本当は経済成長していないのに実質GDPがプラスになってしまう現象について

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    JUGEMテーマ:デフレ・インフレ

     

     今日は、「本当は経済成長していないのに実質GDPがプラスになってしまう現象について」と題し、論説します。

     

     7/17(火)以降に、2018年度第2四半期のGDPの1次速報が発表されるでしょう。日本経済は経済成長しているのか否か?それを見極めるために、改めてGDPについて取り上げます。

     

     下記は、内閣府ホームページのGDP(実質・名目)成長率の直近(2017年第1四半期〜2018年第1四半期)における推移です。

     

    <GDP成長率とGDPデフレーター(季節調整済み前期比)> 

     

    (出典:内閣府ホームページの2018年度第1四半期GDP速報の資料から抜粋)

     

     

     

     上記の通りですが、2018年度第1四半期のGDPは実質、名目ともにマイナスでした。その一方で、2017年度は4四半期ともプラスです。特に実質GDPが4四半期プラスになっているので、日本経済は経済成長していると思われがちです。

     

     そもそも「経済成長」という言葉の定義ですが、私は「実質GDPがプラスになること」と定義して問題ないと考えます。なぜならばGDPは国内総生産を意味しますが、GDP3面等価の原則により、生産=支出=所得となるため、GDPの成長=所得の成長であるため、”豊かになっている”と考えられるからです。

     

     一方で、GDPデフレーターは、2017年度の第2四半期、第3四半期こそプラスですが、第1四半期、第4四半期はマイナスです。改めて「実質GDP」「名目GDP」「GDPデフレーター」について整理してみましょう。

     

     

    <ケーススタディ>

    ●1000円の物・サービスを提供している

    ●2017年度1000円の物・サービスが、1000円で10個(10回)買われた

    ●2018年度1000円の物・サービスが、1100円で10個(10回)買われた

     

     このケーススタディを統括しますと、

    1000円×10個=10000円(2017年度名目GDP)

    1100円×10個=11000円(2018年度名目GDP)

    生産単価が1000円→1100円と物価上昇し、名目GDP成長率は、11000円÷10000円=△10%となります。

    物価は上昇しましたが、生産量は10個で増えていません。

     

     実質GDPは、直接統計把握することができません。そのため、名目GDPから物価上昇率を差し引いて算出します。算出の際に使われる物価上昇率は、GDPデフレーターを使います。GDPデフレーターは、定点観測した物価の推移をみる方法で統計把握します。ケーススタディでは「1100円÷1000円」で、GDPデフレータ−=△10% となります。

     

     実際に差し引いて計算するとどうなるでしょうか?

     

     実質GDP成長率=△10%(名目GDP成長率)−△10%(物価上昇率)=0%

     

     ケーススタディでは、実質GDP成長率0%となります。

     

     

     

     では、上述の内閣府ホームページから引用した「2018年1〜3月期四半期別GDP速報(1次速報)」の数字を拾って、実際に計算してみると下記のとおりです。

     

     2017年1〜3月期 実質GDP成長率△0.7≒名目GDP成長率△0.1−GDPデフレーター▲0.5

     2017年4〜6月期 実質GDP成長率△0.5≒名目GDP成長率△0.9−GDPデフレーター△0.4

     2017年7〜9月期 実質GDP成長率△0.5≒名目GDP成長率△0.8−GDPデフレーター△0.2

     2017年10〜12月期 実質GDP成長率△0.1≒名目GDP成長率△0.1−GDPデフレーター▲0.0

     2018年1〜3月期 実質GDP成長率▲0.2≒名目GDP成長率▲0.4−GDPデフレーター▲0.2

     

     

     物価が上昇しているか否か?みる指標としては、GDPデフレーター以外では、コアコアCPI(生鮮食品・エネルギーの価格変動を除いた物価指数)があります。GDPデフレーターでみた場合、2017年1〜3月期▲0.6、2018年1〜3月期▲0.2で、デフレ脱却ができていないということが一目でわかります。

     

     また、2017年10〜12月期のGDPデフレーターは、グラフでは0.0となっていますが、小数点四捨五入の影響で、▲0.0が正しいです。左辺と右辺の数値が一致しないのは、小数点四捨五入の影響とお考え下さい。

     

     

     2017年10〜12月期の実質GDP成長率は△0.18で、8期連続経済成長達成とマスコミが報じました。ところが、2017年10〜12月期や、2017年1〜3月期をみてお分かりの通り、GDPデフレーターはマイナスです。GDPデフレーターがマイナスである以上、デフレ脱却とはいえません。

     

     2018年1〜3月期の数字は、特にひどいと思うのは、名目GDPもマイナス、GDPデフレーターもマイナスです。賃金も下がり、物価も上昇しているということですので、インフレになっているとは言えません。経済成長しているとはいえません。

     

     政府が最終的に目指すべきゴールは、実質GDPが成長し、物価上昇によって名目GDPが実質GDPよりも大きく拡大することです。2017年4〜6月期、7〜9月期は、そうなっています。この状況は、物価も上昇しているが、賃金はそれ以上に上昇しているということになるため、豊かになっていることが実感できるのです。

     

     

     

     というわけで、今日は改めて実質GDP、名目GDP、GDPデフレーターについて述べました。

     実質GDPがプラスになっているからといって、デフレ脱却ができていると判断するのは早計です。例えば、「実質GDP成長率△0.2=名目GDP成長率▲0.1−GDPデフレーター▲0.3」という状況を考えてみてください。この場合は、賃金の下落以上に物価が下落しているということになります。これで実質GDP成長率△0.2だからといって、豊かさを実感できるか?といわれれば、賃金が下落しているのでそうは思わないでしょう。ところが、物価がそれ以上に下落しているため、物・サービスを多く買うことは可能です。

     スーパーや百貨店の総菜売り場でいえば半額になる時間帯を狙って買う、家電製品も安くなったところを買う、こうしたことを消費者が続けていれば、「実質GDP成長率△0.2=名目GDP成長率▲0.1−GDPデフレーター▲0.3」という状況になります。この状況は、少なくても経済成長している、豊かさを実感しているということにはならないわけです。

     経済指標の見方を私たち一般市民が知ることで、経済学者やアナリスト・エコノミスト、国会議員らがデタラメを論説しているということを見抜くことができるようになります。

     ぜひ、GDPやGDPデフレーターについて、ご理解を深めていただきたく思います。

     

     

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