アベノミクスはいいのか?悪いのか?

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     今日はIMFのラガルド専務理事がアベノミクスを見直すよう要請したというニュースを取り上げ、「アベノミクスはいいのか?悪いのか?」と題して論説します。

     

     下記はAFP通信の記事です。

    『AFP通信 2018/10/04 20:22 IMF専務理事、アベノミクスの見直しを要請

    【AFP=時事】来日中の国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)専務理事は4日、根強い低インフレと成長の鈍化、急速な高齢化に直面している世界第3位の経済大国である日本に対し、経済政策の全面的な見直しを促した。

     ラガルド氏は、超金融緩和政策に財政刺激策と構造改革を併せた安倍晋三(Shinzo Abe)首相の「アベノミクス(Abenomics)」を「新たな目」で見直すよう要請。

     「政策の見直しが必要になってくるだろうと考えている。われわれの見解としては、基本方針は引き続き妥当であるものの、拡大し、持続させ、加速させる必要がある」と指摘した。

     また、日本の経済と人口の両方の規模が今後40年間で4分の1縮小するとの予測に触れ、日本が直面している経済問題は「人口の高齢化と縮小が続く以上、大きくなる一方だろう」と警告した。』

     

     上記の通り、IMFのラガルド氏が来日しており、安倍総理と会談の中でアベノミクスの見直しを要請したというニュースです。

     

     記事では、「超金融緩和政策」と「財政刺激策」と「構造改革」を合わせたアベノミクスを見直すよう要請とあります。

     

     アベノミクスは三本の矢といわれていますが、当初は下記の通りでした。

     第一の矢:金融政策(異次元の金融緩和)

     第二の矢:財政政策(財政支出増による国土強靭化)

     第三の矢:成長戦略

     

     それが2015/09/24に新三本の矢ということで、下記の通りとなりました。

     第一の矢:希望を生み出す強い経済

     第二の矢:夢をつむぐ子育て支援

     第三の矢:安心につながる社会保障

     

     当初のアベノミクスの矢は、成長戦略こそ不明でしたが、第一の矢と第二の矢は具体的だったといえます。デフレ脱却のオーソドックスな政策である「金融緩和」「財政支出増」の組み合わせであり、実際に2013年度は異次元金融緩和と国土強靭化による財政支出増の組み合わせで、名目GDPは1.9%プラスとなり、税収は法人税・所得税が伸びて6.9%プラスとなりました。

     

     ところが2014年4月の消費増税8%を実行に移したことに加え、国土強靭化はどこ吹く風と言わんばかりに緊縮財政をやりました。本予算と補正予算を合わせて、公共事業を削減する方向に転換したのです。さらにデフレ脱却ができない状況、即ちデフレギャップが存在する状態「需要<供給」であるところに、成長戦略とは名ばかりの規制緩和で供給↑を推進したため、「需要<供給」のデフレギャップがさらに拡大することとなったのです。

     

     コアコアCPIが大きくマイナスせず、プラスマイナスゼロで持ちこたえる理由は、医療介護費が伸びているからです。しかしながらこれも医療費抑制、介護費抑制で伸びを抑制しています。医療費・介護費の伸びを抑制していなければ、その分経済成長できていたということが明々白々です。

     

     アベノミクスはいいのか?悪いのか?

     

     国民が豊かになるということは、国民の所得が増える、給料が増えるということになります。しかも実質賃金が増えているということ、即ち物価の上昇以上に実質賃金が増えていくことが重要です。

     

     安倍政権は2013年度こそ、名目GDPを増やして税収も増やしたのですが、2014年から消費増税をして以降、実質賃金は下落しています。

     

     その失政を指摘されることを嫌がり、株価は上昇していると国会でも発言していました。自分が在任してから株価が2万円台になったと発言したのです。これは安倍首相自身のみならず、自民党の一部の政治家、安倍政権側につくジャーナリストらもそうした発言をすることがあります。

     

     実際はどうでしょうか?株価が上昇すると国民は豊かになるのでしょうか?

     

     現実には実質賃金が5%も下げているわけで、株価と所得は全然違うことに気づかない人々は、上述の発言に騙されてしまうのです。

     

     そもそも日本の株価は誰が決めるのでしょうか?

     

     

    (出典:蠹豕証券取引所のホームページの株式年間売買状況から引用)

     

     上記は株式年間売買状況をグラフにしてみたものです。外国人投資家の売買比率が60%〜70%を占めます。売買代金でみた場合でも、2013年の安倍政権誕生をきっかけに、600兆円〜800兆円と伸びています。2013年は個人投資家もアベノミクスに夢を求めたか?少しだけ売買代金が増えて200兆円まで伸びましたが、その後は伸び悩み、外国人投資家と大きく差がついている状況です。

     

     安倍政権や首相官邸はこうした数字を知っているのか知らないのか?外国人投資家が株を買えば株価が上がり、外国人投資家が株を売れば株価は下がるのです。

     

     なんで外国人の売買状況によって左右されるものを経済指標にしているの?と疑問に思いませんでしょうか?

     

     このようなものを経済指標にすること自体、本当にばかばかしい話であり、アベノミクスの成果は、実質賃金が下がっている以上、目立った成果はないと私は考えます。

     

     というより、過去5年間のアベノミクスの成果は失敗であったということを、政府も日銀も認識している可能性があります。特に内閣府や財務省職員ら官僚たちからみれば、安倍政権は過去5年間は失敗と認識しているのではないでしょうか?

     

     政治家は認識せずとも官僚たちは総務省が公表する実質賃金統計を知っているはずです。すなわち実質賃金が下がって貧困化しているということを認識しているでしょう。ところがそれを認めたくないため、失政を隠すために株価は堅調に推移などと言っているのではないでしょうか?

     

     それだけではありません。今年9月、マスコミの発表では7月の実質賃金が対前年比0.4%増と報じましたが、これは統計の対象のサンプルを半分入れ替えた補正をしていない数値です。実際は同一事業所でみた場合、下記の通り、給与総額で0.4%のマイナス(グラフでは小数点が四捨五入されて0.0%と表示されている。)、実質賃金で1.1%マイナスです。

     

    (出典:厚生労働省の毎月均等統計調査の平成30年7月分結果速報から引用)

     

     しかしながら本来ならば補正をかけるべきところ補正をかけていない事実を知らせず、マスコミが1.5%増と報じれば、多くの人々は新聞を見て安倍政権はよくやっていると思う人が多くなることでしょう。

     

     私は国会議員にも問題があると思うのですが、指摘しておきたいのは2点あります。

     

     まずデータをみる習慣がないのでは?ということです。例えばこの記事で使っているグラフは、東京証券取引所や厚生労働省のホームページに載っています。にもかかわらず、当選回数が多い少ないに関係なく、新聞の数字をそのまま信じてしまうという点は問題だと思うのです。

     

     もう1つは、与党の政治家は安倍政権の成果を否定するような論説は耳にしたくないということです。このポイントは、嘘は言っていないということ。株価が上昇しているのは事実です。とはいえ、株価と実質賃金に相関関係があるのかないのか?説明をしていません。実質賃金が上昇しているというのは、対象事業所数のサンプルを半分も入れ替えして、上昇したといっていますが、これは巧妙に国民を騙しているのと同じではないか?と思うのです。

     

     

     というわけで今日は「アベノミクスはいいのか?悪いのか?」と題して論説しました。

     私はアベノミクスは失敗だったと思っています。2014年以降の消費増税や緊縮財政が原因です。とはいえ「国債増刷」「政府支出増」へ政策を転換していただければ、普通に成果は出せるでしょう。

     デフレが脱却できるまで、具体的にはGDPデフレータでプラス2%以上かつコアコアCPIでプラス2%以上が継続的に推移する状態になるまで「国債増刷」「政府支出増」を継続すれば、安倍政権は文句ない成果を出すことができ、国民が豊かになることを実感できるものと私は思うのです。


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