イギリスとフランスの選挙を振り返る

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     イギリスとフランスで選挙が行われました。今日は改めて選挙結果について振り返ってみたいと思います。

     

     

     

    1.イギリスの選挙結果について

     

     まずはイギリスです。

     下院選挙で定数650人のうち、メイ首相が所属する保守党は12議席を減らす318議席で過半数を割ってしまいました。それまで過半数の勢力があった保守党ですが、メイ首相は敢えて選挙を早め、議席を増やしてEU諸国とのブレグジットに臨もうとしていたのですが、裏目に出てしまったようです。

     というより、メイ首相がヘタだなと思うのは、メイ首相がEU問題でなく、社会保障問題で緊縮っぽいことを言ってしまったのです。社会保障問題において、年齢がある程度いった人に対して負担増を表明し、収入だけでなく財産にまで税金掛けますよ!と緊縮財政っぽいことを表明したことで人気が下がり、大きく選挙で苦戦してしまったのです。

     かつてイギリスの鉄の女と言われたマーガレットサッチャー首相も、人頭税をやるといって選挙でぼろ負けしたことがあります。イギリスの女性政治家は、緊縮財政をやろうとして選挙でぼろ負けしたという歴史があるのです。

     メイ首相は議席を増やして一丸となって雰囲気を作ったうえで、EU諸国とブレグジットを交渉していくつもりだったわけですが、国民の支持で強気に出るという方法は難しくなったと思います。

     実際、選挙後には10議席ほど持っている小さな他党と閣外協力をすることになりました。

     

     逆に野党最大の労働党には勢いがつきましたが、だからといってブレグジット自体が変わることはあり得ません。ただ、どういう風に離脱するか?は、これまでと違った影響が出てくるでしょう。

     

     強硬に行くか?ソフトランディングに行くか?マスコミの報道では、ハードブレグジットとか、ソフトブレグジットとか言われています。本当はメイ首相は全部クリアにして、移民や関税や、自分たちの主権は自分たちで判断しますよ!という風にしたかったと思いますが、今回の選挙結果で少し無理になったと思います。

     

     メイ首相が「移民受入は拒否し、EUとの関税は”なし”ですよ!」と強気に行けるのか?今後のメイ首相のブレグジットへの対応には注視していきたいと思います。

     

     

     

    2.フランスの選挙結果について

     

     次にフランスです。

     5月に新しくマクロン大統領が誕生しました。

     その後、国民議会の総選挙の第1回の投票が行われ、議席の確定が5/18に決選投票に持ち越されたもののマクロン大統領の新しい党の共和国前進が大躍進し、過半数の289議席を大きく超える見通しとフランスの公共放送が伝えています。このフランスの選挙結果をどう見るか?一番注目すべきは投票率です。48.7%と50%を切ってしまっているのです。

     これは、反EUということでルペンやメランションに投票した人々が、「どうでもいいや!」という状況で投票を棄権してしまっているのです。なんかまるで私の都議会議員選挙への興味が無くなってしまったのと同じです。

     

     とはいえ、これでマクロン政権は親EUのグローバル政策をやることになります。するとグローバル疲れで反動が大きくなり、次の大統領選挙は大きく状況が変わるのでは?と予測してます。

     

     マクロン大統領は、「EUはイイじゃない!」という考え方の人です。そのため、ますますフランスとEUは緊密になる一方で、国内のルペンとメランションを支持した人、その数は投票有権者数で棄権した人で、フランス国民の半数の人々が反発することでしょう。

     

     さらにテロの問題もあります。フランスは未だに非常事態宣言下にあり、テロが頻発しているこの状況で、これを解除することはできません。

     加えて若年層失業率も高く、25%近くにも上ります。

     

    <2015年度の主要国の若年層失業率:単位「%」>

     

     なぜ若年層失業率が高いか?理由は移民がどんどん入ってきてしまうからです。

     シュンゲン協定による人の移動の自由で、グローバリズムを推進すれば、若年層失業率はさらに上昇するかもしれません。今までのひどい状況が、さらにひどくなっていくと私は予想します。

     

     とはいえ、議席をかなり増やすわけですが、先ほども申し上げた通り、フランス国民の半分のルペン、メランションに投票した人々は投票を棄権しているので、数字的にはフランス国民の30%程度の人々がマクロン大統領に期待しているということになるわけです。

     

     

     

    3.他のヨーロッパの国々への影響はいかに?

     

     グローバリズム、反グローバリズム、どちらも一気に一方的にはいかないということがわかってきました。今後はグローバリズムが少し盛り返す一方で、国民の不満は溜まっていくことになると思われます。そして将来、その状況の下で選挙を迎えるという状況。

     これまでと同様にドイツの一人勝ちは続くと思います。何しろ、技術力が他のEU諸国と比べて抜きん出ており、インフラも他のユEU諸国より有利な状況です。しかもドイツの輸出攻勢に対抗して、EU諸国は関税を掛けることができません。そのため、ドイツは他の関税を掛けられないEU諸国に対し、まるでサンドバッグをボコボコに叩くように、輸出を伸ばすことができるわけです。

     イギリスはEUから抜けます。フランスはマクロン大統領が「EUはイイね!」という人なので、EUから抜けることは考えられません。

     そうなると、フランス国としてどこまでドイツの攻勢に耐えられるか?はたまた、ドイツ以外のEU諸国をサンドバッグ化して輸出を伸ばしていくか?

     またEUに加盟した状態であれば、移民の受け入れ(=ダブリン協定)、人の移動の自由(=シュンゲン協定)によるフランス国民の人件費抑制、緊縮財政の押し付けによる政府支出増ができず需要創出ができないという、主権が縛られる状態が続きます。イギリスは主権が縛られるのが嫌だからEU離脱でブレグジットに突き進んでいるわけですが、フランスは、こうした主権喪失状態にどこまで耐えられるのか?私は見ものだと思います。

     

     以下は、ダブリン協定、シェンゲン協定に関するブログ記事です。

    「 欧州域内で広がるシェンゲン協定(=人の移動の自由)への批判 」

    「 移民が増え続ける日本(移民政策のトリレンマ) 」

    「 「移民・難民受入推進」は後戻りができない愚策! 」

     

     

     というわけで、今日はイギリスとフランスの選挙結果について振り返り、私見を述べさせていただきました。


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