国家間・企業間における真の競争力とは?(「単位労働コスト」について)

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     今日は、国家間・企業間での真の競争力について意見します。

    表題の通り、真の競争力とは、「人件費が安い」ことではなく、「単位労働コストが安い」ことです。

     

     

     

    1.「単位労働コスト」とは?

     

    自動車製造を例にとって、下記のケーススタディを考えてみましょう!

     

    A国:労働者一人の人件費10万円、労働者の1日生産台数100台

    B国:労働者一人の人件費40万円、労働者の1日生産台数5000台

     

     読者の皆様にお聞きしますが、A国とB国、どちらが人件費が安いと思いますでしょうか?

     「A国の方が安いに決まっているでしょう!」と思われる方、絶対的な金額で考えれば、そういう見方もあります。では、仮にそう思われる方がいたとして、生産拠点としてA国か?B国か?どちらを選ぶかと聞かれたら、どちらを選びますか?

     

     これは価値観の問題抜きにして、生産性の高い国家という観点で考えれば、B国の方が生産性が高いといえます。理由は、1日当たりに生産する自動車の生産台数が多いからです。

     

     もっともB国がデフレなのに緊縮財政を継続している国家であれば、生産性が高かったとしても、自動車が安くたたき売られます。つまり名目の需要が十分でない(値下げしないと売れない)、実質の需要が十分でない(買い替えの時期が先延ばし傾向になるなど)という状況下では、B国は供給過剰とみることもできます。

     

     ビジネスの世界で、経営判断の第一に考えるべきことは、需要です。ここでいう需要とは実質需要(製品の需要個数・サービスの需要回数)だけでなく名目需要(値下げしなくても売れること)も含まれます。需要がなければ、B国の法人税がどれだけ安かろうと、B国の金利がどれだけ安かろうと、投資しません。

     逆に法人税が高かろうと、金利が高かろうと、需要があればビジネス参入の検討の余地があります。とにもかくにもまずは、需要があるか否か?です。

     

     仮にB国が、法人税が安く、金利が安いという状況だったとして、他国と相対的に、消費購買力、即ち所得が低く車が買えない年収しか稼げない国民が多いということであれば、B国は他国より自動車需要は少ない考えることもできます。いくら法人税が安かろうと金利が安かろうと、需要がない分野に投資をすることは経営者としては失格だと考えます。

     

     話を単位労働コストに戻しますが、需要を無視して生産性だけを見た場合、B国の方が生産性が高い。なぜ、そういえるでしょうか?

     

    【人件費1万円あたりの生産台数】

     A国:  100台÷10万= 10台  ⇒  10台/1万

     B国: 5000台÷40万=125台  ⇒ 125台/1万

     

     上記数式の通り、A国は人件費1万円あたり10台の生産量、B国は人件費1万円あたり125台の生産量です。つまりこのケースでは、生産性はB国はA国より人件費1万円あたりで12.5倍高いということになるわけです。

     

    【単位労働コスト】

     人件費1万円当たり10台、125台というのを、単位労働コストで考えると、

     A国: 10万÷ 10台=1.00万=10,000円

     B国: 40万÷125台=0.32万= 3,200円

     

     上記数式の通り、単位労働コストはB国の方がA国よりも安い。A国の3分の1以下です。なぜ、B国の方がA国よりも単位労働コストが安いのでしょうか?

     理由はB国がA国よりも、「資本」「労働」「技術」への投資が蓄積されているためです。そのため、人件費の絶対額では4倍高いですが、生産量は12.5倍となっているため、単位労働コストはB国の方が安いということになるのです。

     

     

     

    2.「単位労働コスト」を下げるためには、「資本」「労働」「技術」への投資が必要!

     

     私は常々思うことがありますが、従業員を「高く」雇い、生産性向上のための投資を蓄積することで利益を出すこと、これが本来の企業経営であると考えております。

     

     ところが、国境を越えた資本移動の自由化により、グローバリズムの世界では、国内の人件費上昇を受け、企業は「安い賃金」を求めて、資本(工場など)を海外に移転します。その結果、国内の雇用が失われます。これは、米国のトランプ大統領がNAFTA(北米貿易自由協定)を見直そうとしているその背景である問題と同じです。メキシコへの工場移転が進む結果、米国の雇用が失われるというわけです。

     

     とはいえ、国内の人件費が上昇したとしても、投資により生産性を向上させ、単位労働コストを引き下げれば「グローバル」に競争力を強化することは可能です。

     では?単位労働コストを引き下げる生産性向上を達成するためには、どうしたらよいでしょうか?

     

     その答えは、「資本」「労働」「技術」への投資を継続することです。

     ”「資本」への投資”とは、最新鋭の機械・設備を購入して継続的に更新することです。

     ”「労働」への投資”とは、能力開発や人材教育に力を入れることです。

     ”「技術」への投資”とは、品質を維持しながらスピーディーに生産性できるよう技術開発に力を入れることです。

     

     このように、「資本」「労働」「技術」への蓄積量を増大させれば、生産性を高めることができます。結果、こうした生産性向上のための投資を実行することで、単位労働コストを引き下げれば、絶対額で「人件費」が高い国であっても、価格競争力を保つことは決して不可能ではなく、「グローバル」に戦うことは可能です。

     

     トランプ大統領のNAFTA見直しは、「資本」「労働」「技術」の蓄積量を、メキシコではなく、米国の企業が国内に蓄積量を仕向けるよう環境を作っていると見ることもできます。1兆ドル(≒110兆円)のインフラ整備という需要創出をすること自体、米国国内に「資本」「労働」「技術」の蓄積量を仕向けやすくする環境を作っていると見ることもできるのです。

     

     

     

    3.「外国人労働者を安く雇う」ことについて

     

     これまで述べてきた通り、国内の人件費が上昇したとしても、投資により生産性を向上させ、単位労働コストを引き下げれば「グローバル」に戦うことは可能です。

     しかし、グローバル投資家が蔓延るグローバリズムの世界では、「中長期的に生産性を向上させる投資」について、経営資源を投入することは難しいのです。なぜならば、グローバル投資家「短期の利益」を求めるからです。

     

     このブログで私も株式ネタを記事に掲載しますが、私の投資スタンスの中で、ネガティブな会社は「(中長期的な投資をしないで)株主還元に積極的な会社」「配当をたくさん出そうとしている会社(配当性向が高い会社)」です。株主優待による株主還元は、ポジティブです。理由はまた別記事書きます。

     

     私はグローバリズムに否定的な立場です。なぜならば、グローバリストは短期的な「株価上昇」を求めるからです。短期の利益拡大や株価上昇を求められた経営者は、人件費を引き下げるか?資本を外国に移動せざるを得ません。というよりも、グローバル株主資本主義の下では、人件費カットや「人件費が安い国」に資本を移した経営者の方が優秀であると称賛されます。

     

     だから自国の国民を「高く雇う」経営者は悪となるわけです。その結果「単位労働コスト」を下げるための投資よりも、手っ取り早く「外国人労働者を安く雇う」という発想になりがちなのです。

     

     ここからは価値観の問題なので押し付けるつもりありませんが、皆さんが経営者になったつもりでぜひお考え下さい。

     「政府が外国人労働者の受入を緩和してくれれば、私は外国人労働者を大勢を受け入れて稼せぐことができます。だから、規制を緩和してください。」

     この意見について、皆さんどう思われるでしょうか?仮に景気が悪くなって仕事が無くなったら、皆さんはどうされるでしょうか?おそらく解雇することになりませんでしょうか?仕事がない=需要がないのに、外国人労働者がいくら安かろうとも、雇用を継続するでしょうか?おそらく解雇するとお考えの方が多いと思います。

     外国人労働者について、日本の社会保障制度(政府労災・雇用保険・年金保険・健康保険)は、その労働者の方が日本に滞在することが、不法違法であるかを問わず適用されます。

     一旦、外国人労働者を採用した後、景気が悪いからといって解雇したら、彼らは日本国の社会保障にぶら下がることになるのです。

     「外国人労働者を安く雇う」とは、正にそういうことなのです。

     

     

     というわけで真の競争力について述べてきましたが、”需要がある”という環境が前提にあれば、国家間も企業間も同じことがいえます。

     企業間でいえば、「外国人労働者を安く雇う」という経営者の方に問いたい。「一時的な短期的な利益を追求して外国人労働者を雇用し、将来の負担を日本社会全体に押し付けることになるということを理解していますか?」ということです。

     私は「一時的な利益のために外国人を雇い、将来の負担を日本社会全体に押し付けることになっても構わない!」という考え方には、とても賛同できません。

     普通にデフレ脱却して、需要を創出し、グローバル化を辞めて規制強化に動くということを、米国や英国がやっているからです。フランスやギリシャやイタリアのように、EUに加盟している限り、自国の主権でそうしたことができない国と比べて、我が国は主権で自国で解決できるのです。

     ぜひ、多くの方に気付いていただき、政府の方々には、我が国の真の競争力を高めるために、米国や英国に見習って、自国民ファーストとなる政策が打たれるよう、望みます。

     

    ※関連ブログ:

    日本の労働単位コストを2013年以降上回ってしまった中国の供給能力過剰問題

    金利が下がれば設備投資が増えるは本当か?(魚の仲買人さんのビジネスモデル)


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