事業仕分けや緊縮財政は愚策(産業技術総合研究所が開発したカーボンナノチューブと塗布半導体)

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     今日は、「民主党政権時の事業仕分け」「安倍政権の緊縮財政」に触れ、とりわけ科学技術予算の削減について批判したいと思います。表題にある産業技術総合研究所というのは独立行政法人で、正式名称は「国立研究開発法人産業技術総合研究所」で、略称「産総研」ともいいます。

     

     下記は産総研の業務内容のコンセプトで、ホームページからの抜粋です。

    (出典:産総研のホームページ”「持続可能な社会の構築」への取り組み”より抜粋)

     

     

     上記コンセプトの通り、産総研は、科学や新素材、科学技術、エネルギーなど、あらゆる分野の研究開発に携わっていまして、生産性向上につながる技術の投資を支援しているのです。

     中には、すぐに成果が出ないものもあります。表題では、カーボンナノチューブ(Carbon Nano-Tube)とありますが、このカーボンナノチューブ(以下「CNT」)は産総研が研究開発した新素材です。

     

    1.CNTと塗布半導体について

    2.インフレでもないのに無駄削減という愚かな考え

    3.人口減少を解決する切り札は生産性向上のための技術開発である!

     

     この新素材CNTが、私たちの身の回りで、特に自動レジの分野で大きな役割を果たすことを皆さんにお伝えしたく、事業仕分けや緊縮財政が、どれだけ国益を損ねて日本を世界一から引きずり下ろすことになってしまうという愚策であるか?上記の順で私見を述べたいと思います。

     

     

    1.CNTと塗布半導体について

     

     産総研が長い間研究開発投資して発見した新素材のCNTを使い、東レ(証券コード:3402)が塗布半導体というものを開発いたしました。東レが2017年2月に発表したIR記事によれば、塗布半導体によって、IoT時代において必須といえる通信距離で長いICタグのRFID電子タグ等の高機能デバイスを、塗布技術によって低廉に製造できる可能性を世界で初めて示したとしています。

     

     単層CNTは、半導体として高いポテンシャルを持っているため、将来的にはディスプレイ用の薄膜トランジスタや、ICタグ、センサー等への応用を目指した開発が進んでいくことでしょう。何しろ塗布するだけでいいので、低コストでレジ自動化をはじめ、小売・流通や医療・介護などの様々な場面での使用が期待されています。

     

     コンビニでは既にこの技術は実用化されています。RFID電子タグは、現在10円〜15円とされており、ローソンがパナソニックと共同開発したレジロボと合わせ、村田製作所が作っているRFID電子タグによって、完全自動レジの店舗を実演しています。

     

     コストが10円〜15円と高い点がボトルネックなのですが、東レの塗布半導体が実用化されていけば、低コストでRFID電子タグを製造することができ、1円を切っていく可能性があります。そうなれば日本のコンビニは、すべて完全自動レジの店舗になることが可能だと思うのです。

     

     そして、重要な事実なのですが、CNTは産総研が私たち日本国民の税金を使って発見して開発した日本発の新素材技術であるということです。

     

     政府の技術投資について、無駄なお金を使ってとか思っている人がいるかもしれませんが、こうした基盤の基礎研究は政府が税金を使ってやらなければできないことです。なぜならば、成果がすぐに出るとは限らないからです。

     

     成果がすぐに出ない研究を、株式会社組織がするのは極めて難しい。ましてやROE経営だの株主還元で配当を増やすなどやっていれば、成果が出るかわからないような分野になんでお金を使うの?ということになりかねません。

     

     そうしたすぐに成果が出ない分野に、日本政府が長期間にわたって税金を使って開発し、それを民間企業が応用して製品を開発するというのは、理想の形だといえます。そういう意味で、産総研がCNTという新素材を開発し、それを応用して塗布半導体の技術を開発できたというのは、最高の形なのです。

     

     投資というのは必ずうまくいくとは限りません。CNTについては、いろんな民間企業が投資をしていましたが、上手くいくかどうかわからない状態でした。そういう不確実性の高いが成果が出れば、大きく生産性向上につながるものは、税金でやるしかないのです。 

     

     

     

    2.インフレでもないのに無駄削減という愚かな考え

     

     この産業総合研究所は、民主党政権のときに事業仕分けの対象となり、交付金について見直しという評価を受けました。下記は行政刷新会議の資料の抜粋です。

    (出典:資料”行政刷新会議「事業仕分け」評決結果”の抜粋)

     

     当該資料の通り、産総研の業務について、管理費を引き下げて業務効率化を図り、交付金の見直しを行うという評決になりました。

     私は事業仕分けは、「100害あって1利なし」の最悪の政策であるという立場です。マクロ経済的にデフレの日本において、無駄削減は却ってデフレを長引かせるからです。

     また、インフレであっても、防衛安全保障や災害安全保障や食料安全保障などの安全保障にかかわるものや、将来の生産性向上につながる技術開発に関連するものは、インフレだからといって支出削減するわけにはいかないものもあります。

     

     マクロ経済的にいえば、インフレならばまだ理解します。インフレとは、貨幣現象ではありません。需要の過不足の現象であり、インフレギャップが生じている状態、即ち「需要>供給」の状態をいいます。インフレギャップの反対がデフレギャップであり、「需要<供給」の状態をいいます。

     

     インフレかデフレか?という判断をするのに、最も適した指標はGDPデフレーターです。GDPデフレーターは、次の算式で算出されます。

     

     GDPデフレーター=名目GDP/実質GDP

     

     このGDPデフレーターが、前期比でプラスになっていればインフレ、マイナスならばデフレです。日本は1997年の橋本政権の緊縮財政が始まって以来、GDPデフレーターは右肩下がりになっており、まさに失われた20年という状況です。

     

    (出典:内閣府のホームページ 国民経済)

     

     赤く丸をしている部分は、GDPデフレーターがプラスに転じた年で、消費増税した年です。GDPデフレーター=名目GDP÷実質GDPで算出されます。

     通常、消費増税後は、物・サービスについて、物であれば買う個数を減らし、サービスであれば受ける回数を減らします。ところが名目上増税分の物の価格、サービス価格は増税分が必ず上がります。そのため、「名目GDPの減少幅>実質GDPの減少幅」となって、GDPデフレーターはプラスになるのです。

     上記の折れ線グラフを見れば一目瞭然。だからGDPデフレーターがプラスになったとしても、消費増税した年は、デフレ脱却したということになりません。

     

     民主党政権が誕生した2009年は、表を見てもわかる通り、ドル円の為替で円高ドル安を放置していました。そのため、輸出はGDPデフレーターで大きくマイナスしています。2013年は第2次安倍政権誕生のもと、アベノミクス第一の矢金融緩和の影響で、為替が円安ドル高となったことから、輸出のGDPデフレーターが大きく伸びたということがよくわかります。

     2015年度はGDPデフレーターが2014年度比でプラスに転じているものの、2016年に再びマイナスとなっている状況です。

     

     民主党政権の事業仕分けが愚策だと思う理由は、3つあります。

    ●インフレでもないのに需要削減をしてしまっていること

    ●デフレ環境において需要削減をすることは却ってデフレをより深刻化させること

    ●経済環境がインフレデフレに関わらず、安全保障に関連するものや将来生産性向上に資する分野への支出を削減することは国力を弱体化させてしまうこと

     

     民主党に限らず、今の政治家は上記を理解していないと思うのです。デフレ期における事業仕分けによって、更にデフレが深刻化してしまい、将来の生産性向上という国力強化を図るために必要な支出を削減を促す結果、生産性向上にブレーキがかかって、経済成長を妨げてしまうことにつながるのです。

     

     民主党政権がなくなって、既に事業仕分けはなくなりましたが、安倍政権は2014年度以降緊縮財政を続けています。日本には財政問題は存在しないのに、財政健全化というウソデタタメによって科学技術予算も削減するという緊縮財政を続けますと、経済成長を妨げて他国に技術開発で追い抜かれ、間違いなく発展途上国化していくことになるでしょう。

     

     

     

    3.人口減少を解決する切り札は生産性向上のための技術開発である!

     

     少し業種が異なりますが、製薬会社の新薬開発もまた、民間業が多額の研究開発費を投じて投資しています。そこからどれだけ成功例があるか?といえば、1000個のうち2個か3個で、1%未満です。

     

     事業仕分けで指摘された業務の効率化ってなんでしょう?技術開発を効率よくやるのは民間企業はそれでいいかもしれません。長期間にわたって成果が不透明で不確実なリスクの高い事業について、効率よくなんてのは、どうやってやるのでしょうか?

     

     以前ブログで取り上げた超電導技術でいえば、オランダ人の物理学者ヘイケ・カメルリング・オネスが1911年に超電導を発見し、1913年にノーベル物理学賞を受賞しています。日本でリニア新幹線となって技術が実用化されるのは、100年以上経っているわけです。

     

     効率よくなんていうのは、株式投資の世界でいえば、「上昇率の高いと予想される銘柄を探してその銘柄の株を買う」ということになりますが、はっきりと投資する以前にそれがわかって投資することなど、誰もできません。絶対に儲かる投資など、この世に存在しません。株式投資は間接投資の世界ですが、直接投資においても同様です。

     

     そして本当にリスクの高いものは、株式会社では困難であり、政府がやらなければできません。誰もできません。そこを日本は投資額を増やすどころか、公共事業は不要で無駄削減すべきとし、増やしていないもしくは削減しているというのが現状です。

     

     生産量を増やすためには労働者を増やす必要はありません。日本の場合、今この瞬間出生率が上昇に転じても、生産年齢人口は減少します。そもそも労働者を増やして生産量を拡大するという発想は、資本主義の発想ではないのです。

     

     どうすればよいか?それは今いる生産者の生産量を増やす生産性向上につながるよう政府は公共投資を行ってインフラを整備し、CNTのような技術開発のための投資を行って、民間の技術投資を促すべきなのです。

     

     CNTという新素材の開発によって、村田製作所のRFIDタグシールと、東レの塗布半導体が実現されれば、完全自動レジができます。そうすれば、外国人の留学生や技能実習生は不要です。その代りに日本人を高い時給で雇えばいい。今まで5人の人手がかかっていたものを一人でできるようになったとすれば、給料を3倍にして時給3000円とかに増額できる原資ができます。これが資本主義国の経済成長です。

     

     人手不足だからといって、外国人労働者を受け入れれば、必ず賃金は下がります。利益確保のために賃金を上げたくない、賃金を安く雇うという考え方、私にはその価値観は共有できません。

     

     労働生産性を上げるためには、投資が必要です。今回でいえば、技術開発投資の結果、成果が出れば労働者には高い賃金が払え、実質賃金は上昇することになるわけです。

     

     コンビニの時給が3000円になれば、ニートなど労働市場から去ってしまった日本人も再び労働市場に戻るのではないでしょうか?もし彼らが高時給、高給の仕事に就業できれば、稼いだお金で消費できますので、経済成長に貢献します。需要が生まれて、設備投資も技術投資といった投資自体も需要ですし、給料が増えればさらに消費が増えます。こうしてデフレ脱却を目指せばいいのにと私は思うのです。

     

     

     というわけで、今日は科学技術をテーマに、CNTと塗布半導体についてご紹介し、基礎研究は税金でやるべきであることを主張させていただきました。

     

    〜過去の関連ブログ記事〜

    オランダ人の物理学者、ヘイケ・カメルリング・オネス

    デフレの正体とは?(デフレギャップとインフレギャップ)

    GDPデフレータと実質GDPに騙される政治家


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