イギリスのメイ首相のEU離脱宣言について!

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    JUGEMテーマ:経済全般

     

     

     今回は、英国メイ首相の「EUからの完全撤退」宣言について取り上げます。

     

     英国のメイ首相は、2017117日に演説し、「EUから完全撤退」を表明しました。移民の制限など英国の権限の回復のためとしています。EU側は英国を特別扱いしないとし、反発しています。また、財界では交渉が長引くと英国から投資資金が流出しかねないとの指摘もあります。上述の指摘について私見を述べさせていただきます。

     

     

     

    1.自由市場と単一市場について

     

     英国のEU離脱宣言については、まず自由市場と単一市場を理解する必要があります。例えばEUと通貨統一とシュンゲン協定で加盟国が異なります。政治家の方を含め、日本国民の大多数はヨーロッパとか欧州と一括りにして考えていますが、意外と複雑なのです。

     例えば、英国はシュンゲン協定を締結していませんし、ユーロに参加しておらず英国ポンドが存在しますが、EUには加盟しています。スイスはEUにもユーロにも参加していないのでスイスフランが存在しますが、シュンゲン協定は締結しています。またアイルランドはEUとユーロに参加していますが、シュンゲン協定は締結していません。

     こうしたことを踏まえて自由市場と単一市場を理解しましょう。

     

    (1)自由市場(人・物・金の自由)

     (の移動の自由

      「関税をなくしましょう!」ということです。

     ⊃佑琉榮阿亮由

      英国はシュンゲン協定締結国でないですが、EU加盟国なのでマーストリヒト条約により労働者の受入を拒否できません。具体的にはイミグレーションで入出国審査をすることはできますが、労働者の流入を止めることができません。)

     お金の移動の自由

      ドイツ国内のATMで預けた1ユーロは、フランス国内のATMで1ユーロ下ろすことが可能です。

     

    (2)単一市場(国別に異なるではなく同じ)

     …眠澆療一

      ユーロ加盟国はドイツ国内のATMで預けた1ユーロも、フランス国内のATMで下した1ユーロも同じ価値で統一化されています。

     ∨[Г療一化

      EUで制定された法律はEU諸国内で統一して適用されます。

     6睛酸策の統一化

      ユーロ加盟国では金融政策の自由はなく、欧州中央銀行(ECBEuropean Central Bank)に委ねられ、公定歩合操作などの金融政策は統一化されています。

     

     上述の通りEUはここまで統一化自由化をやっています。即ち加盟国は主権がないのです。例えば免許制度について英国国民がもっと安全な運営にしたいと思って立法することも規制することもできません。逆にEUで決められた法律は押し付けられます。自国の主権がないのと同じなのです。

     英国のEU離脱とは、英国が鎖国するという話ではありません。EUはここまで統一化自由化をやって各国の主権を奪っており、英国はどこまで主権を回復するか?統一化自由化された領域のうち、どれをどこまで戻すか?という話なのです。

     

     

     

    2.「EU離脱で英国から企業が撤退する!」は本当か?

     

     メイ首相は「物の移動の自由化」即ち関税を無くすことについては維持し、それ以外は英国国民の主権を考えて判断するとしています。もし、EUが英国を追い出し、英国とは自由貿易をやらず関税引き上げるとなれば、損をするのはEU諸国側です。

     

     下記はJETROで掲載されている指標を表にしたものです。

     

     英国はEU域内において、アイルランド以外は純輸出がマイナスです。これは純輸出のマイナス額が大きければ大きいほど、英国のGDPにはマイナスに働きます。と同時にもし本当にEUが英国を追い出し、「自由貿易もやりません。関税引き上げます。」となれば、損するのはEU側です。特にドイツ、オランダは純輸出額のマイナスが大きい。輸入額で見ても、ドイツ、オランダ、フランスの3か国でEU域内の半分を占めます。即ちドイツ、オランダ、フランスから見れば、英国の輸出額が大きいお得意先です。したがって英国が関税を引き上げればドイツとオランダが最も損します。

     

     私見ですが、「物の移動の自由化については基本的に今まで通り関税無しでやりましょうよ。後はお互いの主権に基づく形で決めましょうよ!」となるような気がします。英国の本音は「物の移動の自由化」についても認めず、関税を引き上げたいかもしれません。とはいえ、もしそれをやれば対英国に貿易黒字であるドイツ、オランダ、フランス、ベルギー、イタリアが損をするわけです。

     

     英国国民から見れば、どうなるか?

    「移民は嫌だ!」

    「余計な法律をEUから押し付けられる!」

    「サービスも免許制度も統一化されて押し付けられる」

    となります。例えば、ギリシャで大型運転免許を取得した人が、英国国内で大型トラックの運転ができるようになる!全部自由化単一市場とはそういうことなのです。そのため、英国のメイ首相は「物の移動の自由化」以外は制限をかけると思います。

     

     何もわかっていないマスコミ(テレビ新聞)らは「そんなことしたら英国から外資系が全部撤退する!」などと叫んでいますが、むしろ英国ポンドが下がっているのでイギリス製品の競争力は上がるという英国にとってはメリットもあります。

     アナリストらの論説では、輸入関税と英国ポンド対ユーロ安となれば、輸入品の値上がりが消費者にデメリットとなるとの指摘もあります。とはいえ、目先デメリットになっても輸入品に保護規制をかけ、英国で自力で生産できるようにしていけば、そのこと自体が雇用を生み出し、国力を強化することになります。

     これは、かつてインド産キャラコに輸入規制をかけて保護貿易を行い、その間に第一次産業革命で蒸気機関を発明して生産性が向上し、高品質の英国産キャラコを低廉な価格で生産ができるようになって、軍事力を背景に逆にインドに関税障壁を下げさせ、英国産キャラコをインドに大量輸出して儲けるようになって英国の国力が強化された歴史的プロセスを知れば、理解ができるのではないかと思います。

     このようにEU離脱については、複合的に評価をしていかなければならない問題であると考えます。 

     

     ただし、EU側は英国だけを許すと他の国も「おれんとこもやってくれよ!(我が国にも関税はゼロでいいからEUを離脱させてくれよ!)」といってくる国が現れることを恐れるかもしれません。英国に有利な形にして離脱を認めるとそういう声が出る。例えば、「こういう形で離脱できるのか!」と東欧のハンガリーやポーランドも考えるかもしれません。

     東欧諸国は安い賃金の労働者を送り出す側であるため、EU離脱で損することもあり得ます。とはいえ、2015年の移民問題のインパクトが強くて、ハンガリーやポーランドが最終的にどう動くか?は私にも予想がつきません。

     

     思えば、第一次産業革命をはじめ、世界の歴史が変わるときは英国から変わってきたものが多くあります。今のグローバリズムが蔓延し始めたのも、英国のサッチャー首相がきっかけでした。

     メイ首相は、グローバリズムを世界的にやめさせる方向に導くトップランナーになる可能性があり、トランプ以上に歴史を変える人物になる可能性があるかもしれません。

     

     

     

    3.経済的な問題と政治的な問題

     

     価値観の問題もありますが、私は国民を意識した国民のための経済政策をするべきだと思っております。メイ首相は元来グローバリストでしたが、グローバリズムを辞めるという判断をしました。一方日本の政治家は「グローバリズムが正しい!」とみんな思考停止しています。

     

     この問題を経済的な問題と政治的な問題で整理してみましょう。

     

    (1)経済的な問題

    ・物の自由化については今まで通り関税かけないでやりましょう!

    ・あとは英国の主権に基づいて勝手にやってください。

    ・欧州連合側が認めれば、欧州連合側も損しません

    ・関税復活です!とやれば損するのはドイツ、オランダ、フランスです

    ・特に対英国への貿易黒字が大きいドイツが一番損します

     

    (2)政治的な問題

    ・英国のような方法で簡単に離脱できるという前例を作ることになります

     

     EU諸国が英国に罰則として関税かけても、WTOで各国がかけることを許される関税税率には上限があります。例えばEU英国の製品に4%の関税をかけますが、せいぜいその程度です。高関税をかければWTO違反となります。結局のところ、貿易に影響があるのは関税協定よりも為替です。ドル円だけで見ても1ドル100円〜120円程度まで1年で20%動きます。

     マスコミ報道の印象操作の影響で、イメージ的には自由貿易が終わったと思われる方が多いでしょうが、貿易は関税かけて関税復活することよりも為替の影響の方が大きく、ユーロ英国ポンドの為替の影響も注視しながらこの問題を見ていく必要があります。

     

     そして、世界的なレジームが変わるとき、英国が先頭でトップランナーとして走り、最終回は日本が追走する。例えば、英国は保護政策を打ち出し始めたのに、日本は未だに中国人を受け入れ、推進しようとしています。

     

    なぜ日本がそうなるのか?

     

     関税が4%で戻ったとしても、ブレグジット以降のポンド安で余裕で取り戻せます。にもかかわらず、グローバリストを推進する人々は「EU離脱は反対!」という思考停止的に結論があり、結論が決まっていて結論を強化するために

    ・投資した企業が損する

    ・投資した資金が流出する

    ・関税復活で保護貿易は時代に逆行する

    という抽象的な言い回しで「EU離脱は反対!」と叫ぶのです。

     

     まだ英国国民が反対するならまだしも、英国国民以外が反対と主張するのは内政干渉に他なりません。英国国民の幸せは英国国民によって委ねられるものであり、その判断は尊重されるべきです。自国の主権を自国に取り戻す!これが、英国のEU離脱の意味なのです。

     

     今日はEU離脱について英国・欧州経済に与える影響とEU離脱を望む英国国民の真意について、私見を述べさせていただきました。

     

     

     


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