日欧EPA(経済連携協定)年内最終合意?

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     日本とEUによる経済連携協定(EPA)が年内に最終合意する見通しとなりました。今日はこのEPAをテーマとさせていただき、意見いたします。

     

     下記は日本経済新聞の記事です。

    『日本経済新聞 2017/11/11 日欧EPA 「クリスマスまでに」最終合意 欧州委員

    【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)で通商政策を担うマルムストローム欧州委員は10日、年内の最終合意を目指す日本とEUの経済連携協定(EPA)を巡って「クリスマスまでのとりまとめへ順調に進んでいる」と語った。ただ、日欧が対立している投資家と国家の紛争解決のルールを巡ってはなお溝があるとも認め、最終合意を急ぐためにEPAから切り離す「可能性もある」と指摘した。

     EUは10日、加盟国の貿易担当相による閣僚理事会を開き、EPAの最終合意に向けた交渉状況を協議した。終了後の記者会見で、マルムストローム委員は投資紛争の解決ルール以外は、ほぼ合意していると説明した。

     同ルールを巡っては、日本側が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉と同じ仕組みを提案。不当な扱いを受けた企業が進出先の政府を訴えることができる「ISDS」での対応を求めている。一方、EU側はISDSでは大企業による国家のルールへの干渉が防げないと懸念し、より手続きが厳格な常設の「投資裁判所」創設を提案して対立。最終合意へ最大のハードルとなっている。

     マルムストローム氏は投資裁判所を巡って「年末にかけて日本を説得することに全力を尽くす」と強調。そのうえで交渉を打開をできなかった場合には、EPAからの投資紛争解決ルールの切り離しも選択肢として「考えなければならないだろう」と語った。』

     

     上記記事の通り、EPAをクリスマスまでに年内合意するという記事です。もともと日本側とEU側とで、紛争解決分野がありましたが、それを棚上げし、合意を優先しようとしています。関税削減や関税撤廃をすすめ、ビジネスのルールを幅広く自由な取引ができるよう規定しようとしているのです。結果、ワインやチーズや豚肉など、暮らしに身近な食品が安く買えるようになります。

     

     このEPAにしてもTPPにしても、日本のワインやチーズや豚肉を生産する生産者は、間違いなく打撃を受けます。消費者は安くなるメリットがある点、生産者の所得は下がります。日本はデフレなのに、安くしてどうするのでしょうか?

     

     本ブログ読者の皆さんの中には、「安く買えるようになって何が悪いの?」と思われる人もいるでしょう。とはいえ、「安く買えればいいじゃないか!」では済まされないのです。

     

     例えば今後、日本国内で、チーズや豚肉の生産能力(畜産業)がなくなっていく可能性があります。そういう状況に対して、どう処置するのか?という議論が必要なのです。なぜならば、食料自給率が下がって、食料安全保障が弱体化するからです。

     

     仮に「自由だからいいでしょ!」で供給力を失った場合、一度滅失した供給力は一朝一夕に取り戻せません。日本国産のMRJのジェット機を見てもわかる通り、日本は第二次大戦後、GHQが再び日本がゼロ戦のような戦闘機を作れないようにするため、航空機の製造ができないようにしました。日本国産のMRJでいえば、一度供給力を失った航空機製造技術について、70年近く経ってやっと製造ができるようになったということなのです。一度失った供給力は、一朝一夕には取り戻せない。この事実を日本国民は十分に理解する必要があります。

     

     政府はEUの経済連携協定の年内合意をにらみ、2017年度の補正予算案で、農業支援策を盛り込む予定になっています。土地改良などの公共事業を盛り込み、農業関連で3000億円規模とすることで、与党自民党と調整しています。与党の農林の族議員は予算UPを求める声が当たり前ですが、強い。

     

     この3000億規模の対策費は必要か?といわれれば、供給力保持や食料安全保障の強化を考えれば絶対に必要です。というより、なぜ補正予算でやるんでしょう?なぜ通常の一般予算でやらないのでしょう?

     これもまた、プライマリーバランス黒字化目標があるため、通常の一般予算ではなく、補正予算でやることになってしまうのです。

     

     理由は、補正予算はあくまでも補正で、継続的な支出ではないからです。となれば、2017年度補正予算に盛り込むとして、2018年度はどうなるの?ということになります。

     食料安全保障について、日本の国会議員や霞が関の官僚らは、どのように思っているのでしょうか?食料安全保障について理解している国会議員がほとんどいない、というよりグローバリズムを是とする国会議員が多すぎて、また存在しない財政問題が気がかりで、補正予算でやることに何の問題点・課題認識も持てない議員しかいないのでは?と思わざるを得ません。

     

     日本は生産年齢人口の減少という人口問題がありますが、全体の人口減少は毎年22万人程度で、約1億3000万人の総人口から見れば▲0.16%という減少率で、これは誤差の世界です。

     ところが世界的には人口は増えており、干ばつや大雨といった自然災害もあります。通常平時のときには食物を輸出できる国が、突如輸出ができなくなるというケースは普通に起こり得ます。

     

     例えば、干ばつや大雨で不作だった場合、国民を飢えさせてまで日本に輸出してくれる国はありません。絶対に自国民が優先されます。お金をどれだけたくさん積んでも、日本に輸出することはないでしょう。これこそが、供給力喪失の怖さです。どれだけお金を持っていても、お金で解決できない可能性があるのです。

     

     因みに、現時点で日本の穀物自給率は20%で、この数値は先進国で下から2番目です。

     

    <諸外国の穀物自給率の一覧 1961年と2013年>

    (出典:農水省ホームページ)

     

    <諸外国の穀物自給率の推移 1961年と2013年(単位:「%」)>

    (出典:農水省ホームページ)

     

     

     というわけで、今日は日欧EPAについての記事を取り上げ、私見を述べさせていただきました。食料安全保障について日本はもっと真剣に考えるべきだと思います。畜産業という供給力を維持することが、結果的に畜産業に携わらない他の日本国民も必ず便益をうけます。即ち、どのような災害が発生しても、日本全国に畜産業を営む人がいてくれれば、災害を受けていない地域の畜産業者が、チーズやワインや豚肉を製造してくれるため、日本国内に安定的に供給できるようになるというわけです。

     通商政策を考える上で、自国の供給力を弱体化するような通商政策はあり得ず、日本国民への背信行為であり、売国行為であるともいえます。どれだけ努力をしても、デフレ下で安いものを買おうとする人が多い状況、所得が伸び悩むために日本産を買いたくても買い控えする人が多い状況で、値段を下げないと売れない状況。それは結果的に畜産業に携わる人々が苦しい状況。このようなデフレの状況でなぜ、日本の畜産業にさらにダメージを与えることになるEPA締結を急ぐのか?私には全く理解ができないのです。


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