「政府の債務残高対GDP比率3%以下」という”3%”に根拠なし!

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     今日は、今年5月に就任したフランスのマクロン大統領が3か月経過して、支持率が急落していることについて触れ、EU加盟していることで、プライマリーバランス黒字化、政府の負債残高のGDP比率3%に収めなければならないとする”3%”に根拠があるのか?日本で1997年11月に施行された財政構造改革法と、欧州のマーストリヒト条約について合わせて触れていきたいと思います。

     

     

     下記は毎日新聞の記事です。

    『毎日新聞 2017/8/20(日)11:00配信 <マクロン仏政権>緊縮策で支持率急落 外交舞台では存在感

    【バルセロナ(スペイン北東部)賀有勇】

     フランスのマクロン大統領(39)が5月に史上最年少で就任してから、21日で100日を迎える。就任直後から、外交舞台で存在感を示すことに成功した一方、国内政策では財政立て直しのために歳出削減方針を打ち出したことなどが反発を招き、支持率は40%を切るまで急落。今後も、公約の労働市場改革を進めるが、反発が予想されており難局が続く。
     マクロン氏は就任後、オランド前政権で関係が冷え込んでいたロシアのプーチン大統領と会談をこなした。米国のトランプ大統領には、地球温暖化対策の枠組み「パリ協定」にとどまるよう説得を続け、大国のリーダーと渡り合う姿を印象付けた。さらに、7月には、国家分裂状態が続くリビアの暫定首相と武装組織の指導者の会談を仲介し、停戦合意にこぎ着けた。
     しかし、外交舞台で存在感を示したマクロン氏の勢いは、内政への対応でそがれた。
     マクロン政権は、財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以下に抑えるよう加盟国に求めている欧州連合(EU)の財政基準を満たすことを目指す。このため、7月に学生や低所得者が受給する住宅手当や地方助成金を減額する緊縮策を発表。痛みを伴う改革に反発が広がった。
     国防予算の削減方針も打ち出し、異論を唱えた仏軍の制服組トップのドビリエ統合参謀総長に対し、「私がボスだ」とクギをさし、ドビリエ氏の抗議の辞任に発展する事態となった。
     また、治安政策でも不評を買った。マクロン氏は、パリ同時多発テロ(2015年11月)後に出された非常事態宣言を解除する代わりに、平時でも治安当局の権限を強化するテロ対策法の制定の方針を示し、「市民生活の制限になる」との反発を招いている。
     こうしたマクロン氏の姿勢や政策は「支配欲の強い人間」(仏紙リベラシオン)と、国民の目に映っているとも指摘される。
     調査会社IFOPが8月上旬に実施した世論調査では、就任後64%に達した支持率は36%まで下落。オランド前大統領の就任後の同時期(46%)を10ポイントも下回った。(後略)』

     

     上記記事のほかに、毎日新聞からの引用でグラフを掲載します。

     

     この通り、早くも大統領支持率が下がっているのです。

     日本のワイドショー番組では、マクロン大統領のことを若いとかハンサムとか持ち上げていました。とはいえ、就任当時60%だった支持率は、36%にまで落ち込み、不支持が60%を越えています。この数値、安倍政権に匹敵するといえます。

     

     あっという間にたったの3か月でここまで下がってしまったわけですが、この数値は、支持者が3人に一人しかいないということであり、半数の支持を得ていないのです。

     

     もともとフランス大統領選挙において、第1回目の投票で反グローバリズムのルペンとメランションの2人に投票した人が40%いました。メランションに入れた人は、マクロンには投票できない一方、ルペンにも投票できないという人が多かったと言われています。もちろん、ルペンに投票した人がマクロンに入れるはずがありません。結果、大統領選挙の本選挙において棄権した人が多かったのです。

     その後に行われた国民議会選挙(日本でいえば総選挙)でも、マクロン率いる共和国前進が圧勝しましたが、ここでも棄権した人が多く、投票率は44%でした。要は2人のうち1人、半数は投票したい人がいないということで、棄権してしまったのです。

     

     そんなわけで、国民から圧倒的な支持を得たわけではないにもかかわらず、マクロン大統領は、緊縮財政をすすめました。

    特に国防費の削減を断固としてやるとして、軍のトップのドビリエ統合参謀総長に反感を買い、辞任されてしまったのです。

     

     毎日新聞の記事にも掲載されていますが、オランド氏も支持率が低いことに悩まされました。大統領就任後3か月後の数値で比較する場合、マクロンは36%オランドの46%よりも低いと報道されています。

     

     マクロンの基本は親EUであり、それがフランス国民のためになると思っているわけです。EUの基本はマーストリヒト条約に基づく、財政黒字化、プライマリーバランス黒字化であり、基本は無駄削減の緊縮財政です。

     

     マクロン政権は、財政赤字額について対GDP比率で3%以内に収めるとし、5900億円の歳出削減を宣言しています。

     具体的には、公共事業、防衛費、住宅補助などを削減するとしています。

     

     この発想自体、日本と似ていませんでしょうか?

     思想・発想が、日本の緊縮財政の発想と全く同じです。日本は橋本政権の時の1997年11月に、財政構造改革法が施行され、緊縮財政を法律で定めました。その法律の中で、次のように具体策が盛り込まれています。

     

    <日本の財政構造改革法>

    ●2003年度までに、国と地方を合わせた財政赤字をGDP比3%(1997年は5.4%)以下に抑え、赤字国債の発行をゼロにする

    ●公共事業や社会保障を含む主要経費の削減目標値を定める

     

    <EUのマーストリヒト条約>

    ●ユーロ参加の条件として財政赤字を対GDP比で3%以内、債務残高が対GDP比で60%を超えないこと

     

     いかがでしょうか?日本の財政構造改革法の発想と同じです。しかも定量数値目標で3%の記載があります。この3%という数字、なんか根拠あるのでしょうか?

     おそらく、この3%という数字がいかなる意味を持つのか?論理的に説明できる人っていないのではないでしょうか?経済学部の大学教授、エコノミスト、アナリスト、たぶん誰も答えられないのではないかと私は思います。

     

     はっきり言います。私は、3%以内に収めなければならないとする経済統計的な根拠は全くないので、誰も答えられないと考えます。なぜならば、デフレの場合は、政府が国債を発行して需要を創出し、プライマリーバランスを赤字にして財政赤字を拡大しなければなりません。インフレの場合は、逆に無駄を削減し、プライマリーバランスを黒字にしなければなりません。とはいえ、3%という数字が、社会情勢やら雇用情勢やら金融情勢やら、世界情勢によって何か3%以下でなければならないとする理由なんてのは、無いと思うのです。

     

     国家は通貨発行権を持たないユーロ加盟国は別にして、本来通貨発行権を持つ国は、自国通貨を発行できるため、インフレの場合は無駄削減でプライマリーバランス黒字化を目標にし、デフレの場合は無駄でも需要創出してプライマリーバランス赤字化を目標にするというように、臨機応変に対応しなければなりません。にもかかわらず3%と決まっているのです。

     

     この3%という数字目標について、どなたか?ロジカルになぜ3%なのか?教えていただきたいものです。

     

     

     というわけで、日本にしてもフランスにしても、政府の負債残高を減らさなければならないという発想が、国民をどれだけ不幸にしているのか?その根源は、プライマリーバランス黒字化という思考に呪縛された結果なのです。3%には根拠はありません。

     プライマリーバランスという指標は、それはそれで意味を持ちますが、経世済民という国内の国民が豊かになることを目指すのが政府の役割だとすれば、”プライマリーバランスは黒字でなければならない”という家計簿的な発想は間違っていると言わざるを得ないのです。ましてや3%に根拠もありません。こうしたことに早く気づき、国債増刷+政府支出増へと政策の転換を早く実行していただきたい。

     日本は可能ですが、フランスの場合はEUから離脱しない限りできません。ナショナリズムを否定する発想が根底理念にあるEUは、やがて崩壊せざるを得ないでしょう。

     日本は国際協定に縛られず、自国の主権で政策が実行できます。早くこの間違いに気づき、デフレからさっさと脱却するための政策を打っていただきたいと思うのであります。


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