サイバー攻撃への反撃は、通常兵器などによる物理的攻撃を受けた場合に限るそうです!

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    JUGEMテーマ:安全保障

     

     今日は、5/3に読売新聞で報じられたサイバー攻撃の反撃に対する我が国の自衛隊の対応について意見します。

     

     読売新聞の記事です。

    『読売新聞 2018/05/03 自衛隊、サイバー攻撃に反撃力を整備へ!

     政府は、自衛隊にサイバー攻撃への反撃能力を持たせる方向で調整に入った。
     反撃するのは、通常兵器などによる物理的な攻撃も受けた場合に限定する。敵の攻撃拠点となるサーバーに大量のデータを送りつけ、まひさせるDDoS(ディードス)攻撃を駆使する案が有力だ。政府は今年末にまとめる防衛政策の基本指針「防衛計画の大綱」への明記を検討している。
     政府はサイバー攻撃能力について、中期防衛力整備計画(2014〜18年度)に「相手方によるサイバー空間の利用を妨げる能力の保有の可能性についても視野に入れる」と記し、保有の可否を検討してきた。その結果、「国家の意思に基づく我が国に対する組織的・計画的な武力の行使」と認められるサイバー攻撃への反撃能力は、専守防衛の原則に矛盾しないと判断した。

     

     

     このニュースで考えさせられること、それは「自衛」とは何なのか?ということです。

     

     例えば、海から陸上に侵略してくるのを海上線で防衛するというのは大変分かりやすく、実際に日本の自衛隊はそうしたオペレーション訓練をしています。

     

     またミサイルに対する防衛でいえば、パトリオットミサイルで迎撃したり、イージス艦で迎撃するなど、これも理解しやすいです。

     

     ところがサイバー攻撃の場合は、物理的な攻撃は来ません。サイバー攻撃から自衛するためには、サイバー攻撃をしているITシステム自体に攻撃する以外、止める方法がありません。なぜならば、どれだけ防御したとしても、そのファイアーウォールを越えてくるのが、サイバー攻撃だからです。

     

     サイバー攻撃から日本を守るためには、サイバー攻撃能力を持つ以外にないでしょう。

     

     読売新聞の記事をみて、私が違和感を覚えるのは、自衛のための自衛隊だから軍隊ではないということなのか、通常兵器などによる物理的攻撃を受けた場合に限るという厳しい条件をつけるようです。即ち、戦争が始まってから初めてサイバー攻撃するということであり、これで本当に日本を守ることができるのか?という疑問を持つのです。

     

     もっともサイバー攻撃の定義が何なのか?今回は大量のデータを送り付けるDDos攻撃を駆使するとしていますが、既に海上での戦いにおいては、妨害電波を発するという方法がシミュレーションされています。

     

     その妨害電波のことを、ECM(Electronic Counter Measures)といい、電子的妨害装置と呼んでいます。

     ECMがどのように使われるのか?イージス艦「ひゅうが」を例にとってご紹介します。

     

    ●「ひゅうが」を中心に護衛艦と潜水艦で艦隊を組みます。

     

    ●艦隊の陣形の外側で、イージス艦から飛び立った対潜水艦ヘリコプターが、敵潜水艦を警戒して飛び回ります。

     

    ●「P-3C」哨戒機が、ソノブイを投下します。

    ソノブイとは、無線浮標で音波探知機と呼ばれるものです。

    音波探知機のソノブイにより、水面下に潜る敵潜水艦を捉えます。

     

    ●水中からも水上からも敵機が入れないように結界を作ります。

     

     

     

     

    この状態で、敵艦隊がはるか遠く、数百キロ離れた場所で敵艦隊がミサイルを発射したとします。

    これに対して、まず電子戦というのが始まります。

    このとき、まずはレーダーよりも先に「ECM」でミサイルの姿を捉えます。

    ミサイルを誘導している電波を数百マイルで探知できます。

     

    次にイージス艦のSPY-1レーダーが登場しまして、艦隊の目となります。

    その後「ECM」がパッシブモードという電波受信モードから、アクティブモードという電波発信モードに切り替わります。

     

    ●飛んでくるミサイルに対して「ECM」で強力な妨害電波を発して、そのミサイルに浴びせます。

     

    ●飛んでくるミサイルが「ECM」による妨害電波で水面にいきます。

     

    ●妨害電波の攻撃をすり抜けたミサイルがぐっと低空飛行となり、艦隊に向かって飛翔してきます。

    時速970km程の音速に迫るスピードで向かってきます。

    こうしたミサイルに対して、さらに妨害電波発信を続けますが、効かない場合、いよいよミサイルによる迎撃となります。

     

    ●艦隊が一斉に迎撃ミサイルを発射します。

     

    ●敵の攻撃ミサイルと、艦隊の迎撃ミサイルが互いに激突し合います。

     

    これらの「ECM」による妨害電波発射と、迎撃ミサイル攻撃は、あらかじめ護衛艦同士で役割を決めておきます。

    電子戦担当、ミサイル発射担当、対潜水艦担当といった具合です。

     

    ●ミサイルが20km圏内まで来たものは、主砲で迎撃します。

     

     主砲の準備して敵攻撃ミサイルに照準を合わせると、目標まで14000メートル程度という状況になります。

     大体1分程度で到着するという緊迫した状況です。

     主砲で撃ち落とした後、なお飛翔してくるミサイルに対しては、CIWS(Close In Weapon System)という至近距離で迎撃します。CIWSの有効射程は数キロに及びますが、超高速で迫るミサイルに対処できる時間は、およそ10秒程度と言われています。

     

    ●CIWSで迎撃しているとき、チャフと呼ばれるレーダー誘導のミサイルをかく乱させる防御兵器(煙幕のようなもの)を使って船体の回避行動も同時に取ります。

     

     もし、敵潜水艦がミサイルを撃ってきたら、今度は対潜水艦担当の護衛艦が迎撃ミサイルで迎撃し、同時に魚雷攻撃によって敵潜水艦を撃破します。

     

     これが現代の海上での戦闘です。かつて海上における戦争では、看板が厚くミサイルが一発被弾しても大丈夫なぐらいでした。現代の海上における戦争では、ミサイルを一発受けたら終わり。いかに敵のミサイルをレーダーで早く捉え、迎撃するか?という戦いなのです。

     

     こうしてみると、海上における戦闘として、「ECM」による妨害電波を発する行為が攻撃になるのか?と言われれば、敵ミサイル発射後なので自衛のためといえるでしょう。

     とはいえ、ミサイル発射後の電子戦ではなく、ミサイル発射前にサイバー攻撃を受け、上述のような防衛体制が取れなくなることは十分に考えられます。現在はシミュレーションでできることが、実践においてサイバー攻撃を受けてできなくなるということもあり得るのです。

     

     そう考えますと、物理的に攻撃を受けた場合に限って、サイバー攻撃ができるとする今回の検討は、間違っているのでは?と思います。具体的には、物理的攻撃を受けなくても、専守防衛でサイバー攻撃ができるようにするべきであると思うのは私だけでしょうか?

     

     

     というわけで、「我が国のサイバー攻撃の反撃は、通常兵器などによる物理的攻撃を受けた場合に限るそうです!」と題して、論説しました。

     最近の戦闘では、まず相手の機能を失わせるために、レーダーなどインターネットでつながっているものを全部麻痺させるということを実施します。それ以外では例えば、首都圏全体をブラックアウトさせたり、電源を遮断させるなど、こうしたことは普通にできる話です。

     これらの攻撃が通常の物理的攻撃でないというのならば、我が国は一回こうした攻撃を受けなければダメなの?ということになってしまいます。自衛権を持つということを、私たちは真剣に考える必要があると思うのです。


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