消費税率1%UPで2.5兆円増収できるというウソ

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     今日は消費税をテーマとして「消費税率1%UPで2.5兆円増収できるというウソ」ということで論説します。小題目は下記の通りです。

     

    1.所得税増税や消費増税よりも政府支出増で需要を作ることが先である!

    2.消費増税1%UPで2.5兆円増収という大ウソ

    3.諸悪の根源は財務省職員であり、財務省の「財政研究会」か?

     

     

     

     まず、東洋経済オンラインに掲載された記事を紹介します。

    『2017年11月30日 野村 明弘 : 東洋経済 記者 所得税の累進課税強化では財源確保できない

    税収を検証してみると、消費税代替には不足

    消費増税ではなく、所得税の累進課税強化によって財源を確保しようという声が野党の間で根強い。立憲民主党や共産党などは消費増税の凍結・中止を主張し、「法人税の増税と所得税の累進課税強化を先にやらないといけない」(立憲民主党の枝野幸男代表=週刊東洋経済2017年11月11日号インタビュー)と訴える。

    所得税の累進強化は、格差是正を図る所得再分配機能を高めるために重要だ。また、それが消費増税の代替財源となるなら、財政再建にも有効となる。ここでは、2016年度予算の所得税関連データを活用し、所得税の累進強化によってどれだけの財源を得られるかをシミュレーションしてみよう。

    所得税は、課税所得(年収から各種所得控除を差し引いた後の個人所得)が上がるほど税率が段階的に上がり、現在、最低税率は5%、最高税率は45%の7段階の構造となっている。間違いやすいのは、最高税率の対象となる高所得者も、すべての課税所得に45%の税率が課せられるわけではないことだ。各税率区分に該当する課税所得の部分にだけ、その税率が適用される。たとえば、課税所得4000万円以上の税率は45%だが、4000万円未満の課税所得部分については、45%より下の税率がそれぞれ適用される。

    1800万円以上全額没収でも2.5兆円だけ

    では、ここで2016年度所得税関連データを見てみよう。

    所得税の累進課税を強化する際には、まずは最高税率部分へ注目が集まる。データを見ると、最高税率45%に該当する納税者は約7万人、総課税所得は約2.0兆円となっている。すでに税率45%が適用されているため、約2.0兆円×45%=約9000億円が税収となっているわけだ。

    仮に、この最高税率を45%から55%に引き上げると、税収は約2000億円増える計算だ。現在、課税所得には一律10%の住民税が課されているため、最高税率の引き上げは90%までが限界。仮に最高税率を90%にすると、増収額は約9000億円となる。

    消費税は1%の税率引き上げでざっと約2.5兆円の増収となるため、所得税の最高税率を引き上げるだけでは、残念ながら代替財源としてはまったくの力不足だ。では、2番目に高い税率区分40%の部分を50%にしたらどうなるだろうか。(後略)』

     

     

     珍しく東洋経済オンラインから引用いたしました。東洋経済といえば、四季報を4半期ごとに出している経済に強いイメージの出版社で、この記事は、所得税の累進課税強化と消費税引上げとでは、税の増収効果が前者の方が劣るとする論説です。

     

     この主張に対して、問題点を2つ指摘しておきます。

     

     

    1.所得税増税や消費増税よりも政府支出増で需要を作ることが先である!

     

     まず一つ目、所得税を大幅に増税しても社会保障費を賄えないという写真の下にあるフレーズ。

     まさに増える社会保障費を増税して賄おうとする発想。これがもとになって、消費増税か?所得税累進課税強化か?という議論になっています。そもそもそこが間違え。デフレであれば、まずやるべきことは財政出動。これによってGDPが拡大し、名目GDPの上昇によって税収が増収します。日本の企業は、ほとんどが赤字で、法人税を納めていません。大企業でさえ、連結決算・連結納税で、実効税率は40%弱を納めている企業はほとんどありません。

     即ち、税収弾性値は1よりはるかに大きい。2013年度の安倍政権は財政出動をしたことで、名目GDP1.9%の上昇で、税収は6.9%増えました。2013年度の税収弾性値は3.63です。この時の税収弾性値は、6.9%÷1.9%=3.63 で算出されます。

     要は赤字企業が多いので、政府支出増の効果が税収増に大きいことについて触れられていません。デフレであるがゆえに、儲かりにくい環境であるがゆえに、赤字企業が多く、黒字の企業であっても赤字の子会社を買って本体の黒字を相殺させたり、持ち分法適用会社の赤字企業の出資比率を引き上げて、関連会社・子会社にして本体の黒字を減らすなどとする動きをしているのです。

     

     もし、政府支出増となり、名目GDPが増えていけば、赤字企業が減少し、結果的に上述の節税対策もできなくなります。バブル期のように、大企業も中小企業も儲かりまくって、ほとんどの企業が黒字という状態になって初めて、税収弾性値は1.0に近づきます。

     

     税収弾性値が1.0に近くなった状況は、ほとんどの企業が黒字という景気がいい状況なので、政府支出増をしたとしても、デフレのときよりは税収増の効果は下がります。何しろ、税収=名目GDP×税率×税収弾性値 だから税収弾性値1.0ですと、名目GDPの伸び率分しか税収が増えないのです。

     

     所得税累進課税強化は、格差縮小・所得再分配機能といった観点から必要だと思いますが、今やるべきプライオリティが高いのは、政府支出増によって政府が仕事を作ること、需要を作ることです。景気が良くなる過程で、投資が過熱化しないようにするために、所得税累進課税強化をすればよい。物価上昇率5%以上とかなれば、消費増税もありです。今はデフレなので、消費減税や政府支出増で、需要を作ることが先です。

     

     

     

    2.消費増税1%UPで2.5兆円増収という大ウソ

     

     二つ目は「消費税率1%UPで2.5兆円の増収」というフレーズ。

     これは、まやかしです。1989年に導入された消費税は、1兆円増税すると2.5兆円税収増になるとされています。もし3%増ならば、7.5兆円増収するはずということです。

     

     実際はどうだったか?過去は以下の通り。

     

     1989年 0%→3% 54.9兆円→60.1兆円 △5.2兆円

     1997年 3%→5% 53.9兆円→49.4兆円 ▲4.5兆円

     2014年 5%→8% 54.0兆円→56.3兆円 △2.3兆円

     

    <税収の推移 1987年〜2017年>

    (出典:財務省のホームページ)

     

     消費増税1%増税すると、2.5兆円税収が増え、その増収分を社会保障費へと、よく言われていましたが、実際はうまく増収できませんでした。

     

     1989年のバブル絶頂期でさえ、3%増税でしたが、5.2兆円の増収にとどまりました。1997年の増税に至っては、バブル崩壊後だったことや金融不安などもあって、2%増税だったにもかかわらず、翌年の税収は49.4兆円と、4.5兆円も減収になりました。2014年の増税では3%増税でしたが、2.3兆円の増収にとどまりました。

     

     1997年は緊縮財政が始まった年、橋本内閣の構造改革基本法が制定され、この年からGDPが500兆円で止まり、失われた20年が始まったのです。

     

     民主党政権下でさらに経済は冷え込み、2011年3月には東日本大震災に見舞われました。2012年に「デフレ脱却」を旗印に、第二次安倍政権が誕生し、アベノミクスをスタートさせ、日銀の金融緩和と財政拡大により、2013年には6.9%(43.9兆円→47.0兆円)の税収増をもたらし、2013年の補正予算が10兆円増と大きかったことなどもあって、2014年も14.9%(47.0兆円→54.0兆円)まで増収できました。

     

     ところが、愚かなことに「税と社会保障の一体改革」として、財務省に言われて安倍政権は8%の消費増税を敢行してしまい、結果個人消費が冷え込んで再びデフレに戻ってしまったのです。

     

     そもそも2014年4月の増税は、「すべて社会保障のため」というお題目でしたが、実際は大うそで、子育て・介護・医療・年金などに使われたのは、1割程度に過ぎません。それどころか医療・介護費の削減をしているのです。

     

     

     

    3.諸悪の根源は財務省職員であり、財務省の「財政研究会」か?

     

     財務省には、「財政研究会」という記者クラブがあります。多くの官公庁には記者クラブがあり、会員は官公庁から独占的な情報提供を受けています。排他的かつ閉鎖的な組織で、フリーのジャーナリストや週刊誌や海外メディアは取材させてもらえません。そのため、メディアは官公庁の情報を垂れ流すだけの広報機関にならざるを得ないのです。

     

     新聞記者やテレビマンにとって最も恐れるのは、記者クラブから落ちてしまうことです。他社がすべて報じている内容を、自社が報じられないとなれば、その記者は間違いなく「無能」とみなされるでしょう。私は大学生の頃、アルバイトで新聞社で働いていたことがありました。産経新聞の経済部、日本経済新聞の政治部でアルバイトとして、デスクの補助という仕事をやっていたことがありました。よく記者クラブへの車を手配するなど、やっていました。

     

     各記者は、財務官僚にとって不都合なことは絶対に書けません。なぜならば、記者クラブから落ちてしまえば、財務省から情報がもらえなくなるからです。

     

     さらに財務省が発表する白書などは膨大なページ数であり、とてもではありませんが記者一人が読み込める分量ではありません。また解析する知識もありません。ご丁寧なことに、財務官僚は要点をまとめたペーパー(財務省にとって不都合なデータは記載されていない)を配布します。それをサラッと読めば新聞記事ができあがるのです。

     

     どの新聞の経済欄を見ても、財務省発信の要点をまとめたペーパーがもとになり、どの新聞も似たような記事になるのは当たり前なのです。テレビ局も同様です。「日本の財政はギリシャより悪い」と何度も何度も同じことを繰り返させています。ギリシャの負債は共通通貨のユーロ建てであり、日本は自国通貨建てなので、そもそも比較する意味がありません。自国通貨建ての日本が財政破綻する確率はゼロです。

     ギリシャのGDPは東京都のGDPよりも小さいですし、そんな国家と日本を比較することでさえ不毛です。こうした事実をいっさい説明せず、「財政破たんを回避させるために消費税増税も緊縮財政も仕方がない!」という間違った情報を繰り返して、日本国民の頭に刷り込んでいくのです。

     

     

     というわけで、今日は消費税について、1%増税すると2.5兆円増収するという東洋経済新聞の記者の指摘について反論しました。また記者クラブというマスコミの組織、財務省の「財政研究会」といった組織が、諸悪の根源であることも述べました。テレビや新聞を見ていると、間違った情報が刷り込まれます。

     朝日新聞・毎日新聞の我が国を貶める報道については言うまでもありません。憲法21条によって言論の自由が保障されているとはいえ、我が国を貶めるウソの記事の記載は、国力毀損そのものであり、言論の自由を制限すべきであると思うわけです。

     その一方で、サラリーマンが必読とされる日本経済新聞でさえも、経済政策に関する記事は、必ずしも正しいことが書かれていないということです。日本経済新聞でさえも読めば読むほどバカになると、私は思うのです。


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