現金給与総額の前年比増加率に隠されたイカサマ

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    JUGEMテーマ:デフレ・インフレ

     

     今日は「現金給与総額の前年比増加率に隠されたイカサマ」と題して論説します。

     

     下記は西日本新聞の記事です。

    『西日本新聞 2018/09/12 10:14 統計所得、過大に上昇 政府の手法変更が影響 補正調整されず・・・専門家からは批判も

     政府の所得関係統計の作成手法が今年に入って見直され、統計上の所得が高めに出ていることが西日本新聞の取材で分かった。調査対象となる事業所群を新たな手法で入れ替えるなどした結果、従業員に支払われる現金給与総額の前年比増加率が大きすぎる状態が続いている。補正調整もされていない。景気の重要な判断材料となる統計の誤差は、デフレ脱却を目指す安倍政権の景気判断の甘さにつながる恐れがある。専門家からは批判が出ており、統計の妥当性が問われそうだ。

     高めになっているのは、最も代表的な賃金関連統計として知られる「毎月勤労統計調査」。厚生労働省が全国約3万3千の事業所から賃金や労働時間などのデータを得てまとめている。1月に新たな作成手法を採用し、調査対象の半数弱を入れ替えるなどした。

     その結果、今年に入っての「現金給与総額」の前年比増加率は、1月1.2%、2月1.0%、3月2.0%、4月0.6%、5月2.1%、6月3.3%を記録。いずれも2017年平均の0.4%を大きく上回り、3月は04年11月以来の2%大、6月は1997年1月以来21年5か月ぶりの高い伸び率となった。安倍政権の狙い通りに賃金上昇率が高まった形だ。

     しかし、調査対象の入れ替えとならなかった半数強の事業者だけで集計した「参考値」の前年比増加率は、1月0.3%、2月0.9%、3月1.2%、4月0.4%、5月0.3%、6月1.3%と公式統計を大きく下回る月が目立つ。手法見直しで、計算の方法を変更したことも誤差が生じる要因とみられる。

     誤差に対しては、経済分析で統計を扱うエコノミストからも疑義が相次いでいる。大和総研の小林俊介氏は「統計ほど賃金は増えていないと考えられ、統計の信頼性を疑わざるを得ない。報道や世論もミスリードしかねない」と指摘。手法見直し前は誤差が補正調整されていたことに触れ「大きな誤差がある以上、今回も補正調整すべきだ」と訴える。

     厚労省によると、作成手法の見直しは調査の精度向上などを目的に実施した。調査対象の入れ替えは無作為に抽出している。見直しの影響で増加率が0.8ポイント程度上振れしたと分析するが、参考値を公表していることなどを理由に「補正や手法見直しは考えていない」(担当者)としている。』

     

     

     この報道で指摘されている毎月勤労統計調査について、私も調べてみました。

     

     具体的には、厚生労働省の毎月勤労統計調査(平成30年7月分結果速報)をみますとと、P2には新たな手法で調査したもの、P13には参考値として従来の事業所を対象にしたものということで、数値が記載されていました。

     

     それぞれの数値を並べますと、下記のグラフの通りとなります。

    (出典:厚生労働省の毎月均等統計調査の平成30年7月分結果速報から引用)

     

     

     上記グラフの通り、事業入替後の統計は、入替前の同一事業所の統計と比べて、毎月上回っています。入れ替えること自体に何か問題があるわけではないと考えますが、問題なのは補正調整をしないということです。

     

     補正調査をしないと上記グラフの青のグラフが正式な統計となります。対象の事業所を入れ替えたとすれば、

     

     実際、この数値を使い、新聞各社は下記の見出しで報道しています。

     

    ●『ロイター通信 2018/08/07 実質賃金、21年5か月ぶりの伸びに=6月の毎月勤労統計』

    ●『日本経済新聞 2018/08/22 6月の名目賃金確報値3.3%増、速報値から縮小 毎月勤労統計』

    ●『時事通信 2018/09/07 7月の実質賃金0.4%増=賃上げ広がる』

    ●『毎日新聞 2018/09/07 7月給与総額、前年比1.5%増 12か月連続プラス』

     

     各紙、毎月勤労統計では実質賃金の上昇を報じています。では、先ほどの入替前の同一事業所の統計で、現金給与総額指数から消費者物価指数を控除すると実質賃金指数が算出されます。それをグラフに加えてみたのが、下記のグラフです。

    (出典:厚生労働省の毎月均等統計調査の平成30年7月分結果速報から引用)

     

     上記の通り、実質賃金は2018年6月以外はマイナスで推移しています。調査対象から「給料が低い事業所」を外して「給料が高い事業所」を入れれば、普通に前年比でプラスします。西日本新聞の記事は、このことを問題視しているのです。

     

     少なくても、入替後の1年間は、旧事業所で同一事業所の数字の比較を出すべきですが、そうせず入替して3.3%増えたしているのです。入替自体に問題があるということを言いたいわけではありませんが、2018年7月速報でいえば、事業所入替後の給与総額がプラス1.5%に対して、同一事業所の実質賃金はマイナス1.1%です。

     

     プラスとマイナスでは印象が大きく変わります。1000兆円の借金問題における「一人当たり800万の借金」と「一人当たり800万の貸付金」というのでは、印象が全く異なるのと同様です。

     

     印象が全く異なるとすれば、これはもうイカサマとしか言いようがありません。しかしながら、こうした数字のイカサマを知らないとどうなるか?「賃金は名目も実質もプラスになっているので、消費増税しても影響はない!」となって、消費増税は強硬されてしまうことになるのです。

     

     

     というわけで今日は「現金給与総額の前年比増加率に隠されたイカサマ」と題して論説しました。

     本来安倍政権は、厚生労働省に対しては、補正調整の指示をすべきですが、それをしないと厚労省の担当者は述べています。数字をでっち上げて平気で発表し、それをマスコミがイカサマと気付かずに報道し、多くの国民がまたそれを鵜呑みにする。

     韓国や中国並みに数字が信用できなくなってしまうくらいに落ちぶれてしまった日本と思うのは私だけでしょうか?

     中国のGDPの数字がウソ・デタラメなのは有名ですが、それ以外に中国では鉄道貨物輸送量、工業電力消費量なども怪しい数字が多いといわれています。日本も統計数値をイカサマするようになったとすれば、もはや中国や韓国のことを笑ってバカにしてはいられないものと思うのと同時に、そこまで落ちぶれてしまったということに落胆せざるを得ないのです。


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