ドイツのFIT廃止と日本のFITの現状と発電税

0

    JUGEMテーマ:太陽光発電

     

     ちょうど一年前の2016年6月に、ドイツ政府が再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を廃止したというニュースがマスコミ各社で報道されたのですが、皆さんはご存知でしょうか?日本でも今年の6月、再生可能エネルギー固定価格買取制度が岐路を迎えているということで、本ブログでも取り上げました。(5/29配信ブログ:「再生可能エネルギー固定価格買取制度」の終了!

     今日は改めてこの問題について触れたいと思います。

     

     

     

    1.ドイツがFITを廃止した背景

     

     ドイツでFITが廃止になった理由は次の事情のようです。

    “電設備が急増し、買取費用が電気料金に転嫁→その結果、電気代の高騰を招く

    ∩電網の整備が遅れ、需要と供給のバランスが崩れる

    E係によっては大量の余剰電力が生じる→近隣国へ売却しても、安くたたき売られ、売れば売るほど赤字が大きくなる

     

     FITは発電しただけ電力会社が固定価格で買い取るという制度です。需要に関係なく買取をしますので、市場価格よりも高額な買取価格が設定されていると、発電会社は発電が可能なだけ発電するという動機を与えることになります。

     現在の科学技術において、一般家庭で必要とするだけの電力を貯めるという技術は存在しません。電力は貯めることができないのです。そのため、需要と供給を常に一致させる必要があるのですが、安定電源である原子力発電所や火力発電所と比べて、発電量をコントロールできない不安定電源の太陽光発電の比率が増えることで問題が発生します。

     

     例えば天気が悪い日は、必要とされる発電供給量の確保ができず、別の発電方法によるバックアップが必要となるため、火力発電をスタンバイさせています。

     逆に天気が良い日は、必要とされる発電供給量を上回って発電供給されるため、余った電力をどうにかしなければならないという状況に強いられます。

     

     ドイツの場合、消費しきれない電力は、陸続きで国境が繋がっている隣国へ、送電網を通じて売電されます。とはいえ、需要がないのに発電されてしまった電力は、安くたたき売られることになります。何しろ「供給>需要」であれば、価格は下がるに決まっているからです。

     

     なぜ、余剰電力が叩き売られるのか?ドイツから見れば、価格が下がって、赤字が大きくなって叩き売られる程度なら、まだましです。需要が少ないのに無理やり供給された電力が厄介なのは、需要以上の電力が送電網に送り込まれると、送電網自体がパンクして、大規模停電(=ブラックアウト)を引き起こすリスクがあるのです。

     もし、送電施設の重要設備が損傷することになれば、電力の復旧に多くの時間が必要となる可能性もあります。

     

     日本では海外と比べて大規模停電の発生頻度は極めて少ないですが、海外では普通に停電が発生します。このままFITを推進していけば、日本も大規模停電が発生する可能性が出てくるのです。

     

     

     

    2.再生可能エネルギー賦課金を負担しているのは誰?

     

     FITというのは再生可能エネルギーを、需要の大小に関係なく、あらかじめ「〇〇円で電力会社に買い取らせますよ!」として、これをどんどん増やして、再生可能エネルギーによる発電を、どんどん発展させようとした制度です。

     

     太陽光とか風力とかバイオマスとか潮力とか、いろいろありますが、これ、全部おかしな制度です。私はずっと以前から猛反対の立場です。

     

     電気料金の領収証を見ていただきたいのですが、再エネ賦課金というのがあります。

     

     投資家が太陽光パネルを並べてメガソーラー発電を始めたとして、その発電供給した電力について、需要がめちゃくちゃ少なかったとしても、電力会社に固定料金、当初は1kw当り42円という極端に高い価格で最長20年間、電力会社に買い取らせているのです。

     

     その高くついた代金は、電力会社が負担しているのではなく、私たち国民が負担しています。家計も企業も負担しているのです。何のためにこんなことやらなければならないのでしょうか?

     

     日本に真に必要なのは安定電源です。東日本大震災時の福島原発事故をきっかけに、原発を停止しているため、安定的に発電できる電源が必要です。原発が担ってた安定電源を、不安定な供給をする太陽光で賄えるはずがなく、多くの歪みを生じているのです。

     

     例えば、どんなビジネスでも市場がなければ売れません。要は需要がなければ売れないか価格を下げて売るしかありません。しかしながら、FITという制度によって、発電した電力を、需要と無関係に20年間高価格で電力会社に買い取らせるという制度であり、負担は私たち国民なのです。

     

     東日本大震災と福島第一原発事故というショックを利用して、ササっと菅直人政権の時に成立させられた再生可能エネルギー特別措置法という法律、まさにショックドクトリン(ショックを利用しておかしな制度を取り入れる)の典型です。

     

     当初は1kw当り42円で、今は半分の21円になりました。とはいえ、再エネ賦課金を負担しているのは私たち国民で、しかも電力は不安定になります。

     

     太陽光発電はいつどのくらい発電できるのか?天候に左右されるため、わかりません。発電ができないときのために、火力発電をスタンバイさせているというのが現状であり、エコでの何でもないのです。

     

     なぜ火力発電所をスタンバイさせるかと言えば、火力発電所も原子力発電所と同様、私たちが家で使う電気と同じようにスイッチ一つでピッと発電ができるものではないのです。だからスタンバイしておく必要があり、エコではないのです。

     

     

     

    3.外資規制がないことも大問題

     

     田舎の光景で、太陽光パネルがずらっと並ぶのを皆さんはどう思いますでしょうか?

     太陽光パネルで景観が破壊され、日本の田園の風景が壊されるのは、いかがなものか?と私は思います。

     

     このような問題があるFITですが、そもそも太陽光発電って儲かるのでしょうか?

     結論から言えば、最初に始めた人は、めちゃくちゃ儲かっています。何しろ発電するだけで1kw42円、電力会社が買い取ってくれます。需要に関係なく高く買わされた電力会社は、再エネ賦課金として電力利用者である国民と企業から料金を徴収します。

     しかも、20年間は1kw42円の所得補償というかビジネス保証というか、その金額は莫大でして、ついに私たち国民が負担している再エネ賦課金は2兆円を超えています。

     

     この2兆円という金額、日本のGDP500兆円とすれば、0.4%に相当し、半端ない金額です。豊洲市場の新設費用が6000億円で、築地市場の売却益見込みは4500億円。この金額でガタガタとマスコミが騒ぐのですから、FITで国民から徴収された累計2兆円についても、もっとマスコミが取り上げるべきだと思います。マスコミは、再生可能エネルギー固定価格買取制度の問題点をほとんど正確に理解していないから、ビジネスの規制となり得るこうした論説は、ほとんど報道しないのでしょう。

     

     しかも問題として、外国資本の規制がありません。そのため、韓国とか中国とかドイツとか米国とか、外国企業がどんどん参入しています。私たち国民が支払っている再エネ賦課金は、彼らに吸い上げられているのです。そういうビジネスモデルです。

     

     ある意味、これは一種の増税です。マクロ経済的に見れば、2兆円の所得が国民から奪われているので、明らかに使えるお金が少なくなることとなり、デフレ効果を促進します。

     

     100歩譲って、高い電力を払っても電力供給が安定するならば、日本のエネルギー安全保障が強化されるのであれば、日本国民の負担が増えても価値はあります。ところが実際は、再生可能エネルギー固定価格買取制度は、電力供給の安定化という観点で、むしろ弱体化します。エネルギー安全保障の弱体化を促進するのです。

     

     

     

    4.解決策は発電税

     

     さらに問題点を挙げるとすれば、この再生可能エネルギー固定価格買取制度は、一度投資したら市場競争がなく儲かる仕組みのため、技術開発の発展が止まります。何しろ1kw42円やら21円やら、必ず買い取るという仕組みであるため、市場競争がありません。結果、技術開発の発展が止まります。技術開発投資なんて成功するかわからないところに投資するくらいであれば、太陽光発電に投資しようみたいな、ことになるためです。

     

     これだけ問題があって国益を損なう再生可能エネルギー固定価格買取制度について、廃止することは可能でしょうか?

     廃止できなくても42円やら21円やらの買取価格をもっと下げさせることとか、可能でしょうか?

     読者の皆さんはどう思われますでしょうか?

     

     結論から申し上げますと、廃止や価格の引き下げは不可能です。行政訴訟の対象になります。既に契約している事業者からは、最長20年間買い取り続けなければならず、途中で止めることはできないのです。

     

     では解決策は全くないのか?といいますと、一つだけあります。それが「発電税」です。

     この「発電税」を太陽光発電事業者に課し、実質的に買い取り価格を下げていくしかありません。

     

     実際にスペインで、発電税を導入して、既存の事業者の買取価格を引き下げています。

     

     

     というわけで、今日は昨年度報道されたドイツのFIT廃止と合わせ、改めてFITの問題点を指摘しました。解決策としては「発電税」で、私たち日本国民の所得を取り戻すということしかないですし、デフレ脱却のためにも、それをやる必要があると私は思うのです。


    コメント
    コメントする








       

    calendar

    S M T W T F S
          1
    2345678
    9101112131415
    16171819202122
    23242526272829
    3031     
    << December 2018 >>

    スポンサーリンク

    ブログ村

    ブログランキング・にほんブログ村へ
    にほんブログ村

    recent comment

    • 英語教育について(トランプ大統領の演説を誤訳したNHK)
      永井津記夫 (12/07)
    • ハロウィーンは日本のお祭りとは違います!
      ユーロン (11/12)
    • オプジーボが医療財政の大きな負担であるため保険の適用外にしたいと思っている財務省
      SSST. (10/13)
    • サムスン電子について
      故人凍死家 (09/26)
    • 財務省の役人は、なぜ緊縮財政なのか?
      吉住公洋 (09/26)
    • 生乳流通改革という欺瞞と、イギリスのミルク・マーケティング・ボード
      富山の大学生 (06/05)
    • オランダ人の物理学者、ヘイケ・カメルリング・オネス
      師子乃 (10/02)
    • オランダ人の物理学者、ヘイケ・カメルリング・オネス
      mikky (12/01)

    profile

    search this site.

    mobile

    qrcode

    powered

    無料ブログ作成サービス JUGEM