IR実施法案について(外資規制をかけないことによる問題点と海外のカジノで活躍するジャンケット問題)

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    JUGEMテーマ:公共事業の経済効果

     

     今日は、2018/07/20 21:30に参議院本会議で可決されたIR実施法案について、反対理由とイメージ図に触れながら、次の3つの順で論説したいと思います。

     

     

    1.マクロ経済的の観点から集まったお金以上に収益を上げることはできない

    2.外資規制がないことの問題点

    3.ジャンケット問題

     

     

     私はIR実施法案に反対の立場でした。理由は複数ありまして、前段として下記の通り私見を述べておきます。

    ●ゲーミング事業自体は付加価値がなく、マクロ経済的に利益がない

    ●ゲーミング事業は、パチンコや競馬や宝くじと同じで分配金には課税されず税収増にも貢献しない(下図の「カジノ参加者の分配金」を参照)

    ●ゲーミング事業で仮に分配金が少ない場合は、当選金が少なくなってギャンブルの魅力を失う

    ●もし、IR実施法案を通すのであれば、外国人客に絞り込むようにするか、カジノ事業者に外資規制をかけるべきである

     

     

    <IR施設におけるゲーミング事業・ゲーミング以外事業の収益イメージ>

     

     上図で「賭場の従業員」とは、ルーレットで球を入れる人だったり、ポーカーなどでトランプを配る人などです。「ゲーミング事業以外の人件費」とは、賭場で飲み物を販売したりプレイヤーに持ってきたりする接客する人や、ホテル従業員などです。

     

     

     

    1.マクロ経済的の観点から集まったお金以上に収益を上げることはできない

     

     マクロ経済的に収益を上げられないという理由は、上図イメージをご参照の通り、掛け金以上にカジノ事業者が利益を出すことができないからです。

     

     周辺事業でホテルや会議場運営で利益を出すとしても、ゲーミング事業をメインとして集客する施設と、ディズニーランドのようなエンターテイメント施設をメインとして集客する施設で比較した場合、後者は「カジノ参加者の分配金」というのがない分、集まった客が施設内で使ったお金は、すべて事業者の収益・従業員の人件費とすることができます。

     

     事業者の収益、従業員の人件費は、法人税・所得税の増収につながりますが、分配金は宝くじの当選金等と同様に非課税です。

     

     

     

    2.外資規制がないことの問題点

     

     日本のIR実施法案は、特にカジノ事業者に外資規制をかけていないことに加えて、カジノ事業者が貸金業を併用することができます。

     

     即ち、日本人客を相手にお金を貸し込み、ゲームで負けさせてさらにお金を貸し付けるということができます。

     

     もし外国人観光客のお金を巻き上げることが主目的であるとするならば、日本人の入場は制限されるべきでしょう。

     

     したがって、カジノを日本で作るとすれば、外資規制と日本人の入場者禁止もしくは入場料を10万円など高めの設定をして敷居を高くするべきです。

     

     カジノも文化の一つという考え方として許容するという考え方もありますが、日本に来日する外国人で、カジノを目的に日本に来る人は、どれだけいるでしょうか?

     

     開業してみなければわからないとはいえ、近場ということでいえば中国人がたくさん来る可能性が十分にあり得ます。中国人はギャンブル好きで、実際にマカオのカジノでは大部分が中国人です。

     

     週刊ダイヤモンドの2018/05/18付掲載の「中国大陸客に乗っ取られたマカオ、日本のカジノも同じ轍か?」によれば、マカオの「ギャラクシーマカオ」のプレイヤーの約75%が中国大陸客であるとのこと。シンガポールや韓国のカジノも中国人が大半を占めるとのことです。

     

     何が言いたいか?といえば、外資規制をかけず海外のカジノ事業者が日本人からお金をむしり取るのか、それとも大量の中国人を来日させるのか?どっちも私の価値観では反対であるということです。

     

     外資規制をかけて日本のカジノ事業者が、カジノ事業を運営したとして、大量の中国人がゲームで負けて借金を作ったとして、取り立てることができるのでしょうか?取り立てができなければ、貸金業者の損失となります。

     

     取り立てるにしても、中国に乗り込んで取り立てるのでしょうか?

     

     外資規制をかけないのも問題ですが、かといって外資規制をかけたとしても、こうした問題があるわけです。外資規制の有無は別にしても、日本のカジノもギャンブル好きな中国人客を切り離して考えることはできないでしょう。

     

     もし、「カジノの中国化」が始まると、中国資本が参入し、飲食店に高級中華料理店、ショッピングセンターのテナントには時計や宝飾品で埋められる可能性があります。

     

     私は、日本の国土の一部が「中国人のための賭博場」になるのは嫌です。仮に外資規制をかけて日本人の中間層からお金を取るとしても、同じ成長戦略であれば、普通にインフラ整備や将来の生産性向上のための科学技術投資のほうが、よっぽど将来の子供や孫の世代に感謝される贈り物になると思うのです。

     

     

     

    3.ジャンケット問題

     

     読者の皆様は「ジャンケット」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

     

     ジャンケットというのは、カジノで大口顧客をあっせんし、ゲーム運営の委託を受ける業者のことをいいます。実際にゲーム運営をするとなれば、マネーロンダリングや反社会的勢力の関与といった問題点があります。

     

     一応、政府のIR推進本部事務局によりますと、有識者会議に提出した資料の中で、カジノ業者がゲーム運営や掛け金の貸付といった「中核的な業務」を委託する行為を禁止する方針としており、ジャンケットの活動は大幅に制限されています。

     

     しかしながら、マカオのコンサルタント会社のベン・リー氏によれば、「ジャンケットの活動が認められなければカジノの収益は大幅に下がると予想し、運営業者の投資意欲も削がれる」と分析しています。またCSLA証券のシニアリサーチアナリストのジェイ・デフィバウ氏は、大口顧客をあっせんするジャンケット禁止は織り込み済みで日本のカジノ事業の成否は、日本人の中間層の顧客獲得こそ重要だとの認識を示しています。

     

     ジャンケットがマネーロンダリングや反社会的勢力関与で問題だから、ジャンケット活動を禁止して日本人の中間層を顧客のメインとすべきという論調は、まことにゲーミング事業でいかに収益を上げるか?という答えなのでしょう。

     

     とはいえ、マクロ経済的にゲーミング事業は付加価値がありませんし、毎月の給料が増えないデフレ化では、他の消費を削減してゲーム事業にお金を費消するということになります。本当にこれが経済成長になるのか?といわれれば、「国債増刷」と「政府支出増」が行われない限り、マクロ経済的には経済成長しないということになるのです。

     

     

     

     というわけで、今日は「IR実施法案について(外資規制をかけないことによる問題点と海外のカジノで活躍するジャンケット問題)」と題して論説しました。

     猛暑が続き、熱中症で亡くなる人も多い今年の夏ですが、どう考えてもIR法案を政府が成長戦略として率先して推進するとは、プライオリティが間違っていると言わざるを得ないと思うのは私だけなのでしょうか?

     普通に小中学校に国費で冷房設置するとかやれば、経済成長に資するだけでなく、デフレ脱却の一助となり、税収も増えます。しかも熱中症で死ぬ人が増えて、本来は制帽設置は急いでやるべきことです。

     本来自然災害大国の日本において、急がれるべきでしかも冷房設置や治水・治山事業といった政策自体が経済成長できるのに、それが無視されてカジノで経済成長などと主張する人は、経済の理論を全く理解していない愚民であるとしか言いようがないと、私は思うのです。

     

    〜関連記事〜

    カジノの経済効果について(宝くじとGDP3面等価の原則を考える!)

    カジノの入場料の議論と経済効果について


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