こども保険の創設について(資本主義を否定する小泉進次郎)

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    JUGEMテーマ:年金/財政

     

     今日は、小泉進次郎が提唱しているこども保険について述べたいと思います。

     

     私は、こども保険には反対です。なぜならば、普通に増税だからです。ですが、私は子どもへの教育などの支出を反対しているわけではありません。デフレなのに増税してどうするの?ということです。将来世代にツケを残さず、子どもを育てるとか、別に普通に赤字国債でいいわけです。教育国債としなくても、赤字国債で全く問題ありません。

     財源を社会保険として、国民から徴収するというやり方は、普通に増税です。インフレで税収がガポガポ入ってくるならまだしも、デフレで苦しむ我が国において、なぜ増税という発想になるのでしょうか?

     結局、小泉進次郎氏は、国家の財政を家計簿として捉えている財務省やマスコミの発想と同じとしか、私には思えません。

     

     

     

    1.資本主義を否定している小泉進次郎

     

     下記は東洋経済新聞社で掲載された特集記事です。

    『2017年05月01日 野村 明弘 :東洋経済 記者 小泉進次郎氏が「こども保険」を強く推す理由 教育無償化はどのように実現するべきか

    ――財源に社会保険を活用するとしていますが、どのような議論があったのですか。

    小泉進次郎(以下、小泉):社会保険、消費税などの税、国債と議論したが、まず国債は除外した。教育は未来への投資だから国債で資金調達してもよいと一部の方は言っている。教育が未来への投資であるのは同感だが、その理屈を言い出すと、何だって未来への投資になる。

    私は農林部会長だからいつも言っているが、農業だって未来への投資だ。そうしたら農業国債、林業だって林業国債、科学技術も科学技術国債となってしまう。こんなことが通ってしまったら、すべてが(国債で資金調達しろと)くるだろう。そして未来への投資と言いながら、そのツケは未来の世代に回すことになる。

    ――消費増税の選択肢を排除したのはなぜですか。

    小泉:よく「消費税から逃げるな」と言われるが、同時に消費税へ逃げてもいけない。消費税率が8%から10%へ予定どおりに上がるとしても、それまであと2年半ある。また、増税の2%分を何に使うかもすでに決まっている。新たに教育無償化の財源として使うなら、税率10%以上の議論が必要だ。では、それは何年後になるのか。国立社会保障・人口問題研究所の人口推計では、日本の人口は2065年に8808万人と1億人を大きく割り込んでしまう。少子化対策は待ったなしだ。その中で社会保険が有効だという結論に達した。(後略)』

     

     

     小泉進次郎氏の答えにある「ツケは未来の世代に回す」というこの回答に象徴されるのが、借金=悪とする発想です。もちろん、家計や企業経営は、デフレ環境の中においては借金=悪で、借金返済に励めばよいわけです。

     とはいえ、資本主義というのは、借金をして信用創造によって経済のパイが大きくなる、即ち経済成長していくということになるわけです。

     政府が借金をした場合も、信用創造の効果は発生します。政府が借金をしたとして、政府は現金で持ったままというわけではありません。

     インフラであれば建設国債を財源として公的個性資本形成を増やし、スーパーコンピュータなどの科学技術の後押しであれば赤字国債を財源としてスーパーコンピュータへ投資する、少子高齢化で医療・介護の需要が増えるので赤字国債を財源として政府最終消費支出に充当する、で何ら問題がないわけです。

     借金=悪という発想は、資本主義の否定そのものですし、家計や企業がデフレ下で投資できない以上、破綻することがない政府が一番お金を使える存在であるということを、小泉進次郎氏は理解していないのでしょう。

     

     このように「ある財源を確保するために、税収で賄う」という発想は消費税増税の論説者も同じ発想です。例えば赤字国債による政府最終消費支出の額を減らすには、医療・介護費の削減をすれば減らすことができるでしょう。医療・介護費の自己負担増ということになります。

     

     無論、こうした政策は、実質賃金が安定して伸び続けるという環境かつ「需要>供給」となっているインフレギャップでは正しいです。何しろ、「需要>供給」で、需要より供給が圧倒して大きい場合は、放置すればどんどん物価上昇していき、投資が過熱化します。「需要>供給」は儲かる環境ですので、投資が減らず、設備投資が活発化していくわけです。

     この場合、物価の上昇幅も大きくなりますので、その結果高インフレとなるため、需要を下げるために、増税という選択肢があるわけです。この場合の増税は、消費の需要を削るという意味で消費増税でもいいですし、無駄削減で公的固定資本形成について一般競争入札するなどして名目の需要を引き下げる、案件を選別して(無駄を削減して)実質の需要を引き下げるのが、適した政策になります。

     

     とはいえ、実質消費が伸び悩み、民間では投資がなかなかしにくい環境において自己負担増となれば、より一層実質消費の減少に拍車がかかります。

     

     本来は増税や減税は、インフレかデフレか?で弾力的に行われるべきです。具体的に言えば、インフレの時は消費増税は正しく、デフレの時は消費減税が正しい。また、借金=悪とするのも資本主義の否定であり、物価が上昇していけば、借金の元金は相対的に小さくなります。結果、借入しての投資がしやすくなる。自己資本や自社株買いでの投資ではなく、借入を起こしても、物価が上昇していれば、製品を売却しても値段が高く売れるので、借入金の返済がしやすくなるわけです。

     だから、消費税で考えれば、インフレであれば消費税増税、デフレでいえば消費税減税が正しいのです。

     

     もしかしたら、小泉進次郎氏は、安倍政権になって株価が上昇しているから、インフレになっていると思っているのでしょうか?おそらく小泉進次郎氏のこども保険の発想の根幹の「ある財源を確保するために増税する」という発想は、次のことを理解していないと考えられます。

     

    ●資本主義を知らない(信用創造の意味を理解していない)

    ●借金=悪と考えている

    ●プライマリーバランスは黒字でなければならない

    ●日本が財政破綻すると思っている(内国建て債務で、国家が破綻する確率はゼロであることを知らない)

    ●デフレ・インフレという物価の変動現象について需要の過不足説であることを理解していない

    ●税収=名目GDP×税率 であり、名目GDP=個人消費+設備投資+政府支出+純輸出 という算出式を知らない

     

     

     

    2.多くの日本国民もまた政府部門の借金を悪と考えているか?

     

     小泉進次郎氏は、マクロ経済を理解していないと思われるわけですが、その小泉進次郎氏をサポートするブログも見つけました。

     下記は、NPO法人キッズドアの代表で女性の方です。

    『小泉進次郎衆議院議員が、自民党の「人生100年時代の制度設計特命委員会」の事務局長に就任された。

    小泉氏は将来の社会保障制度について、「高齢者偏重を是正し、真の全世代型にする」と述べている。

    小泉氏の一押しは『こども保険』だ。

    こども保険とは、社会保険料率を0.1%上乗せすることで3400億円を確保し、未就学児に1人当たり月額5000円を支給。将来的には上乗せ分を0.5%に引き上げて1兆7000億円を確保し、保育・幼児教育を実質無償化する制度だ。(参照:時事ドットコム)

    私は常々、現状の日本では幼児教育無償化よりも、高校生世代への支援(児童手当の18歳までの延長)や高等教育(大学や専門学校)の給付型奨学金充実や教育無償化が必要と訴えている。

    しかし、それでもなお、こども保険大賛成だ。こども・若者にお金を使ってくれるなら、幼児教育無償化でもなんでもいい。妊婦から30代のフリーターまで、とにかく資金を投入して「安心してこどもを産み、育てられる国」にしなければならない。

    「そうだよね、このままだと将来大変だよね。」と思いがちだが、将来の話ではない。間違いなく「今」の問題だ。

    少子化では出生率が話題になるが、実は出生数が重要である。出生率が多少増えても、母数となるこどもを産める世代の数が縮小していくので、こどもの数は激減する。15歳未満の年少の人口は12.4%、75歳以上の後期高齢者が13.3%と完全に逆転した。高齢者は増え続け、年少者は減り続ける現実から、すべての国民が目をそらしてはいけないのだ。

    ■こども保険に反対する人は、頭が悪いとしか思えない。

    こども保険には反対意見も多いそうだ。
    「子どもがいない人からも保険料を取るのは不公平」
    「子どもはいるが保険料を払わない人にも給付するのか?」

    バカじゃないかと思う。

    今の現役世代はもちろん、子どもや若者は、絶対自分が払った分は取り戻せない年金を納めることを強いられる。

    国の財政支出の3分の1を占める社会保障費のうちの44%は年金と介護で完全に高齢者のためのものであり、さらに30%を占める医療費の大部分は高齢者の医療費だ。

    社会保障に占める高齢者向け支出は7割とも8割とも言われる。バッシングされる生活保護費は社会保障費全般の9%しかなく、しかもその半分は65歳以上の高齢者である。

    自分の親がいない児童擁護出身の孤児も、すでに両親がいない若者も、見ず知らずの高齢者のために多額の年金と税金を納めているのだ。

    「子どもがいない人から保険料を取るのは不公平」なら「親がいない現役世代から年金や税金を全額取るのは不公平。7割引にするべき。」となる。

    高齢者は自立できないから社会で支えなければならないのなら、少なくとも18歳以下の子どもだって自立できない。社会で支えなければならない。これは当たり前のことで、日本以外の世界中の多くの国が、子ども手当を充実させて、教育の無償化を実現している。

    日本だけが「好きで子どもを産んだのだから、自分で育てるべき。」と自己責任論が未だに大手を振って歩いている。だから、子どもを産めないのだ。

    2015年度補正予算で低所得の年金生活者に1人3万円の臨時給付金を配った。財源は3400億円。私たちをはじめ多くの関係者がたくさんの署名を集めやっと実現した給付型奨学金は、年間たった210億円だ。全国民から集めた税金を高齢者には気前よく3400億円を配るかたわら、次の世代を担う子どもには、こども保険のわずか0.1%も払いたくない。

    狂っているとか言いようがない。
    日本人とはそのような国民なのか?(中略)

    =お願い=
    私が運営するNPO法人キッズドアでは、低所得世帯の子どもたちへの無料学習支援を行なっています。(中略)

    「日本のこどもを支援したい」という多くの大学生や社会人のボランティアが、1000人以上の子どもたちの学びを支えています。また、活動は皆様のご寄付に支えられています。新年度が始まり、まだまだボランティアも寄付も足りません。ぜひ、ご協力ください。』

     

     私はボランティアを否定するつもりはありません。とはいえ、ボランティアでは、物・サービス(ここでは教育サービス)とお金の対価とならないため、GDPに寄与しないのです。端的に言えば、経済成長に貢献しません。また、GDPに寄与しない以上、NPO法人もそうですが、税収を納めなくてよいことになっています。このことは、本ブログの読者であれば「GDP3面等価の原則」を思い出していただければ、すぐに理解できるでしょう。

     誤解なきように申し添えますと、GDPに貢献しないからNPO法人は不要と言いたいわけではありませんので。あくまでもマクロ経済理論の話です。

     

     日本のインフラを使っておきながら、NPO法人を盾に、法人税法で定義する「収益事業」以外は、税金を納める必要がありません。無論彼女自身は、給料報酬から所得税を払いますが、NPO法人としては、ボランティアなので「収益事業」以外は、法人税を納める必要がありません。もちろん合法ですので、それはそれで問題ありません。

     仮に極論で、学習塾という民間の株式会社組織がなくなり、すべてNPO法人で学校の勉強のサポートをするとなった場合、寄付の場合は税金がとれませんから、株式会社組織の学習塾(例えば「早稲田アカデミー」「明光ネットワークジャパン」「学究社」「秀英予備校」などのような株式会社組織の学習塾)があったときと、学校の勉強のサポートを株式会社組織の学習塾に変わってすべてボランティアが所属するNPO法人が担うことになった後とでは、大きく税収が減収することになります。

     

     そして、彼女が反対意見として取り上げている「子どもがいない人からも保険料を取るのは不公平」「子どもはいるが保険料を払わない人にも給付するのか?」という論説も、マクロ経済を理解していない証左といえます。反対論を言う人も、マクロ経済を理解していない可能性が高いです。

     

     現在の日本がデフレかインフレか?

     デフレの日本において増税につながる政策は、却ってデフレを深刻化させるということなのですが、反論にもなっていない反対意見を取り上げ、小泉進次郎が正しいとしているわけです。

     おそらく彼女の頭の中にも、借金=悪という考えがあり、資本主義の根幹である借金をして投資をすることで信用創造によって経済が成長する、その結果、GDPが増えて税収も増えていく、そしてその税収はGDPの伸び以上に税収は増えるということを知らないのでしょう。

     

     

     

    3.税収弾性値について

     

     GDPが増えれば、税収弾性値により税収はそれ以上に増えます。事実、安倍政権発足時、国土強靭化で財政支出を増やしました。その結果、2013年度は名目GDPで1.9%上昇し、税収は6.9%増えました。

     

     GDPを増やせば税収はGDPの伸び率以上に増えますが、GDPが減れば、税収はそれ以上に減ります。だから経済のパイが増えない状況で、物価が下落するデフレ環境において、こども保険という大義であれ、他の財源確保のための医療介護費自己負担増といった社会保険料UPという経済政策は、実質消費を削減することになるため、GDPが減ってしまうのです。

     

     GDPの伸び率以上に税収が増えること、下落率以上に税収が減ること、このことを税収の弾性といい、税収÷名目GDP=税収弾性値といいいます。日本の場合、税収弾性値は3以上といわれています。

     

     税収弾性値が3以上ということは、GDPが減ると、GDPの減少率以上に税収が落ち込みます。なぜなら、名目GDPの減少によって、黒字だった企業が赤字に転落する企業が発生し、そうした企業が法人税を納めなくなるから。また、名目GDPの減少によって、売上が減少して不採算部門閉鎖などで解雇すれば、所得税を納めていた人が納められなくなるから。結果、また増税するか社会保険料を引き上げるか、社会保険サービスを削減するか?→消費が落ち込んでGDPが減少して税収が減少する・・・・という、この悪循環から抜けられないわけです。

     

     いい加減に、家計簿的な発想を、私たち国民が否定しない限り、このような論説が蔓延り、賛同する国民も多い状況では、いつまで経ってもデフレから脱却できないという状況が続くでしょう。

     だいたい企業経営において言えば、会社が銀行融資を受けて工場を建設し、それで生産して所得を得る、その融資について将来世代にツケを残すなんて人はイナイはずです。

     デフレを放置して、儲かりにくい環境を継続させ、工場閉鎖や自主廃業を通じて、虎の子の供給力を毀損してしまい、いざという時にサービスが受けられなくなる、技術が継承されなくなって自国でできなくなる、そのような発展途上国化こそ、将来世代にツケを残すことになるのではないでしょうか?

     

     

     というわけで、今日は小泉進次郎氏の逓減する「こども保険」について反対の論説を述べさせていただきました。理由は社会保険料増は、デフレの日本にとって、更にデフレを継続させる可能性があるからです。

     デフレであるがゆえに、政府支出による需要増という意味で、普通に赤字国債を発行して、子どもの教育を無償化するでいいと考えます。

     ですが、一方で教育現場が荒廃しているとも言われております。理由は教育現場の予算が削減され、教師の数を削減・設備削減をしているからです。そのため教育無償化のためには、教員の数を増やす、設備投資をするという需要創出のための政府支出増もまた必要ですし、デフレ脱却のサポートにもなります。

     そのサポートをせず、子どもの教育無償化をした場合、教育現場が混乱する可能性があります。その混乱をきたさないためにも、積極的な財政出動による教員数増加・設備投資増も必要であると考えます。


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