老人ホームの整備が進まない理由について

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     今日は介護をテーマに取り上げます。

     

     下記は2018/07/05付朝刊の日本経済新聞の記事です。 

     

    『2018/07/05 日本経済新聞 老人ホーム 整備進まず 特養、計画3割未達 本社調査 事業者・人材が不足

     2015〜17年度に全国で整備された特別養護老人ホーム(特養)が、計画の7割にあたる4万5000床にとどまったことが日本経済新聞の調査で分かった。地価や建設費が高騰し、介護人材も不足している。政府は特養の待機者を20年代初頭までに解消する目標を掲げるが、自治体による今後の新設計画も縮小しており、実現は見通せない。
     介護サービスの整備計画は自治体が3年ごとに策定する。調査は全国1571の自治体・団体の計画をまとめている都道府県に「15〜17年度の整備計画と実績」と「今期(18〜20年度)の計画」を聞いた。今期と前期を比較できる43都道府県分を集計した。
     15〜17年度の計画は全国で約6万床。うち37都道府県で1万5千床の整備が進まなかった。厚生労働省が17年に発表した特養待機者は36万6千人(うち要介護3以上、在宅者は12万3千人)。介護費用の膨張などを背景に入所条件を厳しくしたため、前回の13年調査と比べると3割減ったが、なお高止まりしている。
     計画未達の理由で、全国で共通したのは「事業者が集まらない」「介護人材が不足している」。15年度に介護報酬が引き下げられたことに加え、人手不足による賃上げなどが収益を圧迫。「建設自体を控える事業者が多い」という。
    都市部を中心に「用地確保が困難」(東京都・神奈川県・大阪府)、「建設費の高騰」(東京都・兵庫県・福岡県など)と答えた自治体も多い。
     東京都は計7200床の整備を計画したが、新設できたのは4400床。都は「20年の東京五輪を控え、土地の確保すら難しい。整備を促す独自の補助制度を拡充しているが、場所がなければどうしようもない」と話す。大阪府も期間中に整備できたのは当初計画の7割だった。
     職員不足や将来の人口減を見据え、収益悪化の懸念が強くなってきたことも整備が進まない要因のひとつだ。徳島県阿南市は「16年に2回にわたり事業者を公募したが、予定した地域への応募はゼロだった」。整備の実績が計画の5割にとどまった富山県も「介護職員の確保が難しく、計画期間中の整備を中止した例があった」という。(後略)』

     

     

     計画未達の理由として、全国で共通しているのは、事業者が集まらず、介護人材が不足しているというのが理由で老人ホームの整備が進んでいないということです。

     

     介護は、少子高齢化が進む日本においては「需要>供給」のインフレギャップ幅が大きくなる環境にある事業です。実需が大きいのですが、プライマリーバランス黒字化があるために医療介護費を削減するということをやっているため、名目需要が抑制されています。

     

     実需が大きく、名目需要が抑制されるというのは、どういう状況か?と申しますと、案件が多くて忙しいけど単価が伸び悩んでもしくは単価が低下して稼げないということです。ブラック企業化しやすいともいえます。

     案件が多くて忙しても単価が高くて稼げるのであれば、いくらでも事業者は出てくるでしょうし、従事する人々も増加するでしょう。

     

     ところが介護事業の平均年収は月収ベースで平均よりも10万ほど低いといわれています。これでは人生設計が成り立たず、しかも忙しくて仕事がハードで他業界よりも稼げないとなれば、わざわざ介護業界に従事しようなどという人は、減ることはあっても増えることはありません。

     

     事業者からみた場合、採算が取れないというわけですが、もともと日本の介護事業は民間事業で行っており、日本政府が自治体に対して補助金を支出しています。その補助金が十分に手厚ければ、当然ながら事業は黒字化します。うまみのある事業となります。 事業者が集まらないということはあり得ません。

     

     この老人ホームが進まないという状況となる大きな原因は、プライマリーバランス黒字化を企てる財務省や政府の緊縮的な態度にあります。

     

     本当に老人ホームの整備を進めたいならば、計画を立てるだけではなく、手厚い補助金制度を作ればいいだけの話です。それが不足しているから、ここまでも進まないという状況になっているのです。

     

     テレビ新聞のマスコミは、そうした書き方をしていませんが、明らかにそれが理由です。

     

     東京都の場合は、2020年に東京オリンピック・パラリンピックを控えて、土地の確保が難しく、介護報酬引き下げに加え、人手不足による賃上げが収益を圧迫していることもあり、建設自体を控えるという事業者が増えているという状況です。

     

     介護は海外では、建設と運営を分離し、建設は公共事業で行って、運営は民間事業がやるとしている国もある一方、北欧のスウェーデンは、建設も運営も公共事業でやっています。

     

     公務員として介護職員を雇用する例もある中、ほぼ純然たる民間事業で建設も運営も行って、一部だけちょこっと補助金を出すというのが日本のやり方なのですが、これでは老人ホームの建設が進むはずがありません。

     

     

     というわけで、今日は介護をテーマに論説しました。ここでもプライマリーバランス黒字化があるために、介護費を削減し、名目需要を削減しているのです。マスコミも「増え続ける介護費」などとして問題視する論説が目立ちますが、介護費が増え続けて何が問題なのでしょうか?マクロ経済的にいえば、「介護費が増える=需要が増える」であり、外国人労働者を雇用するのではなく、一人当たりの生産性向上によって増える需要を満たせば、それが経済成長になるのです。

     にもかかわらず、無駄削減とばかりに、緊縮財政なんてやっているから、いつまで経ってもGDPが500兆円前後で伸び悩む。日本のGDP過去20年間伸び悩んでいるのですが、1997年に橋本内閣が財政構造改革基本法を制定さえしなければ、今頃はGDPで1500兆円程度にまでなっていたものといわれています。

     プライマリーバランス黒字化は、今年の財政の骨太方針で残ってしまいましたが、2019年度には破棄していただきたい、そう強く願っております。


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