薬価改定について製薬会社の反発は当然です!

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     今日は、「薬価改定について製薬会社の反発は当然です!」と題し、増加基調の社会保障費を抑制しようとする考えに対して、反対論を論じたいと思います。

     

    下記は時事通信のニュースです。

    『時事通信社 3/17(土) 17:02配信 新薬開発で日本回避懸念 製薬各社、薬価改定に反発

    高齢化進展による増加基調の社会保障費を抑制するため、厚生労働省が昨年末に決定した医薬品の公定価格(薬価)の抜本改革に対し、製薬各社の反発が収まらない。日本製薬工業協会の畑中好彦会長(アステラス製薬社長)は「国民皆保険維持は、社会保障全体で議論すべきで、薬価だけで財政の調整をするのは限界に来ている」と指摘し、「革新的新薬の研究開発や安定供給を著しく阻害する」と批判した。

     

    しわ寄せは製薬業界に

     社会保障費抑制では、医療費全体の抜本的な見直しが期待されていたが、医師の診察料は引き上げられる一方で、しわ寄せを被ったのは薬剤費。革新的新薬などの薬価引き下げを一定期間猶予する「新薬創出加算制度」が大幅に縮小され、日本での新薬開発を後回しにする「ドラッグ・ラグ」問題の再燃が懸念されている。製薬各社が新薬開発で従来のように欧米を優先し、日本を後回しにすれば、最新の抗がん剤などが国内で使える時期が遅れる恐れがある。
     新薬開発は10年程度の期間と1000億円以上の費用がかかるが、既存薬と効き目に大幅な差異が出なかったり、重篤な副作用が見つかったりすると、開発中止もあるリスクが高いビジネス。化学合成による従来の医薬品とは異なり、遺伝子工学を応用し、微生物や動物細胞など生物由来の物質から作るバイオ医薬品も登場し、開発費はさらに膨らんでいるのが現状だ。

     

    ドラッグ・ラグは解消途上

     日本国内では2000年代まで、開発が遅れたり着手しなかったりして、欧米で治療に使われている医薬品が利用できない「ドラッグ・ラグ」が問題になっていた。(中略)

    厚労省は「ドラッグ・ラグは解消してきている」などとして、新薬創出加算の縮小を決めたが、解消を促した加算制度の魅力がなくなれば、海外メーカーを中心に日本への投資マインドを冷え込ませることになる。国内製薬大手幹部は「すぐに影響は出ないが、欧米で発売された新薬が日本で出ない事態を数年後に再び目の当たりにするかもしれない」と警告。業界関係者からは「日本で新薬開発が遅れると、数千万円かけて海外で治療が受けられる高所得者のみの命が助かる」との声も上がっている。

     

    オプジーボ値下げも影響か

     小野薬品工業の抗がん剤「オプジーボ」の緊急値下げもドラッグ・ラグ拡大に影響しそうだ。製薬業界は開発中止リスクがあるビジネスのため、市場環境の急な価格の変化で収益見通しが修正されるのを好まない。「急に大幅値下げされては将来の投資計画が立てられず、日本での開発をためらうかもしれない」(外資系製薬大手)と話す。
     皮膚がん治療薬のオプジーボが肺がんでも使用できるようになり、患者数が30倍以上に急増。患者1人当たり年間3500万円かかる高額医薬品だったこともあり、医療財政を圧迫するとして問題視された。通常2年ごとの薬価見直しルールがほごにされ、1年以上前倒しして薬価が半額に引き下げられることになった経緯がある。18年度からはさらに引き下げられ、発売時よりも6割超安くなる。
     そもそも特許期間中に薬価が下がるのは日本だけといい、「オプジーボのように使用できる病気を増やす努力をすると、特許期間中でも薬価が下げられることも問題だ」(海外製薬大手幹部)とし、投資先としての日本市場への不信感は高まっていた。
    (中略)

     

    第2の「リピトール」生まれない

     米製薬大手ファイザー日本法人の梅田一郎前社長は時事通信とのインタビューに応じ、昨年末の薬価改定で新薬加算制度の対象を、同じ病気の薬剤で最初のものが発売されてから3年以内の3製品までに制限したことに懸念を表明した。
     同社はかつて、ピーク時の年間売上高が129億ドル(約1兆4000億円)と、大ヒットとされる10億ドル(約1080億円)を大幅に超える高脂血症治療薬「リピトール」を発売している。しかし、梅田氏は「リピトールはこの領域の1番手が出てから随分遅れて発売しており、3年以内に3製品という限定がある現在であれば、開発を続けて大丈夫かという議論になっただろう」と述べた。今後は第2のリピトールのように、薬効が高く世界的にヒットする製品でも、開発時期や他製品の発売状況を理由に、日本では開発されないケースが出てくることを示唆した。
     また梅田氏は「必ずしも最初に出た製品だけが素晴らしいのではなく、後に出てくる製品の方が優れた改善がなされていることは当然あり得る」と話した。花粉症薬を例に挙げ、「当初出た薬は眠くなったり便秘を起こしたりしていたが、少しずつ改善している」と機械的に「3年以内3製品」と設定したことに批判的だ。国内大手の経営トップも「患者の負担が小さくなる改良型の新薬の開発が今後は滞るだろう。結局、薬の進歩を享受できなくなるのは日本の患者だ」と指摘した。

     

     

     上記ニュースの通り、新薬開発する製薬各社から薬価改定に反発の意思表示をしたとするニュースです。新薬開発する主な日本国内の製薬メーカーといえば、武田薬品、アステラス製薬、第一三共製薬、塩野義製薬、小野薬品工業など、東証1部上場の新薬開発製薬メーカーはたくさんあります。一方で、ジェネリックだけを製造する製薬会社も沢井製薬、東和薬品といったメーカーがあります。

     

     ジェネリックとは後発医薬品といわれ、先発医薬品と区別されます。この後発医薬品について、政府が主導して普及がすすめられてきました。理由は財政問題です。実際は財政問題は存在しないにもかかわらず、政府は財政問題を理由に、医療費抑制を目的にジェネリックを普及を推進してきました。その結果、新薬医薬品を研究開発する製薬メーカーが、新薬開発の投資コストを回収できなくなってきているという事態が発生しているのです。

     

     多くの国民が便益を受けるとすれば、医療費を抑制せず政府支出によって投資コストを負担していくのが一番であると私は考えます。そうすれば、新薬開発する日本国内の製薬メーカーも十分な利益を確保でき、新薬開発の投資にお金を回すことが可能です。

     

     投資コスト回収を目的に新発医薬品の価格を引き上げたとして政府支出の投入がない場合、新発医薬品の価格がつり上がってしまい、お金がある人しか「いい薬」が買えなくなってしまいます。

     

     一方で新発医薬品を薬価改定で投資コストの回収がままならない状態で引き下げてしまうと、今度は新発医薬品の製造メーカーが新薬開発の十分な投資資金がないために、新薬開発が滞るという事態が起きます。

     

     日本で「いい薬」が開発されないとなった場合、欧米から買うということになります。これは国力の低下です。なぜならば、欧米から薬を輸入するということになれば、欧米の製薬メーカーの従業員の所得となり、日本の所得にはならず、日本のGDPが伸び悩むということに他なりません。

     

     ギャンブルに近い新薬開発の投資を後押しするため、政府支出によって投資コストを支えれば、日本の製薬メーカーらが新薬開発をしやすくなります。政府支出によって支える=GDPの増加、民間製薬会社の投資を誘発する=GDPの増加です。

     

     日本で「いい薬」を開発する有能な製薬製造メーカーがたくさんあるということは、それだけ医療安全保障を支える有力な供給力を保持する国力が高い国であることを意味しています。それを支えるのは民間企業の努力だけでは不可能です。なぜならば、新薬の開発はギャンブルに近いからです。だから医療費を抑制することを目的とした薬価改定は間違っていると言わざるを得ません。

     

     薬価改定の問題は、医療費が増加したとしてその財源が政府支出だったとしても、デフレなので問題がなく、むしろ経済成長に貢献するということを、日本国民が理解する必要があります。財政問題を理由に政府支出がなければ、薬価が高騰して患者の負担が増えます。

     

     そうしたことを前提に考えた場合、2年に1度見直される医療報酬の改定で医療費抑制を目的とした薬価改定は、時事通信の記事に記載の大手製薬メーカーのトップが言うように、患者の負担が小さくなる改良型の新薬の開発が滞り、薬の進歩の享受できなくなるのは日本の患者であるとの指摘は、全く正しいです。

     

     

     というわけで、今日は薬価改定について製薬メーカーが反発したというニュースをご紹介し、日本の医療制度の薬価政策について論じました。

     この薬価改定の問題でも、やはり背後には本来日本には存在しない財政問題というのがあります。財政問題がないのにことさら財政問題を理由として医療費を抑制するという論調を放置すると、日本の国民皆保険は真に崩壊せざるを得ないでしょう。

     真に崩壊とは、お金のある人だけが「いい薬」を買うことができ、「いい治療」が受けられるということで、すべての人が一定の自己負担するだけで医療サービスが受けられるという現在の仕組みがなくなってしまうことです。そしてそれは、アメリカの医療制度と日本が同じになってしまうということです。日本の国民皆保険制度の素晴らしさは、過去にどんな病気にかかっていようが、一定の自己負担割合で高度な医療・治療が受けられるということであること、そして1億人以上の人口の国家で、このような国民皆保険制度がある国は日本以外に存在しないということを、改めて皆さんに知っていただきたいと思うのであります。


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