EUは、このままだと解体か?

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     今日は、「EUは、このままだと解体か?」と題して、論説します。

     

     EUといえば、2017年1月17日の英国メイ首相によるEU離脱宣言、スペインカタルーニャ独立問題、フランスにおけるマリーヌ・ルペン氏の台頭、イタリアの南アフリカ難民受入問題、ドイツのドイツ銀行危機とメルケル首相の支持率低下など、EUという体制を維持するにはネガティブなニュースが続いております。

     

     EUは、もともとフランス・ドイツ・イギリスという超大国に加え、イタリア・スペインといった周辺国が集合体となったという構造ですが、この構造そのものが弱体化しているというのが、現在のEUの状況であるといえます。

     

     例えば、ドイツ銀行の経営危機に関していえば、経営危機に陥っているドイツ銀行を、メルケル首相は救済する意思表示をすればいいのですが、かつて自らが他国の銀行の経営危機に対して、国家による救済は許さないとしてきたことから、簡単にドイツ銀行の救済ができない状況です。

     

     ドイツの危機がさらに表面化して、ドイツの危機が深まり、ドイツが瓦解すると、EUも瓦解せざるを得ないでしょう。

     

     また、メルケル政権が崩壊すれば、EUの指導力を持つ大国が消えることになります。短期的にはメルケル首相のような頑固な人がいなくなったほうが、銀行の救済をしやすくし、EU各国にとっては経済政策をやりやすくなってEUとしてまとまる可能性ががあります。

     

     とはいえ、中長期的には指導力を持つ国がいなくなることで、バラバラになっていくこともあり得ます。

     

     どちらに進むにせよ、EUは解体に向かう可能性が高いのでは?と思うのです。

     

     ドイツはEU内では大国であり、GDP的にも人口的にも一番の大国です。もう1つの大国であるイギリスがブレグジットで出ていくことで、EUは組織力・まとめる力が一気に小さくなります。

     

     最近ではトランプ大統領が、フランスのマクロン大統領に対して、「EUを離脱したらどうか?」と提案したことが話題になっています。マクロン大統領はEUと緊密に連携をとるとして、フランスの主権回復を訴えてEU離脱を主張するマリーヌ・ルペン氏と大統領選挙を争って当選しました。マクロン大統領としては、トランプ大統領にEU離脱の提案を受けたとしても、そう簡単に受け入れることはできないでしょう。

     

     ドイツ銀行の株価が下落して、それを買いざさえたのは、中国の海南航空を事業ベースとしている海航集団でした。そして、フォルクスワーゲンの不正排ガス問題でみた場合、フォルクスワーゲンのメインバンクはドイツ銀行です。

     

     ドイツ銀行がおかしくなった場合、フォルクスワーゲンの経営もおかしくなり、世界最大の部品企業であるボッシュの経営もおかしくなって、結果的に中国の製造業の基盤も壊れるというリンク構造があります。

     

     世界経済を考えれば、リーマンショックのような事件が起きる兆候ともいえる事象が既に目の前にあり、メルケル首相はドイツ銀行の救済を急ぐべきなのですが、メルケル首相に救済の意思表示がないため、ドイツ銀行株が株式市場で売られているという状況が

    続いています。

     

     救済しない場合は、中国の経済まで壊れるという波及リスクもあるため、救済以外はどうしようもないのです。

     

     ドイツ銀行の2017年12月末での総資産は、世界金融機関ランキングで17位です。

     

    <世界の金融機関の総資産ランキング(2017年12月末時点)>

     

     上表の通り、17位に位置するドイツ銀行の総資産額は1兆7,668億ドルです。

     

     これは、ゆうちょ銀行1兆8,735億ドル(13位)、みずほフィナンシャルグループ1兆8,501億ドル(14位)、三井住友フィナンシャルグループ1兆8,474億ドル(15位)といった日本の金融機関1行に匹敵します。日本における有力な金融機関1行が経営破綻となれば、これは大変なことで世界経済へ大きな影響があるレベルの規模です。

     

     そして、ドイツ銀行に資金を貸しているアメリカの銀行や、日本の銀行もあります。

     

     こうした構造を踏まえますと、国際金融的に怖いのは、システミックリスクとカウンターパーティーリスクの2つのリスクです。

     例えばドイツ銀行の取引相手、取引銀行のリスクであり、それが連鎖するシステムのリスクです。

     

     このリスクをどうやって排除していくべきか?これをやらないとリーマンショックのような金融危機の発生が現実のものとなる可能性があります。

     

     米国のトランプ大統領のグラス・スティーガル法復活は、商業銀行業務と投資銀行業務の併用を規制することを目的にしていますが、米国の銀行の経営リスクを未然に防ぐという意味で、理に適っています。

     

     米国に限らず、他国もこうしたリスクを認識しながら対策をとる必要があります。なぜならば、放置した場合、実際に金融危機が発生したときのダメージが大きくなるからです。

     

     

     

     というわけで、「EUは、このままだと解体か?」と題して論説しました。日本の場合、需要削減の消費増税8%→10%がスケジュール化されていますが、リーマンショッククラスの問題が発生したら、消費増税しない可能性があります。

     とはいえ、そうなったとしても、それは付け焼刃的な発想であり、もともとのプライマリーバランス黒字化目標が残っている限り、常に消費増税しなければならないという発想から抜けきることはできないでしょう。

     インフレで物価上昇を抑制する必要があるのであれば、消費増税も選択肢の一つとしてあり得ますが、日本はデフレですのでインフレ対策ではなく、デフレ対策が必要です。

     具体的にいえば、「国債増刷」と「政府支出増」の2つの組み合わせなのですが、いつからこの組み合わせに舵を切るのか?EU解体や中国の台頭といった世界情勢を踏まえれば、早く日本を外需依存を引き下げ、国内需要主導の経済にしていく必要があると、私は思うのです。

     


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