産年齢人口減少で派遣社員が増えているから。そうなると健康診断や女性では乳がん、子宮がん検診が今ほどサービス提供できなくなる可能性があります。

     

     派遣社員で働く人々は、もともと経済的に大変な人が多いはずです。そのため、医療費の自己負担で貧しくなるか、病気になるリスクを上げるか?2者択一が待っているという話になるでしょう。

     

    <2017年度 医療費の動向 (単位:「兆円」)>

    (出典:厚生労働省のホームページから引用)

     

     上図は厚生労働省が発表した2017年度の医療費の動向です。これをみますと、平成29年度は42.2兆円で前年比9,500億円増加で、過去最高を更新し続けています。

     

     厚生労働省の上図資料は。いかにも過去最高を更新して支出が止まらないことを主張したいように思えます。しかしながら9,500億円増加したという増加額だったり、42.2兆円で過去最高を更新したとか、必ずしも支出金額に意味があるとは言い切れません。

     

     なぜならば、GDPの伸びが医療費の伸び率より高ければ必ずしも問題がないことは、皆さんもご理解できるでしょう。

     

     現在の日本は人口減少が問題とされていますが、そういう国家で医療費がいつまでも上昇を続けるというのは信じられません。いずれにしても今は団塊世帯がリタイアして、医療費が多くかかる年齢層の人々が多いわけです。そしてその人たちは戦後の日本を気付いてくれたおかげで、今日の私たちの快適さ・便利さという環境があるのです。

     

     日本は財政問題が存在しません。にもかかわらず、こうした高齢者の人たちを切り捨てるようなことをすれば、誰が国家を信頼するでしょうか?人々が国家を信用しなくなれば、ナショナリズムを結成することは難しく、最終的には日本は滅びていくしかないと思うのです。

     

     

     というわけで今日は「ノーベル賞受賞者でさえ医療費が払えない米国社会と国民皆保険が機能する日本社会!」と題して論説しました。

     米国では、市場原理を徹底して自由化を進めた結果、ノーベル賞受賞者でさえ医療費が払えない米国社会になってしまっていました。

     そして麻生太郎大臣は10/23の会見で、「不摂生が理由で病気になった人の医療費を、健康のために努力している人が負担するのは、アホらしい」と指摘した知人の発言を紹介し、肯定的に同調する発言をしました。

     麻生氏の発言について、健康維持の必要性を訴える趣旨としては理解できなくもないですが、病気になった人に対する表現として果たして適切と言えるでしょうか?例えば不摂生が理由で病気になったとしても、収入が低いために目いっぱい働かざるを得ず、不摂生になった人はどうなるのでしょうか?その医療費を負担するのは、本当に”アホらしい”のでしょうか?

     都合が悪くなったら弱者から切り捨てるという発想では、政府は信用されなくなるでしょうし、そうした国家が未来永劫繁栄を続けて存続することは難しいのでは?と私は思うのです。

     

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