M&Aで積極展開する外食産業のコロワイド(証券コード:7616)
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今日は、私の保有銘柄でも、比較的長く保有している銘柄の一つ、コロワイド(証券コード:7616)について紹介します。この会社は、東京にお住まいの方はご存知と思いますが、甘太郎のブランドの居酒屋です。甘太郎以外にも「やきとりセンター」「北海道」「ラパウザ(イタリアンレストラン)」「三間堂(そば居酒屋)」などの業態のレストランを展開する他、カッパクリエイト(証券コード:7421)、アトム(証券コード:7412)の上場2社を子会社に持ちます。
コロワイドの特徴は下記の通りです。
●神奈川県藤沢市内の食堂から始まった
●甘太郎の名前で居酒屋のチェーン店を開発した
●M&Aで積極的に業容拡大した
●最近では牛角を買収し、ベトナムに牛角を新規展開する
●外食産業で初めて国際会計基準を採用している
●年間4万円の食事優待券がある
ざっとこんなイメージです。
コロワイドの四季報を見てみましょう。
(出典:日興コーディアル証券)
10年月足チャートは下記の通りです。
(出典:ヤフーファイナンス)
私がこの銘柄と関わったのは、たいへん古く、2002年頃です。
500株×1,396円≒69万円程度で購入したのがきっかけです。
なんでも、投資額70万円程度に対する年間4万円の優待が魅力的だったため、思い切って買おうと決断いたしました。そしてこの決断は大当たりでした。
分割情報を見ていただきたいのですが、
2005年3月28日 1:1.5
2006年1月26日 1:1.5
2006年3月28日 1:1.4
と2002年以降で、3回も無償分割を行っています。
私の当初の500株がどうなったか?
500株×1.5=750株
750株×1.5=1,125株
1,125株×1.4=1,525株
となったのです。
保有株500株→1,525株となり、タダで1,025株増えたのです。
そして、私は960円で1,000株売却し、端株の25株も売却しました。
960円×1,000株売却で、売却代金96万ですが、取得価格は69万円です。
結果投資成果としては、69万円投資して、96万円以上回収し、なお今も保有する500株はタダ株同然で、毎年配当が2,500円(500株×5円)と、年間優待券4万円をゲットしつづけていることになるのです。
7/5(水)のコロワイドの株価は、1,909円ですので、タダ株500株は時価95万円程度となります。
1,000株を売却せず、保有を続けていれば、96万円が190万近くになっていたということで、売却して回収したという判断が良かったかと言えば、かなりもったいない判断だったとも言えます。
とはいえ、相場格言に利食い千人力とありますので、結果的に投資金を回収していますし、持っていれば年間4万の優待に、1株当り5円の配当もらえますので、結果良しと考えるようにしています。
もちろん今保有している500株は売るつもりは毛頭ありません。
最近はベトナムのホーチミンに牛角を進出するなど、海外進出も積極的ですが、そのためか?見栄なのか?IFRSを採用することになりました。M&Aを積極的に行うコロワイドにとって、これが何を意味するか?
買収する際、純資産額<買収額 の場合は、買収額−純資産額=正ののれん代 となります。
また、純資産額>買収額 の場合は、買収額−純資産額=負ののれん代 となります。
日本の会計基準の場合、正ののれん代は、20年以上で均等償却し、販管費で費用計上します。
負ののれん代は、営業外収益で一括で収益計上します。
国際会計基準の場合は、正ののれん代を均等償却で費用計上しないのです。
のれん代とは、コロワイドが買収時に支払った対価と、買われる企業(被買収企業)純資産の差額を示します。被買収企業を救済するなどのケースを除けば、通常は買収額>純資産額で、買収額が上回ります。即ち正ののれん代が生じます。
正ののれん代の本質は、被買収企業が将来にわたって利益を稼ぐ力(超過収益力)を評価したもので、貸借対照表上では、無形固定資産で計上します。
そして、その正ののれん代を費用計上するか否か?は会計基準で変わってくるのです。
会計基準がどうであれ、共通することは買収した企業の収益力が低下したと判断されれば、のれん代の評価を引き下げ、当初計上したのれん代との差額を損失処理する必要があります。この損失処理が減損処理です。
日本企業でも、日本の会計基準でなく、国際会計基準や米国会計基準を採用する企業が増えていますが、外食産業で国際会計基準の採用に踏み切ったのは、コロワイドが初めて、他社での追随は見られません。
では、これがイイことなのか?と言われると、そうでもないのです。被買収企業の事業が、買収後も順調に予定通りに収益が出ていれば、いいのですが、そうでなくなった場合に、減損処理をしなければならず、国際会計基準の場合は、減損処理をするときの損失額が大きくなりがちになります。なぜならば、日本の会計基準では正ののれん代は償却していきますので、のれん代が小さくなっていきます。国際会計基準は償却しないので、買収した際の正ののれん代(買収額−純資産額)がそのまま貸借対照表に積み上がっていくことになるのです。
結果、当初のシナリオ通りの収益が出せず、将来減損することになった場合、損益計算書に与える影響が大きくなるというわけです。
もし、損益計算書に影響を与え、赤字で欠損となれば、格付けの引き下げや銀行融資の金利条件に悪影響をもたらすといった弊害が起きます。コベナンツ・ファイナンスで融資を受ける際に財務制限条項などが付いていて、赤字が許されない・欠損が許されない・純資産額の減少が許されない旨のコベナンツが貼られている場合、銀行からの融資条件が悪化することで経営にさらなるダメージが与えられることになります。
というわけで、今日はコロワイドという会社を取り上げ、会社の概要と共に、外食産業では珍しく国際会計基準を採用している旨をお伝えしました。国際会計基準を導入してもイイこととは限らず、逆にバランスシートの無形固定資産に積み上げられた正ののれん代を減損するリスクが、定額償却する日本の会計基準と比べて大きくなることをお話ししました。
今からコロワイド株の購入を検討される場合は、上述のリスクも考慮しておく必要があります。
一方で外食産業の株は人気もあります。ぜひ、ウォッチしていただき、株価が下がったところを購入してみてはいかがでしょうか。下記の通り、コロワイドグループの銘柄について、2017/7/5時点での終値で、利回り・優待利回りを整理して記載しましたので、ぜひご参考にしてみてください。
●コロワイド(証券コード:7616)
2017/7/5終値1,909円
1株配当5円(2017年3月期)
500株保有で、年間40,000円優待券(3月末10,000円 6月末10,000円 9月末10,000円 12月末12,000円)
500株投資した場合、
投資金額=1,909円×500株=954,500円
年間配当金=2,500円 年間優待券=40,000円
配当利回り=0.26% 優待利回り=4.45%
●カッパ・クリエイト(証券コード:7421)
2017/7/5終値1,270円
1株配当0円(2017年3月期)
2,000株保有で、年間24,000円優待(3月末12,000円 9月末12,000円)
2,000株投資した場合、
投資金額=1,269円×2,000株=2,538,000円
年間配当金=0円 年間優待券=24,000円
配当利回り=0.00% 優待利回り=0.94%
●アトム(証券コード:7412)
2017/7/5終値 769円
1株配当2円(2017年3月期)
1,000株保有で、年間40,000円優待(3月末20,000円 9月末20,000円)
1,000株投資した場合、
投資金額=769円×1,000株=769,000円
年間配当金=2,000円 年間優待券=40,000円
配当利回り=0.26% 優待利回り=5.46%
※優待券は、牛角を除く、コロワイドグループの各社で使えます。コロワイドの子会社のカッパクリエイト、アトムもいずれも各社共通で使えます。
- 2017.07.06 Thursday
- 国内外株式投資(全般)
- 00:26
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- by 杉っ子