インフラファンドとレントシーキング問題

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     今日は、「インフラファンドとレントシーキング問題」と題し、三菱商事とみずほ銀行らが、空港、道路といったインフラに投資するファンドを月内に立ち上げるとの記事を取り上げます。

     

     下記は日本経済新聞の記事です。

    『2017/11/21 18:00 日本経済新聞 国内最大インフラファンド 三菱商事など1000億円規模

    三菱商事やみずほ銀行などが空港、道路といったインフラに投資するファンドを月内にも立ち上げる。運用額は最大1000億円で、国内のインフラファンドとしては最大だ。安定した料金収入が見込める資産に投資して利回りを確保する。財政負担を軽くしたい国や自治体が公共施設の運営権を民間に売却する例が増えている。流入する投資マネーが公共インフラを支える。(後略)』

     

     

     上述の記事の通り、11月中に三菱商事とみずほ銀行が、空港や道路に投資するファンドを立ち上げるとの記事です。運用額1000億円規模とインフラファンドとしては最大とのことです。

     

     財政負担を軽くしたい国・地方自治体が公共施設の運営権を民間に売却する例が増えている中で、流入する投資マネーが公共インフラを支える形です。

     

     国内のシンクタンクによれば、国内のインフラファンドの市場規模は推計で2000億円弱とされ、既に太陽光発電を中心としたインフラファンドはREITで上場されたりしています。公共施設の運営権を主体としたインフラファンドは初めてということで取り上げられたニュース記事です。

     

     とはいえ、このインフラに投資マネーを呼び込むという発想は、典型的なレントシーキングであり、私はネガティブに受け止めます。なぜならば、財政悪化だの財政問題とかいって、政府がインフラに対して政府支出をしなくなることを懸念しているからです。

     

     空港にしろ水道事業にしろ道路にしろ、インフラは維持されなければならず、維持投資が必要です。その維持投資の支出を惜しいからとか、プライマリーバランス黒字化で支出削減しなければならないからという理由で、民営化するという発想。この発想こそ、レントシーキングの典型。既存のインフラ事業に民間企業が何の付加価値を付けることなく参入できて儲かるということです。

     

     インフラは既存のビジネスであって新規ビジネスではありません。政府がやっていたものを民間企業がやる。代わりに民間企業は使用料金を取りますよということで、それは税金から払われるので、絶対に儲かるビジネスです。

     

     民間企業は儲かるし、公務員に税金を払って支出するよりも税金を納める側に回るからよいのでは?と思われる方がいるかもしれません。とはいえ、この発想は、政府支出削減ということでデフレ化を促進します。公務員は雇用が安定して給料も安定している。民間企業が代わりに運営するとなれば、雇用や給料も公務員よりは安定で無くなります。もし、公務員だった人が、民間人となって、雇用が不安定になったり、あるいは雇用が不安定な人を採用するとなれば、その人たちは間違いなく消費を削減もしくは消費する額は少なくなるでしょう。

     

     さらにいえば、事業体で利益追求するため、採算が取れないエリアは撤退することも考えられます。採算を無理に取ろうとすれば、おのずとコスト削減せざるを得ません。

     

     本来、インフラの運営は利益追求を目的としない国や地方自治体がやるべきです。ファンドでやる場合は利益が出なければ撤退します。利益が出ないから辞めようとするのは困るため、政府は利用料を支払います。

     

     こうした例として、韓国のソウルの地下鉄があります。ソウル地下鉄9号線を紹介します。下記は運輸政策研究という資料からの抜粋です。

     

    <ソウル地下鉄9号線のPFI運営スキーム>

     

     

    <運営権受託者として、ソウル9に出資しているフランス企業のヴェオリア公社傘下のヴェオリア・トランスポート>

     

     

     上記にVTKというのがあります。VTKは運営権を受託して地下鉄を運営する会社であるSPC(特別目的会社)「ソウル9」に80%も出資しています。VTKはヴェオリア・トランスポートという会社で、フランスの会社です。80%出資するフランス企業のヴェオリア・トランスポートは、配当を得ています。つまり韓国のソウル地下鉄9号線で儲けが出れば出るほど、フランスの企業が儲かるということになります。

     

     またPFI事業によっては、受託した企業に撤退されては困るとして、収入保証する場合もあります。その保証される収入は税金で支払われることになります。

     

     ソウル地下鉄9号線が、収入保証されているか?不明なのですが、仮に収入保証がされる場合、地下鉄に乗客がいなくても、莫大な利用料金がフランス企業に支払われるという仕組みになるのです。

     

     この補填は、政府の税金即ち国民の税金ですので、国民負担ということになります。仮にSPCへの出資が韓国企業のみとする外資規制があれば、まだそうした事態を回避できますが、ソウル地下鉄9号線の場合は、残念ながら外資系であるフランス企業が80%もSPCに出資しているのです。

     

     

     というわけで、今日はインフラファンドとレントシーキングの問題点を指摘させていただき、ソウル地下鉄9号線を例として具体的な事象をご説明させていただきました。


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