需要を中国に頼ることは亡国への道か?(対中国向け輸出が米国向けを逆転!)

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     今日は、「需要を中国に頼ることは亡国への道か?(対中国向け輸出が米国向けを逆転!)」題し、日本の海外への輸出について、中国向けの輸出が、米国向けの輸出を逆転したことについて触れます。

     

     下記は日本経済新聞の記事です。

    『日本経済新聞 2018/04/18 16:59 対中輸出、6年ぶり対米逆転 17年度、先端投資けん引

     日本の輸出相手として中国の存在感が強まっている。2017年度の輸出額は中国向けが過去最高を更新し、米国向けを6年ぶりに逆転した。あらゆるモノがネットにつながる「IoT」などの需要拡大を受け、半導体製造装置の輸出がけん引した。米国向けは主力の自動車が伸び悩んで勢いに差が出た。日本の輸出先の構図の変化が浮かび上がった。

    財務省が18日発表した貿易統計速報(通関ベース)によると、中国向けの輸出額は前の年度と比べて18.3%増の15兆1871億円。半導体製造装置は5割増えた。習近平(シー・ジンピン)指導部の国家戦略「中国製造2025」で産業高度化を掲げる中で「先端投資が拡大している」(BNPパリバ証券の河野龍太郎氏)という。大幅な人件費増を背景に省人化投資も活発で、金属加工機械は7割増だ。

     ファナックは中国向けの産業用ロボットや制御装置などの輸出が好調で、1月に前期3度目となる業績見通しの上方修正をした。半導体製造装置メーカーも増産を急いでおり、東京エレクトロン宮城(宮城県大和町)は18年10月までに生産能力を約2倍に増やす計画だ。

     米国向け輸出も15兆1819億円と7.5%増えた。3000cc超の大型車が好調だった自動車が2年ぶりに増加に転じた。ただ、伸び率は5.7%と1桁にとどまり、全体の輸出額でわずかに中国向けが上回った。

     17年度の輸出総額は10.8%増の79兆2219億円。過去最高だったリーマン・ショック前の07年度以来、10年ぶりの大きさだ。この10年前の水準と比較すると、米国向け輸出額が8.5%減ったのに対し、中国向けは16.4%増と、構図が変わってきている。

     中国向けについては、過去も09年度から11年度までの3年間、米国向けを上回っていた。リーマン・ショックで米国経済が落ち込む一方、中国は政府による4兆元の景気対策で需要を底上げしていた時期だ。しかし12年度には経済の減速や沖縄県の尖閣諸島の国有化を巡る摩擦などで伸びず、米国向けが中国向けを追い抜いた。

     再び逆転した17年度は、米中ともに経済が堅調な状態で起きており、日本の輸出で中国の存在感がより大きくなっていることを浮き彫りにしている。SMBC日興証券の丸山義正氏は「中国経済の成長が当面続くだけに、輸出企業は今まで以上に中国のニーズを把握する動きが求められる」と指摘する。

     懸念材料はトランプ米大統領の保護主義に端を発する米中貿易摩擦だ。中国から米国への製品輸出が減ると、輸出製品を作る中国工場の投資意欲が減退しかねない。製造装置やロボットなど日本から中国向けの輸出製品の需要も減る悪循環が起きうる。米国経済も下振れすると、米・中という日本の「輸出2本柱」が揺らぐ危険がある。

     財務省が18日発表した3月の輸出額は2.1%増の7兆3819億円、輸入額は0.6%減の6兆5845億円だった。1〜3月でならして昨年10〜12月と比べると、輸出が伸び悩み、「1〜3月の国内総生産(GDP)の外需の押し上げ効果はほぼゼロ」との見方が多い。』

     

     

     日本の輸出相手として、中国の存在感が強まっているという記事です。

     

     2017年度の日本の輸出額は、中国向けが過去最高を更新して6年ぶりに米国向けを逆転したと報じされています。特にIoT(モノのインターネット)の普及拡大を受け、東京エレクトロンなどの半導体装置メーカーで、中国向け輸出が増えているとしています。

     

      皆さんは、この記事をお読みになり、どう思うでしょうか?私は仮想敵国である中国に需要を依存するのは、日本にとっては危険なことであると考えています。

     

     記事の元になっている財務省の貿易統計とやらを見ましたが、CSVファイルで大変見にくいため、JETROのサイトから地域別貿易概況というデータを加工したものを皆さんにご紹介します。

     

    (出典:JETRO)

     

     JETROと財務省の貿易統計で、若干数値が合わず、どちらが正しいか?原因がわかりません。

     

     しかしながら、JETROの資料においても、輸出が中国は16.5%、米国は3.5%となっており、輸出額は米国が上回っているものの差が肉薄していることがわかります。

     

     米国をみると下記の通りです。

    輸出:134,594,897千ドル(約14兆4000億円)

    輸入:72,038,001千ドル(約7兆7000億円)

    純輸出:62,556,896千ドル(約6兆7000億円)

    ※いずれも1ドル=107円で日本円換算

     

     中国は下記の通り。

    輸出:132,650,750千ドル(約14兆2000億円)

    輸入:164,255,540千ドル(約17兆5800億円)

    純輸出:▲31,604,790千ドル(約3兆3800億円)

    ※いずれも1ドル=107円で日本円換算

     

     GDPでカウントされるのは純輸出ですので、GDPを500兆円とすれば、米国との貿易での寄与度は1%強に過ぎず、中国に至っては貿易赤字です。

     

     日中貿易の数字は横に置き、日米でいえば米国から見て貿易赤字が6兆7000億円なので、これを貿易不均衡として是正したいというトランプ大統領の言い分もわかります。何しろ日本はデフレ放置で消費増税をやってきたため、米国製品をより多く買うということは日本国民にとってはできないのです。

     日本国民の購買力を引き上げるための財政出動が必要であることは、こうした数値からも理解ができるでしょう。

     

     ただし、購買力を引き上げる=現金を付与する、ではありません。現金を日本国民に与えたところで、将来不安がある以上貯蓄に回る額が多い。公共事業であれば予算を付ければ必ず年度内に費消します。トランプ大統領が公共事業を増やすように求めるということは、マクロ経済的に財政問題を考えますと、極めて合理的です。

     

     一方で、中国は輸出額で米国と肉薄し、しかも日本からみれば対中貿易赤字です。中国に頼らなければならない品目など、ほとんどないでしょう。単に安いというだけで輸入しているものが多い。なぜならば日本は資源がない以外は、基本的に自国で賄える国力の強い供給力のある工業先進国だからです。つまり中国とこの瞬間国交を断絶して貿易を一切しなくなったとしても、日本人の年収は平均で減ることはありません。

     

     ただし中国へ輸出をしている企業や、売上高に占める中国向けの割合が多い企業や、輸出と輸入の双方のビジネスに関わって口銭を得ている商社は、打撃を受けるでしょう。とはいえ、繰り返しになりますが、GDPにカウントされるのは純輸出である以上、500兆円のGDPで約3.5兆円の貿易赤字であることを考えれば、日本人の年収は平均で下がることはありません。

     

     上述はマクロ経済的に論じましたが、安全保障面でいえば、中国の場合、需要を頼ることで外交上、恫喝するカードとして使ってくることがあります。韓国と台湾は、中国人観光客でそれをやられました。

     

     台湾でいえば、一つの中国に反対への報復として、中国人観光客の台湾行きを規制されました。また韓国では、米国のTHAAD配備への報復として、中国人観光客の韓国行きを規制されました。こうした中国の対応をみますと、インバウンドに頼るということの愚かさも理解できるのではないでしょうか?仮に中国にけしからんと咎めたところで、中国は自国の国益のためにやっていることで、内政干渉です。

     

     日本は日米同盟があるわけですが、これは日米関係が一定程度有効であるという前提で、従属的である問題はあるものの、安全保障問題上は尖閣問題のような問題も、日米が一定程度安定的な関係であればこそ解決できます。

     米国向けの輸出は今年も13兆円強あって、これはほぼ横ばいですが、日米関係において、この貿易を外交上恫喝の道具にされることはないでしょう。

     

     一方で中国は2000年頃は3兆円〜3.5兆円程度だったのが、17年間で13兆円にまで拡大したということになります。これは日本製品をたくさん買ってもらっているということで、商売をやっている人からみれば上客なわけです。

     

     ところが日中は尖閣問題を抱えています。中国という極めて好戦的な側面を持ち、民主主義国家ではない中国共産党政府が牛耳って、かつ領土問題まで抱えている中国が上客となるという構図は、日本にとっては極めて恐ろしいことであり、ヤバい状況であるという認識を持つことが、良識を持った判断であるといえます。

     

     

     というわけで、今日は「需要を中国に頼ることは亡国への道か?(対中国向け輸出が米国向けを逆転!)」と題して論説しました。中国に需要など頼らなくても、日本はデフレで財政出動できる余地が十二分にあるため、普通に財政出動して国内の需要を喚起すればいいだけです。

     東京エレクトロンやファナックといった産業用ロボットにしても、そのロボットの元になっている資本財メーカーの電子部品会社(京セラ、村田製作所、日東電工など)にしても、中国向け輸出を辞める代わりに、日本の需要を取り込めばいいだけのこと。

     デフレで苦しむ日本は、企業や個人が需要増となりにくいので、需要増が継続的に維持されるまで、政府が財政出動を継続して需要を創出すればいいわけです。そのためには財務省のプライマリーバランス黒字化目標は破棄しなければ、どうにもならないと思います。安倍総理にぜひとも、来たる2018年6月の財政骨太方針で、プライマリーバランス黒字化目標が破棄されることを心から願っています。


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