「純資産大国=国力が高い」ではありません!

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     今日は「純資産大国=国力が高い」ということではない旨を論説します。

     

     日本は純資産大国で世界一のお金持ちであるということは、本ブログでたびたび述べております。先日もご紹介した次のグラフを見ていただきたいと思います。

     

    (出典:財務省のホームページの「参考3,4 主要国の対外純資産、為替相場の推移」から引用)

     

     純資産残高が大きいということは、「資産ー負債」の値が大きいということです。これは個人の比較で、資産1億円・借入金5000万のAさんと、資産1億円・借入金1億5000万のBさんで、二人を比べた場合、Aさんは純資産5000万円、Bさんは純負債5000万となり、Aさんの方がお金持ちであると考えるのと、全く同様です。

     そのため、数値の上でいえば、日本は世界一のお金持ちであり、米国は世界一のお金がない国となります。

     

     とはいえ、皆さんに問いたいのですが、これの純資産額というものは、国力を表していると思うでしょうか?具体的にいえば、純資産残高が多い日本は国力が強く、米国は最も弱いということになってしまうのですが、どう思われるでしょうか?

     

     そんなことあるわけがありませんね!

     

     個人の場合は、お金を稼いだ結果、お金が積み上がって資産を形成していきます。国家の経済力というのは、それとは異なります。

     

     経済力というのはお金をたくさん持っている=純資産大国であるということではありません。私たち日本国民が必要としている需要(物・サービス)をどれだけ自国でできるか?が経済力です。

     

     ご飯を食べなければならない・・・農家

     仮想敵国中国からの軍事攻撃に備える、北朝鮮のミサイルに迎撃できるようにして日本の国土に着弾させない・・・自衛隊・軍隊

     病気になったので治療を受けたい・・・医者

     教育を受けたい・・・学校の先生

     などなどを供給する人々が、私たちが必要としている物・サービスの供給力そのものです。

     

     純負債国の米国は、お金がないから経済力がないのか?というと、そんなことはなく世界最大の経済大国になります。例えば、米国は食料・防衛・エネルギーは、ほとんど自給自足できます。

     

     食料は余剰作物があるがゆえに、日本に穀物を輸出したりしています。日本以外にも輸出しています。

     

     防衛でいえば、ロッキード社がF22ラプター戦闘機やら、F35ライトニング戦闘機(日本はこれを買っています。)やら。ミサイルでいえば、巡航ミサイルトマホーク、迎撃ミサイルパトリオット、敵の地下基地を破壊するバンカースバスター、一瞬で広範囲の敵基地を破壊するクラスター爆弾、サーモバリック爆弾など、いろんな兵器を米国は作っています。

     一部の部品は日本から頼っているので、自力でできるわけではありませんが、組立(アセンブル)やシステムインテグレーションは、全て米国が自国でできます。

     

     エネルギーもシェールガスが出たことで、石油を中東諸国からの輸入に依存しないようにしようとしています。

     

     このように米国は、いざ何かあっても食料・防衛・エネルギーの3分野については何ら問題がありません。

     

     下記は、1961年から2013年にかけての食料自給率の推移です。

     

     

    <食料自給率の推移:1961年→2013年>

    (出典:農水省のホームページ)

     

     

     

     上表・グラフの通り、穀物ベースの自給率は、米国が127%で100%超となっているのに加え、日本は28%です。

     

     コメこそ100%超ですが、カロリーベースで42%で、小麦、大豆、トウモロコシは米国からの輸入に依存しています。いざ何か発生して、米国と仲が悪くなったとして、米国が輸出を止めますよ!と言われると、終わりです。

     

     エネルギーも同様に原発を止めているため、エネルギー自給率は6%程度で、しかも原油の中東依存度は80%です。

     

     もちろん高品質な自動車が生産できる、高品質な家電の生産ができる、資本財(半導体、セラミック、セミコンダクターなど)のほとんどを生産できて、米国より突出している分野があったとしても、全体的に米国より低いです。

     

     例えば教育について、その国の教育の供給能力が不足しているとなれば、子どもたちは他国へ留学するしかありません。

     主要国で留学生が最も少ない国といえば、日本も少ないですが、日本よりはるかに少ないのは米国です。

     

     米国の教育という供給能力は米国人の需要を満たせるレベルの高さで、教育サービスを供給することが可能です。また日本から海外に行く留学生は、デフレの影響で減ったかもしれません。米国のハーバード大学の授業料は3000万円ともいわれており、富裕層の子供を米国に留学させてハーバード大学を卒業させるというのは、デフレの日本では減ることはあっても増えることはないでしょう。

     

     要は自国の国民が求める物・サービスを自国で供給できるか?ということが、経済力であり、純資産残高の大きさではないということが理解できたのではないでしょうか?

     

     例えば、アフリカの砂漠のど真ん中で100億円のスーツケースを持って一人でポツンといたとして、水や食料がなければ生きていくことは不可能です。純資産大国であっても供給力がないということであれば、お金をどれだけたくさん持っていても何の役にも立ちません。

     

     日本は1997年の橋本内閣の構造改革基本法を制定し、1998年に消費増税をしてからずっとデフレが続いています。デフレが続くと大変な問題が今もなお進行しているのです。

     

     デフレは貨幣現象ではなく、需要の過不足現象であり、需要<供給という状態のことを意味します。この場合、政府支出増によって需要↑として需要=供給となればいいのですが、日本政府は政府支出増をせず放置してきました。需要<供給を放置すると企業業績は悪化しますので、結果的に供給能力を削減するしかなくなります。

     

     具体的には、従業員をリストラしましょう!工場を閉鎖しましょう!となり、供給↓として需要=供給となる方向に突き進みます。これをそのまま継続していくと、供給力が削がれることとなり、物・サービスを供給できなくなってしまうのです。

     

     外食産業が24時間営業を辞める、牛丼屋チェーン店が24時間営業を辞める、コンビニが閉店するなどなど、これらは発展途上国に逆戻りしているということなのです。

     

     また、需要<供給となっているのを、供給↓として需要=供給にしようとすると、売上減少で賃金が伸び悩み、結果的にまた需要<供給となります。これがデフレスパイラルであり、発展途上国化していくというプロセスです。

     

     

     というわけで、純資産残高が世界一だったとしても、イコール国力が強いとは限りません。カネカネカネとやることは、個人はやってもイイのですが、国家は違います。場合によっては企業も違います。企業も労働単位コストという概念を考えた場合、損益分岐点が高いことは悪いことではありません。何しろ、設備投資や能力開発にかけるお金が多ければ、それだけ人材は育ちます。技術ノウハウの向上と将来世代への継承もされ、永続的な成長の礎となります。

     もちろんデフレで売り上げが伸び悩む場合、高い損益分岐点ですと損益計算書ですぐ赤字になってしまうため、設備投資はできず、人材育成にもお金がかけにくくなります。それを放置すると人材は育たず、技術ノウハウは継承されず、品質は低下していく。企業の競争力も低下するということになるでしょう。これを国家全体でみた場合、国力の低下、発展途上国化ということになるわけです。

     今、求められているのは国民が知見を持ち、こうしたことを理解する政治家が台頭すること。それがイギリスではメイ首相であり、米国ではトランプ大統領だったと思うのですが、日本にもそうした政治家が早く登場しないと、日本の良さが全部壊され、中国の属国になってしまうのでは?と危惧せざるを得ないのです。


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