「自国で通貨発行・政府支出ができる日本」と「EUに加盟しているためにできないフランス」どっちが愚かなのか?

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     今日は、フランスのマクロン大統領の政策について、特にフランスの失業率改善のための方策を論じたいと思います。

     マクロン大統領の支持率が就任後わずか3か月で急落し、36%にまで下がったと報じられました。政策面では、政府の負債をGDP比で3%以内に抑えるとするマーストリヒト条約が足かせになっています。

     

     労働市場の状況は、どうなっているのか?

     下記は、欧州主要国と日本の失業率の推移の示したグラフです。

    (出典:IMF)

     

     

     このように、フランスは失業率で10%前後を推移しています。2000年〜2008年頃までは、ドイツよりもフランスの方が失業率が低いです。ドイツは、2004年前後は、失業率が10%を越えていました。

     

     さて、そのフランスについていえば、失業率は10%超で、ドイツが失業率5%を切っているのを見れば、普通にフランスは積極財政をするべきです。

     フランスは、インフレ率1%を下回り、長期国債金利も1%を下回っている状況。これ、日本と似ていますね。日本もインフレ率が1%以下で、長期国債金利マイナス金利に突入という状況。そして、ドイツも同じような状況です。

     

     ドイツが日本と決定的に違うのは、EUとユーロの仕組みを利用して、関税を掛けさせないようにして、ドイツで作った製品をユーロ加盟国に対して、関税ゼロで輸出できるという点です。

     しかも、ドイツは2004年前後の失業率10%超の際、不景気であったため、金融政策において公定歩合引き下げの金融緩和を実施しています。そして、ドイツの経済は回復基調となりました。ユーロ加盟国がドイツの輸出攻勢に対して、関税がかけられない以上、ドイツ以外の欧州諸国は着実に対ドイツに対しての貿易赤字が積み上がっていきます。だから、ドイツは、あっという間に景気回復することができました。

     そうした外需に頼らなくても、本来なら国内需要を創出することもできたはずですが、そうしなかった。財政支出増による内需拡大ではなく、金融政策で公定歩合引き下げを行い、あとはユーロ圏内の他国への輸出攻勢を強めていったというわけです。

     なぜ、ドイツが政府支出増をしないか?理由はマーストリヒト条約があるからです。

     

     では、フランスもドイツと同じように輸出攻勢を掛ければいいのでは?と思われる方もいるでしょう。とはいえ、フランスとドイツでは、インフラの充実度が違うこと、工業製品の品質でもドイツの方が上である品目が多いこと、結果、フランスとドイツの製品では、価格も品質も競争力はドイツの方が高い。

     そのため、フランスとドイツの貿易において、フランスは対ドイツ貿易赤字が積み上がっています。

     では、貿易赤字解消のために、フランスは、ドイツ以外の欧州他国に輸出攻勢をすればいいでしょうか?

     もし、それをやられると、その国(ドイツ以外の欧州他国)が困ります。

     

     本来なら、フランスが輸出に頼らずとも自国の需要を創出すれば、欧州の他国の雇用を奪うなどの摩擦を生じることなく経済成長できます。もちろん、自国に技術力がない分野については、自国で供給できませんから、フランスからの輸入に頼ったとしても、関税によって輸入製品の分野について、自国の産業で賄えるよう自国産業育成のために、その税収が使えます。

     フランスでいえば、失業率10%でドイツの倍以上、物価上昇率も1%下回って、長期国債金利も1%下回って低迷している状況であれば、間違いなくフランスはデフレですので、普通に国債を発行して政府支出増にすれば、輸出に頼らなくても、雇用は改善して景気回復することが可能です。

     

     でもフランスは自国の需要創出ができない。なぜならば、EUに加盟しているから、マーストリヒト条約に縛られて財政赤字拡大ができず、国債発行もできません。自国の創出という無駄(私は無駄とは思いません。)を削減しなければ・・・という発想で緊縮財政をせざるを得ません。

     その上、ユーロ加盟国は金融政策の独立を認めていません。だからECB(欧州中央銀行)が国債を買い取ってユーロ建てのフランス政府の負債を買い取ることもできません。

     つまり失業率が高いのに、政府支出ができないので雇用情勢の改善(失業率の改善)することができないのです。

     

     そうすると、どうなるか?失業率が高いのは、「フランスの労働規制が強固だからダメなんだ!岩盤規制である雇用規制を取っ払わなければ国際競争力が弱くなる!」というレトリックが使われます。

     

    ●パートタイムの労働者割合

     ドイツ:26.7%

     イギリス:25.2%

     フランス:18.2%

     

    ●最低賃金

     ドイツ:8.8€

     イギリス:8.6€

     フランス:9.7€

     ※€=ユーロ

     

     このように、フランスの労働環境は、ドイツとイギリスと比較して、パートタイムの労働者割合が少なく、最低賃金も高く設定されています。グローバリストの方から見れば、フランスは労働者が保護されすぎていると見えるかもしれません。だから規制緩和をしなければいけないという発想、この考え方は竹中平蔵らの主張・論説と全く同じです。

     

     私の想像ですが、マクロン大統領は、最低賃金は下げなければならない、パートタイマーをもっと増やしていかねばならない、こう思っていると思われます。とはいえ、インフレ率1%を切ってデフレであること、長期国債金利も1%を下回っている状況は資金需要が不足していること、すなわちデフレ状況なわけですから、普通に政府が需要創出すればいいのです。

     でも、EUに加盟しているから、ユーロに加盟しているから、政府の需要創出ができません。そこで政府は労働規制の緩和、構造改革を進めていくべきだ!という話になっていくのです。

     

     最低賃金を引き下げ、企業が労働者を解雇しにくい規制を外し、いつでも従業員を解雇できるようにする、そうすれば国際競争力が上がり、失業率が改善するという話です。

     ここでいう国際競争力は、国益と直結しません。単なる価格競争力です。とはいえ、賃金を下げなくても設備投資によって生産性の向上が図られれば、単位労働コストの低下によって国際競争力を高められます。

     

     日本国内でも、日本人の実質賃金が下がっているのであれば、規制を強化すればいいのです。もしくは韓国の文在寅大統領のように、公務員を増やすでもいいです。例えば介護職員を全員公務員にするとかやればいいわけです。

     

     そこで立ちはだかるのが、「”いわゆる”国の借金」問題です。財政問題を無理やりクローズアップさせて緊縮財政を強要すれば、企業が競争力を高めるためには、労働者の賃金カット・処遇悪化しかありません。

     実際に労働者の賃金カット・処遇悪化を実行した場合、誰が喜ぶでしょうか?それは、グローバル投資家です。

     

     フランスは、EU・ユーロに縛られ、フランス国民のための政策はできません。何ができるかといえば、グローバル投資家のために利益拡大・配当増額するための政策しかできないのです。

     イギリスはEU離脱しますが、フランスも将来EUを離脱しない限り、フランス国民のための政策が打たれることはありません。

     

     何よりも大事なのは、人々の生活と暮らしです。「その生活と暮らしを壊さないと、国際競争力が回復しない!」という論説は、皆さん納得されるでしょうか?わざわざ生活・暮らしを壊さなくても、もしくは国民が生活・暮らしが壊されるのを我慢しなくても、普通に国債発行して財政出動すれば、経済復活できます。

     

     日本でいえば、財政拡大をすれば日本国民を豊かにできるのにやらない。財政拡大をすれば「国の借金で破たんする!」と言い出します。それと並行して、派遣労働者を拡大し、法人税減税をやり、企業の純利益を拡大させてグローバル株主を喜ばせるという、日本国民のための政策ではないことが、どんどん実行されています。

     とはいえ、日本はEU・ユーロという縛りがないので、本来は「国債増刷」と「政府支出増」が自国ですぐに実行できます。フランスはEU離脱しないとできません。

     

     この現在の状況、日本とフランスどっちが愚かなのでしょうか?

     

     

     というわけで、今日はフランスの雇用情勢に触れ、雇用情勢(失業率)の改善策について、意見させていただきました。

     日本は「国債増刷」と「政府支出増」のパッケージでデフレ脱却するという方策が、普通に自国の意思で可能、即ち自国で解決することが可能です。一方、フランスはEUに加盟しているため、財政政策・金融政策の独立は認められておらず、政府の負債対GDP比率3%以内に収めるというマーストリヒト条約に縛られて、自国で解決することができません。

     解決するためには、イギリスと同様にEUから離脱するしかないと考えます。フランスは、EUから離脱した方が、幸せになるでしょう。ギリシャも同様です。

     結局、勝ち組のドイツが積み上げた貿易黒字を、国境を越えて負け組を救う制度、日本の地方交付税交付金制度がないため、こうした問題が起きているのです。とはいえ、ナショナリズムを同じにしない国同士が、地方交付税交付金のように、インフラが充実しているドイツ国民が貯めた黒字を、インフラが充実していないフランスに所得移転(勝ち組の国から負け組の国への所得移転)するということは可能でしょうか?

     私は不可能と思います。地方交付税交付金は、日本国内の同朋意識を持つ日本人同士の所得移転だから、インフラが充実している東京から法人税・住民税を徴収し、インフラが充実していない都道府県に対して、税の再分配ができると思うわけです。

     前大阪市長の橋下徹氏は、「維新八策」の中で、道州制を導入すべきなんて言っていますが、それは自己責任のもと、国に頼らないで地方自治体単位で、歳入と支出を運営するということなのですが、私は大反対です。

     EUの問題、ユーロの問題が何なのか?が理解できれば、皆さんも日本の地方交付税交付金の意味、そして優れた制度であることが理解できると思うのです。


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