360度評価を導入しようとしている財務省の省内改革の本気度
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皆さんは、360度評価というものを聞いたことがあるでしょうか?
この360度評価は、多面評価とか多面観察という言い方をすることもあります。私の前々職の職場では、毎年1回多面観察を実施し、人事評価に組み込まれていました。
今日は「360度評価を導入しようとしている財務省の省内改革の本気度」と題し、財務省がこの360度評価を導入するというニュースを取り上げたいと思います。
下記は朝日新聞の記事です。
『朝日新聞 2018/10/22(月)12:40 財務省は変われるか 部下が上司を評価する制度導入へ
森友学園の公文書改ざん問題や前事務次官のセクハラ問題を受け、財務省は、部下が上司を評価する「360度評価」の導入などの改革案を盛り込んだ中間報告を公表した。来年6月までに改革案の具体化を目指すが、信頼回復につながる実効性のある仕組みがつくれるかが問われる。
中間報告は職員へのアンケートやヒアリングなどをもとにまとめた。評価制度の見直しのほか、本省の「コンプライアンス推進会議」のアドバイザーとして、大久保幸夫・リクルートワークス研究所所長ら3人の外部有識者を任命。文書管理や情報公開の研修の拡充などを盛り込んだ。
アドバイザーに任命された山口利昭弁護士は今後の課題として「縦社会の意識が強いままでは改革を進められない」と、意識改革の必要性を訴える。
財務省は中間報告について、19日にホームページで「進捗(しんちょく)報告」として公表しただけで、記者会見などは開かなかった。別の省庁幹部からは「事務方トップの事務次官が世の中に訴える姿を見て職員の意識も変わるはず。そういう姿勢を示さなければ改革案は作文になりかねない」と、本気度を疑問視する声もあった。(笹井継夫)』
財務省は学校法人森友学園への国有地売却を巡る決裁文書の改ざん問題などを受け、再発防止に向けた省内改革案をまとめたというニュースです。その改革案の中に、「360度評価」を導入するとも報じられています。
部下が上司の意向に逆らえない財務省の風土が不祥事につながったという反省を踏まえて、法令順守を徹底する組織に立て直そうとしていることがわかります。
財務省のホームページを見ますと、今年7月27日の新体制発足以降、ボストン・コンサルティング・グループの秋池玲子氏を財務省参与に迎え入れ、一連の問題行為を二度と行ないよう省を挙げて財務省再生のための取り組みを進めているようです。
その取り組みの一環として「360度評価」の導入も図ろうとしているといえるでしょう。
これは財務省自身が自分たちは相当ヤバイ状況であるということを認めながらやっているともいえます。そもそも財務省再生のための取り組みがなされるということは、何もしなければ再び起きる可能性があるからともいえます。
財務省自身がちゃんとやれていれば、こんな再生のための取り組みなんてのは不要です。もちろん財務省自身がやばい状況と認めたうえで、こうした取り組みをすることはいいことですし、やるべきだと思うのですが、問題が1点あります。
それは上司も部下も同じ罪を犯しているときは、この「360度評価」は全く機能しないということです。
例えば日本は国家としてデフレ状況から抜け出せずにいるにもかかわらず、財務省が中心となって緊縮財政を推進していることで、日本の国力を大きく阻害し、日本国民を不幸のどん底に落としていると、まともな主張をする経済学者、エコノミストらがいます。
こういう主張に対しては、上司も部下も緊縮財政を推進することが正しいと思っているため、「360度評価」をやっても、政策に関しては緊縮が正しいと思っている限り、評価もクソもあったものではありません。
「360度評価」の導入自体を否定するものではありませんが、法令順守を徹底するためには、「360度評価」の導入だけでどうにかなるものでもないと思うのです。
評価の方法を「360度評価」でやるのか、他の方法でやるのか、ということよりも、思考停止的に緊縮財政が正しい、グローバリズムが正しいという発想を止めさせなければどうにもならないでしょう。また政府の財政運営を家計簿発想で考えることも、間違っているという教育も必要です。
というわけで今日は「360度評価を導入しようとしている財務省の省内改革の本気度」と題して論説しました。
参考までに「360度評価」のイメージのため、下方に例として分析例を掲示いたします。
財務省には、省益のためという発想ではなく、親の国益とは何なのか?を考えることができるように、ぜひとも教育していただきたいと思うのです。
<多面観察対象者の分析結果の例>
- 2018.10.26 Friday
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- 00:22
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- by 杉っ子