プライマリーバランス黒字化目標を一時的に破棄した麻生政権の功績をつぶした民主党政権

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     今日は、掲題の通り、麻生太郎政権の政策「三段ロケット」について論説します。麻生太郎といえば、2009年のときに漢字が読めないなどと批判されて、総選挙で民主党に敗北し、歴史的な政権交代を許してしまった内閣のときの総理大臣です。

     

     三段ロケットとは下記の記載の政策です。

    (出典:総理大臣官邸からの資料)

     

     麻生政権では、一時的にプライマリーバランス黒字化目標を閣議決定で破棄して「景気対策の三段ロケット」と称し、財政支出拡大路線をしようとしたのです。なぜ、麻生政権が「景気対策の三段ロケット」で大規模な支出増となる75兆円の経済対策をやろうとしたか?理由は、リーマンショックによる大幅な需要減少が原因です。需要減少の結果、デフレギャップが拡大したからです。

     デフレギャップとは、需要<供給 が需要不­だとして、「供給−需要」で算出される数値のマイナス幅が大きい状態をいいます。リーマンショックでは日本国内だけではなく、世界中で物・サービスが買われなくなりました。

     

     GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出

    ※純輸出=輸出−輸入

     

     税収=名目GDP×税収弾性値

     

     上記で算出されるのがGDPですが、個人消費も落ち込み、設備投資が冷え込み、輸出が伸び悩むとなれば、政府支出を増やすしかありません。

     また税収は名目GDPと相関関係にあるため、リーマンショック後の需要減少という状況に対して、政府支出増をすることは税収の確保にもつながり、合理的で正しい政策といえるわけです。

     

     この政府支出増をするため、一時的にプライマリーバランス黒字化目標を破棄したのが、麻生太郎政権でした。

     

     当時、麻生政権の政府支出増の政策に対して、有識者の一人で野口悠紀雄(早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問)が、批判的な論説をしました。その記事をご紹介します。

     

    『ダイヤモンドオンライン 2009/04/04 景気対策の三段ロケット=75兆円 お寒い実態

    (前略)麻生太郎政権は、「二度の08年度補正予算と09年度予算で景気対策を取り(景気対策三段ロケット)、その事業規模は75兆円である」としている。(中略)

    「75兆円のうち財政支出は12兆円」と断ってはいるが、財政支出だけを見ても、妊婦検診の無料化など、景気刺激策とは言えないものがほとんどだ。額的にかなり大きいのは、医師確保・緊急医療対策、難病対策、新型インフルエンザ対策などだ。これらが必要なことに対して異論を挟もうとは思わないが、これらは経済が落ち込もうが落ち込むまいが必要とされることだ。こうしたものを「景気対策」に含めるのでは、全体の数字が信頼性を失う。

     マクロ経済学的な意味で景気対策とみなせるものは、定額給付金2兆円以外には見当たらない(自動車減税、高速道路の料金引き下げなどについては、後で論じる)。

     他方において、GDPの落ち込みは10%程度、つまり50兆円程度と考えられる。これを引き起こしている外生的要因である輸出だけをとっても、20兆円を超える減だ。それを補うだけで、20兆円程度という未曾有の財政拡大が必要になる。2兆円では10分の1にしかならない。

     麻生首相は、追加対策として、09年度予算の補正が必要であるとしている。政府・与党は4月中旬までに追加対策の概要を固め、下旬にも補正予算案を国会に提出する見通しという。しかし、「三段ロケット」のときのように雑多な政策をかき集めて数字だけ大きく見せても、意味があるとは思えない。冷静な経済的分析が必要だ。

    IMF(国際通貨基金)は、3月19日、主要20ヵ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に提出した資料の中で、各国の財政政策についての評価を行なっている。IMFが推計する裁量的財政政策の大きさは、【表1】のとおりだ。

    09年の値をGDP比で見ると、日本は1.4%でG20の平均である1.8%より低い。アメリカが2.0%であるのに比べると、かなり低い。08〜10年の平均では0.7%であり、アメリカの1.6%に比べて半分以下だ。財政支出の内容まで評価しているのかどうかは明らかでないのだが、いずれにしても、日本の数字が他国に比べて小さいことは間違いない(GDPの1.4%とは、7兆円程度である)。(後略)』

     

     

     上記論説の抜粋で、一部赤字で表記させていただいた部分、定額給付金2万円以外は景気対策ではないと論じています。本当にそうでしょうか?

     

    ●医師確保・緊急医療対策

    ●難病対策

    ●新型インフルエンザ対策

    これらは、定格給付金2万円よりも効果が低いといういうことでしょうか?

     

     マクロ経済的にいえば、定額給付金の方が、経済効果があるか不明です。なぜならば、景気が悪くて実質賃金が伸び悩んでいるときに定額給付金2万円を配布したとして、毎月もらっている給料から2万円貯金する人が必ずいるはずです。2万円を配れば全員が2万円を使うとは、誰も断定できるはずがありません。

     

     これは商品券を配布しても同様です。例えば期限付きの商品券を10万円配布したとしても、毎月もらえる月給から貯金を増やす人が必ずいるでしょう。デフレで先行きが読めないということもそうですが、個人に10万円分今までよりも買い物してくださいと現金なり商品券を配布しても、しつこいですが”今までの消費額よりも10万円分多く”、全員が買い物させるということはできません。商品券を使い切ることはあったとしても、前月より10万円分消費を増やすかどうかまで、国民の消費行動を拘束することはできません。

     

     もちろん、2か月後に使う、3か月後に使う、それはあるでしょう。とはいえ、1年後に使う、2年後に使う、3年後に使う、では、その年度の消費とはなりませんので、その年度内での経済効果があるか?と言われれば、お金を年度内に費消する確約がない以上、不透明と言わざるを得ません。

     

     これが公共事業であれば、予算化されて予算が付けられれば、必ず年度内に費消します。公共事業で公共工事をやる、科学技術予算を増やす、医療や難病対策に予算を付ける、こうした公共事業は、年度内に必ず予算執行されますので、経済効果があるのです。

     政府支出として必ず費消されるため、GDPとしてカウントされますし、乗数効果分のGDPの上乗せも期待できます。

     

     野口悠紀雄氏は著名な有識者ですが、定額給付金2万円以外は、経済対策として疑問と論じている論説こそ、私は疑問に思います。公共事業を否定的に考えている識者の一人でしょう。財政問題についても触れていますので、おそらく家計簿発想で国家の財政を考えている人の一人でしょう。

     

     麻生太郎氏はプライマリーバランス黒字化目標を閣議決定で破棄しました。その後、プライマリーバランス黒字化はどうなったか?といえば、菅直人政権が財務大臣だった時に、財務省職員が緊縮財政を洗脳し、突然消費増税を言い始めました。そして、菅直人政権がプライマリーバランス黒字化目標を閣議決定で元に戻したのです。なんて愚かなことでしょうか?

     

     さらにいえば、麻生太郎について、「漢字が読めない」などの印象操作が広がったのは、財務省がプライマリーバランス黒字化目標を閣議決定で破棄した財務省職員の報復とする見方もあります。それが正しいとすれば、私たち国民は、「漢字が読めない」というどうでもいいことを理由に、麻生太郎氏に嫌悪感を抱き、民主党政権を誕生させたことになるのです。

     

     

     というわけで、今日は「プライマリーバランス黒字化目標を一時的に破棄した麻生政権の功績をつぶした民主党政権」と題し、論説しました。麻生太郎政権が「三段ロケット」を実行したからこそ、民主党政権誕生直後、経済成長したとする見方がありますが、私はその見方は正しいと思うのです。要は公共事業は必ず経済成長に資するのですが、個人に現金を配布する、商品券を配布するでは、必ず経済成長に資するとは言えないからです。個人に現金・商品券を配布して消費しろ!とやっても、配布分は使っても、その分、毎月もらっている月給から貯金を増やす人が居ないと言い切れるはずがないからです。

     改めて公共事業について、公共工事を含めて経済効果があるということがご理解いただけますでしょうか?と同時に、財務省職員に洗脳される国会議員が多いことに、絶望感を覚えます。またリーマンショック後の需要減少をみて閣議決定でプライマリーバランス黒字化目標を破棄した麻生太郎氏は素晴らしい総理大臣だったと改めて思えるのです。


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