中国のAIIBと一帯一路に手を貸す銀行・企業は、中国の侵略に手を貸すのと同じです!

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     今日は「中国のAIIBと一帯一路に手を貸す銀行・企業は、中国の侵略に手を貸すのと同じです!」と題して論説します。

     

     皆さんは、AIIBというものを聞いたことがあるでしょうか?

     

     AIIBとはアジアインフラ投資銀行のことで、「Asian Infrastructure Investment Bank」の略称で、中国が主導する国際開発銀行です。

     

     2015年12月25日に発足して、2016年1月16日に開業式典を行いました。発足当時、日本と米国は参加を見送りましたが、その後自民党の二階俊博氏が2017/05/15に「日本も大きく後れを取らないうちに参加するべきだ」という考えを示しました。

     

     日本は、AIIBへは絶対に参加するべきでないと思っています。日本は既にアジア開発銀行(Asian Development Bank=ADB)で発言権を持っています。下図の通り、ドナー拠出額で約1兆2000億円(≒11.197百万米ドル)でシェア36%は世界1位です。中国の拠出額は日本の100分の1にも満たず、シェアは1%も満たしません。

     

     

    <ADBドナー拠出額の国別拠出額とシェア(単位:百万ドル)>

    (出典:アジア開発銀行 2016年 年次報告)

     

     

     中国は自国主導で新たにAIIBを設立。当初、英国、ドイツ、イタリアなどが参加表明しましたが、中国の融資の可否の意思決定に、中国側が拒否権を行使しないと伝えました。しかしながら中国主導で融資が実行される構図であることは明白で、採算度外視の融資で巨額の焦げ付きが出る可能性も懸念されていました。

     

     中国側は、融資の可否の意思決定で拒否権を行使しないと表明することで、警戒感を示していた欧州側のガードを下げ、欧州各国が米国の制止を振り切る形で相次ぎ参加表明したのです。

     

     とはいえ、中国が拒否権を行使しなくても強い影響力を持つことは間違いありません。しかも中国は事実上のスポンサーでありながら先進国でもありません。アジア開発銀行のような透明性の高い融資基準で運営されているわけではなく、中国が推進している「一帯一路構想」を資金面から支える金融機関という側面が実態に近いのです。

     

     当時の日本のマスコミはAIIB発足の際、日本も欧州諸国と同様にAIIBに参加するべきであるという報道が多かったのですが、最近ではそうした論説は少ないです。とはいうものの一部のシンクタンク、例えば大和総研や日本総研といったシンクタンクが、ビジネスチャンス拡大のためにAIIB加盟すべきという論説を掲載しています。

     

     日本としてはアジア開発銀行で発言権を持つため、AIIBが国際援助の仕組みとして本当に機能するのか否か?中国の意図はどこにあるのか?を見極めながら、様子見に徹底し、距離を置くという方針でよいかと考えます。

     

     むしろ警戒すべき論調としては、「日本は人口減少するから経済成長できず、アジアの人口拡大による経済成長の恩恵を受けるためにも、アジアへの進出の足掛かりをより強く持つべきだ!」などというような論調です。

     

     私は人口減少についてのテーマで記事も書いていますが、人口の増減と経済成長は相関関係ないという立場です。たとえ人口が多くなったとしても一人当たりの購買力が小さければ、全体の需要もまた小さくなります。人口が減少していても、政府支出によって需要を創出したり、一人当たり生産性の向上によって一人当たりの賃金UPがされていれば、経済成長することは可能です。経済成長という言葉の定義をGDPと定義すれば、上述は理解できるでしょう。

     

     話を戻しますが、AIIBについては事態がややこしことになっていまして、その理由はムーディーズ、フィッチ、スタンダードプアーズら、格付3社がAIIBに「トリプルA」の格付けを付与したことです。

     

     下記は1年以上前の古い記事で恐縮ですが、2017/06/29に産経新聞が報じた記事です。

     

    『産経新聞 2017/06/29 19:52 中国主導のAIIB、最上位の格付け獲得 日米ADBと同格

    【北京=藤本欣也】中国が主導する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)は29日、米格付け大手、ムーディーズ・インベスターズ・サービスから最上位の格付け「Aaa(トリプルA)」を取得したと発表した。

     大手格付け会社によるAIIBの格付けは初めてで、Aaaは世界銀行やアジア開発銀行(ADB)と同格。日米などAIIB未加盟国の間で参加を求める声が高まる可能性もある。

     ただムーディーズは、経済成長鈍化と債務負担増の見通しから5月下旬、中国の長期国債格付けを上から5番目に引き下げている。その中国が最大出資国のAIIBに対し、最上位の格付けを付与する妥当性をめぐって論議を呼びそうだ。

     ムーディーズはAIIBについて「ガバナンス(統治)の枠組みがしっかりしている」などと評価した。

     AIIBには、中国が掲げる現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を資金面で支える役割がある。今回、AIIBが最上位の格付けを取得したことで、その信用力をバックに国際金融市場において安い金利で債券を発行、資金調達規模を拡大できる。途上国への低利融資も可能となる。』

     

     上記記事の通り2017/06/29にムーディーズに続き、その後7/13にはフィッチ、7/18にはスタンダードプアーズがそれぞれ「トリプルA」の格付けを付与しています。こうした格付け会社の「トリプルA」格付けの付与によって、AIIBが将来ドル建て、円建ての債券を発行する可能性が出てきたのです。

     

     AIIBの融資基準は非常にあいまいであり、発展途上国に対して過大な貸し込みをして返済不能となるや否や、インド南部のスリランカで港を中国が租借することになるという事件まで発生しています。この事件は、スリランカの南部のハンバントタ港が中国から年利7%弱の融資を受けて建設されました。ところが船舶の利用がすくないため、ゴースト・ポートと化してしまいました。財政難にあえぐスリランカ政府は2016年、11億ドルで港湾管理企業の80%を「99年間」中国企業に貸し出すことになってしまったのです。

     

     この99年間の意味は、英国がアヘン戦争後の1898年に香港を清朝政府に割譲させて「99年間の租借」を決めた数値と一致します。香港は99年後の1997年に中国に返還されましたが、それまで99年もの間、英国の統治下におかれました。

     

     このように発展途上国に貸し付けて、返さなければ国土の支配権を得るという手法に、マイナス金利で貸付先に悩む邦銀がAIIBの円建て債券を購入することで手を貸してしまうというシナリオの危険性が出てきたのです。

     

     その理由はもう一つあります。AIIBが格付け会社から「トリプルA」の格付けを付与されたことで、円建て債やドル建て債の発行に踏み切る可能性がある旨を説明しました。

     

     アジア開発銀行とAIIBのそれぞれのバランスシートを見比べてみましょう。

    (出典:アジア開発銀行 2016年年次報告から杉っ子が作成)

     

     

     

     

    (出典:アジアインフラ投資銀行レポート 2017年9月30日から杉っ子が作成)

     

     

     アジア開発銀行は融資残高がソブリンとノンソブリンの合計で約10兆円程度ある一方、AIIBは約700億円程度です。総資産でみてもアジア開発銀行が約16兆円で、AIIBは約2兆円です。アジア開発銀行は16兆円のうち10兆円が貸出していますが、AIIBは2兆円のうち700億円しか貸出がありません。

     

     しかしながら、格付け会社の高格付け付与をきっかけとして円建て債を発行した場合、マイナス金利で貸出先がないことで苦しむ邦銀がAIIBの円建て国債を買う可能性があるのでは?との疑義があり、政府は規制を検討することすらしていないのです。

     

     銀行には世界ルールで自己資本比率規制というのがあり、BIS規制ともいわれています。

     

     BIS規制=自己資本/リスクの大きさ

     

     具体的には国際的に活動する銀行は8%以上とし、海外拠点を持たない銀行は4%以上としています。この規制を自己資本比率規制といい、「バーゼル規制」などともいいます。

     

     このリスクの大きさについては、2018年2月に金融庁と日本銀行が連名で発信している”「信用リスク(標準的手法)」の概要”という資料に記載されています。

     

     例えば銀行向け債権かつ長期債券のリスクウェイトは、AAA〜AA−=20%、A+〜A−=30%、BBB+〜BBB−=50%、BB+〜B−=100% というように格付けが下がるにつれてリスクウェイトは大きくなります。

     

     同様に事業法人向け債権は、AAA〜AA−=20%、A+〜A−=50%、無格付=100% などとなっています。

     

     リスクウェイトが大きい場合、リスクが大きいということになりますので、銀行がリスクウェイトの大きい債券ばかりを保有すると分母が大きくなって、8%以上、4%以上の規制を守るためには、それぞれその分の自己資本が必要となるのです。

     

     もし、AIIBの円建て債券が格付けAAAとなった場合、無格付の中小企業のリスクウェイトが100%であるのに対し、AIIBの円建て債券のリスクウェイトは20%となり、日本の銀行が中小企業の融資ではなく、相対的にAIIBの債権を購入しようとするインセンティブが働く可能性があります。

     

     マイナス金利に苦しむ邦銀が日本の企業に融資せずAIIBに融資する。そのお金で中国共産党政府がAIIBを使って発展途上国に無理に貸し込み、返済できなければ領土を奪っていくというやり方で発展途上国への侵略に手を貸す。

     金融庁は、邦銀がAIIBの債権を購入しないように、規制するべきではないでしょうか?

     

     資本移動の自由で、銀行のビジネスモデルも自由だから放置が正しいという発想は、おかしいのではないでしょうか?と私は思うのです。

     

     日本国内の貸出需要が伸びないのはデフレを放置しているからです。デフレを放置しておき、銀行のバランスシートを痛めつけ、それを自己責任という名の下、AIIBへの資金提供について、米国の格付け会社がAAAを格付けしたからといって、そのリスクウェイトを適用して、銀行のBIS規制のリスクウェイトを低く評価するというのは、誠に遺憾としかいいようがありません。

     

     

     というわけで今日は「中国のAIIBと一帯一路に手を貸す銀行・企業は、中国の侵略に手を貸すのと同じです!」と題して論説しました。

     一帯一路にしろ、中国製造2025にしろ、ビジネスチャンス拡大とばかりに報道する日本のマスコミには腹立たしい限りです。中国のグローバリズムに手を貸すだけでなく、日本の企業機密の流出など、国益を損ねることが多いからです。

     AIIBは不透明な世界銀行組織です。その一方、アジア開発銀行は厳格な融資基準であり、日本企業といえども常に受注できるわけではないくらい透明性が高いです。

     AIIBは何しろ中国共産党政府が融資先をコントロールできます。鉄鋼を中心に余剰供給力に苦しむ中国が輸出で需要を創出しつつ、土地を強奪していく上述のシナリオに手を貸さないようにして欲しいと思います。具体的には、AIIBや一帯一路に日本企業・邦銀は参加させないということを徹底する必要があるものと私は思います。

     

     

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