低年金者向けの消費増税対策について

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    JUGEMテーマ:年金/財政

     

     台風21号と北海道地震で被害に遭われた皆様には、お見舞い申し上げます。

     

     今日は「低年金者向けの消費増税対策について」と題して、消費増税について論説します。

     

     下記は日本経済新聞の記事です。

    『日本経済新聞 2018/8/15 20:00 低年金者給付 前倒し浮上 消費増税対策、財源など課題

     2019年10月に予定する消費増税対策の一つとして、政府内で低所得の高齢者への影響を抑える対策が焦点になってきた。低所得の年金生活者に最大で月5千円(年6万円)を給付する新制度について、実際の支給が増税時に間に合うよう制度開始を2カ月程度前倒しする案が浮上。1千億円規模の財源の確保や煩雑な給付作業などを巡り、財務省や厚生労働省は年末に向けて議論する。

    焦点となっている仕組みは、政府が消費増税に合わせて、年金の少ない高齢者向けに予定している「年金生活者支援給付金」だ。5%から10%への消費増税と社会保障の充実を合わせて決めた12年の「社会保障と税の一体改革」の中で決めた措置だ。低所得の高齢者を中心に、増税の影響を和らげるのが狙いだ。

     受け取れるのは世帯全員が住民税非課税で、年間の所得が国民年金の保険料を40年間納めて受け取る額(約78万円)よりも低い水準の高齢者が中心になる。対象は約800万人にのぼる。

     問題は、給付金の支給が年金と同じで2カ月に1回の予定であることだ。年金は2月、4月など偶数月に配る。給付金制度を消費増税を予定している19年10月に始めると、実際に高齢者の銀行口座に振り込まれるのは12月になってしまう。

     増税直後は買い控えなどが起きやすく、給付金の支給が遅れれば高齢者対策としての制度の効果が薄れる恐れがある。こうした状況を踏まえ、与党内では公明党が制度の前倒しを強く求めている。例えば制度の開始を2カ月前倒せば、消費税率が10%に上がる19年10月に給付できる。お金を配ることで個人消費の反動減を抑える狙いだ。

     もっとも、財務省や厚労省は給付の前倒しを巡る課題に頭を悩ませている。1つは財源だ。「社会保障と税の一体改革」を審議していた時点の試算では、年間で約5600億円が必要になるとはじいていた。2カ月前倒しする場合に必要な財源は約1千億円となる。加えて、法改正もしなければならない見込みだ。

     もう1つは給付作業の問題だ。給付を請け負うのは日本年金機構になる。今年2月に支給した公的年金では、過少支給の問題が起きたばかり。過去にも125万人分の個人情報の流出が起きるなど不祥事が相次ぐ。

     仮に前倒しを決めたとしても、システムや給付事務が追いつかず、かえって混乱が広がる懸念がある。市区町村が配るという手もあるが、事務費がかかり必要になるお金が膨らんでしまう。

     3つ目はばらまき批判だ。政府は16年にも低年金者を対象に3万円の給付金を配ったことがある。賃上げの効果がおよびにくい高齢者らを支援するという名目だった。給付は市区町村が担ったが、事務費だけで数百億円かかった。このときは自民党内でも若手議員中心に批判の声が噴出した。

     このほか消費増税に合わせて、65歳以上が支払っている介護保険料の軽減対象拡大の前倒しも検討課題になっている。いまは住民税非課税世帯のうち、特に所得の低い人を対象に軽減している。これを住民税非課税世帯全体に広げる。現在の対象は65歳以上のうち約2割だが、3割に増える。

     最も負担が軽くなる高齢者は負担する保険料が基準額の30%になる。現在は45%だ。前倒しで低所得の高齢者の負担をさらに抑える狙い。来年は参院選を控えるだけに、消費増税に合わせた対策として、高齢者向けの施策が重みを増しそうだ。

     

     ▼年金生活者支援給付金 年金の少ない高齢者らに現金を支給する制度。消費税を8%から10%に上げる2019年10月に創設する予定だ。年金保険料を納めた期間に応じ、最大で月5千円を年金に上乗せする仕組みとなる。障害基礎年金や遺族基礎年金の受給者も給付の対象だ。』

     

     

     まず私は、この報道に大変違和感がありました。何が違和感かと申しますと、消費増税を既成事実化しているということです。消費増税することが当たり前というような環境を作っているといえます。

     

     ポイントは2点あります。

     

     一つ目は、消費増税の既成事実化が徹底的に進んでいる状態です。消費増税は、相当の確率でやるでしょう。何しろ、

    リーマンショックが起きても消費増税は先送りできないなどという政治家もいるくらいです。まるで消費増税することが目的になっているかの如く。

     

     消費増税は社会保障などの用途に使われるのでは?と思った方、残念ながら消費増税しても増税分は一般財源として扱われ、政府の負債の返済に使われるでしょう。事実、2014年の消費増税5%→8%のときは、消費増税分の8割程度が政府の負債の返済に使われ、国民の所得になりませんでした。「政府の負債を借金で返さなければ・・・」という発想は、家計簿の発想であり、企業経営の発想です。実際は政府の負債は、100%円建てであり、外貨建て債務ではないので、いざ返済時期が来たら、借り換えをすればいいだけのこと。政府の負債を返済してしまうと、返済分が消費や投資に使われないわけですから、消費に使われない=生産に使われない=所得が生み出されない と例のごとくGDP3面等価の原則によって、経済成長を抑制します。

     

     そもそも、低年金者向け消費増税対策ということ自体、消費増税を既成事実化するためとしかいえません。多くの人々も、「あ、台風が来るんだ!」と自然災害のように思われて回避できないものと思われる方が多いかもしれませんが、実際は政策を変えることは可能です。

     

     二つ目は、給付金を配るのは、消費増税で取る分を事前に戻すことになるため、消費増税の影響がないと思われる方もおられるでしょう。

     

     心理学的には、消費時にあらゆるタイミングで意識に上り、消費にブレーキがかかる可能性が高いです。すべての消費行動は意思決定で決まるわけですが、給付金は振り込まれるものです。そのため、消費するときに、事前に10000円振り込まれていたから、消費増税分500円を使ったとして、残り9500円が使えるなどと考える人は皆無でしょう。要は、振り込まれた10000円は何となく認識しても、消費する際にいちいち残りがいくらで、今いくら使おうかなどと考える人はいません。消費時には意識されないのです。

     

     消費増税をした後、GDPの成長率は大きく低迷していることが既に実証されていまして、下記は、その検証資料です。

     

    (出典:内閣官房参与の藤井聡氏のフェイスブックより)

     

     

     消費増税10%にすれば、国家の予算が増えて社会保障制度が安定して、公共事業が増え、被災地復興が早まるとか、そうしたバラ色のシナリオにはならないでしょう。

     

     消費増税をしても税収が減収する可能性は極めて濃厚なのですが、その理由は税金とは私たちが働いて稼いだ所得から徴収するからです。

     

     税収=名目GDP×税率×税収弾性値

     GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出(※)

     ※純輸出=輸出−輸入

     

     

     消費増税は直間比率の是正が目的であるなどと、もっともらしい言い方をする人もいて、一見すると間接税で安定的に税収が確保できると思いきや、直接税が税収弾性値によって激減します。実質GDPが増加しても、名目GDPがマイナス、GDPデフレータがマイナスという状況ですと、忙しくなるだけで稼げないという状況になり、稼げない=企業の売上が増えない=賃金UPの原資が増えないということで、法人税と所得税が伸び悩みます。それどころか、赤字になれば法人税を治めなくなりますし、連結決算連結納税で黒字企業も節税します。従業員が解雇されれば、その分の所得税もなくなります。

     つまり名目GDPがマイナスした場合、税収弾性値によってそれ以上に税収が減収するのです。

     

     税収弾性値については以前もテーマで取り上げたことがあります。名目GDPがプラスになれば、税収はそのプラスの伸び率以上に増えます。日本国内の法人のすべてが黒字だった場合は、税収弾性値は1となるため、名目GDPの伸び率=税収の伸び率となりますが、逆に言えば、日本国内の法人がすべて黒字になるには10年以上かかるといわれていますので、そうなるまでは税収弾性値は1以上といえるのです。因みに2013年度の税収弾性値は3.5でした。2013年といえば安倍政権アベノミクスの第二の矢の国土強靭化計画で政府支出を増やしたことで、名目GDPが1.9%上昇し、税収は6.9%増収しました。その後、2014年に消費増税や補正予算の減額をしたため、税収が伸び悩んでしまっています。

     

     9月に入って台風21号、北海道地震と多くの方々が被災している状況で、プライマリーバランス黒字化によって緊縮財政を続ける中、本当に2019年10月に消費増税を行うのでしょうか?これだけ自然災害で被災している以上、消費増税はそもそも凍結もしくは消費減税すべきであると私は考えます。

     

     

     というわけで今日は「低年金者向けの消費増税対策について」と題し、論説しました。消費増税を既成事実化する報道が目に余ります。もし消費増税をこのまま進めるならば、安藤裕国会議員による安藤提言(内閣府ホームページに掲載中)で、消費減税を提言しています。

     消費増税はするものの、非課税品目を大幅に増やし、1取引100万円以下の取引をすべて5%に減税、個人が買う乗用車や住宅も5%に減税するといった内容です。

     本来デフレ下で消費増税をやってはいけないのですが、財務省どものプライマリーバランス黒字化目標を盾に消費増税を目論む彼らの消費増税強行を、うまく手に取った提言です。

     私は法人取引でさえ5%に減税すべきであると思いますので、本来は消費増税中止、凍結、5%への減税と言いたいところですが、プライマリーバランス黒字化目標が残って増税回避不可というのであれば、逆に安藤提言を応援したいと思います。

      

     

    〜関連記事〜

    消費税率1%UPで2.5兆円増収できるというウソ

    税収を増やすためには、名目GDPの成長が必要です!


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