ミクロ経済学の「予算制約式」について(「政府の負債は税金で返済しなければならない」のウソ)

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     今日は、若干アカデミックな内容になりますが、ミクロ経済学の分野の理論である「予算制約式」というものを紹介します。

     

     本ブログでは経済理論系の話題についても多く取り上げてきました。その一つに”「価格下落は、需要の拡大をもたらす!」は、本当か?(ミクロ経済の「部分均衡分析」の問題点)”というテーマで、「部分均衡分析」を紹介しました。これは”常に”均衡する”はず”という「常に」「はず」という実際はあり得ない事象について、固定化すれば成立するという理論でした。

     マクロ経済でいうGDP3面等価の原則は、例外なく成立する理論で万能ですが、多くの経済理論は万能ではありません。「予算制約式」でいえば、家計や企業では当てはまりますが、政府に当てはめるのは適当ではなく、”常に”成り立つ理論ではないのです。

     

     「予算制約式」についてウィキペディアの記事を紹介します。

    予算制約線あるいは単に予算線(よさんせん)とは、予算制約式を、財・サービスの消費量と財価格のグラフ上に描いた直線である。 この直線が無差別曲線と接する点(主体的均衡点または最適消費点と呼ぶ)において、消費者の効用が最大化される。

    消費者は、予算の制限がなければ効用を限りなく最大化しようとする。 しかしながら、消費者一人一人が持ちうるお金には上限が決まっている。 簡単に言えば、財布の中に入る金には限りがあり、効用も制限される。 この上限の下、消費者は自己の効用を最大化するような財・サービスの組み合わせを決定する。 このような制限を、経済学では予算制約と言い、それを式で表したものが予算制約式である。

    たとえば、2つの財XとYを仮定し、これらの財の価格をそれぞれPx、Pyとする。また、所得をIとすると、 予算制約式は {¥displaystyle P_{x}x+P_{y}y¥leq I} となる。』

     

     皆さんは、「国の借金(正しくは政府の負債)は税金で返済しなければならない!」と思っていませんでしょうか?

     

     これは、国家の財政をミクロ経済学の予算制約式に当てはめた発想です。予算制約式の理論で、経済主体は一生涯に稼ぐ所得以上の借入はできないという考え方があります。家計分野でいえば個人には寿命があるためです。寿命がある人間が生涯所得以上の借入をすると、負債を子孫に相続することになってしまいます。よくいう「国の借金を放置すれば子孫にツケを残す」という誤解です。

     

     対象が個人の場合は、予算制約式は合理性があり、当てはまります。グローバリストの人々は、予算制約式を前提にした財政均衡主義を好みます。プライマリーバランス黒字化は是であるという考え方が、まさに該当するのです。

     

     とはいえ、国家は永続することが前提で、しかも通貨発行権を持ちます。現実にはグローバルで、政府の負債は経済の規模に応じて増えていくものであり、基本的には借り換えされます。さらにインフレ率が低いデフレ期には、中央銀行である日銀が国債を買い取ることで、実質的な返済負担が消滅するのです。

     

     なぜ消滅するのか?それは日銀は、JASDAQに上場している株式会社組織であり、日銀の発行済み株式数の55%を日本政府が保有しているからです。即ち、政府と日銀は親会社・子会社の関係です。親子間の組織であれば、連結決算の際、連結貸借対照表作成時に、借入金は相殺されます。そのため、日銀が買い取った国債は、そのまま放置して問題なく、返済する必要がありません。

     

     政府の目的は経世済民であり、経世済民の実現の為ならば、何をやってもイイのです。なぜならば政府の目的は利益追求ではないから。国民の安全、環境、公的なサービスの品質を守るために政府が法律を制定し、規制を強化して構わなく、そのために予算を付け、財源は国債を発行するで、何ら問題ありません。

     

     これは経世済民という概念があるから問題がないというだけではなく、ミクロ経済学的、会計学的にも通貨発行権を持つ政府が自国通貨建ての国債の債務不履行になることはあり得ないからです。デフレで需要不足が発生しているのであれば、普通に国債を発行し、財政出動し、日本国民を貧困から守らなければならないのです。

     

     ところが、グローバリズムという発想が広まり、人・物・金の国境を越えた移動を自由化して、ビジネスを妨げる規制は、たとえ「安全保障」が理由といえども悪しきものとし、国民の豊かさや安全保障を犠牲にして、規制緩和が推し進められ、構造改革が進みました。その上、財政は緊縮志向となり、「国の借金で破たんする」というウソ・デタラメ論が蔓延。結果的にデフレ深刻化で貧困化が進んでいるにもかかわらず、政府は財政拡大という適切なデフレ対策が打てなくなってしまっています。

     

     経済が総需要の不足(デフレ)に陥っているにもかかわらず、デフレの意味を正しく理解できないグローバリズムに染まった官僚や政治家たちが、容赦なく構造改革を推進し、しかも緊縮財政をする。構造改革と緊縮財政は、どちらもインフレ対策です。デフレ環境なのにインフレ対策をやっているというのが日本の現状。

     

     その背景には、ミクロ経済学の予算制約式を家計と同じように国家の財政運営にも当てはめているのが原因です。いわゆる家計簿の発想を国家の財政運営に当てはめているというやつです。

     

     また、政府の負債は税金で返済する必要はありません。医療崩壊とか年金崩壊とか言う人もいますが、基本的には財源は通貨発行して政府支出を増やせばよいわけです。

     

     最も効果的なGDP成長につながる政府支出は公共事業です。年金はお年寄りに配分されますが、すべて所得になるか不明だから。公共事業は予算が付けられれば事業年度内に必ず費消され、GDPにカウントされます。

     

     

     というわけで、今日はミクロ経済学の予算制約式という理論を紹介し、「政府の負債は税金で返済しなければならない」という発想が間違っていること、そしてその根源が予算制約式であることをご説明しました。家計簿発想で国家の財政運営を考える必要は全くなく、それが誤解の大元です。政府には予算制約式を当てはめる必要がないのです。


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