無駄を省くために民営化という欺瞞が引き起こした北海道電力ブラックアウトと関西空港閉鎖

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     今日は「無駄を省くために民営化という欺瞞が引き起こした北海道電力ブラックアウトと関西空港閉鎖」と題し、論説します。

     

     毎日新聞の記事をご紹介します。

    『毎日新聞 東京朝刊 北海道地震 節電2割目標撤廃 需要削減要請は継続 経産相

     世耕弘成経済産業相は14日、北海道地震後に家庭や企業に要請していた「平常時から2割節電」との数値目標を同日夜で撤廃すると明らかにした。京極水力発電所(北海道京極町)の稼働などで電力供給が上積みされたため。数値目標は撤廃するが、連休明けの18日以降も厳しい需給は続くとして、1割の需要削減努力を求める。

     世耕氏は記者団に「一律2割の節電目標の設定はしない」と明言。計画停電も「当面実施する必要はない」との見通しを示した。

     6日未明の大規模停電を受け、政府と北海道電力は8日から2割節電を要請。老朽火力発電所を急きょ稼働させたほか、本州からも電力融通を受けた。13日に京極水力発電所1号機(20万キロワット)を、14日に2号機(同)をそれぞれ動かして地震前のピーク需要(5日夜の383万キロワット)を上回る386万キロワットの供給力を確保した。京極水力発電所は、電力需要の少ない深夜などにくみ上げた水を、需要のピーク時に落として発電する「揚水式」で、効率的に電力を活用できる。

     経産省は「生活に大きな制限がかからないような節電でも、需給のバランスが保てるレベルになった」と判断。北電や道と協議の上、負担感の強い数値目標は撤廃することにした。

     10月以降は火力で道内最大出力(3基計165万キロワット)を持つ苫東厚真火力発電所や、定期検査などで停止中の他の火力発電所の復旧が順次見込まれる。このため寒さの本格化で電力需要が増えても需給は安定するとの見通しを示した。

     一方、北電の真弓明彦社長は14日、札幌市内で記者会見し、「今後は一律の2割節電目標は設定しない。需要減1割に向け節電の協力を継続してほしい」と呼びかけた。【岡大介、日下部元美】』

     

     

     北海道で発生した最大震度7の地震で、本州から北海道内に電力を送電することができず、送電の全面復旧に時間がかかり、多くの課題を浮き彫りにしました。

     

     北海道と本州では、電力が足りなくなった時に電力を融通しあう送電線がありましたが北海道と東北だけがつながっている状態で送電量も少ないことから、災害時の電力供給が不安視されていました。東日本大震災のときは、東日本と西日本で電力の周波数が異なるため、他の電力会社から十分な電力を得られなかったということもありました。

     

     北海道地震に限ったことではないのですが、電力の融通網が弱いのが、日本のエネルギー事情です。欧州と比べて考えられないほど弱いのですが、その理由は日本の場合は民間主導でやっているからです。日本のエネルギーはベースである電気・ガスはすべて民間企業で株式会社が独立して運営しています。

     

     そのため、JRでいえば、東北と東海道が切れてしまっています。本当は全部つながっていた方が利用者は楽なはず。しかもJR東日本は首都圏に多く人が集まることで山手線を中心にドル箱路線を持ち、JR東海は東海道新幹線というドル箱路線を持つ一方、JR北海道やJR四国では新幹線整備が遅れて、ドル箱路線を持ちません。そうしたインフラ格差があるにもかかわらず、地域で別々に民営化して株式会社組織で運営いるのが日本の鉄道網です。

     

     電力会社も北海道電力、東北電力、東京電力など、別々に運営しているため、その間の接続は空白になって融通網が弱いのが日本の電力サービスです。

     

     原発停止と再生可能エネルギー推進によって、日本全体の電力システムが極めて脆弱化しているのは明らかです。それだけにとどまらず、自由化・民営化すれば、そもそも電力サービスは脆弱化します。なぜならば、地震のことを考えるにしても、株式会社は短期的な利益を考えます。地震対策、リスク管理は長期的というより下手すれば超長期的に考えなければならず、経営でそんな先のことまで考えて投資するというのは、極めて難しいです。

     

     こうした問題を抱えているにもかかわらず、今でさえ日本は過剰に民営化を推進してきました。安倍政権は、さらに自由化させて、発送電分離をやると言っています。北海道電力のブラックアウトを経験しているにもかかわらず、なぜデメリットしかない発送電分離をやろうとしているのか私には全く理解ができません。

     

     もともと公務員がやると無駄が多く、無駄を省くためには民営化が必要という話があります。しかしながら、災害のことを考えると、その無駄が必要なのではないでしょうか?

     

     無駄がないから北海道はブラックアウトしたともいえます。関西空港でいえば、もう1つくらい橋を架けるか、地下トンネル開通しておけば、空港閉鎖にはならなかったはずです。にもかかわらず、お金がないからという理由でそれをしなかった。そのため無駄がないから大損をしているのです。

     

     北陸や山陰での大雪被害でいえば、除雪車が十分に配備されていれば、道路が不通になるリスクは軽減できます。しかしながら、余分に配備するのは無駄として、配備車両を少なくすれば、道路が不通になるリスクは高くなります。

     

     想定される南海トラフ地震(土木学会による想定被害額1400兆円)では、広域にわたって発電所が運転停止するということもあり得ます。

     

     首都直下型地震(同750兆円)や南海トラフ地震に備え、全体的に電力不足が生じたときに生き残った地域の発電所が融通し合うシステムを作らないと、いつまで経っても非常時における電力供給システムの脆弱さは解消されないでしょう。

     

     

     というわけで今日は「無駄を省くために民営化という欺瞞が引き起こした北海道電力ブラックアウトと関西空港閉鎖」と題し、論説しました。

     国土強靭化ならぬエネルギー強靭化もまた、資源がない日本にとっては必須です。エネルギー強靭化のためには、発送電分離ではなく政府の力でネットワーク全体が融通し合うよう増強させる必要があるでしょう。地域ごとの株式会社がそれぞれ融通し合うとしても、いつ起きるかわからない地震に対して投資を継続するのは難しいですが、政府なら可能です。なぜならば政府は利益追求が不要の非営利団体組織(NPO法人)だからです。無駄であってもインフラを整備できるのは、営利組織の株式会社ではなく、政府しかできません。そうした無駄を私たち国民も認めるよう理解する必要があります。

     また原発の稼働についても、国民の理解を得る必要があるでしょう。現状は老朽化した火力発電所で、綱渡りの運営をしています。いわば老体に鞭を打っているのが、今の日本のエネルギー事情です。再生可能エネルギーは何の役にも立ちません。

     こうした電力サービスについての知見も、多くの国民が持つ必要があるものと私は思うのです。


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