ビットコインを含む仮想通貨の問題点について
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私は、大卒時代から保険業界に従事してきました。保険業に携わりながらも、証券業や銀行業についても本を読んだりしていたためか、金融オタクと呼ばれるほど精通しているといわれます。
今の会社で取引先と接待のときでも、社長や部長職以上の方々に、ビットコインについての見解を聞かれたりすることも多い。
そこで今日は、竹中平蔵氏がビットコインを推奨していたという事実をご紹介し、一方でビットコインを含む仮想通貨の問題点を指摘させていただき、竹中平蔵氏のビットコインを推奨する論説に対して、反対意見を述べたいと思います。
2017年10月7日に、株式会社エムフロという都内にあるメディア関連の企業が、コインチョイス編集部という名前で、仮想通貨をテーマに情報発信をしているサイトにおいて、竹中平蔵氏に「ビットコインは儲かりますか?」というインタビューのやりとりを掲載しています。また、2017年10月12日にも「国や銀行にとっての仮想通貨」というテーマでインタビューをしています。下記2つの引用はコインチョイス編集部というサイトからの引用で、竹中平蔵氏のインタビューの様子です。
『2017/10/07 コインチョイス編集部 竹中平蔵氏に聞く、ビットコインは儲かりますか?
編集部(以下、編):ビットコインが誕生してから、価格や規制の面でも様々な局面を経て、今仮想通貨に注目が集まっていますが、竹中先生にとってビットコインの印象というのはどのようなものでしたでしょうか?
竹中平蔵氏(以下、竹中):仮想通貨の話が出てきて、印象的だったのは2014年にマウントゴックスが経営破綻です。当時は仮想通貨のような概念が可能だと頭では分かっていましたが、それと一緒に問題が残ったという印象を受けました。
振り返ると、ビットコインが登場したのが2009年。その頃は、まだ第四次産業革命という言葉もありませんでした。
2011年に、ドイツが初めてインダストリー4.0という言葉を使って、人工知能の画期的な技術進歩、第四次産業革命というような概念が広がってきた中でフィンテックというコンセプトも注目されるようになりました。
そのフィンテックの中の重要なパーツとして、この仮想通貨というものが出てくるという流れができつつあったところに、2014年のマウントゴックスがありましたね。
そして2016年に資金決済法が改正されて、仮想通貨が表舞台に出てくることになった。
国のお墨付きが無いおかね
編:仮想通貨は経済の中ではどのような位置づけで考えられるのでしょうか?
竹中:仮想通貨は、基本的には今出てきてるUBERやAirBnB等と基本的には同じだと思います。
今までは、一種の国がお墨付きを与えるようなインフラがないと社会が機能しませんでした。例えば私がどこかに宿泊するとなると旅館業法に基づく旅館やホテルじゃないと安心して泊まれなかったわけですよね。
同じように、通貨決済の手段としても、国や権威やお墨付きが無ければ安心できなかったのだけれども、新しい技術を駆使することによって、そうじゃなくてできるようになった。なので、このような一連の流れで、UberがありAirBnBがあり、同じような意味で仮想通貨があると認識しています。
これからのビットコインに必要なものは
竹中:また、通貨とは何か?を考えるにあたっては3つのポイントがあります。ひとつは価値をはかる尺度。これは500円、1000円といったお金の単位に使われています。
二番目が私たちにとって重要で、決済の手段です。これが充実してくると3つ目の価値を貯蔵する手段になります。例えば、財産を500万持ってます、1000万円持ってますと、日本円で貯蔵してるんですよね。
ドルやユーロで貯蔵することもできますが、北朝鮮の通貨で貯蔵する人はまずいません。理由は信頼です。日本やアメリカの政府に対する信頼があり、決済で充分使えるから貯蔵できる、という流れで先ほどの3つの要件を満たします。
これを考えると今のビットコインの世間での取り上げられ方はやや不健全で、買ったビットコインが10倍になりましたという投機的なものです。
それはそれで、増えたらいいと思いますが、今後発展し続けるためには、やはり決済に使えるしっかりとした基盤が必要です。
それでも気になるビットコインの価格
竹中:仮想通貨を手に入れようとする人は、必ず「儲かりますか?」って聞くわけですよね。急激に価値が上がってきたことが魅力ですが、そこはやはり問題点でもあります。
つまり、これでものが買えるという実態が常に伴っていないとやはり危ういのではないかと思います。
つまり国がお墨付き与えるわけでも、どっかの企業がお墨付きを与えるわけでもなくて、たくさんの人が実際に使っているという事実が最大の安心の基盤となります。
ただ、そのプロセスで「儲かるから持とう」という人が増えるのは悪いことではありません。
編:投機目的から決済としての普及に変わっていくプロセスはどのような形になると思われますか。
竹中:まず送金ですね。今の日本の銀行はほぼ0円でできるはずの送金に高い手数料をとっています。
帳簿管理のためにお金を使って、それで高額な手数料をとって、貸付先を探せない銀行がなんとか手数料で稼いでるわけですよね?
しかし、帳簿管理をブロックチェーンのような形でできるのならば日本に銀行は必要なくなってしまいます。
私は送金するたびに物凄く腹が立ってしまいます(笑)。』
『2017/10/12 コインチョイス編集部 竹中平蔵氏に聞く、国や銀行にとっての仮想通貨
政府にとって仮想通貨はどんな存在?
編:政府の立場から見ると仮想通貨はどのような存在なのでしょうか?
竹中:日本の場合、政府は割と早く対応したと思います。2016年に、これを決済通貨として認めたわけですよね。法律では割とそういう点では無難に「インターネット上で取引等々ができるような財産的価値」と書かれています。
仮想通貨は国が認めようが認めまいが止めることができない性質のものですから、積極的に取り入れようとしていたり、抑制するわけでなく、必要な規制をかけていこうとう姿勢ですね。
しかし、最近は中国が仮想通貨を禁止したと報道され、価格も大きく動きましたね。仮想通貨は為替管理をしている当局としては大変恐ろしい存在でもあります。
中国は外貨管理をして、人民元を持っている人は簡単にドルなどに替えさせないようにしていますが、仮想通貨ならできてしまいます。それを恐れて禁止をしたというわけですけれど、これは中国にとって長期的なマイナスなのではないでしょうか。
中国の長期的な経済発展にとっては、やはりその社会主義自由市場経済ということで、無理をして矛盾したことをしてる国なので、その部分が最先端の仮想通貨に現れてきているということだと思いますね。
仮想通貨を受け入れることは銀行にとって自己否定?
竹中:仮想通貨の取引所に投資している銀行もありますが、ある意味これは銀行の自己否定になるのではないでしょうか。フィンテックを定義するならば、お金に関するビッグデータを取り扱うテクノロジー企業だと思います。
サービスを提供するにあたって銀行である必要は全くないです。ですので、銀行がフィンテックと騒いでいることに対して、本当に自己否定ができるのだろうかと少し冷ややかに見ています。
銀行も賢いのでフィンテックを取り入れて生産性を上げようとしていますが、フィンテックのプロジェクトには現場の仕事にとって代わるようなものもあるので、現場の人には不都合かもしれませんね。それでもやはりこの問題に対し、正面から向き合わざるを得ないような技術的局面を迎えています。
そもそも、それこそ第四次産業革命、人工知能ロボット、IOTビッグデータ、等々と組み合わさることによって、今の職業の約半分はなくなるといわれています。
そのなくなる職業の中には銀行の融資係が入っています。融資係が全くゼロになるとは言いませんが、今行っている業務のかなりの部分はデータベースと置き換えられますよね。
同じように会計士の仕事もなくなると言われているわけですね。最終的な判断をする人は残るでしょうけども、今行われている仕事の大半の部分は、やはり置き換えられて行く。だからそういうトレンドの中に、銀行があると考えれば自然なことかもしれないですね。私は大学の教師もなくなると思ってます(笑)。
答えの出ない絶対的な正解がないものに対してああでもないこうでもないと、全員が参加して議論するような授業には必要だと思いますけども、経営学の教科書に書いてあるような基本的な知識を教える仕事なんて人間がやる必要は全然ありません。
それで実は一番成功してるのが、Webで授業をしている東進ハイスクールですよね。
編:とはいえ、今の立場を手放したくない人っていうのが結構いるわけで、その人は全力で変化を阻止したいというモチベーションがやっぱりあるのですよね。
竹中:その通りですね。こういうイノベーションは何でもそうですけど、そのメリットは薄く広く行き渡ります。
例えば送金手数料が100円から10円になったというと、利用者にとって安くなったのは90円だけです。でも、ほとんど全員に行き渡るものなので社会全体として物凄く大きな利益があるはず。
一方で、銀行業界が失う利益は深いんですよね。この人たちは徹底的に反論します。例えば話題になっている加計学園の問題や、過去の郵政民営化だって、既得権益を失う人たちは少数でも失うものが大きいので、徹底的に抵抗してきました。
改革をする方はほとんど応援団がいませんが、実はこれ全てに通じていると思います。』
さて、コインチェックから580億円もの仮想通貨NEMが流出してから日が経ちますが、盗まれたタグのついたNEMが海外の取引所での換金が発覚するなど、コインチェックが口座所有者に盗まれた仮想通貨を返済できるのか?依然予断を許しません。
上述は2017年10月ではありますが、法定通貨に対して、特定の国家による価値の補償を持たない仮想通貨について、竹中平蔵氏が語っています。通貨決済の手段として、国の権威というお墨付きがなければ安心できなかったが、新しい技術ができて駆使することができ、そうではなくなって安心できるようになったとのこと。
こうした論説について、一般的に詐欺に近いと言っても過言ではありません。なぜならば、一般的な詐欺は、瑕疵ある商品・サービスについて、瑕疵がないと推奨する行為が詐欺です。竹中平蔵氏は、個人が必ず儲かるという証明をしているわけではないので、詐欺であるとは断定しきれません。とはいえ、瑕疵があるものを推奨する、問題があるものを推奨する、そういう傾向が極めて濃厚な論説です。
この竹中平蔵氏のコメントをみて、若い人がビットコインを買おうかとなってとんでもないことになったら、どう責任を取るのでしょうか?
<ビットコインと円のチャート>
(出典:みんなの仮想通貨)
上記の通り、直近の安値は2/6で、646,271円で、これは2017年10月頃の水準です。この1週間は80万円〜100万円の間を推移しています。
仮に2017年10月に竹中平蔵氏のコメントを読み、2017年末にかけて大相場となった状況を見て、私も買わなければ・・・などと若者が手を出していたら、大やけどしているわけです。竹中平蔵氏のコメントについては、倫理的に憤りを感じるコメントと言わざるを得ません。
この竹中平蔵氏のコメントについて学術的に4点誤りを指摘します。
1.仮想通貨は納税や公共料金の支払いを認めない
1点目は、仮想通貨はビットコインに限らず、納税や公共料金の支払いは一切認めていません。
ビックカメラなどの小売店の一部で、ビットコインの支払いを認めていますが、国家や地方自治体では一切認めません。なぜならば、公務員の給料は円で払うからです。
ビックカメラなどの小売店にしても、これだけ乱高下する状況が続くと、ビットコイン決済をやめるかもしれません。なぜならば、ビックカメラが家電製品を仕入れる際、家電メーカーはビットコインでの支払いを認めないでしょう。ビックカメラがビットコイン決済を認めているのは、中国人の爆買い規制をすり抜けることが狙いであるようにも思えます。
(関連するブログ記事「中国の爆買い規制と400兆円の外貨準備高の中身について」)
来店客についてビットコイン決済を認めても、仕入れの際にビットコイン決済を認める国内メーカーは現れないでしょう。(中国の家電メーカーは認めるかもしれませんが・・・)
2.円は法定通貨である
2点目は、法定通貨円の場合、自分が円建てで借金をしていて返済する際、「円で返します!」という意思表示に対して、「円でなく他のもの(米ドルや仮想通貨など)で返して欲しい!」という権利は、受け取り側に一切権利がありません。円で返してくる場合に受け取るしかありません。
ビットコインの場合、ビットコインで返すのではなく他のもので返して欲しいと言われる可能性があります。ビットコインでの返済を拒否される可能性があるのです。
円は日本の法定通貨のため、受け取りが拒否できません。
3.仮想通貨に金融政策は存在しない
3点目は、仮想通貨に金融政策が存在しないことが挙げられます。
ブロックチェーンという技術を中心に、セキュリティシステムを含め、システムが確かに安心できるものであったとしても、仮想通貨には金融政策が存在しません。
円やドルの場合は、日銀という政府の子会社で、極めて大きな影響力を持った、日本国民の主権で誕生した日銀という組織が、買いオペレーション、売りオペレーションを通じて、円の安定性を確保する装置が付いています。
具体的には、円が急に暴騰する、急落するなどの場合に、円の急激な価格変動を安定化させることが可能です。特に重要なのは、ヘッジファンドなどが日本円の暴落を仕掛けた際に、買いオペレーションで暴落を食い止めることができる点です。これが円の安心、安定性を確保しているのです。
円という法定通貨の信認が確保できているのは、日銀の存在が大きいのです。仮想通貨の場合は、そうした存在がないため、価格が乱高下します。この点は明確に安心できないといえます。なぜなら、寝ている間にもビットコインが半分になってしまうということが普通に起こり得ます。円の場合は、そうなる可能性は極めて低いのです。
4.セキュリティシステム
今回、コインチェックのNEM流出騒動では、580億円も流出したといわれています。ネットバンクもいろんな種類がありますが、基本的に銀行のシステムは、インターネットに繋がらないスタンドアロンでやる部分が多いため、ハッカーにハッキングされるリスクは一定程度に抑制されます。
ところが、仮想通貨の場合は常時インターネットに接続されており、コインチェックの場合は、忙しいからそこまで手が回らなかったということで、非常にヤバい状態なわけです。
上記1〜4の通り、価格は乱高下して安定装置がなく、いつハッキングされるかもしれないという、大変危険なものであるにもかかわらず、竹中平蔵氏はこの仮想通貨を「安心できますよ!」というのは、いかがなものか?と思うのです。ビットコインは他通貨と異なる部分があって参加者が多いという点があるとはいえ、仮想通貨と呼ばれるものは共通して上述の問題点を抱えます。
「国のお墨付きがなくても安心ができる!」というのは国家を愚弄することと同じであり、倫理的にも問題がある発言と言わざるを得ません。
というわけで、竹中平蔵氏の論説に反論させていただきました。だいたい私はこの人の価値観には賛同できません。竹中平蔵氏は、Airbnbの日本上陸について、ホテル・旅館業界を既得権者とし、民泊の推進を歓迎しています。( 典型的なレントシーキング “マスコミが報じない「民泊の不都合な真実」” )郵政民営化も郵政省に努める国家公務員や特定郵便局を既得権者とし、郵政民営化を実行しました。銀行の手数料が安くなる、銀行の存在が不要になるとして、今度は仮想通貨を推奨している。しかも、国家権力である通貨発行権や徴税権というものを愚弄している点が、私には大変不快に思えます。もちろんバリバリのグローバリストであるが故の発言ですが、こうした論説は私は学者としていかがなものか?と考えます。
私は仮想通貨に対して、否定的な立場です。仮想通貨を否定すると頭が固いと言われるかもしれませんが、私はそうは思っていません。頭の固い無知な人が不合理に疑っているのではなく、事実を正確に知る高い見識を持った上で、ビットコインなどという如何わしいものには手を出すべきではないという見解を持っているのです。
仮想通貨は世界で広がっているのを含め、1000種類程度あると言われていますが、いずれもバックアップ機能がありません。通貨という裏には、国家権力や軍隊・徴税権といった権力があって、日本でいえば円という通貨が存在するということを、私たちは改めて知る必要があると思うのです。
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- 2018.02.14 Wednesday
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