仮想通貨の金融商品取引法上の問題点

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     今日は仮想通貨について論説します。

     

     今週、コインチェックと同様に、仮想通貨交換所大手の「Zaif(ザイフ)」で、約67億円分のビットコインなどの仮想通貨が不正流出したというニュースがありました。このニュースを取り上げ、改めて仮想通貨について金融商品取引上の問題点を指摘したいと思います。

     

     下記は読売新聞の記事です。

    『読売新聞 2018/09/20 13:02 仮想通貨67億円相当が流出…「ザイフ」から

     仮想通貨交換業者「テックビューロ」(大阪市)は20日、同社が運営する交換所「ザイフ」から、「ビットコイン」など計3種類の仮想通貨(約67億円相当)が不正アクセスによって外部に流出したと発表した。金融庁は18日、同社に対し、改正資金決済法に基づく報告徴求命令を出した。20日午後にも詳細な報告を受けた後、立ち入り検査に入る。大阪府警は不正アクセス禁止法違反などの容疑で捜査に乗り出した。

     流出したのは、「ビットコイン」のほか、「ビットコインキャッシュ」、「モナコイン」の計3種類。被害額のうち約45億円は顧客からの預かり資産で、残り約22億円が同社の資産だった。テックビューロは、顧客への補償に応じる方針という。被害にあった顧客の数は明らかにしていない。(後略)』

     

     

     上記の記事は、仮想通貨交換業者「テックビューロ」が運営する「Zaif」が不正アクセスを受け、ビットコインなどの3種類の通貨が外部流出したという事件です。「テックビューロ」は2回業務改善命令を受け、3/8、6/22と2回行政処分を受けていました。にもかかわらず、こうした大量流出事件が発生したということで、仮想通貨自体の問題もさることながら、取引所業者についてのシステム管理、ガバナンス管理が問われることになりました。

     

     仮想通貨はいろんな問題点がありますが、そのうちの一つとして、仮想通貨が有価証券ではないため、金融商品取引法、金融商品販売法の規制を受けないことがあげられます。そのため、相場操縦が自由にできてしまうなどの問題があり、リスクが大きいのです。

     

     その一例をケーススタディでご説明しようと思いますが、その前に、仮想通貨の特徴について簡単に触れておきます。仮想通貨では「マイニング」という言葉を聞いたことがある方がおられるかと思います。

     

    <マイニングのイメージ>

     

    (出典:GMOインターネット社)

     

     マイニングとは何か?

     

     仮想通貨の特徴として取引データを台帳に記録して更新していく追記作業のことを、マイニングといいます。ネットワークに分散して保存されている台帳データと、一定期間内に発生したすべての取引データとの整合性を取りながら情報更新していく追記作業のマイニングには、膨大な量の計算を短時間で行う必要があります。こうした追記作業を行う人をマイナー(=採掘者)といい、ビットコインの場合は、追記作業に成功したマイナーに新たなビットコインが報酬として支払われ、新たなビットコインが発行されます。

     

     相場操縦に話を戻しますが、仮想通貨はビットコイン以外にも新たな仮想通貨が世界中で生み出されています。相場操縦が自由にできる例として、例えば、仮想通貨をマイニングするマイナーと呼ばれる業者が、100枚の新しい仮想通貨を発行したとして、そのうち90枚は仲間内でホールドし、10枚だけをマーケットに出します。この出された10枚の値段を、発行主体と仲間たちが結託して吊り上げることが可能なのです。

     

     具体的には、最初に1円で発行した仮想通貨に100円の初値が付いたとして、それを100円で購入した人が200円で売りに出します。そのあと200円で購入した人が300円で売りに出すという方法で、値段をどんどん釣り上げていきます。これがもし株式投資の世界であれば、金融商品取引法で禁じられている相場操縦にあたる行為なのですが、仮想通貨は金融商品取引法の適用を受けないため、こうしたことが自由にできてしまうのです。

     

     上述の例では、仲間内が値段を吊り上げていく中で、広告宣伝を入れて新規市場参入者を増やしながら、自分たちがプールしていた90枚を徐々に売り出していくというということができます。

     

     同じような事例として、絵画のオークションがあります。ある画家の作品が1号10万円だったとして、その絵の値段を吊り上げたい画商がいると仮定します。その画商は絵画の絵を100枚持っていて、100枚のうち1枚をオークションに出して、値段を1号100万円くらいまで吊り上げます。その絵の評価額が1号100万円と当初の10倍に跳ね上がったところで、残りの99枚を売りに出していくのです。このような絵画の値段を吊り上げる行為については、有価証券でなく普通の商品なので犯罪にはなりません。

     

     こうして仮想通貨それ自体にもいろんな問題点があるのですが、今回「Zaif」のように大量の仮想通貨を流出させた業者についても、ガバナンス不在の弊害という問題があります。「Zaif」を運営する業者のテックビューロ株式会社は、仮想通貨交換業者16社の1社です。

     

     ガバナンス不在の弊害という例としては、金融庁が仮想通貨交換業者の検査・モニタリングした際に、5つをあげています。

    〕益を優先した経営姿勢

    ⊆萃役及び監査役に牽制機能が発揮されていない

    6睛散箸箸靴討離螢好管理に知識を有する人材が不足

    ね用者保護の常識や法律を遵法精神が低い

    シ弍直霾鵑篋睫馨霾鵑粒示に消極的

     

     上記 銑イ蓮⇒用者からみれば決しておろそかにして欲しくない項目ばかりですが、テックビューロ株式会社が2018/06/22に受けた行政処分の内容は、下記の通り6つです。

    顱 経営管理態勢の構築(内部管理部門及び内部監査部門の機能が十分に発揮できる態勢等の構築を含む)
    髻 法令遵守態勢の構築
    鵝 マネー・ローンダリング及びテロ資金供与に係るリスク管理態勢の構築
    堯 利用者財産の分別管理態勢の構築
    . 利用者保護措置に係る管理態勢の構築
    . 仮想通貨の新規取扱等に係るリスク管理態勢の構築

     

     先述の通り2018/03/03にも行政処分を受けたにもかかわらず、6/22にも行政処分を受けているのです。上述の顱像の内容についてもまた金融庁の検査で指摘している項目とほぼ一致します。

     

     特に利用者財産の分別管理体制でいえば、2017年4月1日に施行された改正資金決済法によって「利用者財産の分別管理」が義務付けられました。

     

     2018/01/22にNEMの大量流出で問題になったコインチェック社(現在はマネックス証券の傘下)は、顧客資産の保管状況が明らかにならず、仮想通貨交換業者としての適格性を著しく欠いていた点が問題でした。コインチェック社の場合は、財務内容も明らかになってなかったのですが、理由は中小企業の扱いであるためです。中小企業は税制面で優遇措置があるほか、経理の人員が少なく高度な会計処理に対応できる十分な能力や経営体制を持っていないなどの理由で、計算書類などの作成負担を最小限に留めて過重な負担を課さないという措置が取られています。

     

     とはいえ中小企業というだけで、監査も十分にできていない会社に仮想通貨交換業者の認定を与えてもよいのか?という疑問を持ちます。コインチェックでは月間4兆円も取引があったのに、それだけの資金を顧客から預かるに足る能力を体制があったのか?という指摘は免れないと思うのです。

     

     下表はテックビューロ社、コインチェックの2社の概要です。

     

     コインチェックも問題でしたが、テックビューロ社も従業員がコインチェックよりも少ない約60人程度です。70億円もの資金を預かる体制が、テックビューロ社にあったのか?疑問を持たざるを得ません。

     

     これが証券会社であれば、顧客から預かる株式、債券、金銭は証券会社自身の資産とは区別して管理することが、金融商品取引法で義務付けられています。投資信託の場合も、証券会社は販売窓口の販売会社という位置付けで、運用資産は信託銀行で信託銀行自身の資産とは区別して管理されます。

     

     もともと、仮想通貨交換業者が、顧客の仮想通貨を管理している状況では、内部不正や業者が破綻した場合に、預けた仮想通貨が戻らないというリスクもあります。たとえ改正資金決済法の規制通りに、仮想通貨交換業者と顧客の資産を分別管理していたとしても、単に分別管理しているだけでは業者が倒産したときに一般債権と扱われて一定額しか戻らないリスクもあります。

     

     顧客サービスの品質向上のためには、仮想通貨交換業者はコストをかけても信託の仕組みを銀行と締結することが必要でしょう。

     

     分別管理だけでなく、管理方法についても不正アクセスによる流出の防止に十分なコストをかける必要があります。ところが実際は利益追求でコストを抑制し、結果的に事件を引き起こすという業者が多いという印象を私は持ちます。

     

     

     というわけで今日はZaifの不正アクセスによる仮想通貨流出事件を取り上げ、仮想通貨について金融商品取引法上の問題点をご説明しました。

     

     

    〜関連記事〜

    ビットコインを含む仮想通貨の問題点について

    仮想通貨への投資のリスクとは?

    仮想通貨の暴落で理解できる「バブルの崩壊→デフレ化」へのプロセスとGDP


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