ドイツ銀行の経営危機で、メルケル首相に強烈なブーメランが炸裂!

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     前回は「ドイツで起きている2つの問題」ということで論説しましたが、今日は2つの問題の中でもドイツ銀行の経営危機に焦点を絞って、CoCo債という仕組み債を発行したことで、経営が深刻な状況になっていることをお伝えしたいと思います。

     

     少し古い記事ですが、ブルームバーグが2018年3月27日に取り上げたドイツ銀行のCoCo債リスクについての記事をご紹介します。

     

    『ブルームバーグ 2018年3月27日 15:35 JST ドイツ連銀がCoCoのリスク警告−トリガー発動なら投資家動揺も

     欧州を中心に発行されてきた偶発転換社債(通称CoCo)は、金融機関が苦境に置かれた際に損失吸収に充当し、公的資金による救済を回避する目的で金融危機後に考案された。銀行の健全性の向上に寄与するはずだったが、新たな危機を引き起こす結果となる恐れがある。

     市場規模が1786億ユーロ(約23兆5000億円)相当に上るCoCoは、ほぼ試練に遭うことのない状態がこれまで続いてきた。ドイツ連邦銀行の3月の月報によれば、規模が拡大する場合は特にそうだが、一定の条件の下で株式に転換されることなどを定めたトリガー条項が実際に発動されれば、投資家を動揺させ、他の金融機関の安定を損なうこともあり得る。

     2016年にはドイツ銀行によるCoCoのクーポン支払い能力を一部のアナリストが疑問視し、投資家は似たような状況を少し経験した。クーポンの支払いは行われたが、不安に駆られた顧客がビジネスを他の取引先に移し、ドイツ銀の収入減少につながった。

     CoCoは発行体の自己資本比率があらかじめ定められた水準を下回った場合、株式への転換や元本の削減が行われるほか、発行体の裁量でクーポンの支払いを停止することもできる。自己資本トリガーの発動基準は現在、CET1(普通株式等ティア1)比率で5.125%に設定されているが、発動を容易にするために欧州の監督当局は引き上げを検討すべきだとドイツ連銀は主張した。』

     

     

     上述のブルームバーグの記事ですが、欧州の金融機関を中心に発行されたCoCo債についてリスクが大きいと警告しているニュースです。

     

     リーマンショック、サブプライムローンショックが発生した際、米国の金融機関は倒産を防ぐために、保有資産の売却を推進しました。ついでに投資銀行業務も縮小させていきました。日本では銀行業務、証券業務は、本体で併営することができません。即ち銀証ファイアーウォールというものがありますが、米国は銀行が証券業務を併用することができます。

     

     投資銀行業務とは証券業務といい、商業銀行業務のことを銀行業務といいます。日本では、みずほ銀行が証券業務を行うことはできないため、みずほ証券という証券会社があります。三井住友銀行でいえば、日興コーディアル証券が証券業務をやっており、日興コーディアル証券は、SMBCグループの一員です。三菱UFJ銀行の場合は、三菱UFJモルガンスタンレー証券が証券業務をやっています。このように日本では商業銀行が投資銀行業務を行うことができないのですが、米国では可能となっています。

     

     銀証ファイアーウォールというのは、銀行が集めた預金で証券業務と行えるとなると、リスクの高い金融商品を買うことがあり得ます。そうしたリスクの高い金融商品に手を出すことで、万一その金融商品が紙くずとなった場合に、預金が戻らなくなる可能性が

    あるため、規制しているものです。

     

     米国国内では、かつてグラス・スティーガル法という法律によって、銀証ファイアーウォールがあったのですが、クリントン大統領が1999年に廃止法案に署名し、商業銀行が投資銀行業務を併営できるようになっているのです。これは日本でいえば、三菱UFJ銀行や三井住友銀行、みずほ銀行などの銀行が直接証券業務ができるようになったことを意味します。預金をリスクの高い有価証券に投資することが可能になり、銀行のリスクが高まることから日本では銀証分離を基本としていましたが、業務分野の規制緩和により、子会社方式での相互参入が認められています。(子会社方式での相互参入の例:みずほ銀行とみずほ証券、三菱東京銀行と三菱UFJモルガンスタンレー証券など)

     

     トランプ大統領は、グラス・スティーガル法を復活させて規制すべきであると主張していますが、米国では今後どうなるか?私は注目しています。

     

     ドイツ銀行の話に戻しましょう。

     

     リーマンショック、サブプライムローンショック発生時に、米国の金融機関は資産売却を進める一方、その資産を逆に買い向かったのがドイツ銀行です。

     

     米国の銀行が規模縮小する中で、逆にドイツ銀行は規模拡大を図りました。今、この時の規模拡大の方法に、大きな問題があったと言われているのです。

     

     米国とは異なり、欧州ではリーマンショック発生時に、資産の時価評価を放棄するという手法を取り入れました。時価評価を放棄するとは、本来であれば保有資産が価格下落で毀損しているにもかかわらず、その評価損を表に出さないで簿価などで評価することを意味します。

     

     欧州の金融機関は、この手法で損失を表面化させることはなかったものの、不良債権を資産内に抱えたまま業務を拡大していきました。

     

     特にドイツ銀行の場合は、米国が売った資産をどんどん買収していきました。本来、必要な資本増強もCoCo債を発行して、ごまかしてきたのですが、この時の本質的な問題解決をしなかったすべての問題が、今表面化してきているという状況なのです。

     

     CoCo債発行の問題自体は、2016年に指摘されており、2年前にドイツ銀行の株価は暴落しました。この暴落したドイツ銀行の株式を買い支えるために出資したのは、中国の海航集団で、HNAインフラストラクチャー(香港株で証券コード:0357)という企業のグループです。海航集団は、海南航空というエアライン事業がベースですが、その海航集団がドイツ銀行を買収したのでした。

     

     今、ドイツ銀行の筆頭株主は、その海航集団です。ところが海航集団もまた11兆円もの巨大な有利子負債を抱え、2018/07/04にはナンバー2がフランスで事故死するなどの混乱もあって国有化の危機になっています。つまりドイツ銀行の筆頭株主が新たな出資ができる状況ではないのです。

     

     この状況であれば、本来ドイツ銀行は規模縮小をするべきですが、保有資産を売却や、融資の貸し剥がしをした場合、高値掴みしたものを投げ売る必要があって、損失が表面化します。

     

     その際、資本増強することも可能なのですが、過去にCoCo債というリスクの高い資金調達をしてきたため、増資で一株当たり利益希薄化によって株価が下がると、どんどん暴落してしまう可能性があるのです。

     

     本来ならば、ドイツ政府やEUが救済に走るべき状況です。ところが、ドイツのメルケル首相は、かつてリーマンショック、サブプライムローンショックのとき、EU域内のドイツ国外の他国の経営に陥った銀行に対して、「国による救済は許されない!まかりならん!」と言っていました。

     

     そのため、メルケル首相としても、ドイツ銀行が瀕死の経営危機に陥ったとしても、手出しができる状態ではありません。他国の銀行に対して「政府の救済は許さない!まかりならん!」と言ってきたメルケルにとって、まさにブーメランとなってメルケル首相を襲ってきたと言えるでしょう。

     

     

     というわけで、今日はドイツ銀行の経営危機についてお伝えしました。EUと経済連携協定を交わした安倍総理ですが、EU発のリーマンショックのようなものが発生する可能性があるため、外需に頼るのではなく、内需に頼る政策をとるべきであると考えます。具体的には、日本国内のインフラ整備をはじめとする内需拡大であり、政府支出増です。

     ドイツ銀行の危機は、中国の海航集団も絡み、解決は難しいでしょう。やがてEUは解体するかもしれません。となれば、7/17にEUとEPA(経済連携協定)に署名した安倍首相ではありますが、そもそもEUと経済の振興を今以上に深めていくこと自体、先行き日本にリスクとなってくるのではないか?と、私は思うのです。

     

    〜関連記事〜

    CoCo債(偶発転換社債)という資金調達手法

    トランプ大統領が検討するグラススティーガル法(銀行法の通称)の復活について


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