「外国人様に来ていただく!」という発想で観光立国を目指すと、行き着く先は発展途上国化です!

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     今日は、”「外国人様に来ていただく!」という発想で観光立国を目指すと、行き着く先は発展途上国化です!”と題して、意見いたします。

     

     よく日本は少子高齢化で経済成長しないと言われます。私が日本を亡ぼす悪質なウソと思うのは以下の3つです。

    ●国の借金で財政破綻する

    ●少子高齢化で日本は経済成長しない

    ●公共事業は無駄である

     

     今回は2つ目の少子高齢化で経済成長しないから、消費が伸び悩むから外国人に来日していただき、お金を使っていただこうという発想について批判したいと思います。

     

     実際は、「日本は少子高齢化で消費が増えないから、外国人様に来ていただき、物を買っていただかなければいけない!」と思われている方、多いのではないでしょうか?

     

     これは発展途上国の発想です。発展途上国は、自国の需要が少ないのです。発展途上国に共通することは、自国で賄える分野が少なく、外資の技術を借りなければならなかったり、外貨不足により資金援助が必要だったりします。

     これは、技術力がない、お金がないということで、投資が蓄積されず、結果として自国で投資されないということになります。

     

     GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出(※)

    (※)純輸出=輸出−輸入

     

     技術力がないため、公共事業による投資をしようにも海外に頼る、民間企業にも政府にもお金がない、というダブルパンチで、政府支出も設備投資も増えません。そうなると当然、国内で投資や消費されないということで、個人消費が伸び悩みます。

     

     どれだけ人口が多くても、購買力が著しく低い状況では、人々は買い物ができません。発展途上国というのは、そういうものです。

     

     日本は発展途上国と比べて、購買力が著しく低いでしょうか?

     昨今はデフレが長期に渡って放置されて、消費増税などの影響により、エンゲル係数が上昇しています。確かに日本人の購買力は減少している面があるといえますが、それでも発展途上国と比べれば、一人当たりGDPは4万ドル超あります。

     食料自給率が17%程度と、OECD諸国でオランダに次いで2番目に低いという状況はあっても、資本財や消費財での高品質で圧倒的な供給力は、日本はまだまだ先進的であるといえるでしょう。

     

     そうした先進国である日本が不況や長くデフレを脱却できないでいるのは、単に緊縮財政をしているからです。緊縮財政さえ辞めて、積極財政に転ずれば、あっという間にデフレ脱却ができます。

     

     にもかかわらず、「積極財政をすれば財源はどうなるのか?借金をすれば将来世代にツケを残す!」という悪質なウソのために、積極財政ができないのです。

     

     その代わりといってはなんですが、外国人の訪日者数を増やそうという取り組みをしています。

     

     私は通勤電車に乗るのですが、最近は外国人が多いと思います。はっきり言って大きなスーツケースを持って、通勤時間帯に電車に乗ってくるのは邪魔です。

     でも都内はインフラが優れているから、アクセスに優れているから、都内に多くの外国人旅行者が訪れるのでしょう。

     

     インフラが優れている、アクセスに優れているというのは、東海道新幹線が通る京都・大阪と、高速鉄道がない山陰・四国を比べれば、明らかなこと。

     

     インフラが整備されなければ、日本人ですら訪れる人は少ないわけです。ところがインフラ整備といいますと、「公共事業は無駄だ!」ということになってしまいます。

     

     では、外国人訪日者を増やすと本当に経済成長するのでしょうか?下記のグラフをご覧ください。

     

     

     

    <旅行消費額の推移(2010年〜2017年)>

    (出典:観光庁)

     

     

     確かに訪日外国人旅行は、2017年度で4.4兆円と、2010年比で4倍になっています。とはいえ、4.4兆円です。日本のGDPを500兆円とすれば1%未満です。日本人の国内旅行は16兆円で、横ばいか微増という状況。

     本当は日本人の所得が増えれば、普通に日本人が旅行に行く人が増えるはずです。毎月の月給が増えない限り、消費を増やそうとする人はいません。デフレを脱却して毎月の給料が増えるようになる、即ち実質賃金が継続的に上昇していく環境になれば、おのずと日本人の旅行者も増えるでしょう。

     

     現在の日本の観光資源というのは、過去から日本国民が「生業」を維持し、そこに魅力を感じた「他の地域の日本国民」が訪れることで発展してきました。

     

     特に日本の場合は、江戸時代の幕藩体制で、様々な独自文化が各地域で発展し、魅力ある観光地となってきたのです。つまり日本の観光地は、違う地域の同じ日本国民をマーケットとすることで発展してきました。

     

     ではなぜ、日本国民が同じ日本国内の違う地域に観光できたのか?

     それは、それなりに裕福で所得を他の地域への訪問に費やす余裕があったからです。

     

     ところが、今の日本政府の観光立国は、日本国民の貧困化を放置し、外国人様に媚びを売ってお金を稼ぐというコンセプトになっています。「媚びを売る」というのは、交通案内板が英語だけでなく、中国語・韓国語で表示されていたり、高島屋などの百貨店がこぞって免税店を作って外国人に買っていただこうと、管内アナウンスまで英語以外に中国語・韓国語でアナウンスしていたりということが、まさに該当します。

     

     日本の観光サービスのマーケットの対象を外国人様とした場合、ひたすら衰退していくと言えるでしょう。何しろ外国人観光客に頼るというのは、需要を不安定化させるからです。

     

     多くの発展途上国が、先進国の外国人観光客に来ていただき、お金を落としていただこうとしているのは、発展途上国が技術力がなく外貨を稼げないから、手っ取り早く観光業で稼ごうとしているに他なりません。技術力や高品質な供給力というものは一朝一夕には確立しないからです。

     

     例えば日本でいえば沖縄県は観光資源が多く、実際に観光に力を入れています。明日食べていくのに観光業をやったとしても、観光業は収入が不安定です。技術力や高品質な製造業が地場産業で立ち上がったとしても、地政学の問題が出てきます。

     

     本当の意味での島国であるため、人の移動でいえば主な輸送手段は航空便でしかありません。船便はあるとはいえ、時間がかかってしまいます。だから本州に本社がある日本企業も、沖縄県に工場を出すというのは、ロジスティクス費用などがコストに乗るため、なかなか経営判断ができないでしょう。

     

     そのため、防衛安全保障の問題は横に置き、沖縄本島に米軍基地があるというだけで、観光業という収入が不安定な状況から、米軍基地に関連する安定した需要があるために、沖縄県民が豊かに暮らせるという側面があるのです。

     

     その一方で、本州は東京をはじめ、いろんな企業の本社だけでなく、工場などもあちこちにあります。供給力という点で、インフラ整備が進んでいる太平洋側を中心に人も集中し、政令都市や国際港湾なども太平洋側で圧倒的に多くあります。

     

     とはいえ、同じ本州でも日本海側は、やっと北陸新幹線が開通して、今もなお関空までの延伸工事をやっている状況。羽越新幹線や山陰新幹線は未だ未着手です。国際港湾も日本海側では新潟や博多しかありませんし、政令指定都市もまた新潟市と博多だけです。

     

     鳥取選出の石破茂衆議院議員からすれば、日本海側の人々は努力をしていないということなのでしょうか?石破に限らず、グローバリズムを是とする人々、都市部選出の国会議員ら、そうした考えの人が多い。だから日本政府は、インフラを整備せず老朽化を放置し、新たなインフラ整備を怠り、デフレを放置しても何とも思わない。

     

     結果、液晶の技術力のあるシャープは鴻海に買われ、DRAM専業のエルピーダメモリは破綻し、東芝が経営危機になっても他の製造メーカーがスポンサーとして名乗りを上げられず、技術力のある事業を分社化して海外に買われていく。そして「少子高齢化で日本は経済成長しない」として、外国人観光客にお金を落としていただこうと必死になる。言わば虎の子の供給力を毀損しても平気でいられ、みすみす需要が不安定で外交カードにされる可能性がある外国人に媚びを売って「外国人様!日本のおもてなしを受けに来てください!」と訪日を促す。

     

     これ、自ら発展途上国化していっているということに、国会議員の人たちは気付かないのでしょうか?

     

     

     というわけで、”「外国人様に来ていただく!」という発想で観光立国を目指すと、行き着く先は発展途上国化です!”と題して、論説しました。観光サービスは製造業と比べれば、需要のブレは大きい傾向にあります。

     韓国や台湾がやられたように、中国人に来ていただくという発想は、中国共産党に旅行中止という外交カードにされます。外交カードにされてカードを切られた韓国や台湾が観光業で大ダメージを受けたのは記憶に新しい。日本も爆買い規制で、新橋のヤマダ電機が閉店に追い込まれ、ヤマダ電機の社長が爆買いは需要のコアにならない旨の発言したことも記憶に新しい。

     最初に述べた3つのウソについて、ウソデタラメであることに気付いていただき、GDP3面等価の原則を理解すれば、外国人観光客に何ぞ頼らなくても、日本が経済成長できるということ理解することもできるのです。

     多くの人々に気付いていただきたい、ただ私はそう願うだけです。

     

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