記録的な猛暑による野菜価格の高騰と消費者物価指数について

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    JUGEMテーマ:安全保障

     

     今年の記録的な猛暑は、もはや自然災害といっていいと思うのですが、そんな中で野菜の価格が高騰しています。

     

     今日は「記録的な猛暑による野菜価格の高騰と消費者物価指数について」と題して論説します。

     

     下記は朝日新聞の記事です。

    『朝日新聞 2018/07/25 21:44 キャベツや大根が7割高「災害級」の猛暑で野菜高騰

     「災害級」の暑さは、人々の暮らしに大きな影響を与えている。飲料や冷却商品などの売れ行きは伸びているが、高温で生育状況が思わしくない葉物野菜は価格が高騰。屋外で働く機会が多い建設業界では、作業員の熱中症対策を急ぐ。

     東京都江東区のスーパー「たつみチェーン豊洲店」。入り口近くには25日午前、割高な値段をつけた野菜が並んでいた。店長の村松義康さん(59)は「キャベツは普段より100円、ホウレンソウは50円高い。いつもより売れなくなっている」と話す。

     店では今月初旬の西日本豪雨以降、葉物野菜の価格が高止まりしていた。そこに追い打ちをかけたのが、連日続いた猛暑だ。暑さの影響が本格的に出てくるのはこれからだといい、村松さんは「さらに値上がりする可能性がある」と心配する。

     農林水産省によると、高温と少雨で腐ったり生育の遅れが生じて出荷が少なくなったりして、群馬や長野県産を中心にキャベツ、レタス、ホウレンソウなどの葉物野菜の市場価格が平年より高騰している。

     特に目立つのがキャベツで、東京都中央卸売市場の1キロあたりの卸値は平年比65%増の129円(23日時点)。2週間前より48円値上がりした。「JA全農ぐんま」の担当者は「暑さが一段落してほしいというのが産地の願い」と話す。

     また、暑さで乳牛の搾乳量が減っている地域もある。同省は各地の農家に、ハウス内を生育に適した温度に保つことや、扇風機による家畜への送風といった暑さ対策を求めている。農作業中の熱中症への注意も呼びかけている。(後略)』

     

     

     上記記事の通り、キャベツ、きゅうりといった夏野菜の店頭価格が軒並み高騰しているというニュースです。特にキャベツは去年に比べて2倍ほど高いお店があります。原因は、高い湿度と雨不足で出荷量が減少しているためです。

     

     西日本豪雨以降、まとまった雨が降っておらず、貯水量減少の影響などの懸念も出ています。

     

     朝日新聞の記事では、前年比で値段が高騰しているキャベツが前年比65%増と報じていますが、キャベツは2倍近くになっているところもあります。レタス、きゅうり、大根も、軒並み価格高騰しており、気象庁によれば、今後も全国的に平年より暑く8月中旬まで続く見通しとしています。

     

     西日本豪雨の災害をみれば、雨は降っているのでは?という印象をお持ちの読者の方がおられるかもしれませんが、最近の日本は豪雨の頻度は増えているにもかかわらず、渇水も増えているというのが現状です。

     

     豪雨と渇水の両方が増えているという状況。合計雨量は前年比で増えていたとしても、集中豪雨が増えているというのが実情です。

     

     本ブログでは、デフレ・インフレについても言葉の定義を含め、頻繁に取り上げますが、もう一つスクリューフレーションという言葉があります。これは所得中間層の貧困化とインフレーション(生活必需品の上昇)が同時に起きる現象のことをいいます。

     

     原油価格上昇によるエネルギー価格の上昇と同様に、猛暑による野菜価格の上昇は、可処分所得が減る方向に働くため、ある意味でデフレ圧力となります。

     

     毎月もらえる月給が伸び悩むもしくは増えにくいという状況で、生活必需品の価格が高騰するとなると、家計が苦しくなり、他の物が買いたくても買えなくなってしまうからです。

     

     物価変動を見る指標の1つに消費者物価指数というのがあります。消費者物価指数は3種類あります。具体的には、CPI、コアCPI、コアコアCPIの3つです。

     

     CPIは英語では「Consumer Price Index」の略称でして、コアCPIは生鮮食品の価格変動を除くCPI、コアコアCPIは生鮮食品に加えてエネルギー価格の価格変動を除くCPIです。

     

     アベノミクスで日銀が物価目標としている2%は、コアCPIで目標設定しています。そのため野菜価格が高騰したとしてもコアCPIが上昇することはありません。それは健全であるといえます。

     

     とはいえ、野菜価格と直接関係ありませんが、原油価格が高騰するとコアCPIは上昇してしまいます。本来であれば日銀の物価目標2%はコアコアCPIで目標設定すべきであるということを、私はアベノミクスが始動して以来、ずっと主張し続けています。原油価格が高騰しても、原油輸出国の中東諸国の所得が増えるだけで、むしろ輸入額が増えることでGDPはマイナスに働くからです。

     

     猛暑によって野菜価格が高騰した場合、農家は豊かになれるのか?といえば、そうはいきません。猛暑で供給量が減少しているだけであるため、需要>供給 となって価格が高騰しているに過ぎないからです。

     

     本来であれば、天候に左右されず、農家にはたくさん農作物を作っていただく。これが日本の食料安全保障の強化になります。もし豊作貧乏と言われるくらい豊作になったら、捨てることで高価格を維持するのではなく、政府が農作物を高く買い上げ、中国や韓国にダンピング輸出することで、中国と韓国の胃袋を日本が握るということもできます。これは外交のカードが1枚増えることになりますし、農家も収入が安定して豊かになれますので経済成長を支えることにもなります。

     

     

     というわけで今日は「記録的な猛暑による野菜価格の高騰と消費者物価指数について」と題して論説しました。

     

     

    〜関連記事〜

    物価目標2%は、どの指数を使うべきか?消費者物価指数は3種類あります!

     

     

    〜農業に関する記事〜

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