「GDPと税収の関係」と「GDPデフレーターの特徴」について

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    JUGEMテーマ:経済全般

     

     今日はGDPと税収の関係と合わせ、GDPデフレーターの特徴について述べ、分析の方法と経世済民を目的とした場合の正しい経済政策について意見したいと思います。

     

     1.税金は数量で払えず金額で払うから、税収は名目GDPと相関する

     2.名目GDPと実質GDPとGDPデフレーターの指標の見方

     3.正しい経済指標の見方とそれに対する正しい経済政策

     

    上記の順で「GDPと税収の関係」「GDPデフレーターの特徴」を説明します。

     

     

    1.税金は数量で払えず金額で払うから、税収は名目GDPと相関する

     

     私たちは、税金を金額で支払います。数量で払うことはありません。例えば、床屋さんでいえば、床屋さんがサービスをした回数で税金を納めることはできません。床屋さんがサービスした消費者から、代金をいただき、その代金を所得として、稼いだ所得から一定割合を政府に税金として納めます。

     

     金額としてみた所得の総合計が名目GDPです。この名目GDPが拡大すれば、政府の租税収入は減税しない限り、何もしなくても増えます。即ち政府の租税収入は名目GDPと相関関係があるのです。

     

     端的にいえば名目GDPが減少すると税収が落ち込み、名目GDPが拡大すれば税収は増えます。また金額面がいくら増えて名目GDPが拡大しても、個数・数量が少なく買われてしまえば、即ち実質GDPが縮小してしまえば、税収は減ります。

     

     税収を増やすためにはどうしたらいいか?それは実質GDPが拡大することを大前提として、GDPデフレーターがプラスを続け、実質GDPの上昇以上のペースで、名目GDPが拡大していくということが、「正しい経済成長」といえるのです。

     

     

     

    2.名目GDPと実質GDPとGDPデフレーターの指標の見方

     

     GDPデフレーターは下記算式で算出されます。

     

     GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDP

     

     上記算式で算出されるGDPデフレーターは、一般的にはプラスになっていればインフレ状態。マイナスになればデフレ状態です。一般的にと申したのは、例外があるためです。

     

     1997年の橋本政権が緊縮財政を開始して以降、日本は支出削減に邁進しました。社会保障の伸びが予想されるとして、伸び率を抑制するために医療・介護報酬を引き下げ、健康保険の自己負担額は30%に引き上がりました。その上、公共事業を削減しまくったのです。

     過去20年で、マクロ経済的に正しい政策をしていた内閣は、小渕恵三内閣と麻生太郎内閣の2つだけです。小渕政権、麻生政権に共通するのは、財政出動をやっていたからです。

     

     小渕政権(1998年7月30日〜1999年1月14日)は、バブル崩壊後、橋本政権が緊縮財政開始後に、公共事業を増額しています。麻生政権もリーマンショックによる景気後退を最小限にしようとして、三段ロケットと称し、財政出動を切れ目なく増やすということで公共事業を増やしました。麻生政権のときに自民党が選挙で敗れ、民主党政権の開始早々に実質GDP、名目GDPが双方1%を超えるプラスになりましたが、これは麻生太郎政権の三段ロケットのおかげです。その後、事業仕分けという需要削減をしたため、再び実質GDP、名目GDPは減少に転じ、2011年にはマイナスに沈んでいます。

     

     GDPデフレーターがプラスになる例外の話題に戻します。なぜ、例外が発生するのか?といえば、消費増税が例外を引き起こすのです。

     なぜならば物価は強制的に引き上げられるため、名目GDPの見た目は拡大します。インフレ時で毎月の月給が増え続けている状態での消費増税であれば、実質GDPの減少幅が小さく、GDPデフレーターはプラスにならないかもしれません。デフレ時で毎月の月給が増えにくいもしくは減少している状態での消費増税の場合は、物・サービスの値段が安く買われることが名目GDP減少要因となりますが、消費増税で見た目の値段は上昇要因となるため、名目GDP減少幅が大きくなることが抑制されます。

     一方で実質GDPについては、毎月の月給が増えにくいもしくは減少している状態での消費増税の場合、普通は今まで以上に個数・サービスの回数を多く買おうとする人は少なく、数量を減らす人の方が増える結果、実質GDPは基本的には大きく下落します。

     

     

     このとき、

    ●名目GDPと実質GDPがともにマイナス

    ●名目GDPの減少率>実質GDPの減少率

    ●名目GDP減少率の絶対値<実質GDP減少率の絶対値(名目GDPの減少幅<実質GDPの減少幅)

    となると、GDPデフレーターはプラスになります。

     

     

     このように消費増税しますと、物価を強制的に引き上げますので、名目GDPの減少幅が、実質GDPの減少幅よりも抑制され、GDPデフレーターはプラス化するのです。

     

     

    2013年第4四半期〜2017年第2四半期でみた前年同期比の名目GDP、実質GDP、GDPデフレーターです。

     2013年は、安倍政権は国土強靭化と称して財政出動しました。名目GDP、実質GDPはプラスになったりマイナスになったり、GDPデフレーターはプラス化していましたがプラスの数値が小さく、景気は踊り場だったといえます。

     というより、民主党政権が激しく支出削減を行い、東日本大震災後の復興税という増税政策を実行したためにGDPデフレーターはマイナスが続いていました。そのため、安倍政権の2013年はデフレを食い止める点で、財政出動を行ったのは正解でした。

     せっかく踊り場まで来てデフレ脱却しようとするときに、安倍政権は消費増税というインフレ対策をやってしまいました。その上、一般財源+補正予算について、前年比を下回るという緊縮財政を始めました。消費増税も支出削減もどちらも需要削減のインフレ対策です。デフレ対策ではありません。

     

     消費増税は具体的には2014年4月に消費増税5%→8%をしますが、このとき名目0%、実質GDP▲2%で、GDPデフレーターは2.20の大幅プラスです。

     これは消費増税で名目の金額が増えたところ、増税直後に個数・サービスを買う数量を減らしたことで、実質GDPは大きくマイナスする一方で、価格下落幅が消費増税によって名目の金額が増えることで抑制され、GDPデフレーターが大幅にプラスしたのです。何しろ、GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDP で算出されるため、そうなるのです。

     

     

     1996年第1四半期〜1998年第4四半期でみた前年同期比の名目GDP、実質GDP、GDPデフレーターです。

     消費増税3%→5%を実施したのは、1997年4月です。上記表でいえば、1997年第2四半期です。

     このとき、名目GDP0%、実質GDP▲1.1%、GDPデフレーター0.80とプラスになっています。1年後、名目GDPも実質GDPもマイナスとなってGDPデフレーターもマイナスに沈みました。

     

     

     2008年第1四半期〜2009年第4四半期でみた前年同期比の名目GDP、実質GDP、GDPデフレーターです。

     2008年第4四半期〜2009年第1四半期に、GDPデフレーターがプラス化しているのは、リーマンショックにより、世界的に不景気になったことが原因です。

     GDP=個人消費+設備投資+政府支出+純輸出となります。この式の純輸出の項は、純輸出=輸出−輸入で計算されます。世界的に不況になると貿易量が減り、具体的にいえば輸入も減ります。何しろ海外から買いたくても不景気だから買うのを控えます。このとき、輸入は控除項目であるため、輸出の減少幅以上に輸入が大きく減少しますと、純輸出が増加します。結果、輸入激減という事態が、GDPを押し上げてしまうのです。

     確かにGDPデフレーターはプラスですが、リーマンショックのときに、景気が良かったなんて人は極めて少なかったはずです。

     

     

     

    3.正しい経済指標の見方とそれに対する正しい経済政策

     

     経済成長を定義する場合、実質GDPの拡大で間違いありません。実質GDPが拡大しているということは、数量が多く買われている状態であるためです。

     

     もし名目GDPが拡大しただけで、実質GDPが成長しない場合、単に所得も増えたが、物価も同じ程度上昇したので、数量が多く買えないという状態です。そのため、名目GDPが拡大して、実質GDPが成長しない場合は、単に物価の目盛り幅が変わったに過ぎず、経済的に豊かになったとはいえません。

     ですが、税収は名目GDPが拡大しなければ増えません。企業の売上高も、従業員の給料も名目GDPの拡大があれば増え、税収増につながります。

     

     では、名目GDPが減少し、実質GDPが成長している状態というのはどうでしょうか?この場合は、値段を下げなければ売れない一方で、個数は売れているという状況です。従業員は忙しいのに、売上は伸び悩み、給料は増えにくいもしくは減ることとなります。名目GDPが拡大するということは、給料の額面が増えていることを意味し、名目GDPが縮小するということは、給料の額面が減少することを意味します。そのため、実質GDPが増加して、名目GDPが減少している状態が、豊かか?といわれれば、忙しくて給料が減っているという状態で、税収も減りますので、健全とはいえません。

     

     名目GDPの拡大は税収が拡大することを意味し、実質GDPの拡大は豊かさが拡大することを意味するという整理になります。そして、一番望ましいのは、実質GDPが上昇し、それ以上のペースで名目GDPが上昇しているという状態で、GDPデフレーターがプラスになっている状態が、一番望ましく、景気がいい状態となります。

     

     仮に名目GDP△7%、実質GDP△7%、GDPデフレーター△7.0という状況にでもなったとしましょう。この数値の水準を10年間継続しますと、名目GDP・実質GDPいずれも2倍になります。物価も2倍になり、数量も2倍買うことができるようになったという状況です。

     このときGDPの伸び率を抑制して、物価上昇率を抑えようとするのであれば、それこそ無駄削減・緊縮財政が必要です。消費増税もありですし、公共事業削減もありです。

     

     ただし超好景気になったからといって公共事業削減するとはいえ、安全保障にかかわる防衛や災害対策や食料自給率UPの取り組みなどの分野は、たとえ超好景気でインフレ率が高いからという理由で、単純に削減するわけにはいきません。民間の需要を冷やすという意味では、消費増税は一番効果がある政策かもしれないといえるのです。

     

     デフレ脱却を急ぎたい日本にとって、消費増税は全く逆効果でむしろデフレをより深刻化させます。将来の社会保障の財源云々をいうのであれば、名目GDPの拡大によって税収を増やすしかないのです。社会保障の財源、子どもへの教育投資の財源云々で、消費増税したとしても、デフレ化においては実質GDPを押し下げ、結果的に税収も落ち込みます。特に法人税と所得税の直接税の落ち込みが大きくなり、税収全体では増収できないのです。

     

     日本は少子高齢化で、医療・介護サービスの需要が大きい。社会保障の伸び率に応じて、赤字国債を発行して需要を支えれば、名目GDP、実質GDPの増加に貢献し、税収も増えることになります。

     にもかかわらず、財務省は医療・介護報酬引き下げを目論んでいます。医療・介護報酬引き下げは、緊縮財政ですので、医師・看護師の給料が下がり、介護の現場は、更に地獄と化すでしょう。

     

     自分たちが給料が増えにくいもしくは減少している環境で節約に努めているからといって、「無駄削減が正しい!」「医師の給料は高すぎるし薬はまだまだ高いから医療報酬引き下げすべきだ!」「将来の社会保障財源のために介護報酬引き下げすべきだ!」という発想は、愚民の発想としかいえません。医療機関で働く人々の給料が高いからといって「あいつら、ざまぁ!」と考える人は、巡り巡って自分が生産者となったときに、物が安く買われ、数量を少なく買われ、自らの所得も伸びにくくなるもしくは減少していくというブーメランを受けることに気付いていません。こうした人々を愚民といわずして何と呼べばいいでしょうか?

     結局税収は増えず、税収が不足するから無駄削減・緊縮財政というばかばかしいスパイラルが継続していくことになるわけです。

     

     

     というわけで、GDPと税収の関係と合わせ、GDPデフレーターの特徴について述べました。GDPでいえば、実質GDPも名目GDPもどちらも大切な指標です。またGDPデフレーターは例外があることを述べました。

     TV新聞記者らも、こうした指標について正しく定義し、理解している人は少ない。というよりも、経済学者や政治家やアナリスト・エコノミストでさえ正しく理解していない人がいます。

     また、ニッセイ基礎研究所、SMBC信託銀行、MUFJフィナンシャルグループ、こうした一流の金融機関に籍を置くアナリストでさえも、「日本が財政破綻する」とか間違ったことを論説し、金利が急上昇する可能性について論説しています。

     こうした論説に惑わされず、私たち国民が真実を知り、経済についての知見を高めない場合、このまま日本は衰退して本当に滅びてしまうのだろうと私は危惧しています。

     一刻もデフレ脱却を果たすべく、正しい経済指標の見方を少しでも多くの人々に知っていただきたいと思うのであります。


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