安倍首相の大阪都構想についての否定的な発言について

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     今日は「安倍首相の大阪都構想についての否定的な発言について」と題し、大阪都構想について意見します。

     

    下記は、産経新聞の記事です。

    『産経新聞 2018/04/14 01:46 安倍首相が大阪都構想に否定的 住民投票「しょっちゅうやるものとは違う」

    自民党総裁の安倍晋三首相は13日夜、自民党大阪府連の幹部らと大阪市内で会食し、大阪市を廃止して4つの自治体(特別区)を置く「大阪都構想」に否定的な見解を示した。出席した府連幹部が明らかにした。

     府連の左藤章会長(衆院議員)や朝倉秀実幹事長(大阪府議)によると、府や大阪市の両議員団の幹事長が、都構想の制度設計を議論する法定協議会の状況を首相に説明。首相は「住民投票はしょっちゅうやるものとは違いますね」などと述べたという。

     都構想は、日本維新の会の松井一郎代表(大阪府知事)が推進。松井知事と首相は2025年国際博覧会(万博)の大阪誘致などで連携しているが、首相は維新の応援についても否定的に語ったという。松井氏は記者団に「(府連への)リップサービスが過ぎるかなと思う」と話した。』

     

     安倍首相が大阪都構想を標榜する維新の応援について否定的に語ったという記事です。私は大阪都構想については全く反対の立場です。私も当初は、大阪都構想の問題点について理解しておりませんでしたが、内閣官房参与の藤井聡氏と、奈良女子大学の中山徹教授の論説を目にして、明確に反対の立場となりました。

     

     日本維新の会は、「大阪都構想」を実現するか否か?「住民投票」で行うとしています。この住民投票の対象者は、現在の「大阪市市民」が対象となります。大阪市民は、賛成・反対のどちらに票を投じるべきなのか?について、藤井聡氏が挙げている7つの事実をご紹介いたします。

     

    <事実1>住民投票で賛成多数となった場合でも「大阪都」にはならない

    <事実2>日本維新の会が主張する「都構想」とやらは「大阪市を解体して5つの特別区に分割する」ことを意味する

    <事実3>年間2200億円の大阪市民の税金が市外に「流出」する

    <事実4>流出した2200億円の多くは、大阪市外に使われる

    <事実5>特別区の人口比について東京が70%であるのに比べて大阪は30%である

    <事実6>東京23区の人々は、「東京市」がないために損をしてる

    <事実7>東京が反映しているのは「都」という仕組みではなく、「一極集中」の賜物である

     

     

     上記は、藤井聡氏が挙げた大阪都構想に関する「7つの事実」です。

     

     なぜ、大阪市は疲弊していて、東京23区は豊かなのか?といえば、理由は行政の仕組みの問題ではなく、そもそも経済規模が全く違うからというのが理由です。

     

    <東京都・大阪府・愛知県の都府県別GDP>

    (出典:内閣府ホームページの県民経済計算から数値を引用)

     

     

     上記は、都道府県別の名目GDPの上位3都府県である東京都、大阪府、愛知県の名目GDPの数値を2013年度から2015年度までグラフ化したものです。2015年度の数値から、研究開発費を含めたことで、大阪府は愛知県に抜かれて3位になりました。愛知県はトヨタ自動車をはじめ、製造業が盛んで研究開発費が多いため、算出基準改定によって愛知県に抜かれてしまったのです。

     

     数値を見れば、一目瞭然ですが、トヨタ自動車を中心とした製造業がある愛知県と大阪府が39兆円の水準で、トップの東京は100兆円を超えています。その差は2.5倍程度はあります。

     

     さらに東京23区と大阪市で比較した場合、大阪市については大阪市役所のホームページで公表されている数値で、2015年度は19.4兆円です。東京23区は公表されている数値がないのですが、三多摩よりも圧倒的に23区内に集中していると想定して104兆円のうち80兆円程度と見た場合で、その差は4倍です。

     

     20兆円と80兆円もの差がある大阪市と東京23区では、経済規模が4倍もの巨大な格差があります。これは首都東京にあらゆるものが一極集中していることを示しており、これが東京23区の豊かさの理由であるといえます。

     

     この豊かさは「東京都と23の特別区」という制度によってもたらされたものではなく、「首都」という特殊事情によるインフラ整備がもたらしたものです。さらにいえば、その豊かさは「東京市」という地方自治法第252条19項に定める政令指定都市の保護システムがないことで、自主財源が流出して23区民が損をしたとしても余りあるほどの豊かさだったということなのです。東京23区は、政令指定都市ではないため、固定資産税などの市町村税を徴収しても、いったん東京都に上納されてしまい、財源が自由に使えないという意味で、保護されていません。

     

     大阪市は、東京23区とは比較できないくらい少ない人口と小さい経済規模です。その結果、23区とは比べものにならないくらいの少ない自主財源しかもっていません。しかしながら地方自治法第252条19項に定める政令指定都市であるため、市町村が徴収する税金について大阪府に上納することなく、大阪市が大阪市民のために使うことが可能です。

     

     もし、大阪市を解体して特別区にした場合、この保護システムがなくなってしまい、東京23区と同様に大阪市が徴収する税金を大阪市民のために使えなくなってしまうのです。その結果、何が起こるか?といえば、大阪市の自主財源が流出することで、大阪市がさらに疲弊していくということが決定的です。

     

     安倍首相がこのことをわかって否定的なコメントしたか?どうか?はともかくとして、日本維新の会が推し進める大阪都構想を否定したということは、大阪市民にとっても、大阪府にとっても、決して悪いことではありません。むしろいいことです。

     

     そもそも、大阪都構想の住民投票とは、法律的に定められる協定書に対して賛否を問うものです。しかしながら、協定書には「大阪都」という言葉は一回も出てきません。表記される言葉は「大阪府」だけです。

     

     なぜならば、今の法律では東京都以外の道府県を「都」に名称変更することは定められていないからです。そのため、仮に住民投票でこの協定書が認められたとしても、「大阪都」になることはありません。大阪府は大阪府のままです。

     

     要は日本維新の会が推し進める「大阪都構想」とは、大阪市を解体して5つの特別区(2014年度7月の協定書における区割り案では東区、北区、湾岸区、中央区、南区)に分割するということなのです。

     

    <参考:2014年7月の協定書における区割り案>

    (出典:ウィキペディアから引用)

     

     上述の通り、「大阪都構想」とは、大阪市を解体することを意味するわけですが、地方自治体法第252条19項に定める政令指定都市の中でも、大阪府はトップランクの権限を持っている政令指定都市です。なぜトップランクの権限なのかといえば、市町村が徴税する財源を使って、強力な都市計画を推し進める力を持っている自治体だからです。この強力に推し進める力こそが、大阪が関西・西日本の中心として発展してきた決定的な理由です。

     

     大阪の中心である大阪市に強力な権限を与え、キタやミナミなどに集中投資を行い、これを基盤に発展してきたというのが大阪という街であって、関西の活力の源泉だったと言えます。

     

     もし、「大阪都構想」が実現したとして、大阪市を分割された後の特別区5区には、この強力な権限はありません。その結果、大阪市が集めた税金は、大阪市外に流出することになるのです。

     

     また東京都が23区の人口比が7割であるのに対し、大阪市は大阪府の人口比は3割程度にしか過ぎません。その結果、東京都知事のように特別区23区の住民の意向に手厚く配慮しながら行政を進めることは難しい。大阪府内でいえば、大阪市民は3割程度なわけですから、たった3割の大阪府民のために、残りの7割の大阪市民への配慮を無視して、大阪市を手厚く行政を進めていくというのは困難であると言えるでしょう。

     

     何が言いたいかと言えば、議会における数の論理からみて、東京都のように特別区を重視した行政はできないということです。

     

     

     というわけで、今日は安倍首相が大阪都構想について否定的な発言をしたことについて、産経新聞の記事を紹介させていただき、大阪都構想の問題点を述べさせていただきました。大阪市が発展していくためには、東京都並みにインフラ整備をする必要があります。例えば、現在進行している北陸新幹線を新大阪まで延伸することや、リニア中央新幹線を関西国際空港まで延伸することに加え、山陰新幹線、四国新幹線、紀伊新幹線など、東京駅のように大阪駅に複数の新幹線の発着駅とすることが必要であると考えます。

     そうした場合、現在進行している新幹線整備計画は、緊縮財政であまりにも時間が遅すぎ。本来であれば国債を増刷し、国は一切口出ししないので、JR東海にはリニア中央新幹線を、他のJR各社には整備計画となっている新幹線を早く作らせることが必要です。

     これには地方自治体の支援も必要ですし、各地方選出の国会議員が地方交付税交付金をもっと配分を多くするよう声をあげ、その財源として普通に建設国債の大量発行を政府に求めるといったことが必要です。

     マイナス金利でタダ同然で借りられる状況ですし、建設国債の大量発行は、将来世代のツケにはなりません。なぜならば、円建てで借りるから、何ら問題がないのです。

     こうしたことも、今年6月の財政骨太方針のプライマリーバランス黒字化目標があると、実行に移しにくいでしょう。安倍政権がプライマリーバランス黒字化目標を今年の6月に破棄すること、大阪の復活も日本の復活も、まずはここから始まるといえるでしょう。

     

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