日産自動車の無資格従業員の新車検査問題と神戸製鋼の品質データ改ざん問題

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     今日は日産自動車の無資格者審査問題と、神戸製鋼の品質データ改ざん問題について、取り上げます。

     

     

    1.日産自動車の無資格者審査問題

     日産自動車は、無資格の従業員に新車検査をさせていたとして、9月に国が問題を指摘した後も、一部の工場で10/11まで、新車の検査に無資格者が関わっていたことが判明したと報じられました。西川(さいかわ)社長は、9/2の会見で、9/2以降は認定検査員が100%行うようになったと謝罪をしておりました。

     

     本件の発覚経緯は、もしかすると内部告発かもしれません。とはいえ、西川社長が謝罪した後も、そこからしばらく無資格者が対応していたとすれば、それはどのような理由なのか?が私には気になります。

     

     コストカットをやりすぎて、現場が人手不足となって「仕方ない!無資格者だけど○○が審査をやってくれ!」ということなのか?9/2に謝罪した後も不正をしていたというのは、徹底して解明すべきであると思います。

     

     

     

    2.神戸製鋼の品質データ改ざん事件

     神戸製鋼の子会社が米国の顧客向けに販売した製品の品質データについて、米国司法省から神戸製鋼に対して、品質データが改ざんされた製品に関する書類の提出を求められました。

     

     こちらは、JR東海の新幹線など国内に留まらず、米国ではゼネラルモーターズ社や航空大手ボーイング社の製品でも、問題の製品が使われていることが明らかになっています。

     

     アルミや銅製部材では、長期に渡って偽装されていたことが常態化されていたと認識されており、米国の司法省が本格的な捜査に乗り出すか?が焦点となっています。

     

     毎日新聞の記事によりますと、神戸製鋼の不正は40年も前から行われていたとのこと。神戸製鋼はデフレとは関係なく、品質を守ろうとしていなかったといえます。

     

     神戸製鋼の製品は、自動車や飛行機や鉄道など、かなりシビアなところに使われています。日本が品質を守ていたというのは、デフレ突入する前から実は迷信だったのか?と思えるほどの事件でして、私は大変残念に思っています。

     

     

     

    3.日産自動車と神戸製鋼の事件を受けて

     同じようなタイミングで両方の事件が明るみに出ましたが、日産自動車は、お金お金とやってきて内部留保で預金を増やしたり、カルロス・ゴーンへの高報酬や配当を増やしたりといったことが原因ではないかと、私は思っています。もちろん、日産自動車はリーマンショック後に、経営が苦しかった時もありました。それはデフレ放置によって、物・サービスが安く買われるという環境の中で、自動車が高く売れないという経営環境もあったと思われます。

     

     神戸製鋼の事件は、40年も前から不正だったということなので、デフレ・インフレ以前の問題かもしれません。

     

     だからもう日本はダメなんだ!ということではなく、自動車・飛行機などシビアな部分に使われている以上、品質データの確認をすべて実施すべきだと考えます。もちろん、その費用は神戸製鋼が出すとして、経営がおかしくなるようなことがあれば、救済する必要があると考えます。

     

     いずれにしても、政府支出が必要。政府支出増と国債増刷で、政府が名目需要と実質需要を創出し、具体的には政府が率先して、EV車(電気自動車)や燃料電池自動車を高い値段で購入して、ガソリン車を買い替え、さらに水素ステーションの拡充を推進するために、JXホールディングスや岩谷産業が水素ステーションの設置がしやすいように、政府が投資を支援するといった方法があります。

     

    <神戸製鋼の貸借対照表(2017年3月期)>

    (出典:ロイター通信)

     

    <神戸製鋼の過去4か年の貸借対照表の資産の部の推移>

     

    (出典:ロイター通信)

     

     

     神戸製鋼についていえば、品質データの確認作業を経済産業省などが資金支援することもありです。上記の神戸製鋼の決算資料を見ますと、現金預金で約1,557億円、売掛金手形で約2,953億円、当座有価証券で約455億円あります。

     この中から、確認作業など費用を含め、事態収拾に向けて対応すると思いますが、万一資金がショートするようなことがあれば、銀行が緊急融資するか、銀行が融資しない場合は、政府が資金支援してもよいと思います。

     政府が資金支援するのはハードルが高く、場合によっては減資して現在の株主に責任を取ってもらった後、資本注入するという方法もありです。

     同業の新日鉄やJFEホールディングスからは不満が出るかもしれません。そのために株主に責任を取らせるための減資、あるいは厳しく対応するのであれば、会社更生法や民事再生法を申請して、その後資本注入するしかないでしょう。

     もちろん、資金ショートも起きず、銀行が融資してくれるなどの救済があれば、その必要はありません。

     

     ですが品質の回復に、国家が支援してもよいと考えています。しかも、今はデフレです。こういうときこそ、政府支出増はデフレ脱却に資しますので、政府の関与も含めた解決策を検討してよいのでは?と思うわけです。

     

     

     というわけで、今日は日産自動車と神戸製鋼の事件について触れました。事件の背景で考えますと、神戸製鋼の事件の方がショックが大きい。ですが、だからといって「つぶれてしまえ!」という発想では、却ってデフレを深刻化させます。品質への信頼回復という意味で、政府がもっと支援をしてもよいと思います。

     現時点で、神戸製鋼には、貸借対照表上、剰余金が3,571.54億円あります。当面は自己資金の範囲で事態収拾に向けた対応がされるでしょう。

     何しろ神戸製鋼は規模が大きいです。神戸製鋼がこのまま破たんすれば、日本経済に悪影響を及ぼします。賛否両論あると思いますが、インフレで仕事が十分にある状況であれば、「つぶれてしまえ!」という意見があってもやむなしと思います。ところが、日本は今デフレに苦しんでいますので、破綻させるようなことは、絶対にあってはならないのです。

     東芝問題、シャープ問題、いろいろとありましたが、外国資本が注入されて技術流出される、もしくは供給力を毀損してしまう、こうしたことこそ国益を失う事態であり、回避しなければならないものと私は思っております。


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