カジノの経済効果について(宝くじとGDP3面等価の原則を考える!)

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     今日は、掲題の通り、カジノの経済効果について述べたいと思います。

     

     カジノについては、マスコミ報道で賛否両論の論説が取り上げられます。私はカジノは不要である立場です。

     ところが、カジノ不要論の論説内容は、はっきり言って稚拙だと思っています。なぜならば、カジノ事業事態に付加価値を生むわけではないということを論じている人がほとんど見受けられないからです。

     よくあるカジノ反対論で言えば、「ギャンブルにハマる人が出てくる」「海外ではカジノ産業が衰退している」というのがよくある反論です。

     それらはそれらで、私は否定しません。ですが、もっと根本的な理由で私は反対の立場を取っています。

     

     そこで、東洋経済オンラインで2016/12/17に「日本版カジノは大きな成功が約束されている」という特集記事を掲載しておりまして、次の論説について考察したいと思います。

     

    【反対論】

    カジノの収益は、消費行動における所得(購買力)の移転でしかない。カジノの収益の増大は、顧客の他の消費支出減少というカニバリゼーション(共食い)をもたらすはずだ

    →回答 カジノ収益は、顧客に射幸性、サービスを提供した対価。コトの消費である点において、(モノの消費ではなく)、他のサービス産業と同じ。カジノ収益は、富裕層のレジャー支出等を通じ、消費全体のパイを拡大する。なお、少数管理されたカジノを含む統合型リゾート(IR)は、国内外の富裕層を主な対象とし、固定化している富裕層の資金を循環させる役割を持っている

     

    上述は、原文をそのまま引用しておりますが、私がカジノ導入に反対する理由は、上記の【反対論】のフレーズに集約されます。この”【反対論】の回答”について、再反論したいと思います。

     

     

     

    1.GDP3面等価の原則を考える

     

     GDPとは、生産面のGDP=支出面のGDP=分配面のGDPです。カジノ自体で、何か付加価値が付くかといわれれば、何も付きません。

     下記は「GDP3面等価の原則」でいう付加価値の積み上げです。

     

    ●酪農家が黒毛和牛の育てる

    ”黒毛和牛を育てる”について、生産面のGDP100円=支出面のGDP100円=分配面のGDP100円

     

    ●と殺業者が黒毛和牛を”と殺”してカットする

    ”黒毛和牛をと殺してカットする”について、生産面のGDP100円=支出面のGDP100円=分配面のGDP100円

     

    ●肉屋さんが冷蔵保存して小売りする

    ”冷蔵保存して小売りする”について、生産面のGDP100円=支出面のGDP100円=分配面のGDP100円

     

    この場合、それぞれのGDPの集約は次の通りです。

    【生産面のGDP=300円】

    黒毛和牛を育てる仕事の付加価値100円+と殺してカットする仕事の付加価値100円+冷蔵して小売りする仕事の付加価値100円

    【支出面のGDP=300円】

    個人消費300円

    【分配面のGDP=300円】

    酪農家の所得100円+と殺業者の所得100円+小売業者の所得100円

     

     

     

    2.宝くじはどうなるか?

     

    下記は、宝くじでの「GDP3面等価の原則」のイメージです。

     

     宝くじ自体は、付加価値を生み出しません。上図の通り、Aさん、Bさん、Cさんから、100円ずつ集め、100円の対価としてくじ渡します。くじ自体は生産しませんが、くじを販売するという仕事は付加価値に該当します。

     上述で言えば、総額300円に対して、くじ販売員の所得100円だとすれば、100円のくじにつき、くじを販売する付加価値は約33.3円となります。

     残りの66.7円×3(くじ本数)が200円になりますが、これをAさんが当選金としてもらいます。

     宝くじの当選金は非課税です。何しろ、くじ自体が何も生産していないから当たり前です。

     

    ●くじ販売業者がくじを企画して販売する

    ”くじを企画して販売”について、生産面のGDP100円=支出面のGDP100円=分配面のGDP100円

     

     上述でGDPを集約すると以下の通りです。

    【生産面のGDP=100円】

    くじを販売する付加価値100円

    【支出面のGDP=100円】

    個人消費100円(≒Aさん33.3円+Bさん33.3円+Cさん33.3円)

    【分配面のGDP=100円】

    くじ販売業者の所得100円

     

     この通り、このくじ引きにおいて、掛金300円のお金集まりますが、掛金300円のすべてが経済効果があるわけではなく、経済効果は100円になります。実際に宝くじの当選金は非課税です。だから上図のケースにおいても200円は非課税。単なる所得移転であるため、GDPにカウントされない以上、税収増にすら貢献しません。

     GDPは物・サービスとお金を対価として交換されるときにカウントされます。とはいえ、当選金はサービスではなく、あくまでも所得の移転であるため、生産を生み出すわけでもなければ、所得を生み出すわけでもなければ、雇用を生み出すわけでもないのです。

     

     上述は宝くじでご説明しましたが、カジノにおけるポーカーやらルーレットも同じです。ポーカーのトランプをさばくディーラーや、ルーレットに球を入れる従業員ら、彼らの所得は、カジノの掛金合計の一部から支払われます。決して彼らの所得合計がカジノの掛金合計を上回ることはあり得ません。掛金合計を上回って、所得を払う場合は、国が補助するとか、できなくないかもしれません。あるいは、国営でカジノをやるとか・・・。とはいえ、同じ政府支出増をするのであれば、カジノのゲーム事業への補助よりも、もっと優先度の高い、災害の備えるためのインフラや、将来の生産性向上のためのインフラへの投資の方が、より優先すべきであることは明々白々です。

     

     

     

    3.「固定化されている富裕層の資金の循環させる役割」という意味不明な論説

     

     東洋経済の特集記事では「固定化されている富裕層の資金を循環させる役割」があると述べています。

    それはそれで否定しません。確かに富裕層が1億とかお金使ってくれれば、そういう役割もあるでしょう。

     

     とはいえ、カジノの掛金の大部分は所得移転に使われます。1億円富裕層が使ったところで、GDPにカウントされるのは、1億円ではないのです。また、所得移転された金額は、カジノで勝った人が受け取りますが、それらは所得ではなく、税金を取ることもできません。当たり前ですが、所得移転された金額が、何か付加価値を生み出しているわけではないからです。

     

     富裕層の資金を循環させて、他の国民に分配させるということであれば、普通に所得税の累進課税強化や、相続税・贈与税の課税強化でいいわけです。(消費増税は、あり得ません。「所得税を減税しないと富裕層が逃げていく!」は本当か? )

     

     所得税の累進課税強化、相続・贈与税の課税強化であれば、政府の意思決定のもと、他の国民に分配できます。カジノで勝った人だけが分配されるというのは、社会弱者を救済するわけでもなければ、安全保障として利益が出ないけど必要な分野にお金を充当できるわけでもないため、何ら国益と直結もしなければ、国民が豊かになるわけでも何でもないのです。

     国民が豊かになる=GDPの成長=経済成長ですが、当選金がカジノの勝者への単なる移転なので、経済成長と関係がないのです。

     

     100歩譲り、資金循環させる役割を主張するのであれば、当選金やカジノで勝った人が受け取る権利の相当額を、チケット(金券)で配布し、しかも有効期限を1両日中にするとなれば、くじで当選した人も、カジノで勝った人も、当選金を1両日中に「モノ・サービス」の購入に充当しなければなりませんから、これは、新たな消費を生み出すことになるでしょう。

     ですが、「1両日中に物品と購入しなければならないチケット(金券)が当たります!」なんてことをしたとして、富裕層がそのようなカジノに1億円もお金を投じるとは到底思えません。

     掛金合計以下しか経済効果がないことを考えれば、掛金が小さければ、さらに経済効果は小さくなるわけです。

     

     株価が上がれば資産効果があると思われている方、実は株価上昇における資産効果も同じです。売却益を1両日中に物品に交換しなければならないとすれば、資産効果は絶大です。

     ですが実際は、株価の売却益で、他の銘柄を買ってみたり貯金したり、待機資金で証券会社のMRFにプールしておくというのでは、物品の交換に該当せず、株価上昇が直接GDPの成長=経済成長にはならないわけです。

     

     こうしたカジノの経済効果やら、株式市場の資産効果やら、決定的に欠けているのは、経済効果がどのくらいあるか?ということが時間軸が不明でかつ金額で測れないことも、重大な欠陥です。

     

     例えば、トランプ大統領が「100兆円のインフラ投資をする」といえば、最低100兆円は経済成長できます。そこに時間軸も加わり、「5年で100兆円のインフラ投資をする」といえば、5年で100兆円の経済成長が最低となり、今後5年間で年間平均20兆円は経済成長できると計算できるわけです。もちろん、乗数効果まで考慮すれば「100兆円のインフラ投資」は5年で100兆円以上の経済効果があります。

     

     カジノの経済効果も株式市場の資産効果も、残念ながら時間軸も金額も不明確。当たり前ですが、個人の消費行動を「〇〇円物品やサービスと交換しなさい!」と管理することは現実的に不可能ですので、そうならざるを得ないわけです。

     

     

     というわけで、今日はカジノの経済効果について述べました。

    マカオや米国のラスベガスや韓国のソウルやら、海外の事例を並べ、国際会議場やホテルが建築されるので、そうしたゲーム事業以外の経済効果があるはすだという意見をお持ちの方もおられると思います。

     私はそれも否定しません。それは確かに経済効果と言えます。GDP成長にも寄与することでしょう。

     とはいえ、政府が力を入れるべきは、もっと優先度の高い分野があるはずです。それがインフラだと思うわけです。災害から国民を守るためのインフラ投資、将来の生産性向上のためのインフラ投資、いずれも国力強化と直結し、海外との競争力強化に繋がります。

     そうしたことを考えますと、カジノが経済成長の切り札であって優先すべきであるとは、私には到底思えないのです。


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