蓮舫議員が批判し、事業仕分けで廃止にされたスーパー堤防について

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     今日は「蓮舫議員が批判し、事業仕分けで廃止にされたスーパー堤防について」と題し、治山・治水事業について論説したいと思います。

     

     治山・治水という言葉は、あまり聞きなれないかもしれません。治山事業とは山津波(土砂災害)に備える事業をいい、治水事業とは河川の決壊(洪水災害)に備える事業です。

     

     今年7月の西日本豪雨は、平成史上最悪という被害をもたらしました。そのため、国土強靭化が改めて強く求められています。豪雨に関していえば、東京都の荒川、愛知県の庄内川、大阪府の大和川・淀川という大河川があります。荒川の場合、流域平均雨量が550ミリを超えると決壊する恐れがあるといわれています。

     

     国交省は、荒川が決壊した場合の被害シミュレーションを試算しています。荒川周辺は、人口・資産が集積しているため、一度氾濫すると被害は甚大であるしています。

     

    <荒川決壊時の想定被害シミュレーションの試算>

    ●浸水区域は約7,800ha

    ●浸水想定区域内の人口は約116万人

    ●被害家屋数が約47万

    ●想定被害額が約22兆円

     

     上記の想定被害額22兆円という金額は、日本のGDPを500兆円とした場合の4%に相当します。また浸水想定区域内の人口116万人という規模は、地方自治法第252条19項にある政令指定都市の要件の人口基準50万人の2倍以上に相当します。

     

     もちろん、550ミリの降雨量をもたらす大雨は、そう頻繁に発生するものではありません。とはいえ、今回の西日本豪雨では、高知県で800ミリ台、1,000ミリ台という大雨が降ったのです。

     だから、東京で550ミリ超の大雨が絶対に発生しないとは、必ずしも言い切れないと考えられます。西日本豪雨では、たまたま東京が被害に遭わずに済んだだけで、今度発生する大雨は、東京かもしれないのです。

     

     荒川の治水事業は、過去遡りますと江戸時代から行われていました。今の日本人は、現在のことだけを考えている人が多く、治水事業についての理解がほとんどないといえるでしょう。

     

     例えば、江戸という町、東京都という町があるのは、徳川家康が今の江戸川のところに流れていた利根川を銚子まで引っ張ったからと言ってもいいかもしれません。

     

    <1000年前の利根川と現在の利根川>

    (出典:国交省関東地方整備局、江戸川河川事務所のホームページより引用)

     

     上図の通り、現在の江戸川は、かつて太日川(ふといがわ)と呼ばれていました。そして太日川の西側を並走する形で利根川が流れ、東京湾に水が注がれていたのです。

     時は江戸時代で徳川家康が1594年に利根川東遷(利根川の流れを東側に移動して変えること)を命じ、60年の月日を経て大工事を完了させました。具体的には、現在の千葉県銚子市まで、川を掘って水を引いたのです。

     そうすることで、上流から来る水の流れを、江戸の真ん中を通る川の水量を減らすことができ、そのまま太平洋にぶち抜くようにしたため、江戸では洪水がほとんどなくなったのです。

     結果的に、江戸の町から洪水を守り、銚子から江戸までの交通路を開き、田畑を広げ、普通の都会を作ることができたのです。

     江戸時代は車などありませんから、この川によって船で物を運ぶことができるようになり、河川輸送も盛んになって江戸時代の江戸が繁栄しました。

     

     もし、徳川家康が利根川東遷をやっていなければ、江戸の町は頻繁に洪水に襲われ、江戸文化の開花は無かったでしょう。とはいえ、利根川東遷には実に60年もの年月を費やしているのです。 

     

     中長期的に時間がかかる大事業だったことには間違いありませんが、まさに徳川家康は、洪水から守る治水事業、さらに河川輸送を発達させるためのインフラ整備を行ったということです。

     

     大阪にしても江戸と同じです。安治川などの河川を作って関を作り、何十年・何百年をかけて大阪という町が守られるようになりました。本来治水事業というのは、そのくらいの期間単位で行うべきものであるということが、歴史を遡れば理解できるかと思います。

     

     これは、スーパー堤防を批判した蓮舫だけでなく、公共事業を無駄だと思っている自民党議員や財務省職員にも知っていただきたいことです。

     

     そして、治水事業には時間だけでなくお金もかかります。街づくりそのものともいえます。荒川の堤防決壊が想定されるのであれば、すぐにでも堤防建設をやるべきです。もちろん財源は、建設国債の増刷で構いません。デフレでマイナス金利でタダ同然で借りられるお金です。デフレ脱却に寄与することは、間違いないのです。

     

     

     かつて旧民主党の蓮舫が、スーパー堤防に関して事業仕分けで、大洪水の被害想定額以上の建設コストがかかるので「廃止」にしてしまいました。当時はマスコミをはじめ、多くの国民が「無駄削減ができた!さすがは民主党!」と胸がスーッとしたかもしれません。

     

    <事業仕分けを推進してスーパー堤防を廃止にした蓮舫をはじめとする民主党議員ら>

     

     

      私は、事業仕分け自体反対でしたので、逆に「なんてことするんだ!」と思っていました。

     上記写真で出ている民主党議員は、現在の西日本豪雨災害などをみて、かつての事業仕分けが誤りだったことを認めるメッセージを発した人っているのでしょうか?多くの人が死んでいるのに、あたかも何もなかったように装い、口を噤む。これが日本をダメにしている主因であると思うのです。

     

     そもそも公共事業について、経済学的に正しい知見を持つ人が少なすぎます。

     

     公共事業でコストがかかるという言葉を聞けば、当時のマスコミや多くの国民が、「無駄なお金!もったいない!」と思ったに違いありません。しかしながらマクロ経済的にいえば、コストがかかる=高いお金がかかる=高い名目需要がある=高い経済成長ができるチャンスがある です。

     

     日本には財政問題がありませんから、多くの人々が正しい知見を持っていれば、本来ならば躊躇なく「国債増刷」「政府支出増」によって、スーパー堤防建設が着手されていたことでしょう。

     

     財政問題について正しい知見を持たない日本国民が多いことは、あらゆる問題の解決策を困難にしている根本理由といえるのです。財政問題について正しい知見を持てさえすれば、公共事業でかかるコストを、家計簿や企業経営のように「もったいないから削減すべき!」とはならず、「躊躇なくやりましょう!」という発想を持つことができます。

     

     

     

     というわけで、今日は「蓮舫議員が批判し、事業仕分けで廃止にされたスーパー堤防について」と題して論説しました。

     第二次安倍政権誕生後のアベノミクスでも第二の矢で国土強靭化をあげていました。ところが、いつしか国土強靭化の旗が下りてしまいました。プライマリーバランス黒字化目標があるために、思い切った財政出動ができないのです。

     2013年こそ財政出動によって名目GDPで△1.9%上昇し、税収も△6.9%増えて、デフレ脱却機運が高まったのですが、プライマリーバランス黒字化目標を重視し始めて、2014年8%への消費増税を皮切りに、補正予算の減額もはじめました。

     皆様の中には、豪雨災害の被害拡大について民主堂が治水対策費などの公共事業を減らしたためだと思われている方、いないでしょうか?

     確かに民主党は「コンクリートから人へ!」スローガンで、公共事業を削減しました。とはいえ、安倍政権ですら、2013年度こそ公共事業を増やしましたが、以降は補正予算を減額して公共事業を削減しています。支持率の高かった小泉純一郎政権でさえ、毎年7000億円ずつ公共事業を削減していました。

     こうした無駄削減にまい進してきた人々は、西日本豪雨などの自然災害でお亡くなりになった被害者の加害者と言っても過言ではないと私は思うのです。

     

    〜関連記事〜

    堤防建設という公共工事の経済効果(物語「稲むらの火」の主人公、濱口梧陵の偉業)


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