西日本豪雨で1か所、砂防ダムが決壊してしまったその理由とは?

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     今日は「西日本豪雨で1か所、砂防ダムが決壊してしまったその理由とは?」と題し、国が行う治山事業・治水事業について論説したいと思います。

     

     ロイター通信の記事をご紹介します。

    『ロイター通信 2018/07/25 18:10 7月の土砂災害1350件

     西日本豪雨を含む7月の大雨により全国で発生した土砂災害が25日時点で1350件に達したことが国土交通省の集計で分かった。最近10年間の年間平均約1100件を1カ月で上回り、短期間に災害が集中した実態が鮮明になった。被害は31道府県に及び、土砂災害による犠牲者は100人に達した。国交省の担当者は「土砂災害としては平成最大の広域災害」としている。

     西日本豪雨の被害の全貌は把握できておらず、件数はさらに上積みされる見通しだ。今後の台風襲来などによる二次被害も懸念され、国交省は危険箇所に安易に近づかないよう注意を呼び掛けている。』

     

     上記の記事の通り、土砂災害が1350件にも達したということで、最近10年間の年平均1,100件を1か月足らずで上回ったというニュースです。

     

     7月時点での1350件という件数は、とんでもない状況です。何しろ、まだ8月・9月・10月と台風シーズンが訪れます。

     

     通常は、そのシーズンに台風被害が増えるのですが、梅雨の時期だけでこの状況とは、今年は異常と言わざるを得ないでしょう。

     

     多くの人々に知られていないことなのですが、東日本災害のような超激甚災害を除き、自然災害で最も人が亡くなるのは何でしょうか?毎年毎年コンスタントに人命が奪われる自然災害は、実は土砂災害です。

     

     よく皆さんがニュースで見聞きする大雨の被害では、裏山が崩壊して生き埋めになるというニュースをお聞きなることがあるでしょう。水の場合は助かる確率はそれなりに高いのですが、土砂の場合は助かる確率は低いです。端的にいえば、山津波は水津波よりも助かる確率は低いのです。

     

     そのため、昔から治山治水といっていますが、治水治山とはいいません。治山=山津波対策=土砂災害対策です。これがきちんとできていない領主は、そこに住む民が安定的な暮らしができず、政治が乱れるということになります。

     

     今年の西日本豪雨をみると治山もダメですが、岡山県の小田川の被害など、治水もダメであることが明白です。治山も治水も両方できていないという状況は、普通に政治がダメということです。

     

     そもそも土砂災害を防ぐためには、どうすればいいのか?それは砂防ダム・砂防堤防の建設で、これが一番効果があります。

     

     なぜならば治水を考えた場合、洪水の場合は川がどこで決壊するか?予測がつきにくい点がある一方、山津波=土石流というのは、発生する場所は決まっています。

     

     小学生のころ、皆さんは社会科で地理を習ったと思いますが、山には谷筋と尾根筋があります。土石流は山に必ずある谷筋で発生します。そのため、谷筋に砂防ダムを作って起きさえすれば、ほぼ100%土石流を防ぐことができるのです。しかしながら砂防ダムがないところでは、多くの人が命を落としています。

     

     2014年8月に発生した広島県の土砂災害では、砂防ダムの建設予定があったのですが、財政に余裕がないという理由で、そのままになっていました。本来は財政に余裕がないという理由はあり得ず、マイナス金利でタダも同然の金利で政府が建設国債を発行するなどして、政府が主導して予算をつぎ込めば砂防ダムを作ることは可能だったでしょう。

     

     財政的にも技術的にも可能であるにもかかわらず、プライマリーバランス黒字化すべきという間違った家計簿発想を持つ政治家や財務省職員らのせいで、作らなかった。

     

     結果、砂防ダムがあった場所は、砂防ダムが土砂を受け止めて人々が救われたのですが、砂防ダム建設が留保された場所は、土砂がなだれ込んできて多くの人々が命を落としました。

     

     ぜひ一度皆さんには、広島県内の地図を見ていただきたいのですが、下記は安佐南区というエリアの周辺地図です。

     

    <広島県広島市安佐南区の周辺地図>

    (出典:広島市都市整備局の「八木・緑井地区の概要」資料から引用)

     

     

     水色の部分が土砂流出範囲となっています。この安佐南区だけでなく、広島県には谷筋がたくさんあり、そこは土砂災害で人が命を落とすのです。

     

     ただそこに砂防ダムさえ作ればいいので、広島県内は砂防ダムが多くありますが、ありもし得ない財政難を理由に完成されていない砂防ダムもたくさんあります。

     

     広島県坂町で1か所、今年になって砂防ダムが決壊したというニュースがあり、毎日新聞などのマスコミの報道は「コンクリートの砂防ダムを作っても意味がない」というトーンで報道していました。この坂町の砂防ダム決壊は、古い石積みの砂防ダムであったため、早く建築し直す必要があったのですが、財政難で放置していたというのが真実です。

     

     ちゃんとした砂防ダムを造れば、土砂災害は100%防げるのに、日本では存在しえない財政難を理由に放置するというのは、これはもう国家による殺人と言ってもいいのではないでしょうか?

     

     

     

     というわけで「西日本豪雨で1か所、砂防ダムが決壊してしまったその理由とは?」と題し、砂防ダムについて論説しました。自然災害大国であるがゆえに、日本は人口減少に関係なく、災害対策の需要は旺盛です。

     にもかかわらず、家計簿発想のプライマリーバランス黒字化のために、需要に応じずにいるのです。マイナス金利でデフレなのですから、躊躇なく普通に「建設国債」を発行して、政府支出によって砂防ダム建設を各地でやれば、そのこと自体が経済成長し、GDP増加に貢献するだけでなく、人々の安全保障強化に寄与します。結果的に多くの日本人が恩恵を受けるわけです。

     ところが、お金に対する間違った考え方、人口が減少するから無駄だと、公共事業を否定する輩は多い。こういう人々が真実を理解しない限り、日本は亡国へと突き進んでいくことになるでしょう。

     そのうち、土砂災害や道路崩落や上下水道菅破裂事故など各地で発生する件数が多すぎて、ニュースにもならなくなるような日が来るような気がします。

     そうならないためには、私たち国民が正しい知見を持ち、政治家を動かすことが必要と思うのです。


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