「GDP3面等価の原則」を理解していない政治家の携帯電話料金・端末機価格批判!

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     今日は、時事通信の「携帯電話会社が儲けすぎ」という記事について取り上げます。

     

     時事通信の記事を2つ紹介します。

    『時事通信 2018/08/27 携帯電話「OECDの倍」 菅長官

     菅義偉官房長官は27日午前の記者会見で、携帯電話料金の4割引き下げを提唱する理由について、「わが国の料金は経済協力開発機構(OECD)加盟国平均の2倍程度で、高い水準だ」と指摘した。

     菅氏は、新規参入する楽天が既存事業者の半額程度に料金を設定する方針を公表していることに触れ、「競争をしっかり行えば下げられる余地がある」と強調。「利用者にとって分かりやすく、納得できる料金サービスの実現にしっかり取り組んでいく」との考えを重ねて示した。』

     

    『時事通信 2018/08/24 携帯料金下げ、取り組む余地=端末価格も「高い」−野田総務相

     野田聖子総務相は24日、情報通信審議会(総務相の諮問機関)で携帯電話料金の引き下げなどに関する議論が始まったことについて、「料金の低廉化はわれわれが命令することではないが、まだ取り組む余地はある」と述べ、値下げの実現に期待感を示した。盛岡市内で記者団の取材に応じた。

     総務相は「通信費は家計の中でも大きな部分を占めている」と指摘。その上で「専門家が知恵を絞り、企業が気づかなかったことをどんどん出していただきたい」と語り、審議会での活発な議論を求めた。また、携帯電話の端末価格も高いとの認識を示し、「中古市場の拡大などを通じ低廉化したい」と述べた。

     

     

     上記の通り、携帯電話料金が高い、携帯電話の端末機器が高い、ということで、携帯電話会社(NTTドコモ、AU、ソフトバンク)と、携帯電話を製造している会社に対して、批判している記事です。

     

     菅官房長官も野田総務相にしろ、当選回数が多い著名な国会議員ですが、こうした記事を見ると、「だから日本は、いつまで経ってもデフレ脱却ができないんだ!」と思わざるを得ません。

     

     「国債増刷」「財政支出増」で普通に需要創出すれば、「需要>供給」のインフレギャップを生じさせます。このインフレギャップを生産性向上で埋めるべく、民間企業が設備投資をすれば、一人当たり生産性向上によって実質賃金UPの原資が生み出されます。労働分配率の問題で、インフレギャップを埋めた分のすべてが労働者の賃金UPになるわけではないものの、実質賃金UPの原資が生み出されれば、企業は賃金UPすることができるのです。

     実質賃金がUPすれば消費が増え、その結果「需要>供給」のインフレギャップが生じます。これをまた生産性向上でギャップを埋めれば、また実質賃金UPの原資が生み出されます。こうして循環的に経済成長することが可能です。

     

     にもかかわらず、菅官房長官にしても、野田総務相にしても、携帯電話料金が高い、携帯端末機が高いと批判しています。デフレ脱却を標榜して登場した安倍政権ですが、結局、マクロ経済を理解していないため、料金を下げさせるとか、携帯端末機の中古市場を整備するなどという発言になるのです。

     

     携帯電話料金を下げれば、携帯電話会社の売上、利益が減少します。その結果、携帯電話会社の社員は賃金の上昇率が抑制され、消費を減らす可能性があるのです。携帯端末機の中古市場を拡大して携帯端末機そのものの値段も下げさせるというのも、携帯電話の端末機を製造している富士通や京セラなどの会社の売上、利益が減少します。

     

     ●GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出(※)

     ※純輸出=輸出−輸入

     ●税収=名目GDP×税率×税収弾性値

     

     何が言いたいかと言えば、携帯電話料金の引き下げ推奨、携帯端末機の価格引き下げ推奨、いずれもインフレ対策です。名目需要を削減する政策であるため、どちらも税収を減収させます。デフレを促進させます。

     

     なんでこんな発言が出るのか?溜息しか出ません。

     

     携帯電話の端末機が高いというのも余計なお世話です。私は通信業界で働いているわけではありません。ですが、マクロ経済的に間違っているこうした発言を見聞きすると、政治家の人々が経済を理解していなさすぎといわざるを得ないのです。

     

     以前も説明したことがありますが、下図は付加価値の積み上げイメージです。

     

    <スマートフォンが小売価格3000円で販売される場合の付加価値の積み上げイメージ>

     

     

    <付加価値の金額の積み上げイメージ>

     

     

     小売価格3000円のスマートフォンを消費者が3000円払った場合、輸入分の付加価値200円は控除されて、2800円がGDPとなります。

     

     ●GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出(※)

     ※純輸出=輸出−輸入

     ●税収=名目GDP×税率×税収弾性値

     

     野田総務相は、携帯電話の端末機が高いので、中古市場を拡大して端末機の価格を下げさせると述べています。中古品の流通市場を拡大して競争を激化させるということですが、これは「供給増」の政策であり、インフレ対策です。

     

     例えば、輸入はGDPにカウントされないため、原材料の輸入を引き下げる努力を求めるとか、レアアースなどの原料に変わる新素材の開発に期待するということであれば、まだ理解できます。

     野田総務相の発言は、そういうことではなく、単に3000円のスマートフォンを値下げしなさいといっているだけでしょう。

     

     であるならば、仮に3000円のスマートフォンが2000円になったとして、A社〜G社の付加価値2800円→1800円とすれば、生産金額が1000円減少することになります。

     

     生産金額が1000円減少した場合、GDP3面等価の原則で、生産金額=消費金額(支出)=分配金額(所得)ですから、A社〜G社で1000円分の所得が減るのです。

     

     結局、携帯端末機が高いとか、携帯電話料金が高いなどと批判して、引下げ努力を求めるというのは、デフレ促進化させることに気付いていないのではないでしょうか?

     

     デフレ脱却を標榜して誕生した安倍政権ですが、菅官房長官にしろ、野田総務相にしろ、マクロ経済の基本であるGDP3面等価の原則を理解していないから、こうした発言が出てくるのでしょう。

     

     いかにも家計にやさしいと思わせる発言ですが、携帯電話引下げの政策は、デフレ脱却とは真逆のインフレ対策です。家計簿の発想が抜けきれないので、コスト削減という発想しか出ないわけです。普通にインフラ整備のために国債を増刷して、政府支出拡大をすれば、デフレ脱却できるのに、大変残念な発言としかいえません。

     

     

     

     というわけで、今日は「GDP3面等価の原則を理解していない政治家の携帯電話料金・端末機価格批判!」と題して、論説しました。


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