財政の骨太方針でプライマリーバランス黒字化目標を破棄できるか?(6月の財政の骨太方針に注目!)

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     GW直前とGW中、本業が多忙であったこと、チュニジアに視察・取材していたこと、が理由で記事が書けませんでした。昨日5/4にチュニジアから帰国しまして、今日は久しぶりに書きます。チュニジアの旅行記は後日掲載しますが、今日は「財政の骨太方針でプライマリーバランス黒字化目標を破棄できるか?」と題し、プライマリーバランスについて取り上げたいと思います。

     

     

     

     記事を1つ紹介します。今年の2月なので少し古い記事ですが、財務省職員って本当にマクロ経済・ミクロ経済について何ひとつ理解していない連中であることを示す記事です。

     

    『現代ビジネス 2018/02/10 日本の再高級官僚たちが極秘に明かした「世界でこれから起こること」米中は「価値観の競争」の時代に

     

     今週、外務省と財務省のトップ級高官と相次いで食事を交えて長時間、話す機会を得た。
     オフレコ懇談なので、当然ながら相手の名前を記すことはできない。
     だが、実に興味深い内容だったので、そのまま引用しないが概略を紹介したい。であれば、当該の高官も許してくれるはずだ。

     まず、外務省高官から。トランプ米政権についての分析が際立っていたので、以下箇条書きする。(中略)

     

     次は、財務省高官の話。先に安倍首相が発表した2019年10月予定の消費増税の税収使途変更と所得税の見直しについては熱弁を振るった。以下、発言要旨。

    (1)プライマリーバランス(基礎的財政収支)の2020年度黒字化という財政再建の達成時期を取り下げたが、安倍政権ではかなり思い切った歳出削減を進めている。
     過去2回大きな歳出削減を実行している。橋本龍太郎政権時に梶山静六官房長官主導で成立させた財政構造改革法には数字まで書き込んだ。また小泉純一郎政権では中川秀直政調会長主導で打ち出した「骨太改革2006」で10兆円超の歳出削減案が盛り込まれた。
    (2)安倍政権は、社会保障が占める割合は33%超の一般会計歳出のなかで、特に医療・介護制度の診療報酬と介護報酬の適正化を目指している。こうした歳出削減努力の一方で消費税率引き上げを同時に実施したのは橋本政権と安倍政権だけだ。

    (3)金融市場関係者が注目する日銀の黒田東彦総裁の再任はほぼ間違いないと思うが、焦点の副総裁人事は雨宮正佳理事の昇格は確定的だとして、残る1人はご本人に意欲がある本田悦朗駐スイス大使(旧大蔵省出身・前内閣官房参与)の可能性が高い。
    (4)正直言って現下の厳しい株安・円高状況考えると、日本経済の先行きに不透明感が増してきて、本当に2019年の消費増税が実施できるのかと、一抹の不安を覚える。(後略)』

     

     

     上記の記事は、「インサイドライン」の編集長の歳川隆雄氏によるものです。財務省高官の話として、赤字を書かせていただいた箇所をみますと、財務省高官は「消費増税ありき!」の発想になっていることが理解できるのではないでしょうか?

     

     この世の中、経済政策において、常に万能な政策というのはありません。インフレであれば、消費増税も検討できる政策の一つであるといえるわけですが、日本は20年間デフレに苦しんでおり、消費増税する必要がありませんし、そもそも財政を黒字にする必要もありません。政府の財政が黒字の場合は、反対側で民間が赤字になります。

     

     第一に財務省高官の発言からみるところ、国力増強・安全保障強化の発想が皆無です。歳出削減を称賛し、消費増税を果たした政治家、歳出削減努力をした政治家を持ち上げていますが、こうした姿勢こそ、国力=お金と間違ったドグマに囚われていることの証左です。

     

     この外務省と財務省の高官との話す機会を持った歳川氏が、この発言をどういう意図で記事に書き、何を伝えたかったのか?意図は不明ですが、上記発言が事実だとすれば、財務省高官というのは、本当にヤバイと思います。日本のためになると思って間違った政策をやっているわけですから。

     

     言葉尻を取って、私なりにコメントしてみたいと思います。

     

     

    ●安倍政権のプライマリーバランス黒字化の達成時期を取り下げたが、安倍政権が思い切った歳出削減を進めている・・・

     

     その分、デフレが促進します。それでもGDPが大幅にマイナスにならないのは、少子高齢化とりわけ高齢者人口の増加で、医療・介護費が増大しているからです。医療・介護費の増大=GDPの増大=経済成長です。

     本来歳出削減しなければ、普通に経済成長してデフレ脱却できるはずが、歳出削減をしているために、医療・介護費の経済成長分を帳消しにしてしまっているのです。

     国家の財政を、家計簿や企業経営と同じように黒字にしなければならないと考える点が間違っているということを知らないのでしょう。財務省高官って相当に頭が悪いです。

     

     ついでに言えば、「プライマリーバランス黒字化の達成時期を取り下げたが・・・」という時点で、プライマリーバランス黒字化があたかも目標になっています。

     

     政府の存在意義って何でしょうか?プライマリーバランスを黒字化することが目的でしょうか?お金をどれだけため込んでも、「お金を貯め込む」は誰の所得にも、生産にも、支出にもなっていません。所得=生産=支出でGDP3面等価の原則にある通り、「お金を貯める」=「借金を返済する」=[所得でも生産でも支出でもない」=「経済成長に貢献しない」=「国力維持増強に貢献しない」です。

     

     政府の目的は「経世済民」です。「世を經(おさ)め、民を濟(すく)う」が政府の目的であり、政府組織の中にお金を貯め込むことなど全く不要。いうまでもなくプライマリーバランス黒字化も、目的ではありません。プライマリーバランス黒字化を敢えて言えば、インフレを放置して国民生活が苦しい時に検討できる政策手段の一つにすぎません。

     

     だから「(黒字化の)達成が延期された」という時点で、財務省高官は目的と手段が混在しているか、もしくは国家の財政を家計簿と同じ発想で考えているバカ・アホとしか言いようがありません。

     

     

     ●小泉政権時に中川秀直政調会長主導が打ち出した「骨太財政改革」で10兆円超の歳出削減・・・

     

     これも同じです。10兆円歳出削減を持ち上げていますが、デフレ期はむしろ10兆円の支出増加でなければいけません。にもかかわらず、10兆円歳出削減しているとしています。政府の目的が「経世済民」であることが理解している人であれば、10兆円削減について厳しい意見があってしかるべきですが、そもそも財務省高官の頭の中に「経世済民」を理解している人はイナイのでしょう。政府にお金を貯め込むことが目的とは言わないまでも、支出削減・借金返済が目的になっているとしか、言いようがありません。

     

     借金が外貨建てである場合は問題ですが、日本の国債は100%円建てです。円建てである以上、政府の負債の債権者は私たち日本国民です。

     

     支出削減=日本国民の所得削減=日本国民の生産の削減

     借金減少=日本国民の資産の減少

     

     支出増加=日本国民の所得増加=日本国民の生産の増加

     借金増加=日本国民の資産の増加

     

     財務省高官は上記が理解できていないのでは?歳川氏は単に日本の官僚のトップエリートと会談したということを自慢したいだけなのか?記事の真意は不明ですが、高官の発言に対して、批判論説がない点を考えれば、歳川氏もまたマクロ経済の理解が不足しているジャーナリストといえるでしょう。

     

     

     ●安倍政権は、社会保障が占める割合は33%超の一般会計歳出のなかで、特に医療・介護制度の診療報酬と介護報酬の適正化を目指している。こうした歳出削減努力の一方で消費税率引き上げを同時に実施したのは橋本政権と安倍政権だけだ。

     

     診療報酬、介護報酬の適正化とは、なんでしょうか?適正化という曖昧な言葉を使い、結局支出削減を推進しているのです。その証拠に、歳出削減努力という言葉を使い、消費増税引上げと同時実施した内閣は橋本龍太郎政権と安倍晋三政権の2内閣だけと持ち上げています。

     

     消費増税は需要削減ですし、医療介護報酬の削減もまた需要削減です。バブル崩壊で個人も企業も借金返済、預金内部留保を増やすという環境の中で、政府自体が医療介護報酬削減し、さらに民間消費を冷え込ませる消費増税をやったからこそ、日本は長期に渡って深刻なデフレが継続しているのです。

     

     GDPが500兆円で横這いになっているのは、辛うじて高齢化によって医療介護費が増大しているからです。需要が増大している介護医療費の増加を抑制し、消費増税をやっているというのは、デフレ環境においては全くの落第点なのですが、財務省高官は2内閣を持ち上げているのです。

     

     

     ●正直言って現下の厳しい株安・円高状況考えると、日本経済の先行きに不透明感が増してきて、本当に2019年の消費増税が実施できるのかと、一抹の不安を覚える。

     

     このフレーズも変です。日本はデフレであるがゆえに、消費増税は凍結もしくは減税してもいい。経世済民が目的である以上、消費増税も消費減税も政策の一手段に過ぎません。なのに、この高官の発言は、2019年の消費増税がさも当たり前で、株安・円高状況を考えると消費増税ができる環境なのか?一抹の不安を覚えるということで、「消費増税できないのでは?という不安に思う」という時点で、消費増税することが目的になっていると思われます。

     

     2018年2月の株安とは、仮想通貨暴落などの要因で株安だったわけですが、もし株高だったら消費増税するのか?と言いたい。おそらく、デフレ・インフレというのがどういうことなのか?マクロ経済を知らないことの証左と言えます。

     

     

     上述の通り、コメントをさせていただきました。財務省高官って本当に頭が悪いと思います。と同時に、エリート中のエリートと会談できたことを自慢したかったのか?批判的論説がない歳川氏というジャーナリストも同様です。

     

     

     その一方で、「経世済民」を理解している国会議員もいます。下記は日本経済新聞と京都新聞の記事です。

     

    『日本経済新聞 2018/05/02 消費増税「凍結を」自民若手 黒字目標撤回も、政府に提言へ

    自民党の若手議員のグループが来年10月の消費増税凍結や基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)黒字化目標の撤回を求める提言をまとめた。「デフレから完全に脱却できなければ自民党政権の信任に関わる」として財政出動の拡大を訴えた。今月中旬にも政府と党執行部に申し入れ6月にまとめる経済財政運営の基本方針(骨太の方針)に反映を求める。(後略)』

     

    『京都新聞 2018/05/01 自民若手「消費税増税凍結を」 官邸や党に提言へ

    自民党の若手議員による「日本の未来を考える勉強会」は1日、デフレからの完全脱却に向けた経済政策として、消費税の10%への増税凍結などを求める提言を明らかにした。大型連休後に首相官邸や党に提出し、政策への反映を目指す。
    提言ではアベノミクスで名目GDP(国内総生産)が増加したものの、2014年の消費税増税で消費が縮小して「再デフレ化に直面している」と分析。「この状況のままでは自民党政権の信任にも関わると危惧(きぐ)される」と指摘する。
    19年10月に予定される10%への増税については「かえって税収を縮小させ、財政を悪化させるリスクが大きい」と強調し、「減税を視野に、最低でも増税凍結が必要」と盛り込んだ。また基礎的財政収支の黒字化目標は大規模な財政出動を妨げているとして撤回を求めている。

    勉強会は同党の安藤裕衆院議員(京都6区)が呼び掛けて主宰し、当選3回までの衆院議員と当選1回の参院議員が参加している。』

     

     政治家といえば、当選回数が多い議員が著名で実力があると思われるでしょう。重鎮議員と比べて当選回数が多くない自民党の若手議員が政府に消費税の凍結もしくは減税を提言するという記事です。

     

     この記事でも気になる点があります。アベノミクスで名目GDPが増加したというのは正しくありません。アベノミクスに関係なく、高齢化の進行によって医療・介護のGDPが勝手に増大しているという点です。むしろ増大している医療介護費を削減して伸び率を抑制しようとしている点で、アベノミクスのおかげでGDPが増加したという表現は、正確な表現とは言えないと考えます。

     また、2016年12月にはGDPの統計方法について研究開発費を含むという改定を行っています。そのため、アベノミクスでGDPが増えたというのは、少なくても2014年以降は正しくないです。

     なぜ2014年以降という言い方をしたか?2013年度は逆にアベノミクスのおかげで名目GDPで1.9%プラス成長し、税収は6.9%増えました。これは、金融緩和と国土強靭化による財政支出増をしたことが原因です。

     

     少なくても2013年度に限ってはアベノミクスのおかげで名目GDPが増えて税収が増えたということだけは事実です。

     

     少し話を戻しまして、経済学者や政治家や財務省官僚など、消費増税すべきという人は多い。私は何が何でも消費税に反対しているわけではありません。消費税はインフレ対策であるため、例えば物価上昇率7%くらいがずっと続くというのであれば、消費増税も選択肢の一つとして視野に入れられるという程度のものです。

     

     ところが先に挙げた人々は、財政規律、即ち「財政の改善」のために消費増税が必要と論じます。もし、真の財政改善を考えるのであれば、消費増税は採用すべきではない施策です。理由は消費増税を行うとGDPが伸び悩み、却って税収が縮小していくことになるからです。

     

     その税収減の傾向は、さらに続く可能性があります。消費税による税収増があっても、それを上回って法人税、所得税が減少します。理由は「消費が減る→企業の売上高が減少する→給料が減少する→消費が減る」という負のスパイラルが少しずつ進行していくからです。

     

     財務省は2017年6月頃、2016年度の税収が7年ぶりに前年度を下回ったと発表しましたと毎日新聞などが報じています。

     

     このときの財務省が理由として挙げた要因は下記の通りです。

    )/誉埜詐の理由として、2016年度前半に円高が進行して企業業績に陰りが出た。特にイギリスのEU離脱などの影響で、円高になったため、企業の輸出が減った。

    ⊇蠧誓埜詐の理由として、株価が伸び悩んで譲渡所得が減った。

     

     イギリス向けの輸出にしろ、株価の譲渡所得にしろ、税収が減収した理由としては、大した割合ではありません。イギリス向けの日本の輸出がGDPに占める割合は1%未満。所得税に占める株式譲渡所得の割合は5%程度。

     

     一方で個人消費は日本のGDPの6割で300兆円にものぼります。年間消費支出額は下記の図の通り、3%もマイナスしています。GDPのうち6割を占める個人消費で3%のマイナスというのは、当然税収の減収要素として一番に挙げられるべきことです。

     

    (出典:総務省の統計データを元に作成)

     

     

     消費増税が目的になっている財務省からみれば、消費増税の結果、消費が落ち込んで税収が減収したという事実は、絶対に知られたくないことでしょう。

     だからこそ、株安や円高やGDPに占める割合が1%も満たないイギリスへの輸出減少を理由にし、事実を隠ぺいしていると私は考えます。森友学園における偽装公文書作成と同じ。財務省という組織は、佐川長官の偽装公文書作成や、福田事務次官自身のセクハラ事実隠蔽など、都合の悪いことは公表せずコンプライアンスを犯しても隠ぺいするという体質であるという疑義が極めて濃厚であると考えます。

     

     

     

     というわけで、「財政の骨太方針でプライマリーバランス黒字化目標を破棄できるか?(6月の財政の骨太方針に注目!)」と題し、論説しました。僭越ながら、自民党の若手議員の方は、よく勉強されていると思います。

     私も彼らに託し、ぜひとも今年の財政の骨太方針で、プライマリーバランス黒字化を破棄していただきたい。その上で、プライマリーバランスを赤字にすることを目標にすること。そのためには国債増刷と財政出動の組み合わせによって、再び日本を経済成長の軌道に乗せること、これが日本にとっての最善策であると考えるからです。

     私は、周りで日本の株式投資をやっている方に対して、プライマリーバランス黒字化が破棄されない場合は、悲惨なデフレに突入することから、内需関連を中心に株式保有を減らした方がいい旨を話していますが、GW中に消費税凍結もしくは減税を自民党若手議員が内閣府に提起というニュースをみて、株式保有を減らすのは早いと思いました。

     中長期的な株式相場環境にも大きく影響を与えますので、株式投資をやっている皆様におかれましても、こうした環境・動きに注視していただければと思います。

     

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