地方交付税というバッファーがない共通通貨ユーロの歪んだシステム

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    JUGEMテーマ:経済全般

     

     経済の原則の一つに、国際金融のトリレンマというものがあります。今日は「国際金融のトリレンマ」について解説し、ユーロが歪んだシステムであることを皆さんに知っていただきたく、私見を述べさせていただきます。

     

     

    1.国際金融のトリレンマとは?

     

     国際金融のトリレンマとは、次の3つ

    ・固定相場制

    ・資本移動の自由

    ・金融政策の放棄

    上記3つを同時に達成することは不可能という経済政策上の原則です。ユーロ加盟国が「共通通貨」を実現するには、各国が金融政策の独立を放棄し、為替レートを対ユーロ加盟国内どうしで固定相場にしなければなりません。

     

     実は日本では、次の3つは実現されています。

    ・固定相場制

    ・資本移動の自由

    ・金融政策の独立

     

     日本の各都道府県間では、通貨は「日本円」で統一されています。各都道府県間で固定相場制が実現している結果、東京の1円は、北海道の1円と同じ価値を持ちます。

     また日本国内では、各都道府県間の資本移動は当たり前に自由に移動できます。東京で預金した日本円は、大阪のATMで引き出すことができます。都道府県間を超えて「お金」を移動させても、何も問題ありません。

     さらに各都道府県は金融政策の自由を持っていません。中央の日本銀行に統合されています。日本銀行以外の「誰か」が日本円を発行した場合、その「誰か」は逮捕されます。また地方自治体に通貨発行権はありません。

     そして当たり前ですが、日本において都道府県の県境で「関税」をかけることは不可能です。日本国内は完全な「統一市場」ですので、日本国内において県境で「県税」をかけることはできません。

     

     

     

    2.生産性の違いを埋めることができない点がユーロの弱点

     

     このように考えますと、共通通貨ユーロが真の意味で「統一欧州国家」を作ろうとしていたことが理解できるかと思います。

    問題は、ユーロで言えば「各加盟国」、日本国内であれば「各都道府県」の生産性の違いです。

     生産性が異なる国同士が「統一市場」で関税や為替レートの変動といった「盾」なしで真っ向から競争すると、確実に勝者と敗者が生まれます。国家が統一市場で敗者になり、貿易赤字や経常収支の赤字が拡大して、それが続くと最終的には財政危機に陥ります。

     

     日本国内の場合、地域間の生産性の違いを補うために「地方交付税」などの仕組みが完備されています。圧倒的に生産性が高い東京などで国民が稼いだ所得から税金を徴収し、生産性が低い地方を中心に、地方交付税として分配されます。分配された地方は、その税金を使ってインフラ整備に使い、自らの生産性向上を目指すのです。

     

    <資料:ユーロ主要国の経常収支の推移(単位:十億ドル)>

     

     このような生産性の違いを埋める仕組みが共通通貨ユーロにはありません。結果的に生産性が高いドイツは、ユーロ発足後にひたすら対南欧諸国の貿易黒字、そして経常収支の黒字を積み重ねていきました。一方で、南欧諸国のギリシャやスペインやイタリアやポルトガルといった国々は、ドイツ、オランダの輸出攻勢に関税がかけられず、貿易赤字を積み上げ、経常収支を悪化させていったのです。

     

     <資料>をご覧いただければお分かりいただけると思いますが、直近ではドイツとオランダ以外の国は、経常収支が赤字です。本来、ユーロに加盟していなければ関税をかけ、「関税の税収で自国の産業を育成する」「政府支出により雇用を増やす」などにより、貿易収支の黒字化を目指し、経常収支の赤字を改善することができますが、ユーロ加盟国であるがために自国でそれを行うことができないのです。

     

     マクロ経済上、経常収支の赤字とは「対外純負債の増加」を意味します。日本は20169月末で対外純資産325兆円と世界最大の金持ち国ですが、経常収支が大幅黒字であり、その黒字を積み上げた結果です。

    原発を止めて貿易赤字となっても、海外に投資した配当やら貸し付けた利息やらを含めた所得収支が圧倒的に黒字のため、サービス収支、所得移転収支が赤字だったとしても、経常収支は毎年黒字です。

     

    経常収支=所得収支+貿易収支+サービス収支+所得移転収支

     

     高い生産性の日本やドイツ、オランダと比べて、生産性が低い南欧諸国は、関税なし為替レート固定となると自国市場を守ることができず、特にドイツとの生産性の違いを埋めることができないため、毎年着実に対外負債を積み上げていくようになります。

    その結果、最終的には財政危機に陥ってしまうのです。

     

     

     

    3.地方交付税という優れた仕組みについて

     

     ドイツが真の統一欧州国家というものを目指すのであれば、ドイツ国民が稼いだ所得から徴収した税金を、日本の地方交付税のように低生産性諸国に移転する仕組みが必要です。とはいえ、ドイツと南欧諸国はナショナリズムを共有していないため、国家間の大々的な所得の移転となる地方交付税のような分配は政治的に不可能であると思うのです。

    例えば「俺たちが頑張って稼いだのに、その稼いだ富をなんで他国のために分配しなければならないのだ!」と。

     

     前大阪市長の橋下徹などが維新八策として、また日本維新の会が道州制を日本に導入すべきとしていますが、こうした論説は、地方交付税を廃止して地方の税収で、自己責任で収支を管理するべきであるという主張であると、私は思っています。災害大国の我が国において、インフラ整備を自己責任として、地方交付税を廃止すれば、インフラが遅れている地方は、ますますインフラに投資するお金がないために整備が遅れます。結果首都直下型地震や南海トラフ地震で太平洋側を中心に大被害が起きても、インフラが遅れた地方の人々は支援をしたくても支援ができず、安全保障上問題が生じます。

     

     もともと日本は都道府県で、日の丸、国家、日本語という言語、ナショナリズムを共有しています。日本人どうし助け合うという発想がなければ、地震や噴火や津波や洪水水災や大雪災害から、生命の安全を保障することができません。そう考えれば「地方交付税なんてやめてしまえ!」という人は、いないでしょう。橋本徹やら日本維新の会が主張する道州制を導入すべきという考え方が如何に愚かか?ご理解できるのではないでしょうか?

     

     今日は共通通貨ユーロが如何に歪んだシステムであるか?を指摘させていただき、日本にはインフラの遅れた地域に地方交付税という仕組みがあることがどれだけ優れた仕組みであるか?を述べさせていただきました。

     

     

     

     

     


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