実質消費が減る中での高級ブランド品の値上げについて

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    JUGEMテーマ:経済全般

     

     今日は、2017/12/13掲載の「高級ブランド 値上げの波 TASAKIやグラフなど株高・訪日顧客増で強気」という日経新聞の記事を取り上げ、実質消費が減る中での高級ブランド品の値上げが意味について論じます。

     

     下記が日経新聞の記事の概要です。

    『日本経済新聞 2017/12/13 高級ブランド 値上げの波 TASAKIやグラフなど株高・訪日顧客増で強気

    国内外の高級ブランド品が値上げに踏み切る。宝飾品では英グラフが12月に一部商品を約8%値上げする。TASAKIも2018年1月に値上げを実施する。円安や訪日客の増加、株高など資産価値の上昇が背景にある。自動車業界でも高級輸入車が値上げに動いており、高級品の値上げが一段と広がってきた。(後略)』

     

     TASAKIのホームページでオンラインショップのサイトを見ますと、近年の原材料価格の上昇、為替相場の変動により商品改定する旨が掲載されています。円安・ユーロ高で、英国のグラフも約8%値上げとのこと。

     プラチナやダイヤモンドなどの原材料輸入価格の上昇による値上げの場合、GDPでは輸入はマイナス項目ですので、日本人の所得が増えません。

     

     ”株高・訪日顧客増で強気”という書き方ですと、要は金持ち訪日顧客が円安なので来日して高級ブランド品を買っていくということです。TASAKIからしても、日本人の実質消費が増えなくても、訪日顧客というインバウンド需要があるから、原材料費の為替による価格上昇を、販売価格に転嫁してもイイだろうという判断なのでは?と考えます。

     

     この場合、仕入価格上昇分が価格に反映されただけでは、TASAKIの従業員の給料は、ほどんど増えません。海外からの輸入価格の増加は、GDP上は日本の付加価値ではなく、海外の付加価値としてカウントされるからです。

     

    GDP=個人消費+政府支出+設備投資+純輸出(※)

    ※純輸出=輸出−輸入

     

     この記事で取り上げたTASAKIや英グランの他、イブサンローランやバーバリーも2017年の秋に値上げをしています。もし、これが日本国民の所得が増えていて、日本国民の購買力が高まって需要が増えているため、高級品の値上げをするという、原材料価格の仕入れ高上昇でないマージン引き上げならば、TASAKIや海外のブランド品取扱業者らにも恩恵があります。

     

     ところが、現実はそうではなく、実質消費が増えていない中、為替の影響などを受けての高級品の値上げです。

     

    <家計調査 2017年11月速報>

    (出典:総務省統計局)

     

     月次では11月はプラスに転じていますが、年次でみますと、2014年から3年連続で2人以上の世帯の消費支出はマイナスです。上記家計調査は2017年8月から4か月しか記載されていませんが、2013年9月と2017年9月で、実質消費を比べますと▲11%です。

     

     この状況であるにもかかわらず、円安と訪日外国人の影響で値上げをするというのは、正直歪んでいます。株高で日本人が儲かって資産効果の影響で高級品需要が増えているというならまだマシですが、実際は株式市場の売買主体の60%を占める外国人が株高で儲かっているのであり、対象は日本人ではありません。

     

     このままですと実質賃金の低迷で実質消費が減少し続け、貧困化する一方、反対側で国内の高級品を外国人が買っていく。日本人たちが買えるから値上げをするのではなく、外国人が株高で儲かっているはず、円安だから買い物しやすいはず、ってことで値上げをしているのが実態です。

     

     これ、皆さん!なんていうか知っていますか?「発展途上国」です。かつての日本がGDPが成長し続け、海外旅行に行く人が増え、しかも円高で海外で高級ブランドを買いまくっていたわけです。

     

     

     というわけで、今日は実質消費が減少する中での高級ブランド品値上げの動きについて意見させていただきました。日本は着実に発展途上国化しています。プライマリーバランス黒字化という毒矢が突き刺さり、GDP拡大のための政府支出増ができない以上、インフラがボロボロになり、文化は廃れ、災害があっても直接損害から国民を守ることができず、インフラ復旧がままならないことから間接被害からも国民を守ることができない。まさに、これこそ発展途上国です。

     発展途上国化していく日本を、まだ見ぬ子供や孫の世帯に引き継ぐことこそ、大きなツケを残すことにならないでしょうか?一刻も私たちが経済や財政に正しい知見を持ち、世論を形成して正しい政策が打てるようにする必要があるものと私は考えます。


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