トランプ大統領の通商政策に対抗する最適な解決策は、国内需要シフトです!

0

    JUGEMテーマ:通商政策

     

     今日は「トランプ大統領の通商政策に対抗する最適な解決策は、国内需要シフトです!」と題し、日米の通商政策について論説します。

     

     まずは産経新聞の記事をご紹介します。

    『産経新聞 2018/07/25 23:39 日米新通商協議、8月開催へ 車輸入制限などで攻防

     米国発の貿易摩擦が激化する中、米欧首脳会談に続いて、日本は米国との新しい通商協議(FFR)の初会合を8月にも開催する方向で調整する。当初は7月下旬を予定していたが、米国が欧州や中国との通商問題の対応に追われ、事実上困難になったためだ。FFRで日本は、米国が検討する自動車輸入制限の翻意を促すほか、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への復帰を米国に求める方針だ。

     FFRは日本側が茂木敏充経済再生担当相、米国側はライトハイザー米通商代表部(USTR)代表が交渉窓口となる。6月にワシントンで開かれた日米首脳会談でFFRの初会合を7月に開くことで一致。その後、日本側は国会の会期末(7月22日)以降の開催を米側に打診していた。

     しかし、米政府はUSTRが欧州や中国との通商問題のほか、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉の対応にかかりきりで、FFRは事前の事務レベルでの調整も行われていないもようだ。開催日程も25日時点で「セットされていない」(政府高官)という。

     来週にも日米は日程などの調整を行う見通しだが、初会合は8月にずれ込む公算が大きい。

     FFRで焦点になるのは、米国が検討する自動車に高関税を課す輸入制限だ。日本は「いかなる貿易上の措置も世界貿易機関(WTO)協定と整合的であるべきだ」(政府関係者)とし、3月に発動された鉄鋼輸入制限も含め米国に反対の立場を訴える。

    米国側は農産品などでさらなる市場開放を日本に要求するとみられる。日本は米国が脱退したTPPで合意した内容よりも悪い条件は受け入れられないと主張する構えだ。

     さらに日本が警戒するのは、米国が求めるとみられる2国間の自由貿易協定(FTA)交渉だ。トランプ氏はTPPのような多国間交渉よりも、自らの主張を反映させやすい2国間交渉に持ち込み、日本に譲歩を迫る狙いだ。交渉にあたる茂木氏は「国益に反することは絶対に行わない」と強調するが、通商問題をめぐり日米がどこまで歩み寄れるかは見通せない。』

     

     

     上記記事の通りですが、米国発の貿易摩擦が激しさを増しています。日米新通商協議は、当初7月下旬に予定されていたのですが、米国が欧州や中国との通商問題の対応に追われて事実上7月中の実施が困難になり、8月になりました。

     

     通商協議で焦点となるのは、米国が検討する自動車に高い関税を課す輸入制限です。

     

     日本の立場は、いかなる貿易上の措置も世界貿易機関(WTO)協定と整合が取れているべきであるとし、今年3月に発動された鉄鋼輸入制限も含めて米国に反対の立場を訴えるとのことです。

     

     一方で米国側は、農産品でさらなる市場開放を日本に要求するとしており、油断はできず今後の展開は大変気になるところです。

     

     米国が検討する自動車輸入制限について、仮に今年8月の新通商協議の交渉で守ったとしても、これはずっと言われ続けるテーマとなるはずです。なぜならば、米国民ファーストを掲げるトランプ大統領にとって、米国の国益につながるからです。

     

     もちろん米国の国益は、日本の国益ではありませんし、そもそも他国からの輸入と制限し、自国の輸出を増やすという発想が、他国の雇用を奪っていると考えるべきです。そして雇用問題とは別に、食料安全保障をはじめとする安全保障問題も考慮する必要があります。

     

    <諸外国の穀物自給率(%)の推移(1961年〜2013年)>

    (出典:農水省のホームページの資料から)

     

     2013年度の穀物自給率の数値では、日本はオランダに次いで下から2番目の28%です。米国は127%と100%を超えており、穀物が余剰に生産されているので、輸出できるのです。

     日本は食料自給率が極めて低く、米国側の農産品の市場開放を求める声に対しては、断固として反対の姿勢を貫かなければなりません。

     

     かつて民主党の前原誠司氏が、農家を保護するのではなく、日本の輸出産業のためにもTPPに加盟するべきであるとして、2010年10月19日に次のように述べています。

    「日本の国内総生産(GDP)における第1次産業の割合は1.5%だ。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっているのではないか?」

     

     これは第一次産業=農業ということで、農業を守るために、自動車産業が犠牲になってもいいのか?と言っていることに等しい。大体、自動車は食べ物ではありません。自動車の産業規模と農業の産業規模を比較すること自体、食料自給率という安全保障問題が全く考慮されていません。

     

     仮に民主党の前原氏が「数値データ」を用いて、TPP推進や二国間貿易協定で、農産品の関税は引き下げるべきという主張をするのであれば、こちらも数値データを出さないわけにはいきません。

     

    <世界の貿易依存度 国別ランキングの抜粋 (2017/08/21)>

    (出典:グローバルノートから抜粋)

     

     

     具体的にいえば、日本の輸出依存度です。輸出依存度とは、財の輸出額÷名目GDPで算出されます。

     上表の通り、日本は191位で24.76%と決して高くはありません。主要国では198位の米国が19.66%、200位のブラジルが18.28%という状況で、日本よりも輸出依存度が低いです。

     

     さらにいえば、日本の輸出の主力は「資本財」です。日本人の多くは「主力輸出品」が自動車と思い込んでいるかもしれませんが、GDP輸出比率でみた場合で、乗用車は5兆円強の1%強で、家電はもっと低いです。乗用車・家電は「消費財」なのですが、日本の輸出の半分以上の50%強は、消費財ではなく資本財です。

     

     資本財は、電子部品(コンデンサー、セミコンダクター、シリコンウェハー、半導体チップなど)や工業用原料(25%程度)が該当します。一般的に個人が電子部品や工業用原料を買うことはありませんから、日本が輸出する75%は、海外の企業が購入する資本財なのです。

     

     前原氏は2010年10月19日に「日本の国内総生産(GDP)における第1次産業の割合は1.5%だ。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっているのではないか?」と述べているので、あえて2009年の数値を出すと、下記の通りです。

     

     日本の輸出依存度:約11.5%

     GDP比輸出比率(乗用車):1.23%

     GDP比輸出比率(家電):0.021%

     GDP比輸出比率(資本財合計):51.81%

     GDP比輸出比率(工業用原料):25.5%

     GDP比輸出比率(消費財合計):14.42%

     

     上記数値から「消費財の輸出対GDP比率」を算出しますと、下記の通り。

     

     消費財の輸出対GDP比率=14.42%×11.5%≒1.66%

     

     つまり前原氏の「日本の国内総生産(GDP)における第1次産業の割合は1.5%だ。1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっているのではないか?」という主張は、「日本のGDP比第1次産業割合が1.5%である一方で、消費財は1.66%と0.16%上回っているから、農業は犠牲になっても関税引き下げを受け入れ、自動車の関税引き下げを米国に主張すべき!」と言っているに等しいのです。

     

     私は消費財の輸出メーカーである自動車産業を悪者にして、自由貿易に反対するつもりはありません。自由貿易などせずとも、日本の輸出産業を救う真っ当な手段があるということが言いたいのです。

     

     その真っ当な手段とは何か?

     

     それはデフレ脱却です。デフレが継続しているため、日本国内では過当競争を強いられています。そのために海外に目を向けるようになっているわけです。

     

     では、デフレ脱却のためにはどうすればいいか?

     

     答えは簡単で内需主導の日本を、より内需主導にシフトすることです。内需主導でデフレ脱却すれば、国内の経済成長率が高まることとなり、国内の自動車メーカーも米国市場を意識しなくても済みます。

     

     加えて、マイナス金利で名目金利が下がり、実質金利も下がっている状況ですので、日本円は為替レートが円安に振れがちですので、日本円の為替レートが下がれば、韓国の現代自動車など他国の自動車メーカーに対する競争力を獲得できるのです。

     

     さらには日本が内需主導で経済成長することで、輸入も増えます。そのとき、米国からの輸入も増える可能性があります。貿易赤字になったとしても、日本は圧倒的な金持ち大国で配当や金利が入る所得収支が大幅黒字の状況ですので、貿易赤字が続いても何ら心配は不要です。

     

     

     

     というわけで今日は「トランプ大統領の通商政策に対抗する最適な解決策は、国内需要シフトです!」と題し、内需拡大シフトこそ、最適解であることをお伝えしました。

     米国は中国、欧州には極めて強硬な態度をとる一方、日本に対しては、そこまで強硬ではありませんが、トレンドとしては強硬な姿勢を主張する流れとなっています。米国は今以上に激しく、自動車輸入制限などの日本にとって不利な条件を押し付けるのは必定といえます。

     日本がすべきことは、日本の国内産業を守るのと同時に、外需を掠め取って他国の雇用を奪うのではなく、自国の内需を拡大して自分たちの産業を食べさせるのは、自国国民の消費と投資であると認識して、内需主導により強くシフトしていくべきです。さもなければ、米国の強硬な態度に戦々恐々としていくこととなるでしょう。

     この流れは、当分変わることはないでしょうから、米国との交渉に一喜一憂するのではなく、自力で内需拡大する!この一手しかありません。

     だからデフレ脱却して日本人がたくさんお金を使えるようにして、日本で生産したものを買うだけでなく、貿易赤字になっても米国製品を買うというくらいに、日本が旺盛に消費できる環境を作るというのが、一番ベストな答えです。


    コメント
    コメントする








       

    calendar

    S M T W T F S
     123456
    78910111213
    14151617181920
    21222324252627
    28293031   
    << October 2018 >>

    スポンサーリンク

    ブログ村

    ブログランキング・にほんブログ村へ
    にほんブログ村

    recent comment

    • オプジーボが医療財政の大きな負担であるため保険の適用外にしたいと思っている財務省
      SSST. (10/13)
    • サムスン電子について
      故人凍死家 (09/26)
    • 財務省の役人は、なぜ緊縮財政なのか?
      吉住公洋 (09/26)
    • 生乳流通改革という欺瞞と、イギリスのミルク・マーケティング・ボード
      富山の大学生 (06/05)
    • オランダ人の物理学者、ヘイケ・カメルリング・オネス
      師子乃 (10/02)
    • オランダ人の物理学者、ヘイケ・カメルリング・オネス
      mikky (12/01)

    profile

    search this site.

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM