乏しい成果のマイナス金利!

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    JUGEMテーマ:経済全般

     

     

     

     日銀が世界でも珍しいマイナス金利を導入してから1年が経ちました。その後の金利の急低下により、住宅ローンの借換でメリットが出ましたが、消費や投資を促す大きな成果は出ていません。

     

     税収=名目GDP×税率×税収弾性値

     GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出

     ※純輸出=輸出−輸入

     

     当たり前ですが、以前に高い金利で借りた借入金を、低金利の借入金にしたところで、それ自体はGDPの個人消費でもなければ政府支出でもなければ設備投資にも純輸出にも該当しません。税収増に結び付きません。

     低金利で借り換えた人が浮いたお金で消費?などと言う人がいるかもしれませんが、デフレの環境においては、その分貯金を増やす人の方が多いのではないでしょうか?もちろん全員が貯金を増やすとは言いません。とはいえ、こうした金融政策は、政府支出(=財政出動)と異なり、いつ?いくら?使われるかは測定不可能です。政府支出は予算化されれば、事業年度内つまり1年以内に必ず執行され、GDPにカウントされて税収増につながります。

     

     日銀が2016年1月にマイナス金利の導入を決定して以来、どうなったか?振り返ってみましょう。

     

    <資料1:「新発10年国債」1か月間の金利の推移>

     

    <資料2:「新発10年国債」1か月間の金利の推移>

     

     

     長期金利が1月に0.2%台となり、2月にマイナス圏になり、4月には一時▲0.3%台まで急落しました。

     それに連動して住宅金利も下がり、8月には過去最低水準にまで下がりました。その結果、住宅ローンの新規申込が急増。昨年1年間で56万件。新たに住宅投資をするのであればGDPにはプラスに働きます。しかしながら借換の場合はプラス側面がありません。今までの銀行から新しい銀行へ所得が移転し、前の銀行は所得を減らすデフレ促進になります。

     それ以外にもマイナス効果があります。長期金利の低下は、国債の利回りの低下です。安定資産として大量のお金を運用する年金など、利回り低下のデメリットを直撃しました。生命保険会社など長期で資金運用するのに、国債金利がマイナスになってしまうことで、運用難の環境がより厳しくなりました。生命保険各社は、この4月に予定利率を引き下げ、保険料をUPいたします。

     

     マイナス金利を導入してどうなったか?検証してみますと、どれだけ量的緩和をしても物価上昇しませんが、考えてみれば当たり前です。デフレで物・サービスを安くしないと売れない状況では、企業が設備投資を控えますし、雇用が不安な状態になれば個人も消費を増やす、具体的に言えば借入して自動車を買う、家を買うなんてことはしません。個人が消費を増やすためには、雇用が安定し、毎月決まってもらえる給料が増え続けるという環境になって、今後もそれが続くと確信が持てる場合のみです。つまり金融緩和策だけで物価上昇すると考えるのは間違っているのです。これはデフレ・インフレについて正しい理解をしていないからです。デフレ・インフレは物価の変動現象です。物価の変動は需要の増減で決まります。貨幣量(定義はマネーストック・マネタリーベースか不明)現象ではないのです。金利を下げれば銀行がお金を貸し出したくなるインセンティブにはなるでしょう!とはいえ、デフレが続く以上、私たちはお金を借りようとしないのです。企業もお金を借りようとせず、自己資金で投資をしようとするでしょう。資本主義の根幹である借り入れによる経済のパイの拡大、即ち信用創造の否定が続きます。資本主義が機能しない状態なのです。

     

     また国債の金利が下がるということは、銀行の収益が下がって政府に収益が移転します。政府が銀行に払うべき国債の金利が下がる分、政府が金利を銀行に払うのを免れるからです。銀行が受け取るべき金利(=銀行の収益)を政府に移転するので、マイナス金利は緊縮財政の一環とも言えます。

     

     というわけでマイナス金利は、デフレで借りてくれる人がいなくて、仕方なく国債を買って利息を得ている銀行の収益を奪って銀行のバランスシートを傷つけて政府に所得移転をさせる一種の緊縮財政であり、すぐに辞めるべきです。その代りに「国債増刷」で銀行の国債不足の不安を解消し、デフレ脱却を速やかに果たすべく「政府支出増」の決断を急いで欲しいと思うのです。

     

     


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