「トラック・バスなどの運送業界」「ホテル・旅館業」とデフレ対策

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     今日は、「トラックやバスなどの運送業界とデフレ対策」と称し、意見します。

     

     日本がデフレ脱却をするための対策としては、マクロ的にみれば財政出動が一番時間軸も確実性も高い経済対策です。財政出動によって、公共工事や科学技術振興やら、お金を支出するということが最も効果があります。財源は、デフレでゼロ金利で借り手が居ない状況で困っている状況ですので、普通に国債発行で問題ありません。

     

     また政府部門を黒字にすればするほど、デフレになるため、政府部門を赤字にするために、プライマリーバランス黒字化目標を破棄することも重要です。

     

     このようにマクロ経済対策については、私がよく主張する論説なのですが、デフレ脱却のための対策として、産業ごとにミクロの対策が必要な場面もあります。

     

     一番やらなければならないことは、例えば民泊を辞めるとかも、ミクロの経済対策として有効です。民泊は現在、経済特区でしかできませんが、民泊ができるようになった結果、ホテルの宿泊料金の上昇幅は抑制されます。ホテルの労働者の賃金が下がってデフレになります。

     

     もし民泊を辞めれば、もしくはやっていなければ、ホテルの宿泊料金の上昇によって、名目GDPが上昇。即ちホテルの売上高が増加し、ホテル業界の労働者の賃金UPも可能になります。売り上げが上昇するという名目需要が十分にある状況で、さらに稼働率が高まるとなれば、そのホテルは増床の設備投資をすることもやりやすくなるでしょう。増床した部分についても、高稼働で料金も下がらなければ、ホテル業界の従業員の賃金UPの原資が大きくなります。

     

     実際は、民泊を始めたため、ホテルの料金の上昇幅が抑制され、ホテルの労働者の賃金も上昇幅が抑制されます。GDP3面等価の原則でいえば、生産=支出=分配ですので、安く提供されれば消費者の支出額は抑えられますが、同時に生産額も抑えられ、分配としてもらえる売上高(賃金)も抑えられます。

     

     これはタクシー業界で考えても同じです。白タクなんてやろうとすれば、タクシーの運賃が下がってデフレが加速します。昔は、パス、タクシー、トラックで需給調整をしていましたが、需給調整を辞めて自由に参入できるようにしたことで、台数が増えて料金が下がりました。料金が下がる=デフレです。

     

     また昔は大型ショッピングセンターを作るには、許認可が必要でしたが、今は事後届出制となっています。結果、ジャスコやイオンといった大手スーパーが好き勝手に店舗施設を作れるようになったため、商店街に客が来なくなって、商店街で事業を営む人の賃金が下がり、廃業する商店が増えたりして、シャッター商店街と化していくのです。

     

     雇用関係でいえば、昔は時間雇用が規制されていたため、アルバイトは少なかったのですが、アルバイトが雇い放題になったことで、賃金が下がってデフレが加速します。

     

     経済を語る人は、このようにアホみたいに規制緩和をやり続けるとデフレ化するということを、常識として理解すべきです。とにかく規制緩和すれば経済が筋肉質になるなどと、「規制緩和は自由だから進めるべきもの!」として、規制緩和をやりまくっため、20年間デフレ化してきたということを理解すべきです。

     

     規制という言葉を聞くと、「がんじがらめ」なので、緩和をすることはイイことなのでは?と思われる方がいるかもしれません。稀にいわれることなのですが、ハンドブレーキを掛けたまま経済成長することはできない。ハンドブレーキを下げるために規制緩和すべき!と主張する人は実に多いです。

     

     ところが実際は規制緩和をやることで、先述のメカニズムで賃金が下がってきました。デフレ脱却のためにも、今から規制を強化もしくは規制を適正化せざるを得ないのです。ルールを失くしていくのが規制緩和だったのですが、デフレ脱却に向けて今後は、いったん緩和したルールを再びルール構築していく必要があるでしょう。

     

     例えばタクシー業界でいえば、過剰に台数が増えてデフレは進行していきます。台数をみんなで話し合いながら、少しずつ台数を削減していった場合、タクシー1台当たりの売上高が上昇して、賃金は上昇します。

     

     実際は、2009年のタクシー特別措置法が施行されるまで、規制緩和でタクシーの台数が増加していきました。2014年1月に施行された改正タクシー特別措置法は、具体的に減車させる措置です。もともとタクシーは非常に事故が多く、他のタクシーに客を奪われまいと無理な割り込みをするなど、台数増加がさらなる事故の増加につながりやすくなっていましたが、2009年のタクシー特別措置法の施行から規制強化を始めました。

     

     バスも規制緩和したことで安いバスがたくさん増えてデフレ化が促進され、デフレ化するだけでなく事故も発生して人が死にました。だから規制を強化していくという方向性になりました。

     

     トラック業界もタクシー業界、バス業界と同様に、規制を強化していこうとしています。既に適正運賃料金検討会というのが設置され、内閣府官房参与の藤井聡氏が座長になって取り組みをされています。

     

     もともとトラック業界の産業規模は12兆円程度といわれ、ドライバーや労働者も多く、ここのデフレ化を止めることは、日本のデフレ脱却のために大きい極めて重要な業界だといえます。なぜドライバーの賃金が下がってきたか?といえば、マクロ経済で期にはデフレが原因であり、ミクロでいえば台数に関しての需給調整をやらなくなってしまったことが原因です。

     

     また、許認可制を届出制にして規制緩和したこともデフレ化促進の原因です。一気に運送業者が増えました。信じられないかもしれませんが、3PL(サードパーティーロジスティクス)などで、7次下請けまであると言われているのです。

     

     普通は、二次下請け、三次下請けまでならあると思いますが、規制緩和推進の結果、6次下請け、7次下請けというのが存在するというひどい状況で、これでは当然デフレ化します。これを止めるためには、許認可行政を再強化する必要があるのですが、公正取引委員会との調整も必要です。

     

     そこで、まず第一歩として料金適正化を図るため、適正運賃料金検討会という委員会を作りました。トラックの運賃というのは普通はガソリン代、高速料金、最低労働賃金、保険料の他、一般管理費があり、これだけの料金がかかるので、それは荷主さん払ってください!ということで荷主が応じてくれれば、デフレ化しません。

     

     ところが実際は、そういう積上げコストを一切無視して、単なるマーケットメカニズムで自由に料金が決まるようになっています。例えば、運送業者Aが500円、Bが400円、Cが300円だったら、当社は100円でやるから仕事をやらせて欲しい!というD社が現れるということになります。これが最低運賃の規制を一切しない自由競争の世界です。

     

     そのような状況のため、自動車保険未加入、ボロボロの車両を使い、労働者の賃金は下限を支給するというような、とんでもない業者が次々と仕事を取っていくということが繰り返されてきました。そのため、真面目な業者が仕事を獲れなくなって次々と廃業・倒産していきました。結果、廃業・倒産したくないからということで、仕方なくダンピングし、適正価格を完全下回って不良不適正な超安い値段に引きずられ、普通のトラック業者も荷主からもらえる運賃が下がり、ドライバーも経営者も泣いている状況です。

     

     実際のところ、過去数年はトラック業界は平均収益がマイナスで、トラック業界全体として赤字です。デフレのため、日本人の賃金自体は一世帯当たり100万くらい減少していますが、その低下率をさらに下回る形で、トラックドライバーの運賃がどんどん下がっていきました。労働者も貧乏で経営者も赤字になっているというこの状況。マーケットメカニズムで決めていることが原因です。

     

     そこでトラック業界のデフレ対策としては委員会を作り、少なくてもガソリン代、高速道路料金だけは払ってもらうという方向性で、最低限払うべきものは払ってもらう仕組みにしましょうという取り組みを始めました。この取り組みをしない場合、例えば真面目にやっているラーメン屋が100円でラーメンを作っているのに、他では80円で販売しているとして、100円で売っている真面目なラーメン屋も80円で販売せざるを得ません。結果、みんな損しているわけです。

     

     

     というわけで、今日は”「トラック・バスなどの運送業界」「ホテル・旅館業」デフレ対策”と題して意見しました。上述の構造はトラック業界以外の業界でも日本中で蔓延しています。公正取引委員会という組織もまた、談合やカルテルは一切認めず、「企業努力でなんとかなるはずだ!」という組織です。デフレ化の環境で企業努力を促進する競争を強いれば、定価割れして実際に価格は下がってしまうということを、公正取引委員会の人にも理解して欲しいと思うのであります。

     また、デフレを放置して自由競争を続けると、貧すれば鈍するとなって、運送業界でいえば、トラックは安全に荷物を運べず、バス・タクシーでも事故が増え、飛行機でいえば最悪墜落事故、電車でも停電などの事故が増えるというような状況になります。それ以外にも廃業も増え、結果的に供給力を毀損していくのです。

     一度失った供給力を再び取り戻すためには、技術ノウハウの蓄積をやり直すため、困難です。具体的にいえば時間がかかります。供給力はまさに虎の子。その虎の子の供給力がデフレ放置で毀損されていると思った時に、国力が弱体化して発展途上国化していくのが、私には耐えられないのです。

     

     

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