西鉄バスが黒字路線を減便!

0

    JUGEMテーマ:経済成長

    JUGEMテーマ:経済全般

    JUGEMテーマ:公共事業の経済効果

    JUGEMテーマ:道路・交通のフリートーク

     

     今日は、2018/06/27にNHKのNewsUpで取り上げられた九州・西鉄バスの黒字路線減便について論説します。

     

     下記は、NHK News WEBからの抜粋です。

    『NHK News WEB 2018/06/22 もう維持できません

     「最近、バスの本数が減ったなぁ」と感じること、ありませんか。「何をいまさら…」と感じる方もいるかと思いますが、調べてみると、たしかに今、バス業界では大きな異変が起きていました。それも大都市部で。しかも、このままなにも手を打たないでいると、かなり深刻な事態になりそうなんです。
    (宮崎放送局記者 牧野慎太朗・ネットワーク報道部記者 後藤岳彦・おはよう日本ディレクター 北條泰成)

     

     

    乗っている人が多いのに…

     

     

     ことし2月、福岡県民に衝撃が走りました。あの、日本最大規模のバス会社が大規模な減便を発表したのです。
     その会社とは「西鉄」の愛称で福岡県民に親しまれている「西日本鉄道」。何に衝撃を受けたかというと、その対象路線でした。これまでバス路線の見直しと言えば地方の赤字路線が「定番」でしたが今回の対象は福岡市中心部。それも、屋台が立ち並ぶ「中洲」を中心に「天神」や「博多駅」などを結ぶ、1日平均8000人が利用する黒字路線でした。
     会社はいわば“バスの山手線”のような「循環ルート」を縮小し、便数を大幅に減らしました。
     さらに残業や飲み会で遅くなったサラリーマンなどの心強い味方だった「深夜バス」。会社にとっても、日中の2倍の料金を稼げ、いわば“ドル箱路線”でしたが、11路線すべてを廃止しました。
     利用者への影響も大きく、「アテにしていたのに、仕事や飲み会で遅くなったとき、本当に困る」(会社員)、「バイトを早く切り上げないといけなくなった」(女子大学生)と悲鳴のような声があがっています。
    しかし、会社はなぜ、利用者にとっても会社にとってもメリットの大きい、中心部の、しかも黒字路線で路線の見直しに踏みきったのでしょうか。
    バス業界でも深刻・・・
     そこで会社を訪ね、担当者にその理由を聞いてみました。取材に応じてくれたのは西日本鉄道の清水信彦自動車事業本部長。その答えは、「運転手不足」とのことでした。やはりここでも担い手不足が深刻なようです。
    西鉄では、見直し前には1日20人の運転手が不足していて、慢性的な人手不足に陥っていました。

     通常の運行でさえ運転手の確保が大変なのに、日常的にプロ野球や有名アーティストのコンサートなどで臨時バスの運行業務が発生。運転手たちに残業や休日出勤をお願いして、なんとか運転手のやりくりをしていましたが、こうした勤務を理由に離職する人が増加傾向になったといいます。

     そこで路線の見直しに踏みきることにしましたが、会社は公共交通機関として便数が少ない郊外の赤字路線を減らすと、さすがに利用者への影響が大きいのではないかと考えたそうです。そこで、中心部の黒字路線を減らす「苦渋の決断」をしたと言います。

     「状況を改善しないと、さらに大規模な路線の見直しが必要になりバス事業全体が壊れてしまうという危機感を持っていた」(西日本鉄道 清水自動車事業本部長)(後略)』
       
     上述の通り、西鉄の愛称で福岡県民に親しまれている西日本鉄道が、黒字路線を減便したという記事です。従来は、バス路線の見直しというと、地方の赤字路線だったのですが、西日本鉄道は黒字路線を減便しました。
     人手不足のため、儲かる場所でも路線を廃止するということで、西日本鉄道としてみれば儲けが無くなることになりますが、それ以前の問題として、こうしたバス路線というのは公共サービスです。公共性が強いため、その路線の沿線の足が無くなるという状況になります。結果、仕方なく自家用車を使わざるを得なくなり、渋滞が増えてCO2排出量も増え、地球環境負荷が高くなるというロクでもない話です。
     そもそも、なんでこんなことになっているのか?といえば、賃金が安いからです。
     もともとバスの運転手というのは、残業時間が長く、他の業界に比べて残業時間は3倍にもなると言われています。にもかかわらず、残業が3倍なのに平均賃金(=年収)は1割ほど少ないのが実情。だから他の業界より苦しい業界で、しかも免許が必要です。バス運転するために特殊な技術が必要です。
     賃金が安いうえに、残業が他業界よりも3倍多く、特殊な技能がいるとなれば、学校卒業した新卒者らがバス運転手という職業を選ぶ必要はありません。人が集まらないのは、ある意味で当たり前といえるでしょう。
     下記は国交省が実施したバス会社とバス運転手を対象にしたアンケートで、バス運転手の労働時間等についてのアンケート結果の概要です。
    (出典:国交省実施のアンケート)
     バス運転手からは下記の意見があるようです。
    ・通勤時間、食事や入浴にかかる時間を考慮すると睡眠時間が短くなる
    ・通勤時間を除いた在宅時間が10時間程度あるとよい
    ・運行スケジュールの改善を行ってほしい(現状ではスケジュールから遅れる場合がある)
    ・法令上は問題がなくても休息時間が短く疲れがたまる
    ・昼夜混在勤務は疲れる(昼なら昼だけ、夜なら夜だけの運行のみがよい)
     上述のバス運転手の意見については、いろいろな考え方があると思いますが、1日当たりの拘束時間13時間以上は、労働基準法32条の1日8時間以上労働させてはいけないということで、残業代が払われることになります。とはいえ、残業代以外の賃金が他の業界よりも安ければ、即ち年収ベースで他の業界よりも賃金が安いとするならば、他の業界に転職しようと考えるバス運転手がいてもおかしくないでしょう。
     もちろん他の業界に転職してすぐにその人材がパフォーマンスを発揮できるわけではありません。トラックドライバーにしろ、タクシードライバーにしろ、他の業界より賃金は安い。なぜならば、トラック業界は運賃自由化、参入規制緩和によって賃金が下がり続けましたし、タクシー業界についても許可制から事前届出制、最低保持台数60台→10台、営業所の車庫・所有→リースOK、導入車両が新車→中古車でOKと、規制緩和を続けました。この規制緩和は2002年に行われたものですが、折しも1997年の構造改革基本法制定以来、デフレ下に行われた規制緩和です。デフレとは、「需要<供給」という状態であるため、規制緩和で供給量を増やせば、デフレは一層深刻になります。結果、タクシードライバーの賃金も伸び悩むもしくは低下していくことになるわけです。 
     バス業界に少し話を戻しまして、もし、普通に賃金を高くすれば、普通に人が集まります。賃金をUPさせず、人が集まらないために結果、地域の公共交通の足が無くなるということは、とんでもなくアホな話です。
     また、国交省の全国のバス会社に行ったアンケートによれば、80%のバス会社が運転手のドライバーが不足していると回答しているとのこと。そのため、自動運転技術を活用して路線維持と収益化(収益維持)を狙う計画が各地で立てられているようです。とはいえ、自動運転技術を活用したバス普及自体、否定するつもりはありませんが、バスは乗客が乗る乗り物である以上、すぐに実用化するわけではありません。
     自動運転技術はトラックがまず最初です。なぜならば、トラックの場合、事故が起こさないようにすることは言うまでもありませんが、荷物を運ぶだけで乗客が死ぬわけではありません。バスの場合は乗客が死ぬため、なかなか進まないでしょう。
     そんな時間軸が不明な未来の話をするよりも、普通に賃金を上げればいいだけの話です。
     なぜ賃金が上げられないのか?といえば、赤字路線があってバス会社の経営が厳しいからです。赤字路線があって、バス会社の経営が厳しいから、経営戦略上賃金下げてコストカットをやっているという状態。それならば本来は黒字路線の廃止をしなければいいのです。
     賃金が上げられない状況ではなく、賃金を上げれば解決ができる話であり、賃金を上げればドライバーが集まって黒字路線も供給を継続でき、会社の収益も上がって経営戦略としては拡大しているということになります。
     近年は外国人観光客が増えたこともあり、バスの需要は年々高まっているとみられます。東京オリンピック・パラリンピックで、バスが選手や観客を会場まで運ぶ主要な交通手段ともなるでしょう。そう考えると、今後ますますドライバーの争奪戦が激しくなるものと考えられる一方、運送業界もドライバー不足に悩んでいました。
     運送業界は対応策として、リーディングカンパニーのヤマト運輸が値上げをし、これに他社も追随しました。その結果、運送業界は業績が急回復しました。
     こうした直近の運送業界の業績回復基調を考えれば、バス業界においても、賃金を上げれば黒字路線を維持すれば儲かり、業績回復する可能性は十分にあり得ます。
     そもそもバス会社が純然たる民間企業だけで運営されているという国家は、先進国では日本しかありません。鉄道も同様です。本来ならば、バスや鉄道のような公共交通は全部政府がやってもいいくらいの話です。民間の活力も一部入れるというくらいでもいいくらいです。
     先進国の中で日本だけが歪に完全に民間企業だけでやっているため、日本では経営戦略上賃金が上げられないという組織が多いわけですが、バス事業は公共性が極めて高いため、賃金に関しても公共的な機関の関与があってしかるべきと思うのです。
     今回、西鉄が黒字路線の減便という経営判断は、民間企業としては仕方ないかもしれません。とはいえ、賃金が上がってドライバーが集まるように政府が関与・手配をするべきです。また国交省もしっかりと関与すべきです。
     そういう意味で今回の西鉄の黒字路線減便のニュースは、国交省が守るべき地域のモビリティーサービスを確保するための対策を怠っていると言われても仕方がないと思うのです。
     というわけで、今日は西鉄の黒字路線減便について論説しました。
    〜関連記事〜

    コメント
    コメントする








       

    calendar

    S M T W T F S
        123
    45678910
    11121314151617
    18192021222324
    252627282930 
    << November 2018 >>

    スポンサーリンク

    ブログ村

    ブログランキング・にほんブログ村へ
    にほんブログ村

    selected entries

    recent comment

    • ハロウィーンは日本のお祭りとは違います!
      ユーロン (11/12)
    • オプジーボが医療財政の大きな負担であるため保険の適用外にしたいと思っている財務省
      SSST. (10/13)
    • サムスン電子について
      故人凍死家 (09/26)
    • 財務省の役人は、なぜ緊縮財政なのか?
      吉住公洋 (09/26)
    • 生乳流通改革という欺瞞と、イギリスのミルク・マーケティング・ボード
      富山の大学生 (06/05)
    • オランダ人の物理学者、ヘイケ・カメルリング・オネス
      師子乃 (10/02)
    • オランダ人の物理学者、ヘイケ・カメルリング・オネス
      mikky (12/01)

    profile

    search this site.

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM