「移民・難民受入推進」は後戻りができない愚策!

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    JUGEMテーマ:移民

     

     皆さんは欧州というと、通貨統一や過去に戦争ばかりしていたヨーロッパ諸国が仲良くやっているなどとイメージされる方がおられると思っているのですが、いかがでしょうか?その陰で、EU諸国が如何に欠陥の多い仕組み・制度に縛られているか?論じる人は少ないです。EUやユーロといった仕組みがどれだけ欠陥が多く、矛盾を抱えているか?今日はイギリスのメイ首相がEU離脱を宣言したニュースを取り上げ、特に今回は「人の移動の自由がもたらす悲劇」を中心に、背景と私見を述べます。

     

     下記は朝日新聞2017117日の記事です。

    『「メイ英首相、EUからの完全離脱を明言 移民規制を重視」

    英国のメイ首相は17日昼(日本時間17日夜)、ロンドンで欧州連合(EU)離脱の政府方針について演説した。「半分残り、半分出るようなことはない」などと完全離脱を明言。「人、モノ、サービス、資本」の自由な行き来を原則とするEUの「単一市場」への参加よりも移民規制を優先し、EU司法裁判所からも脱退する。EUとは、新たな自由貿易協定を締結することを目指すが、英国に欧州の拠点を置く日本企業などへの影響は必至だ。

     メイ氏は演説で、「確実性と明瞭さ」「より強く、より公正で、真にグローバルな英国」を交渉の基本理念とし、これらに沿った12項目の目標事項を掲げた。

     単一市場への残留について、人の移動の自由など「四つの自由」を受け入れ、EU司法裁判所の裁定を受け入れることだとし、「それは事実上、EUを離脱しないことと同じだ」と断言。また「EU離脱は、欧州から英国にやってくる人の数をコントロールすることを意味しなければいけない」と述べ、移民規制を重視する姿勢を示した。(後略)』

     

     上述の通り、メイ首相は117日演説でEUから離脱する基本方針を宣言しました。

     イギリスの権限の回復を実現するため移民を制限するとのこと。

     EUという単一市場に残ることはできないとし、人やモノサービスを自由な取引を認める単一市場EUから完全に撤退。3月から始まるEU離脱交渉の行方で、世界経済にも影響が出ると報じられています。

     

     この問題を正しく理解するためには、欧州については、「EUにおける自由市場と単一市場」を理解すべく、EU・ユーロ・シュンゲン協定+ダブリン協定の4つを理解する必要があります。

     

     

     

    1.「EU・ユーロ・シュンゲン協定+ダブリン協定」の概要

     

    (1)EU(緩やかな政治結集)

     )[Г療一化

     EU加盟国は、法律の統一化のために、例えばもっと安全性を高めるために規制を強化したいと思っても、自国で法律を制定化することができません。結果、イギリスで運転免許を厳しくして国民の安全な環境を作りたいと思っても、ギリシャで運転免許を取ったドライバーがイギリス国内でトラックを運転するということを規制することができません。

     マーストリヒト条約

     EU加盟国は、後述のシュンゲン協定に加盟していなくても、外国人労働者の受入を拒否することができません。英国はポーランドなどの東欧諸国から外国人動労者が入り込み、イギリス国民の賃金の上昇を抑制されました。メイ首相がEU離脱する理由の一つとして、マーストリヒト条約に縛られて外国人労働者の受入を拒めなくなっているという点があげられます。

     

    (2)ユーロ(通貨統一、金融政策統一、関税自主権放棄)

     ゞ睛酸策の統一化

     ●公定歩合操作

      ユーロ加盟国は公定歩合の上げ下げは、ヨーロッパ中央銀行(ECB)に権限があり、自国では操作ができません。

     ●通貨発行権のECBへの委譲

      ユーロ加盟国は通貨発行権がないため、例えばデフレ脱却のために政府支出をしようと国債を発行しようとした場合、自国通貨建て国債の発行はできず、共通通貨建ての国債を発行することしかできません。

     関税権の放棄

     ユーロ加盟国間の間では、自由市場を基本理念としているため、関税自主権がありません。具体的には、例えばギリシャが対ドイツの貿易赤字を削減しようと関税を引き上げて、関税の税収で自国の産業を育成して貿易赤字の赤字幅を削減しようとしたくても、関税自主権がないので、関税をかけられず、貿易赤字垂れ流しとなります。

     結果、従来から技術力のある(国力が相対的に強い)勝ち組国のドイツは勝ち続け、技術力のない(国力が相対的に弱い)負け組国のギリシャは負け続けてギリシャの財政が悪化するという状況から、抜け出すことができないのです。

     

    (3)シュンゲン協定(人の移動の自由を確保)

     /佑琉榮阿亮由化

     シュンゲン協定締結国においては、シュンゲン協定締結国に属する国民はパスポートのチェックなしで国境を超えることが可能です。ただしシュンゲン協定に加盟していなくても、EUに加盟している場合は、労働者の受入の拒否はできません。

     具体的にはイギリスは東欧諸国から労働者が入ってきた場合、イミグレーション(パスポートチェック)をして受入しています。シュンゲン協定締結国は、イミグレーション(パスポートチェック)せず受入しています。

     

    (4)ダブリン協定(難民の受入ルール)

     ^槎閏入の義務付け

     EU加盟国は、このダブリン協定にも縛られます。具体的には、難民の受け入れを拒否することができないのです。ダブリン協定とは端的には、難民は最初に入った国で難民申請し、申請を受理した国は速やかに許可を認めるというルールです。

     理由は難民による2重申請を防ぐためと言われています。もし、難民が難民申請手続きをした後に、別の国に移動した場合は、最初に難民申請をした国に送り戻されます。

     

     下記は、(1)EU=欧州連合、(2)ユーロ=ユーロ圏、(3)シュンゲン協定=シュンゲン圏、を国家の国旗でカテゴライズしたものです。ひとえに欧州諸国と言えども、人の移動の自由・物の移動の自由・通貨発行権等金融政策の統一化といったカテゴリーが同一ではないのです。欧州の問題を語るときには、このことを念頭に置きながら語る必要があると思います。

     

     

     

    2.「人の移動の自由化」でもたらされるテロ事件の悲劇

     

     「人の移動の自由化」は、欧州諸国の矛盾として特に問題です。理由は、物・資本の移動の自由と異なり、人をコントロールすることは難しいからです。人、即ち人間が何をするか?は、物・資本と比べて時に歴史を大きく動かしてしまうのです。前回のグローバリズムの末期1914628日に、オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子であったフランツ・フェルディナント大公が「ボスニア・ヘルツェゴビナ」の首都サラエボで、「セルビア」系の民族主義者ガヴリロ・プリンツィブに暗殺されるというテロが発生し、第一次世界大戦勃発のきっかけとなりました。テロリズムは歴史を動かしてしまうのです。テロリズムの定義は「暴力や恐怖によって政治上の主張を押し通そうとする」主義のことを言います。

     

     思えば、シリアが米ソ代理戦争となって、多くの難民が地政学的に最も近いギリシャに押し寄せました。ただでさえギリシャは欧州国間ではインフラ整備が相対的に遅れて高失業率と外貨建て債務による財政難など、大変な状況であるにもかかわらず、多くのシリア難民を強制的に受け入れなければならないという状況に追い込まれているのです。

     2015年、ドイツのメルケル首相が積極的な移民受入を表明した結果、どうなったか?これも日本のマスコミはほとんど報じないのですが、ケルン事件という痛ましい事件が発生しました。20151231日から201611日にかけて発生したドイツ人女性1000人に対する3件強姦含む集団強盗・性的暴行事件で、ドイツの大晦日性的暴行事件とも言われています。

     また、2016年暮れには、2件のテロ事件が発生しています。次の2つのNHKの記事をご参照ください

     

    ◆◆記事1「トルコ ロシア大使が警察官に打たれ死亡」◆◆

    『トルコの首都アンカラで19日夜、トルコに駐在するロシア大使が式典でスピーチをしていたところ、警察官の男に銃で撃たれて死亡しました。男はその場で射殺されましたが、発砲したあと、「アレッポとシリアを忘れるな」と叫んでいて、捜査当局は動機などについて調べています。(後略)』

     

    ◆◆記事2「ドイツ 市場にトラック突っ込み死者も 襲撃事件か」◆◆

    『ドイツの首都ベルリンにあるクリスマスの買い物客でにぎわう屋外の市場に大型トラックが突っこみ、これまでに9人が死亡、数十人がけがをしていて、警察は、トラックが意図的に突っ込んだ襲撃事件の可能性があると見て捜査を進めています。(後略)』

     

     トルコでロシア大使が警察官に打たれて死亡とのニュースはIS関連のテロの可能性が高いように思えます。ドイツのテロ事件は、「トラックが50メートル以上にわたって市場を暴走したとし、意図的に突っ込んだ襲撃事件の可能性がある」との見方を伝えています。ドイツのテロは、いかなる政治的な意図があるか?いまだ不明ですが、2015年にメルケル首相が100万人もの難民・移民受入を表明したメルケル首相にとって痛恨の一撃であったことでしょう。

     

     

     

    3.「移民・難民受入推進」は後戻りができない愚策

     

     「子供には罪がない!移民・難民に寛容になろう!」として「移民・難民受入推進」を表明したメルケル首相や、こうした考えに同調される方は、頭の中がお花畑な考えと言わざるを得ません。

     

     イギリスのメイ首相のEU離脱、トランプ大統領のメキシコ移民制限という流れを見ますと、メルケル首相は今後、「メルケルが移民・難民を受け入れたから、テロ事件が勃発するようになったのだ!」という国民からの声で支持を失っていく可能性が高いと思われます。

     

     とはいえ、厄介なのはすでに流入した100万人単位の難民・移民を国外に「追放」「排斥」することは現実問題として不可能です。しかも20166月時点で給料を得られる職に就いている移民・難民は20156月比で25,000人増えただけです。ドイツ流入した移民・難民数は736,000人ですが、就労できたのはたったの25,000人です。移民・難民の就職率は、3.4%程度です。

     

     結局、移民・難民はドイツ財界が望む「安い賃金で働く優秀な労働者」とはならず、彼らの生活はドイツ国民の負担によって支えられることになるのです。

     

     国内で外国人テロが頻発して膨大な移民・難民を自分たちの所得で養わされるとしたら、皆さんはどう思いますでしょうか?

     

     こうした欧州情勢を見ますと、移民・難民受入は後戻りができず手遅れとなるのです。難民の小さい子供の写真を掲載して「子供には罪がない!かわいそうだ!」などと同情を集める報道や言論は、こうしたシュンゲン協定によって国民の主権が脅かされている現実を無視した全く「頭の中がお花畑な考え」と言わざるを得ません。

     

     

     今日はメイ首相のEU離脱宣言について触れ、その中でも「人の移動の自由化」の問題を取り上げさせていただきました。


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