脆弱な北海道のエネルギー供給体制について

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     今日は「脆弱な北海道のエネルギー供給体制について」と題して論説します。

     

     北海道内最大の火力発電所の苫東厚真火力発電所の完全復旧は11月以降になるとの見通しを発表しました。この発表の前までは、1週間程度で復旧するともいわれていたのですが、ボイラーが熱くて中が点検できないなど、思いのほか損傷が多かったというのがその理由です。

     

     北海道電力は泊原発の稼働を停止しています。かといって誤解のなきように申し上げますと、再生可能エネルギーで原発の代替をしていたわけではないのです。再生可能エネルギーで原発の代替が可能と思っている方は、電力について何もわかっていない人たちといえます。

     

     火力発電と原子力発電は安定電源ですが、再生可能エネルギーは不安定エネルギーです。水力発電所でさえ、大雨の状態では水を流すことができません。皆さんは大雨であっても夏場はエアコンで電気をつけっぱなしにされる方がほとんどかと思います。水力発電所でさえも、大雨では稼働できず、ダムに水が溜まらず枯渇しても稼働できません。風力発電にしても、風が吹かなければ発電できず、風が強すぎる場合は設備が破損するために稼働を停止します。風が強いときでも風が全く吹かなかったとしても、暑い夏場はエアコンを付けるでしょうし、寒い北海道は冬は暖房を使うことでしょう。

     

     したがって電力サービスは安定電源の割合が多ければ多いほど、付加価値が増します。何しろ停電になる確率は、安定電源の割合が増えれば増えるほど低くなるからです。

     

     

     という電力サービスの基本を理解していただいたうえで、時事通信の記事をご紹介します。

    『時事通信 2018/09/13 22:43 北海道電、揚水発電が再稼働=20万キロワット追加、供給なお綱渡り

     北力は13日、北海道地震後の電力不足を補うため、京極揚水発電所1号機(京極町、出力20万キロワット)を再稼働させた。地震で損傷した道内最大の火力発電、苫東厚真発電所(厚真町、出力165万キロワット)の全面復旧は11月以降になる見通しで、電力供給はなお綱渡りの状態が続く。
     1号機は水車の不具合で今月2日から運転を停止していた。定期点検で運転を停止している2号機(20万キロワット)も14日に運転を再開する予定。
     経済産業省は、京極揚水発電所1、2号機が再稼働し40万キロワットの追加電源を確保できた場合、平日の昼間を対象とした2割の節電要請を14日午後にも見直すことを検討する。
     13日夜の会見で同省担当者は、計電の実施について「相当リスクが低下した状況にあると理解している」との認識を示した。
     ただ、道内の電力需要は10月以降、暖房の利用に伴い増加する見通し。再稼働させた老朽火力が故障する恐れもあり、道内の家庭や企業には引き続き節電が求められる。
     経産省によると、13日の節電率(午前8時半〜午後8時半)は11.8〜19.6%。2割の節電目標に届いていないが、最低ラインと位置付ける1割を超えている。北海道電は同日、14日までと同様に15日も計電を見送ると発表した。』

     

     合わせて北海道電力の電力設備・発電所についてもみてみましょう。

    発電設備 電力量(Kw) シェア
    水力発電所 1,648,355 21.1%
    火力発電所 4,065,210 52.1%
    原子力発電所 2,070,000 26.5%
    地熱発電所 25,000 0.3%
    太陽光発電所 1,000 0.0%
    合 計 7,809,565 100.0%

     

     

     

    発電所名 電力量(Kw) シェア
    苫東厚真火力発電所 1,650,000 21.1%
    泊原子力発電所 2,070,000 26.5%
    京極水力発電所 400,000 5.1%
    その他 3,689,565 47.2%
    合 計 7,809,565 100.0%

     

    (出典:北海道電力のホームページから引用)

     

     

     発電設備別にみていきますと、火力発電所のシェアが52.1%と大きく、次いで原子力発電所が26.5%となっています。ただし、原子力発電所は泊原子力発電所1か所のみで、しかも3.11の東日本大震災以降、泊原子力発電所は停止しています。稼働別のシェアで見た場合の火力発電所の割合は、さらに大きくなります。

     

     発電所別にみていきますと、電力量で1,000,000Kw以上の発電所は、苫東厚真火力発電所(1,650,000Kw)と泊原子力発電所(2,070,000Kw)の2か所です。この2か所以外は、すべて1,000,000Kw未満の発電所です。

     

     苫東厚真火力発電所は、1号機350,000Kw(昭和55年10月運転開始)、2号機600,000Kw(昭和60年10月運転開始)、4号機700,000Kw(平成14年6月運転開始)の3機です。

     

     泊原子力発電所は、1号機579,000Kw(平成元年6月運転開始)、2号機579,000Kw(平成3年4月運転開始)、3号機912,000Kw(平成21年12月運転開始)の3機で、原子炉型は全てPWRの加圧水型軽水炉です。PWRはBWR(沸騰水型軽水炉)よりも安全な原発といわれています。

     

     こうしてみますと、泊原子力発電所の発電能力は圧倒的で、泊原子力発電所を稼働すれば、節電などしなくても普通にカバーできると考えられるのです。

     

     また苫東火力発電所の1号機、2号機は、1980年代から稼働を開始していますが、老体に鞭を打って火力発電所を使い続けることで、故障した場合の代替はどうすべきか?という議論もあります。いうまでもなく再生可能エネルギーは代替になり得ません。

     

     世耕経済産業大臣は、北海道内の電力需給について、9/9〜9/15の週が特にヤマ場として、平常時よりも2割の節電要請への協力を求めてきました。9/13からは揚水発電が少しずつ稼働を始めました。その結果、9/14には2割の節電という数値目標はなくなったとはいえ、エネルギー供給体制の脆弱さを世耕大臣は指摘していました。

     

     もともと北海道電力は泊原発が動くことが前提で、全体の電力ネットワークが作られてきました。にもかかわらず、泊原発は止まっています。北海道電力としては、そのうち泊原発が動くだろうと考え、暫定的にどう対応するか?ということで、苫東厚真火力発電所の供給割合を集中的に上げ、全体の中で大きな割合を占めました。

     

     もし泊原発が普通に稼働していれば、苫東火力発電所の供給割合はかなり抑えられ、ブラックアウトは回避できた可能性があります。

     

     電気は使う需要側、生産する供給側、常に需給を一致させなければいけないサービスです。需給を柔軟に調整する発電設備は、火力発電と原子力発電以外にありません。今回のブラックアウトは、9月上旬で暖かかったからまだよかったのですが、これが真冬だったらと思うと、ぞっとします。おそらく1000人規模で人が死んだ可能性があると思うのです。

     

     

     というわけで今日は「脆弱な北海道のエネルギー供給体制について」と題して論説しました。

     地震は時期を選び、9月に発生したわけではありません。12月〜2月にかけての真冬に発生する可能性も十分に想定できます。今回はたまたま9月上旬で、サンマが食べられない、牛乳が飲めない、ジャガイモがダメになるというそれだけでも北海道経済への影響は大きいですが、真冬だったら暖房が使えず多くの北海道民が大変な状況になっていたことでしょう。

     再生可能エネルギーで原発の代替をしているわけではありません。原発の代替として再生可能エネルギーを増やそうというのは、大変愚かなことであると同時に、泊原発を早く動かすことが北海道民の利益になり、日本国民の利益になるということを、多くの国民に気付いていただきたいです。

     

     

    〜関連記事〜

    原子力発電所の炉型の違い(BWRとPWR)と東芝問題

    電力サービスとは、需要に対して過不足なく供給するサービスである!
    「再生可能エネルギー固定価格買取制度」の終了!
    ドイツのFIT廃止と日本のFITの現状と発電税
    北海道電力(株)について(電気事業法第36条に基づく渇水準備引当金)


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